表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニャンコと私と異世界と  作者: たちばな樹
第二部
69/85

24 ニャンコと見学と言語と


要望書の通り、レンブラントが交流を目的に滞在する為イシェルワにやって来た。


レンブラント王子の滞在にあたり歓迎晩餐会や夜会が開かれレンブラント王子は迎賓館で暫くの間は大人しくしていた。




「……飽きた。王都見学に行く」


豪奢な織りに刺繍を施された猫足椅子に脚を組んで座り、肘に頬杖ついているレンブラント。組んで宙に浮いた脚をフラフラ揺らして不満を体で表す。


「お行儀が悪いですよ」

側近コラットが眉間に皺を深く刻みレンブラントを睨んだ。


「王子?親睦を深め相互理解を理由としている以上、勝手は許しませんよ」

「騎士団の見学なら警備も安全で心配無いだろ?」

目的はそれ。と隠す事なく希望を口にするがコラットはいい顔はしない。


「いくら安全でも急には行けませんよ?申請してから行動して下さいね?」

「はいはいはい」

「はい、は一回で」

レンブラントは、口煩い。とコラットをジロリと半目で睨むもコラットは何処吹く風と、顔を崩す事は無い。




騎士団に申請が届きブランブルが頭を抱えるのも時間の問題だった。





「レンブラントがここに来るんですか??」

「ああ、全く面倒な事をしてくれる」


私はブランブルが溜め息混じりに肩を落としているのを申し訳なく見つめた。レンブラントが自分に会いに来たのは間違い無い。それに伴い騎士団に迷惑かけるのが目に見えているので気が重くなった。


(騎士団まで来なくても王宮に会いに行くのに……。団長にまで迷惑かけて肩身狭いじゃんか……)


ブランブルから一報を知らされ頭を悩ましたが自分が出来る対応など特に無いので普段通りに過ごし日々が過ぎた。




**********




「お待ちしておりました。レンブラント殿下」



レンブラントが騎士団に見学に来る日となり、騎士団の面々が慇懃に立ち並びレンブラントを出迎えた。


「今日は世話になる。一通り見せて貰ったら、ゆっくり話を聞きたい。よろしいかな?」


レンブラントが意味ありげに口元を上げるのをブランブルが確認すると、ブランブルも同じく意味ありげにニヤリと口角を上げた。

「ごゆるりとご見学下さい。歓談はその後に」


ブランブルと案内役の事務長や側近に警護をゾロゾロ引き連れ館の中を案内していった。


レンブラントは稽古をしている騎士達をお座なりに眺め見学を早々に切り上げさせた。

レンブラントの側近は恐縮気にブランブルと会話し応接室へと案内された。






「リラーー!!」

「レ、レンブラント王子」



応接室でレンブラントを待つように私は待機させられていた。

勢いよく部屋に入ったレンブラントから熱い抱擁を受け息が止まる思いだ。

周りにはレンブラントの側近と警護にブランブル、ディルムン。限られた人物しか居ないとは言え恥ずかしい事には変わらない。


「レンブラント王子……離して…」

「リラに逢いたかった。王子はいらないから。レンブラントって呼んでって言ったよ?」


人の話を聞かずレンブラントは私を抱き締めたままだ。息が苦しい私はレンブラントの背中に手を回しポンポンと叩きギブアップを伝える。


「悪い悪い。つい、ね?」

ごめん。と、ちょこんと頭を下げ日本風のお辞儀謝罪をするレンブラントに私は眉を下げ苦笑いをした。



「まずは席に座られて落ち着かれたら如何ですかな?」

ブランブルに進められブランブルと私、レンブラントが座り、ディルムンと従者、警護は立って警戒をしていた。


「レンブラント王子、わざわざ此方にお越し下さらなくても、此方からお伺いしましたよ?」

「リラ、敬語は使わなくていいよ?息抜きに外に出たかったんだ。だから気にしないで」

周りに側近や警護が居るのに王子にタメ口は無理。と畏まった口調になる。レンブラントは不満そうだが、無理な物は無理です。


「リラの最近の事を聞かせて?」

「最近ですか?……えっと。余り変わらない毎日ですね。調べ物したり……あ、乗馬の練習を始めました」

「へー。乗馬か。上達したら一緒に遠乗りに行きたいね」

「まだ外は無理ですよ?並足だもの」

「近場でもいいじゃん」

「駆け足が出来て、合格貰うまで難しいですね」

「俺は自由に動けないからなー」

「王子様に動かれたら警護が大変ですよ?」


普通の会話。

だけどオブラートに包まれた会話。

話したい事が話せ無いもどかしさ。

レンブラントも歯に物が挟まった会話に顔を曇らせた。

監視のある中で気楽な会話が出来る訳も無く、レンブラントが人払いを要望した。


側近も警護も難色を示したがレンブラントの強い要望にドアの外で待機する事となった。

私もブランブルとディルムンに頼み、レンブラントと二人にして貰えないかを頼んだ。

「立場的にも対外的にも許可は出し兼ねるが?」

「二人きりと言うのは、リラにも不名誉な噂が立つ。看過できない」


相手は一国の王子。

王子と二人きり、しかも男女。

良くない事は分かっている。

それでも聞きたい事がある以上、他に人が居ては駄目なのだ。



「レンブラント王子に聞きたい事があるんです」

「俺らが居たんじゃ駄目か?」

「これは……私にとって、確認の為に重要な事になります。許可して頂けませんか?」

「………確認とはなんだ?」

「今は話せません。場合によっては口外できません」

「嬢ちゃん自身の事についてか?」

「それもありますが、まだ今は話せません」

「仕方ねぇなぁ」


私の覚悟を決めた口調に渋々ブランブルが了承した。

皆が退室しレンブラントと二人きりになった。




「リラどうしたの?俺に聞きたい事があるなんて?」


私の様子がおかしいと感じたレンブラントから質問された。聞きたい事は色々ある。


「レンブラントに聞きたい事があるの。いいかな?」

「俺に答えられるなら?」

「レンブラントは大学の専攻なんだった?」

「理系だよ?就職対策だね」

「そっか、ならフランス語は分からないか…」

「フランス語?」

「実は、石碑にフランス語が書かれていたの。あと、ギリシャ語もあった。フォルニアスにはそんな石碑とかある?」

「いや?知らなかったな…」


私は書き写した紙をレンブラントに見せ、分かる単語だけ指差してフランス語だと言う事を確認した。

「ジュとかチュは、英語のIやyouだし、スィルプブレはプリーズ、だったと思う」

「コッチにそんな石碑があるなんてな……」

「言語にちょっと気になる事があって」


驚愕したレンブラントが目を見開いていた。

私は疑問になっていた事をレンブラントに話した。


「コッチの世界との共通性に疑問があるの。異世界転生って少なくてもいるんじゃない?レンブラントみたいに。ここの服装様式とかマナーって地球と共通しているでしょ?もしかしてこの世界で転生者の影響ってかなりあるんじゃないかなって」

服装は中世に似てるし、楽器も似てるよね?と舞踏会を思い出す。



自分が考える推察が正しければ、この文字を書いた人物も転生者だ。

文化様式、服やマナー、等の共通性。

それが不思議だった。

帆船技術なんて簡単に開発なんて出来ないと思うし。

もしかしたら、セレンの言語も本当にギリシャ語から来ているのかもしれない。




「この世界と何か共通単語ってあるの知ってる?」

「うーん。共通単語か……。んーー……。ん?あっ!ある!!シトロってレモンだろ?」

「それがどうしたの?」


この世界でレモンはシトロと言う。

脳内では自動翻訳の様に変換されている為違和感なく言葉を使える。リアンからの賜物に感謝している。


共通単語じゃないよね?と私は首を傾げてレンブラントを見た。

「レモンのフランス語はシトロンなんだよ!フランス車のメーカーのシト○エンはレモンのシトロンが元なんだ」


シトロンが、こっちでシトロに鈍ったのかな?他にも、もっと似通った言語があるのかもな。とレンブラントは呟き、自分が乗っていた車だから覚えていた。と言う。

「この世界、転生者が昔から居るって事かもなぁ。もしかしたら文明基礎を作ったのか?」

レンブラントも腕を組んで首を傾げ瞑目して思案する。



異界は境界があり肉体では通過出来ない。

獣化した姿か、魂か。

リアンがそうだった。

地球からこの世界に来れるのは、魂のみ。

なら、逆も然り………。

と、思い当たり、それが何を示すかを深く考えると溜め息しか出なかった。




「リラは何を考えているの?」


私はレンブラントに推測を話した。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ