前編
初投稿です。
短編予定でしたがちょっと長くなりそうなのでわけます。
2/14:セリフ前後を改行しました
2/15:悪役令嬢の身分を伯爵から公爵へ修正しました
みなさま初めまして。
私はリアノ王国の第三王女、リリシアと申します。
私は現在隣国のゼイラダ国の学園へ留学しております。
このゼイラダ国は我が国との友好国ですが、かなり昔に現れた勇者様が高い教育制度を創られたことで有名な国です。
この国は貴族だけでなく、優秀な平民であれば特待生として授業料の免除などを受けることができます。また貴族が学園内では少しでも地位に縛られることがないよう家名ではなく自分の名前で呼ぶように義務付けられています。これは平民の方との壁を少しでも感じさせないようにと考慮されたという伝承もあります。
そんな学園に私は留学し、Sクラスに通っています。もちろん正規の手順を踏んでちゃんと受験しましたよ?
別名特待生クラスと言われているだけあって平民の方が多いですが、みなさま良くしてくださり良いクラスメイトです。
そんな感じで平和に生活していたのですが、ある日突然他のクラスの方に声をかけられました。
「ちょっとそこのあなた!」
「はい?」
私が振り替えると、少しつり目の気の強そうなご令嬢とその後ろに数人のご令嬢がいました。
「なにかご用でしょうか?」
「あなた最近よくアロー王子とお話ししてるでしょう!」
「ええ、確かによくお話しさせていただいてますが…」
アロー王子とはゼイラダ国の王太子にあたる方です。隣国の王女である私のことを気にかけてくれる優しい方です。
「いくら特待生クラスだからって、たかだか平民が話しかけていいような方ではないんですのよ。身の程をわきまえなさい!」
そう言って私の肩を持っていた扇子で叩きました。
そこまでではないですが、地味に痛いです…。
「あの私は」
「言い訳なんて聞きたくなくてよ。酷い目に会いたくなければ王子に近づかないことね」
それだけ言い残して睨み付けたあと仲間の方と一緒に去っていかれました。まるで嵐のような方でしたね。
おそらく貴族として見たことなかったので平民と間違われたのでしょうが、この国の人間ではないので知らないのも当たり前です。
「困りました…」
王子に話しかけるなと言われても、私は現在王城でお世話になっているので話しかけないというのは無理です。
仕方ないのでひとまず先程のご令嬢のことは気にしないことにしました。王城に住んでいながら王子を無視するほうが失礼ですしね。
それから数日後のことでした。
「ちょっとお待ちなさい!」
振り替えると先日のご令嬢と数人のご令嬢がいました。
「なにかご用でしょうか?」
「あなた私が先日言ったことをお忘れですの!?」
「えっと…」
もしかしなくても王子に近づくなというお話でしょうか?
「王子に近づくなという」
「それですわ!覚えていながらよくも近づけたものですわね。しかも今朝は同じ馬車でいらしてたでしょう!」
「確かに一緒に登校しましたが、ですが」
「あの方はこの国の王子ですのよ。いくら婚約者がまだいらっしゃらないからと言って平民の娘が気安くお話しして良い方ではありませんわ」
「でもこの学園は身分は関係ないという教えですよね?それに私は」
「身分が関係ないとはいえ普通は節度を持ち合わせるものでしょう?これだから平民は嫌ですわ。あの方には私のような公爵家の娘こそふさわしいの。だからこれ以上アロー王子に付きまとうならあなたをこの学園から排除してもいいのよ?」
どうやらこのご令嬢は公爵家の方らしいです。
それよりも私が話す隙がないのですが、話すスピードが違うのでしょうか?
「まぁ私は優しいですから忠告はしましたわよ。それではごきげんよう」
それだけ言うと笑いながら去っていかれました。