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ニャンコと私と異世界と  作者: たちばな樹
第一部
20/85

17 ニャンコと反省と再びと


ああ………………………やってしまった……。


酔って醜態晒すなんて………………羞恥のドツボに身悶えるわ……恥ずかしくて死にそう……酔って寝落ちしてるし………………酔って絡むなんて人生最大の汚点だぁぁ。いくら頭を抱えても時間は戻らず私は部屋の中で身悶えた寝台に突っ伏した。




朝、食堂に行き私は項垂れながら食べているとシーニアが向かいの席に座った。


「リラおはよう。元気無いね?体調悪い?一緒に医務室行うこか?


シーニアは私を伺うように覗き込み心配そうに眉を寄せている。

私を心配してくれるシーニアに、お酒の失態で落ち込んでます。とは言えず、大丈夫だよ。と私はにこやかに返すしかなかった。


そこへシャルトがやって来て私の隣の席に座るった。

焦る私を余所に素知らぬ顔でシャルトは、寝不足にでもなりましたか?と言ってきた。


シャルトが知らない振りをしてくれるのならソレに乗る事にした。


「別に…夢見でも悪かったんですかね……」

私は曖昧に返してやり過ごす事にする。今シャルトに蒸し返されたら確実に私は困る。

(できればシャルトに会いたくなかったのにーー……)


「リラは笑っている方が可愛いよ」

シーニアは相変わらの褒め上手をサラリと発揮してくるれる。

私が言われ恥ずかしくて赤くなるのは毎度の事でシーニアは垂れ目気味な目を優しく細めて微笑する。シーニアの優しい明るさに救われる。褒め言葉は恥ずかしいけど。


食事を済ませシーニアは、訓練だから。と外へ向かった。私が、いってらっしゃい気を付けてね。と見送ると、毎日言って欲しいかも!と嬉しそうに目を細め笑って訓練に向かって行った。




私とシャルトは本館に向かった。


( き…気まずいです………… )

何か話さなきゃ……じゃなくて昨夜の事を……謝る?いや?ぐるぐると思考が迷路に入っているとシャルトは前を向いたまま歩きながら話してきた。


「二日酔いにはならなかった様で良かったですね」

「きっ、昨日は色々すみませんでした。ご迷惑をおかけしました………………」

私は醜態の恥ずかしさを思い出し語尾が消え入る様に小さくなっていく。


「飲み過ぎはダメですよ」

シャルトは諌める様にチラリとこちらに視線を向け私は居た堪れなくて肩を窄め身を小さくする。

昨夜の醜態が脳裏を掠め自己嫌悪に項垂れていると下を向いていた私の視界でシャルトの足が止まったのが見えた。

私はふと見上げるとシャルトは立ち止まり私の手を取り唇を落とした。

シャルトはそのまま手を引き顔を耳元に寄せ、一人で泣かないでください。と囁いた。

シャルトの行動に私の頭の中で昨夜の事が再び脳裏を掠め羞恥と後悔が胸中に去来した。顔も耳も真っ赤だろうと慌てて手で隠すと、次は無いですよ。とシャルトは赤紫の瞳に妖艶な光を含ませ笑みを浮かべていた。



シャルトは騎士との連携訓練の書類作成の為に1番隊の部屋へ行く様だ。方向が違う為、それじゃあ仕事頑張ってね。と言い私は向きを変えようとしたらシャルトに手を取られ甲に唇を落とし、貴女もね。と微笑で言うと背を向け去って行った。


「何なのよ。もう」

私は赤い頬を手で押さえまた身悶えた。




**********



定例である、騎士団と魔術士団の合同訓練。


何度目かの訓練となるが、いつも通りその日は一日暇になる。


そしていつも通り絶賛監禁中。


護衛も訓練で警備も騎士団内も手薄になる為外出が出来ない。

と、言うか前に誘拐されているので用心に宿舎の建物ごと結界を張るシャルト。私の魔力にだけ反応する術式を組んだらしいです。

毎度お疲れ様です。


「貴女だけが、出れない結界です」

他の人も宿舎を出入りするので私限定。部屋だけに結界貼るとトイレに行けなくなるので却下。食事も運んで貰える様にしてある。

訓練の日だけ、と諦めて今日一日引きこもり。

やる事も無く仕方ないので私は時間潰しにいつもと同じく本を読んで情報収集する。

まだこの世界の事が良く分からないからだ。

猫の時、騎士達の会話の中で聞いた情報だけでは心許ない。



この大陸はシャネート大陸。

大きな国は4ヶ国あり、後は小国。



この国はイシェルワ国。

ディジェム・レド・イシェルワ国王が治める国。

大陸の南側に位置し、四季は日本と変わらないみたいで気候も穏やかで冬が短い。雪は少ししか降らず代わりに台風の様な嵐が来る事があり、そのため治水対策に力を入れている。


今、イシェルワでは将軍派と宰相派が王宮で揉めている。

王宮内は、国内の国力を上げる保守派と、他国交流を進める改革派で二分されている。

最近聞いたのは、国王が宰相寄りだと耳にした。

国王が改革派の宰相寄りなら他国との交流を増やし改革を進めるのだろう。



他にガープラ国、レイニアン帝国、フォルニアス国がある。


ガープラ国、 大陸の北側に位置し、ダファディル・ガープラ国王が治める。この国は同盟国。技術が発展し生産業が盛んで貿易国らしい。


フォルニアス国、大陸の西側に位置し、バッカス・ラセット・フォルニアス国王が治める。この国は大国でイシェルワとはお互い不可侵条約中らしい。

フォルニアス国は大国なので一通り豊かだから戦争なんて不利益な事はしないみたい。


レイニアン帝国、大陸の東側に位置し、カディス・レイニアン皇帝が治める国。この国とは仲が悪い。この国は鉱物資源が豊富なため魔術が発展。

レイニアン帝国はイシェルワ国を狙う。

イシェルワにレイニアンから皇太后が嫁いで来た今は膠着状態らしい。イシェルワ国は防衛中。


ガープラ国とレイニアン帝国は仲が良くないが鉱物資源を輸入している。それをイシェルワ国が買い取る。

逆にイシェルワ国の農作物や畜産をガープラ国からレイニアン帝国が買い取っている。

ガープラ国はフォルニアス国とも取り引きがある。

( ん?ガープラ三国取り引きでウハウハじゃん? 流石貿易国)


難しい本を読み解くとこんな感じか。上手く回せば相乗効果でお互い発展できるのに。戦争なんて不利益な事してれば疲弊するだけ。この状況を教科書に載ってそうな歴史と照らし合わせ、歴史は繰り返される。なんて悟った風を思う。


後は他にも色々本を読んで分かった事は、皆少なからず魔力を持ち生活に使用している。火をつけたり物を動かしたり。術式が分からなくてもリボンがあれば魔力を流して発動させられる。なので魔具屋で術式の描かれたリボンが売られている。


シャルトも術式を身に付けている。

リボンを紐状にしてミサンガの様にし腕に何本か付けている。魔力強化らしく魔石も一緒に編み込まれお洒落なブレスレットみたいだ。髪も長いから緩く結んでいるがその紐も術具だろう。

魔石もあり、いわゆるバッテリーか強化するサポートアイテムと言った所か。


火炎攻撃とか雷攻撃とか支援で結界張ったり色々な術式があるみたい。医療術式もあるみたいだし今度詳しくシャルトに聞こう。



読み疲れた頃にお昼を届けに来てくれた。


私は食事を済ませ、やる事が無いのでまた本を読む事にした。私は難しい本は辞めて読みやすそうな本を手に取った。


[騎士-教本]うん。コレだね。騎士団に居るんだから知っておいて損は無い。



まず心得が大事で……………………礼節を………

ん……………………………………?



なんか……………眠…………ぃ…






読んでいた本がパタンと落ちた。







**********



合同訓練が終わり皆が騎士団に戻ってきた。

演習の片付けで人が溢れ騒がしくなる。

そんな中、魔術師団から馬を跳ばしてきたシャルトがブランブルや隊長達の所へ駆け込んできた。



「魔力感知が出来なくなりました!」



最初に異変を察知したのはやはりシャルトだった。

それを聞いたシーニアは駆け出しリラの部屋へ走り向かう。それをシャルト達も追った。

ドアにはカギが掛かっておらず、リラはそこにはいなかった。


シャルトは驚愕し茫然として立ち尽くしていた。




ー攫われたー






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