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ニャンコと私と異世界と  作者: たちばな樹
第二部
68/85

23 ニャンコと乗馬と記号と要望とこぼれ話と

ブクマ、評価ありがとうございます(*^^*)励みに頑張ります((o(^∇^)o))


フォルニアス国第三王子にクラーレット様が嫁ぐのは来年の春過ぎ頃だ。


それについての要望書がフォルニアスから届いたディジェム国王は頭を悩ませ、その余波が騎士団に届くまでさほど時間はかからなかった。





私の日常は変わらず。

計算に魔術練習。

そして、たまに乗馬練習が追加された。


自分で馬に乗ってみたいという話を聞いたシーニアが教えてくれる事になり、練習することになった。


「背筋は伸ばして、手に力を入れすぎないでね。手綱は軽く握る。ギュッと握ると馬に手綱を引かれた時に指を切るからね」

「は、はいっ」

並足からゆっくり始め、腰を上げ膝立ちの中腰の姿勢を保つ。馬の動きに合わせ上下運動をし、運動場を回り手綱を捌く。


内腿筋肉と普段使わない筋肉が痛い。ボルダリングで使う筋肉とは違う場所が痛い。その筋肉も最近使ってない今、衰えるのも当然。

今は体力低下しないように、時間があればストレッチをしている。車も自転車も無いこの世界では体力勝負になる。

筋肉痛に眉をひそめ痛みを堪え姿勢を保ち目線を定め馬を操ることに神経を注いだ。


「だいぶ上手くなってきたよ。体幹があるから飲み込みが早いね」

「シーニアのおかげだよ。ありがとうね」

「あまり無理はしないで、ゆっくり馴らしていくといいよ。焦らないで」


優しく指導してくれるシーニアに、やはり気持ち的に意識してしまうのも確か。定まらない自分に不甲斐無くなる。それを分かっているシーニアに甘えている自分に自己嫌悪になる。


「上達したら一緒に遠乗りしようね」

熱の篭った瞳で想いを口にするシーニアの言葉は私の戸惑いを助長した。口籠る私に構わず相変わらずシーニアは約束を取り付ける。






騎士団の食堂には相変わらず両手に華のリラに変化が出た。



「宮廷にお戻り下さい」

「いやー。せっかく会いに来たのにねー」


色々話し聞かせて?と秀麗に笑うカールと、横からシャルトに、リラ?浮気ですか?と囁かれる。

正面に呆れ顔のシーニアの視線が痛いです。


「リラちゃん、まだ資料があるんだけど見に来ない?歓迎するよ?」

「………どんな資料です?」


資料は見たいがカールへの警戒は解けず胡散臭げにみればカールは、酷いなぁ。せっかく見つけたのに。と小首を傾げて拗ねる素ぶりを見せた。

いい歳した大人な男性の拗ねを見ても逆に引きます。とは口にしないが。


「前に見せた石碑とは違う文字の石碑ですよ」





カールに連れられ再び宮廷魔術師師団の資料室に向かった。


そこに出されていた石碑の描かれた紙に目を落とすと私は頭を悩ませた。


「これは…………無理だわ」

「無理?」

私の溜め息混じりの呟きにシャルトが横で聞いてきた。宮廷魔術師師団までに一緒に着いて来たシャルトはカールに睨まれても飄々と躱す。


流石トリューの息子ねー。と胸中に収めシャルトに文字を見せた。


「γ、Δ、Ω、この文字はギリシャ語と言って、馴染みの無い言葉だから全く分からないわ」


私の落胆を他所にカールは紙を眺めて私を向いた。

「でも読めてるよ?」

「記号として使っていたから知っていただけ」

「記号?」

「γ線とかα波とか、πとかは円周率と言って円形の計算に数学定数として使ってて…」

「難しい言葉だねー」

「計算で丸い物を算出する記号です」

簡単に噛み砕いてみたが伝えるのは難しい。カールは難しい顔を傾げて考え込んでいる。それを聞いていたシャルトは呆れ顔だ。

「相変わらずリラには驚かされますね」


そうか、ここには計算式とか無いのか?とちょっと後悔した。


「カールさん、他にも石碑はあるのですか?」

「うん、あるよ。他のも見る?」

「お願いします!」


カールは棚から石碑の紙を並べてくれた。

それは全て違う文字で描かれていた。

「見た事もない文字です」

「文字がみんな違うから解読できなくてね。時代もバラバラだし」


カールは紙を指差し、これは700年前位からある物。これは1000年前と言われてる。と教えてくれた。


1000年前と言われたギリシャ語に思案に暮れた。


ふと、思いついた事が口に出た。

「国の起源はいつですか?」

「建国は600年前だよ。それまでは小国が各地にあったのを纏めて国になったんた。他の国も似た感じ」

「石碑は他の国にもあるのでしょうか?」

「さぁ?そう言う交流無いからね」

カールは、石碑に興味持つ研究者なんてもう居ないからね。と肩を落とした。








いつも通りの日常。

6番隊で仕事をしているとドアの向こうが騒がしくなっていくのが分かった。

気になっているとブランブルに呼び出された。


ディルムンと団長室に向かうと厳しい顔に三割増しに眉間の皺が深いのが良く分かる。


「団長どうしましたか?」

何も言わないディルムンの代わりにブランブルに聞けば嫌そうに口を開いた。

「王宮から伝達だ。レンブラントが来る」


一瞬何の事か分からず、は?と顔が呆けた。

ブランブルは言葉を続け伝達の手紙を手に取り目を向けた。

「フォルニアス第三王子レンブラント殿下は、ここイシェルワに交流の為に長期滞在する。名目は、国交の開始に伴いイシェルワの文化の理解を深めるため。らしいぞ」

まあ、表向きは、ってヤツだなぁ。と肩を落とし口をへの字に曲げた。

目的は他にありそうだがなぁ。と半目の呆れ顔でブランブルから一瞥され、私はガクリと頭を落として項垂れた。



そしてブランブルは最後の伝達を二人に伝えた。

「あと、二人とも陛下に呼ばれてるぞ」



三者三様の溜め息が部屋に落ちた。





再び、レンブラント滞在に向け警備態勢の計画と人員配置に頭を悩ますブランブル。

近衛兵団とも連携する為に王宮との往復に疲労困憊の形相だ。



それを他所に私とディルムンは王宮へ向かった。

陛下の応接室へ案内されると顔の皺を深くした表情を浮かべジッと見つめられた。


「兄上お呼びですか?」

「………聞いただろ」

「レンブラント王子が滞在すると聞きました」

「あからさまな執着だな?」

何に。とは言わず陛下は私に視線を移し当惑していた。返す言葉も無い私は身の置き場のない思いで肩を縮めた。

「そこまで固執する理由が聴きたい」

「……獣化術についてでは?」

「それなら王子が来る必要は無い。臣下を使って聞き出せばいいだろ?直接王子が動く理由だ」

「それについてはレンブラント王子で無ければ分かり兼ねます」

「……………成る程」


転生者の事はレンブラントの許可が無ければ話せない。全容を知りながらも知らない振りをするしか無いディルムンは口を閉ざすしか無い。

長い沈黙後、意味ありげに押し黙った陛下をただ見つめるしか無い私はレンブラントの転生者について頭によぎっていた。


(レンブラントは大学生だと言っていたけど専攻はなんだろ?フランス語が解れば石碑は解読される?)


二人のやり取りを傍で眺めながら上の空で聞いていた。


「レンブラント王子はリラにイシェルワ案内して貰いたい様な主旨が書かれていたから覚悟はしていた方が良いかもしれんが?」

「何の覚悟でしょうか?」

「侍女として所望されたら断れんだろ?」

「………断固拒否しますが?」

「…………」

ディルムンは無表情のまま無言になり陛下は私に視線を向け怪しばんだ。


「よもやレンブラント王子と繋がりは無いであろうな?」

「ありません」

ディルムンの目付きが苦々しく細まるのを陛下は片眉を上げて眺めている。私は一言も口を開けない空気の中で思案に暮れた。


「リラ、お前はどうするつもりだ?」

陛下からの突然の質問に動悸が高まり言葉が詰まった。


「フォルニアスに誘われたら付いて行くのか ?」

「……行きません。イシェルワにお世話になったご恩を無碍には致しません」

陛下の厳しく鋭い視線に晒され、緊張から喉が張り付く様な渇きに襲われる。


「こちらとしても大魔術師に関わる者を国外に出すつもりは無いからな。行動には気をつける事だな」

「騎士団が付いておりますのでご安心を」

私の代わりにディルムンが答えると陛下は嘆息をついた。


「どうなるか分からんが考慮しておくようにな」



陛下から気落ちするお言葉を頂き私達は退室した。



王宮から戻り滞った仕事を続けたが、レンブラントの滞在に期待と不安が入り混じり計算が進まない。


確かにレンブラントには聞きたい事が沢山ある。

でもそれに伴い波乱含みになりそうな予感に肩を落とした。





**************

◉閑話休題 ニャンともニャン友


トリューに猫化がバレてから、猫での外出を禁じらた私。

それでも猫になって動き回りたい私は騎士団内限定での猫化許可をブランブルから無理矢理もぎ取った。

猫化の開放感は格別な物で人では通れない場所を通り、ひょいひょい高い所に行ける高揚感は手放せない。



『ニャーーン』

(おーーい)

屋根の上で日向ぼっこする白黒ブチの猫友さんに声をかける。


『フニャーン』

(なぁーにー)

ゴロンと寝転んだブチさんはシッポをパタンパタンと振り頭を少し上げてチラリとこちらを見る。


『ウニャーウニャン?』

(最近変わった事ある?)


『ニャーーウニャニャーウニャウニャニャ』

(パン屋周辺のボスが変わったくらいかなー)


『ウニャーウニャンニャニャー』

(そっかー。キジトラ負けたかー)

ダラダラと寝転び陽を浴びて至福の瞬間を味わう。



昼寝に飽き、ブチさんに別れを告げさらに高い所の屋根に向かう。

壁の出っ張りに脚をかけ登れば、騎士団本館の高さまではいかないが訓練所の屋根はそこそこ高い。


遠くに見える街並みの屋根。

ビルの街並みとは違い、煙突から煙が上がる。

風にたなびく煙に目を向けると、青い空が広がっている。


『ニャウニャウニャー』

(平和だねー)

暫し、ニャンコな時を堪能した。




この一連を騎士団本館の窓に張り付き眺めていたシーニアがエレだー!!と騒いでいたのは私は知らない。




なかなかニャンコで活躍させられないなぁ(^^;


2017.4.8修正

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