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新たな新世界へ  作者: 先生きのこ
第一章  転生
25/138

第25話  三国議会連盟と三大陸

 時は4日前へと遡る。

 ニコルさんの話はこういうものだった。



「ギル! 状況は? この騒ぎはなんなんだ?」


遅れて到着したニコルさんは現状を把握しようとギルさんに尋ねる。



「俺にも分からん。ただ、陸に上がった鎧ガザミは全て駆除した。それとシンがやられた」


「それなら大丈夫。ここに来る途中、仲間に治癒師ギルドに運んでもらったから。けど、ひどい魔力切れを起こしていて意識がないけどソフィーならなんとか助けてくれると思う」


「そうか」



 先に着くことができたギルさんは爆発音の後、いち早く港へと駆けつける途中、女の子を抱えた環境部のフィリットさんに話を聞くことが出来た。


 事の顛末をフィリットさんから聞いたギルさんは鎧ガザミに襲われた俺を発見し、間一髪のところで間に入り、速やかに脅威を排除した。

 まだ他にも多数の鎧ガザミが暴動を起こしているため一匹残らず粛清。


 その数は40匹を超えている。


 そのほとんどをギルさん一人の力で殲滅。

海に潜った個体は応援にきた冒険者の手によって駆除されたそうだ。


 今回の騒動による犠牲者は63人に及び、建物の倒壊、船舶の破壊、港の修繕に掛かる費用は5000プラを超し復興にかかる時間はいまだ未定。


 議会は早急に被害者の救助と情報収集を行い、同時に全ての冒険者ギルドにある任務が依頼された。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

最重要任務

【依頼内容】ミーティア港襲撃の原因解明

・鎧ガザミの入港ルートの調査

・犯人の特定


【依者主】三国議会連盟国 及び ミーティア議会支部 

第二議会連盟国 ミーティア港にモンスターを使用しての悪辣非道なテロ行為が発生。

犯行グループに厳然たる処罰を与えるため生死問わず身柄を確保されたし。

犯人死亡の場合は明確な証拠を要提示。


【納品期限】

無期限


【場所】

三国議会連盟国


【報酬】

犯人一人につき100プラ

主犯格は200プラ


生け捕りの場合は倍の金額を確約。


【難易度ランク】

制限なし


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「今回の一件で議会は相当、お冠のようだね。三国議会連盟を通じてワールドクラスのお尋ね者だ。しかも懸賞金が破格すぎる。これは犯人が見つかるのも時間の問題だね」


 ニコルさんは事件の解決は早いだろうと予想した。




【三国議会連盟】


 三国議会連盟とは現在、人類が安全に居住できる生活圏の三大陸に存在する議会を通じた巨大な組織である。

 人が居住している地域には必ず議会が設けられ街の防衛、運営に深く携わっている。


唯一、議会のみは各国共通で運営されておりパワーバランスを担う存在として情報を共有してきた。




【三大陸】


 三大陸とは地図で表わすと漢数字の【三】の文字に酷似している。今回、襲撃があったミーティアは2画目の右端に存在する。

 それぞれ独立した国家であり、互いに競い合い過去には戦争の歴史もある。

 しかしここ100年間、戦争は起きず平和を築き上げてきた。


上から順に、


【第一大陸】ヴァイス皇国


 3つの大陸のうち2番目に大きい国土を有する国。

四季は冬が長く夏が短い。国土の6割が山岳地のため植物が育ちにくく食糧自給率は低い。


 そのため魔術による生活の補助を得意とし国家の魔力量は三国中トップ。

高度な魔術を駆使する。




【第二大陸】エーデルシュタイン王国


 3つの大陸のうち一番小さい国土を有する国。

 四季はバランスよく巡りあらゆる植物、多種多様な生き物が生息する。


 他国に挟まれ国土も小さいことから争いの発端となりやすいがその分、人や流通の要である。

一方が攻めてきたときにはもう一方と同盟を組むため、これまで一度も滅びたことは無い。


 あらゆる血が混ざりあい独自の文明を築いている。




【第三大陸】鳳仙帝国


 3つの大陸のうち最も大きい国土を有する国。

 四季は夏が長く冬が短い。一年を通して温暖な気候に恵まれ植物が育ちやすく食糧自給率が高い。


 肉体強化を得意とし三国中トップの人口を誇る。

 屈強な戦士が多い。





 だが、ニコルさんの思惑とは裏腹に調査は一向に進展を見せず何の手がかりも掴めないまま時間だけが過ぎていった。

 そうして4日後。俺は目覚める。




● ● ● ● ● ● ●



「そんなことになっていたんですね。でもモンスターの襲撃ならテロではなく、自然発生的なものじゃないんですか?」


「いや、今回港を襲った鎧ガザミは本来、人の生活圏に現れるモンスターじゃないんだ。

 Cランク以上の冒険者が猟場で狩りをして市場に出回ることはあるけれど生きたまま街に持ち込むことは禁止されている。危険だからね」


「じゃあ、何故あんなに生きた状態で現れたんですか?」


「そこが問題なんだよ。動機は不明だけど何者かがミーティアを襲撃するため故意に鎧ガザミを放った。犯人に明確な悪意があったことは間違いない」


「いったい誰がそんなことを?」


「分からない。今、議会は血眼で犯人を捜しているところだよ」


「港に入れる前に荷物の検問はないんですか? あれだけたくさんいたなら目につきそうですが……」


「もちろん荷物の検査は議会の役人がしていたさ。けど今回の荷物に鎧ガザミは乗っていなかったし、船の持ち主も全く身に覚えがないそうだ」


「そうですか……、ますます謎ですね。あっ、そういえば片足の船乗りはどうなりましたか? 俺と一緒にいたはずなんですが?」



「その説明はあたしからしよう」



 今まで話しを聞くだけだった女医のソフィーさんが口を開く。


「彼は出血多量により危険な状態で坊やと一緒にこのギルドに運び込まれた。けれど、うちには優秀な治癒師が揃っていてね。

 手足の一本や二本、千切れたくらい問題ないのさ」


「切れた左足は見つからなかったから今後は義足になってしまうけど命に別状はない。今は別の部屋で寝てるよ」


「よかった。命は助かったんですね」


「運び込まれた時なんて、自分のことより坊やを先に助けてくれ! って、うるさかったからあたしが眠らせたけどね」


「はは、ほんとタフだな……」


「むしろ危険なのは彼より坊やのほうだよ。あそこまで魔力を使ったら動けなくなるのは当たり前じゃないか。魔力が枯渇したせいでこんなに回復も遅くなってしまったし。ニコル、この坊やは魔力量は多いのに使い方がてんでなってないね。下手くそだ。このままじゃ早死にするよ」


「分かってる。今回は事態が急過ぎたんだ。これからしっかり教えるつもりさ」


「そうかい。まぁ、あたしは儲かっていいけどね」


 ソフィーさんはお金が好きなんだな。



「すみませんでした。けど彼を助けてくれてありがとうございます」


 俺はベッドに座りながら頭を下げた。



「あんたが救ったんだよ。あたしたちはその手助けをしただけさ」


「そういえばギルさんはどこにいるんですか? お礼を言いたいです」


「ギルは今も港の修復作業を手伝ってるよ。港は滅茶苦茶になってるからね」


「そうですか。それと俺が受けていた依頼はどうなったんですか? 4日間も眠ってたなら納品期限が過ぎてしまったはずですが……」


「今回の騒動でキャンセルになった依頼も多くてね。残った依頼はGGGのメンバーで代わりにこなしておいたから心配しなくて大丈夫。これも僕の仕事だから」



 一通り説明を受けたあと治癒師ギルドを退院し、GGGに帰る前に船乗りに挨拶しに向かった。

 案内された部屋に入ると左足を包帯で巻かれた船乗りがベッドで横になっており入ってきた俺に気が付いた。



「兄ちゃん!! 目が覚めたんか! 良かった! どうしてもあんたに礼が言いたかったんだけどこんな足だからよぉ、すまねぇ!」


「あんまり大きな声を出すと傷に障りますよ。元気そうでよかった」


 船乗りの横たわるベッドへ近づき椅子に腰掛ける。これだけ大きな声を出せるならもう大丈夫そうだ。



「ホントにありがとう! オレっちのせいで兄ちゃんまで入院する羽目になったと聞いて申し訳ねぇって思ってたんだ……。オレっちに何かできることがあったら何でも言ってくれ! なんでも協力するからよ!」


「そういやまだ名乗ってなかったな! オレっちはフグの魚人の【プンプイ】ってんだ! 海に出たかったらいつでも言ってくれ!」


「おれはシンって言います。冒険者ギルドGGGに所属してるので依頼があったら遠慮なくどうぞ」


 この人、魚人だったんだ。見た目は普通の人と変わらないんだな。



「おう! よろしくな兄ちゃん!」



 それからプンプイと雑談した後に、治癒師ギルドを出る。

聞く話によると、魚人は水に入ったら身体が変化するタイプと常時、変化タイプの二種類あるらしい。プンプイは前者だ。

 つくづく不思議な世界に来たもんだ。



 プンプイと別れたあとはニコルさんと共に4日ぶりにGGGへと戻った。



第26話は明日、18時に更新致します。

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