22.5 ニャンコと幼馴染と
ーーリラという子を治療した。
ディルムンが骨折させたと言う。
経緯は聞いたが治療するより彼女に興味を持った。
あのディルムンが王弟の権力を使ってでも治したいと思わせる人物なのだから。
会ってみれば普通の子。
幼いのか、女性なのか判断に迷う風貌だ。
だが、持つ魔力は半端ではなかった。
制御魔具を身に付けている様だったがそれを上回る魔力に、こちらが影響を受けそうになったくらいだ。
骨折はほぼ彼女自身の魔力で治療した。
術式と補助のみで済むとは物凄い事なのだが彼女は知らない様だ。
シャルト様に師事している様だが、魔術師を目指してはいないみたいだ。勿体無いと思い、疑問も湧いたが聞けるはずも無く飲み込んだ。
しかも骨折を治した後彼女は言った。
ーー骨だけじゃ無くて筋肉や筋まで元通りなんて……。
人体を把握している様な物言いが気になった。
そして推察眼。
ディルムンは話すなと言っいていたから彼女は知らないだろうが、鋭い勘だ。
不思議な彼女だったが、これにディルムンがどう惹かれたのかが疑問になった。
何故あのディルムンが惹かれるのか。
*
後日、治療の礼としてディルムンに食事をご馳走になった。
聞くことは勿論彼女ことだ。
彼女との出逢いをはぐらかされ、気持ちもはぐらかされ明言を避けたディルムン。
幼馴染の俺にも明かせない彼女の存在が気になるのは当然だ。
だがディルムンは一切喋らなかった。
気になっていた所に朗報が来た。
彼女が調べ物があるらしくこちらに来るらしい。
頼まれた調べ物の書類を探し出すのは骨が折れたが、何故こんな資料を?と疑問だ。
謎の文字は調べる者も興味を示す者も居らず、研究が進まない為放置されたまま。捨て置かれた状態で倉庫の奥で埃被った所から引っ張り出してきた。
こんな思いをして何か収穫なければ怒るぞとディルムンに悪態をつきたい気分だった。
当日、彼女観察をしたかったがディルムンに邪魔をされてつまらない。
だが調べ物を始めた彼女には驚愕した。
石碑を読み始めた。
しかも呟いた言葉は、転生者だと。
ディルムンと話し込む内容にも驚いた。
「リラの国の言葉では無いのか?」
「私の世界には200ヶ国近くあって、言語も5000言語以上あるの。この文字は主要国言語の一つだから少し知ってただけで読めないの」
ディルムンに説明する彼女だが、聞き捨てならない言葉が山盛りだ。
「リラちゃん、君は何者のだい?」
思わず口に付いたが彼女の動揺は激しそうだ。ディルムンも彼女を庇い、しかも陛下と宰相も周知の事実の様だ。
「私は異世界から来ました……」
突拍子も無い話しを聞いて流石に思考停止したのは当然か。
大魔術師の実験失敗の異世界転移、彼女の世界、獣化術、生物転移術の可能性。
魅力的な内容山盛りで興味を唆られる。
シャルト様も彼女にご執心と言うのも頷ける。
その力と能力。彼女は魔術師団より宮廷魔術師の方が活用出来る。
そう思い引き込むもディルムンに阻まれた。
陛下から任されている以上こちらは手を出しにくいが他の手段はある。
ディルムンには悪いがこれから楽しそうだ。




