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ニャンコと私と異世界と  作者: たちばな樹
第二部
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16 ニャンコと辛辣と焦燥と


今日も今日とてニャンコ日和。


ブランブルに報告してニャンコで散歩だ!と意気揚々と歩いてると珍しい人物に捕まった。


3番隊隊長ラグドだ。

国境線から騎士団に戻ってきていた様だ。


「お嬢さんチョットいいかい?」

質問があるらしく呼び止めるラグドの表情は柔和な表情なのに言いようの無い雰囲気を醸し出す。

一瞬飲み込まれかけ、訝しむ私を他所にラグドは話し出す。


「花祭りは楽しんだかい?」

「はい。色々見て楽しかったです」

私の脳裏には庭園やトリューとの質疑やダンス、シャルトやシーニアからの告白……様々流れ意識が散漫になる。そんな私に気にも留めずラグドの表情はあくまで柔和なままだ。


「そうかい。それは良かったなあ」

「はぁ……」

「シャルト様とも行ったんだろ?いい時間過ごせたんじゃないかい?」


ラグドの真意が分からない私は曖昧な返事しか出来なかった。

ラグドは私を伺う様に眺め言葉を続け、私は無言でラグドの言葉を聞いていた。


「……お嬢さんはモテるなあ?」

ラグドが柔和な表情のまま目を細めた。


「………シーニアに答えたか?」

「え…?」

「シャルト様にもだろ?」

声も無く絶句し驚愕する私にラグドは追い討ちをかける。


「玉の輿狙うならシャルト様の所に行ってはどうだ?」

ラグドは腕を組み私に視線を投げた。


「お嬢さんもいい歳なんだから身の振り方考えた方がいいんじゃないのか?優柔不断もどうかと思うが?他のヤツら、お嬢さんに言わないだろうからな」

それともシーニアに答えるかい?とラグドは双眸を細め冷たい視線を私に向けた。


私の血の気が下がり手先から冷えていくのが分かる。心臓の音が耳元で鳴っている様にドクドクと煩く聞こえ思考が回らない。


「シーニアの気持ちを弄んでないか?」

「……っそんな事………」

私は焦燥感に苛まれ口籠る。


「シーニアは俺の従兄弟でね。弟みたいなものなんだ。酔わせて吐かせりゃコレだし……」

ラグドは私を見据えたまま溜め息をつき蒼白な私を剣呑な表情で一瞥した。


「お嬢さんは誰を選ぶんだ?」


「私、は……」


私に選ぶ覚悟が無いのを見透かされた様で恥ずかしくなり消えたくなる。ラグドの刺さる様な視線に身が竦んだ。


「……シーニアを傷つけるのはやめてくれ」

ラグドは表情を変えず私を見つめたまま呟く様に言った。


私は蒼白のまま抑揚無く譫言の様に口にするのが精一杯だった。


「……シーニア、には……断った……、から」

「…………え?」

表情の無い私にラグドはバツが悪るそうに頭を掻き視線を逸らせた。


「………そっか。……なら、悪いこと言ったな」


「い、え……」

私はその場から逃げ去る様に踵を返した。


「私、これで……」

「あ、お嬢さん…」


後ろでラグドが呼び止める声がしたが私の耳には届いていなかった。








「セレン!警備の連中に伝えておけよ!」


ブランブルの語気は荒くいきり立つ雰囲気に誰も近づかない。


騎士団内は喧騒に包まれ荒れた雰囲気を纏っていた。

リラの行方を探す為にブランブルはシャルトに捜索を頼む連絡を出そうとする前に、リラの気配が絶たれたシャルトが騎士団に到着した。


ブランブルはラグドに向かい威圧感たっぷりな怒気を向けた。


「リラが居なくなった経緯を話せ」



会議室に呼ばれた隊長達の前でラグドは経緯を話した。


「彼女の優柔不断にシーニアが振り回されるのが不憫でな。つい」

話終わったラグドは言い訳の様に口籠る。


「ラグ兄!!」

シーニアはラグドに詰め寄った。

「なんで余計な事を!」

「お前酔った時落ち込んでただろ?」

ラグドは困惑顔でシーニアを見つめた。


シーニアはラグド胸倉を掴み凄い剣幕でまくし立てた。

「リラは優柔不断じゃない!ただ帰りたかっただけだ!気持ちを受け取らない事がリラの優しさだったんだ!一人で誰にも縋らず、故郷すら語れないリラを!何故追い詰めた!」

「……シーニア」

「リラは……帰りたいと、ただの一言も言わずに耐えてたんだ……」


詰め寄ったシーニアは掴んだラグドの胸倉に額を付ける様に項垂れた。



優柔不断も何もリラは誰も頼らない…。とシーニアは力無く呟いた。




ーーリラが消えた。


杳として行方は分からない。


テーブルに置かれたピアス。


追尾は絶たれた。






街の中は黒猫を探す警備兵が裏路地まで回り巡回している。



その街の中を人知れず歩く黒いマントの男達。


マントを目深に被り歩く姿を不審に目を向ける者は、居ない……。







*ラグドの追加情報。

◉ラグド・ヴォルカン 188cm 33歳

第1騎士団3番隊国境警備部隊隊長

ワインレッドの髪 (赤髪)

アイスブルーの瞳(水色)

胸元位の髪の長さ。精悍な顔立ち、端整な目鼻立ちで雄々しい美丈夫。目元は涼やかで切れ長。マッチョ。


*シーニアの従兄弟。辺境伯爵の嫡男。

シーニアは本家の次男、ラグドは分家の嫡男。

*裏設定:昔シーニアの親父さんに命を助けてもらい、スクワル家に恩義がある。



ストッパーのラグドさんは憎まれ役を買って出る人なので根はいい人です。シーニアには恩義もあり特に過保護になります。


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