30.5 ニャンコと父と子の座談会《シャルト視点》
花祭りが終わりリラの帰宅後はシャルトにとって甘く甘美な余韻と共にうら寂しくもあり複雑な心境だ。
トリューとリラの質疑後、父トリューにシャルトは詰め寄った。
「何故です?」
「息子が興味を持った女性を気にかけるのは親として当然だろう?」
迷惑だ。とばかりに顔を顰めるもコノ父親に敵うはずも無く溜め息をつくシャルト。
興味津々で関与する気満々のトリューにシャルトは諦め顔で半目を向け不機嫌を露わにする。
「彼女が了承しなければ無理ですよ?」
「ほう?公爵の要請を跳ね除けると?」
「要らぬ手出しはお辞め下さい」
シャルトは困惑より憤慨に比重を置いた表情を浮かべトリューを見るも年季の入ったトリューの鉄仮面は看破出来ない。
執務室でのトリューとリラの問答はシャルトには不愉快でならなかった。挨拶もそこそこに退室する程にシャルトにとっては看過できない質問だった。
「なぜあんな質問を?」
「息子への援護だが?」
「援護して貰わなければならないほど、軟弱に私を育てたと?」
「親心だよ。彼女の心の内を知りたくてね」
トリューの表情は変わらず飄々としている。宰相となった今、足元を掬われる要因は排除するべきなのも分かる。4男とはいえメイフェイア家に連なる以上、気にした相手を警戒されるのは当然なのだが。
リラは私を私として見る。
公爵の息子でも
宰相の息子でも無く。
ただのシャルトだと言った。
元より貴族意識の無いリラは差別感を持っていない。
それが心地いいとシャルトは初めて知った。
色眼鏡で見られない感覚を知った今、リラしか見えない。
ーー貴女を手に入れるには如何しましょうねぇ?リラ?




