34 こぼれ話 ニャンとも微酔
16話以降のお話です。
二日酔いは懲りた。
飲み過ぎの暴走も懲りた。
適度が一番。
果実酒コップ一杯分。
それを果実水で割ったり、紅茶で割ったり。
晩酌には丁度良い量で二日酔いもない。
今日ものんびり晩酌日和。
ベランダを開けランプを置き窓の桟に凭れ掛かり揺れる燈を眺める。
月の眺め風に吹かれほんのりとした酩酊感を感じ身を委ねる。
小さい声で囁く様に歌を口遊む。
懐かしい曲に胸が痛む。
ただ想いを吐き出す様に曲を紡ぐ。
今夜もまた月に詠う。
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また微かに聞こえる歌声に足を止め耳を澄ます。
ここ最近、夜回りの時に聞こえる歌声。
夜回りの間で噂になっている、
弓月の歌声。
弓の様に細い時の月を弓月と言う。
細い月が微かに見える様子から、僅か微か等の比喩に使われる。
惹かれる様に足を運び向かう。
女性宿舎は塀に囲まれていて近づけない。
ほのかに光るベランダから弓月の歌声。
下から見上げても人影は伺えない。
それでもそこに居るのが分かる。
弓月声で異国の歌を詠う。
悲しげに切なげに愛おしそうに。
どんな顔をして歌を詠うのか。
でも君は望郷の想いを口に出さない。
そんなに頼りにならない?
いつになったら本当の君に近づける?
いつか聞かせて君の歌を……
2017.4.8修正




