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ニャンコと私と異世界と  作者: たちばな樹
第二部
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11.5 ニャンコと拉致の裏側と



「嬢ちゃんが公爵に持っていかれた。連れ戻せるか?」


ブランブルに呼び出されたディルムンは眉間の皺を更に深め眼光鋭くブランブルを睨んだ。


「騎士団じゃ公爵相手は無理そうなんだが “困って” いてな?」

「それは “誰に” 言っているのですか?団長」

ディルムンは不承不承と不機嫌な顔のままで腕を組んだ。


それに……。とブランブルは言い淀むが口を開くとリラ襲撃の真相を話した。


「前宰相の同調者が逆恨みでメイフェイア家に仕掛けた。リラはシャルトと一緒にいるから恋人認定されているようで、それを狙われた。誘拐でも殺しても、腹いせにリラをどうにか出来ればいいと思ったようだ」

メイフェイアは護りが堅いからリラなら何とかなると思って襲ったようだ。とブランブルは憮然に言うと背凭れにもたれた。


「それにトリュー公爵には将軍を通じて獣化術がバレてるだろう。リラの獣化は使えるからな」

トリュー公爵にも魅力的に映るだろうなあ。と呟く。


「行ってくれるか?」


ディルムンは深く息を吐いた。

「先触れはお願いしますよ」


ディルムンはそう言うと部屋を後にすると騎士団から少し離れた自宅に戻った。

クローゼットから正装の隊服を取り出し着替えディルムンは騎士団の馬車で公爵邸に向かう。



馬車が門扉の前の止まり衛兵に告げる。


「公爵に第1騎士団6番隊隊長ディルムン・ヴォルテールが面会の希望をお伝え下さい」

門扉を通され馬車から降りると暫くして公爵直々出迎えにディルムンは畏った。


「メイフェイア公爵様にはお目通り感謝致します。リラを迎えに参りました。お返しいただけますか?」

「おや?返せとは人聞きの悪い。彼女は誰のものでも無いと思いますが?」

「彼女の希望です」

「ほほう?いつ彼女がそう言いましたか?」

トリューの剣呑な視線にもディルムンは動じない。トリューは優美に笑いディルムンに鋭い視線を向けた。


「では、その迎えは騎士団6番隊隊長ディルムン・ヴォルテールとしてのようですが?騎士団が宰相である私に意見を通す事は出来ませんよ?それとも、ディルムン・ヴォルテール子爵個人として?もちろん子爵では公爵の私に意見できるはずは無いですよね?」

高圧的にトリューはまくし立てる。

ディルムンを一瞥しトリューは視線を鋭く光らせる。



「それとも……、王弟ディルムン・レド・イシェルワ殿下、として?」

宰相の私に指示出来るのは王族だけですよ?とトリューはニヤリと、笑う。


ディルムンは苦虫を噛み潰したような顔をすると、ああ。やはりこの狸は侮れない。とトリューを睨むもトリューは無意味とばかりに微笑している。

ディルムンは不承不承な体でトリューに向いた。



「ディルムン・レド・イシェルワがリラを迎えに来た」

これで文句無いだろ!とばかりに睨めばトリューは先程とは違い居住まいを正し儀礼を取る。



「承り致します。殿下どうぞ此方へ」

トリューに案内をされディルムンは足を進める。



「俺を引きずり出す為、リラを使ったな?」

トリューはしてやったりとばかりな笑みのままディルムンに視線を投げる。


「ですが、それを分かってブランブル団長は殿下を遣いに出した。違いますか?どう名乗るかは殿下の心次第では?」

「そう仕向けた本人がそれを言うか!?」

飄々と流すトリューにディルムンは語気を荒くする。


「御もっともです。ですが…」

トリューは口調を下げ憂うような顔をする。


「現王は前宰相派などの俗物に左右されすぎです。また前宰相の様な俗物が出たらまた操られますよ?」

ディルムンは耳を貸すつもりは無いとばかりに足を運ぶ速度は変わらない。

「政局が揺れれば国境も揺れます。レイニアンに情報が流れればまた戦です。それをお望みか?前宰相の逃げた方向をご存知でしょ?東の先はレイニアンですよ?」

トリューはディルムンに訴えかける様に問うもディルムンの表情は変わらない。


「俺は王にならない」

「なら傍らで王を監視しては?」

「王宮へ戻れと?」

ディルムンは怪訝な顔でトリューを一瞥する。


「6番隊隊長で収まるとは思えませんが?」

「俺は臣下に降ったんだ」

「補佐はできますよ」

「お前の傀儡になれと?」

ディルムンは眼光鋭く睨むとトリューは肩を竦め苦笑いする


「畏れ多い。ディルムン殿下を傀儡になど。殿下の狂犬に噛まれますでしょ?流石に命は惜しいです」

ディルムンに視線を向けトリューは、王宮にて睨みを効かせて頂くだけで十分かと?呟く様に口にする。


「王が反発する。それに次の王である王太子派が不満を溜める。逆効果だ」

臣下のまま番犬やってるのが一番だ。と返せば、勿体無いですよ。残念です。とトリューは肩を落とした。



「リラを連れて帰る」

ディルムンは前を向き言い放つとトリューは再び肩を落とし溜め息を付いた。


「はあ、そちらも残念です」

「リラをどうするつもりだ?」

トリューにディルムンは睨みを効かせ低く唸る様に言う。


「シャルトと婚姻して貰えれば守るのも容易ですが?」

意味ありげに笑うトリューにディルムンはギロリと睨み殺気まで乗せ威嚇する様に牽制する。


「騎士団で守る」



部屋を示されディルムンはドアを力任せに開け室内に足を運ぶ。




リラは窓際の椅子に所在無さげに座っていた。


戸惑うリラの手を引く。

潤む目を見れば心許ない表情だ。

記憶の無い時の、エレだった時と同じ顔だ。



リラは騎士団を巻き込む心配をしているようだが、気持ちをハッキリさせなければ後々引き摺るだろう。


リラは俺が受けた毒にも責任を感じているようだ。

俺の事は未熟が招いた事、リラが気にする事では無いだろうに。


リラの真意を問い詰め答えを待った。



「…………帰り、たい」



リラの絞り出すような気持ちに思わず肩を抱き寄せた。

「……連れて帰る。リラには俺の短剣を渡してある。それで充分だろ?」


家紋入りの短剣。


短剣と言う大事な物を渡す意味をトリューも理解したようだ。



メイフェイア家の威光は必要ない。


その時は…………



ディルムン・レド・イシェルワとしてリラを護る。




踵を返しリラの手を握り馬車に乗り込み屋敷を後にした。




リラを見れば心許なげにしている姿に心が騒ぐ。感謝と謝罪を口にするが、 義務で来たと思われているのだろうか。


急に力が抜けたリラを心配するも、疲れた。と言うなら大丈夫だろう。

そのドレス姿には目を奪われるが今は目の毒だ。

上着を渡したが身を縮ませ羽織る姿は庇護欲を唆られる。




騎士団に着くとブランブルが出迎えた。

ブランブルの揶揄いを一睨みしリラを宿舎に送った。

上着を脱ぎドレス姿で佇むリラは艶やかだ。思わず、ふと口元が緩む。





自宅に帰り上着を広げるとふわりと花の香りが匂う。リラの移り香に鼻をくすぐられた。



今夜はゆっくり休めそうだ。








ディルムンの正体がやっとだせたε-(´∀`; )

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