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新たな新世界へ  作者: 先生きのこ
第一章  転生
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第15話  魔力操作

 初日の修行を開始するも魔力の放出過多により意識を失ってしまった俺。



「うっ! ……ううぅ」


「起きたか」



 ゆっくりと目を開けると全身を襲う極度の倦怠感に顔をしかめる。

 周りを見渡すと砂浜に仰向けに寝そべっておりパラソルの日陰の中にいた。



「ギルさん、俺どうなったんですか?」


「お前は魔力を放出しすぎて気絶した。あれから6時間ってとこか。 起きれそうか?」



 身体はしんどいがゆっくり上半身を起こす。



「これを飲め」


 ギルさんから渡された瓶を受け取り、口をつける。

 身体に染み渡る液体が渇いた細胞を潤していくようだ。ほのかに甘くて美味い。栄養ドリンクのような味がする。



「それはただの水じゃない。魔力ポーションだ。水分補給もでき魔力が回復する」


 言われてみると体が少し軽くなった気がする。

 陽は高く気温はピークに達しているだろう。しかし潮風のおかげで暑さは和らぐ。



「俺、6時間も眠っていたんですね」


「魔力をギリギリまで出し切ったんだ。誰でもそうなる。むしろ目覚めるのが早いほうだがな。

 これで魔力の存在と自分の限界を知ることができたんだ。これを知っているのと知らないのとでは雲泥の差がでる」


「……はは、気絶した甲斐がありますね」



「お前はもう自分の意思で魔力を出し入れできるようになった。これからは魔力をコントロールできるようになるまで放出→停止→放出。これを繰り返し毎日続ける。

 ぶっ倒れるギリギリまでな。そのあとは、この世界においての常識や魔術の基礎、知識を授ける。 言っとくが弱音吐く暇なんかねーぞ」


「……はい、頑張ります」


「よし、よく言った」



 そう言ったギルさんはまたも右手に紅い魔力を滾らせゴキゴキと腕の骨を鳴らす。

 それを見た俺は背筋が凍る思いだった。




「ふっ、冗談だ。昼飯にしよう」

 

 ギルさんは不敵に笑い魔力を霧散させる。



 俺は思った。

 この人、真性のドSだ。




 俺達は一度ギルドに戻り、食堂で昼食を摂りトイレなど所要を済ませ再度、浜辺へと戻る。

 今度は座学だ。


 砂浜に打ち上げられた手頃な流木を杖代わりとし、文字や簡単なイラスト図を記しこの世界の理を教えてくれた。



 魔力の使い方や属性。

 王国や貴族とギルドの繋がり。


 隣国との交易や政治。

 モンスターと魔族の違いや魔石について。


 絶滅危惧種の概要。

 未踏地について。

 スキルの有効な活用方法と職業の関連性。



 毎日、毎日俺たちは通いつめた。

 晴れの日も雨の日も。天候は一切考慮されなかった。


 雨にも負けず、風にも負けず。夏の暑い風にも耐えた。

 途中、魔力切れを起こし何度も気絶する。

 けれど一度たりとも弱音は吐かなかった。



 朝、朝食を済ませた後、浜辺に行き魔力操作の鍛錬。

 昼、昼食を摂り、魔力が残っていれば続きを。ギリギリまで身体を酷使したのち陽が暮れるまで座学。天気の悪い日はギルドにて。

 夜、宿に帰り夕食を食べ、風呂、雑務を済ませ魔力操作のイメージをしたあと就寝。



 このサイクルを一ケ月間、毎日続けた。

 この世界の一年は12ヶ月、404日で春夏秋冬は約101日ごとに分けられている。


 一ケ月は約34日間で一日は28時間なので地球に比べるとガイアの一年は長い。



 俺にとって、いつしかこの砂浜は学校のような存在でもあり同時に故郷のようにも感じていた。

 たまにニコルさんが差し入れを持ってきてくれたりすることもあった。



 そして、一ケ月後。

 そこには以前の俺とは比べ物にならないほどに魔力の操作に長けていた。



「シン。今日で修行を開始してからちょうど一ケ月だ。日頃の鍛錬の成果を見せてみろ。

 今から最初に始めた時と同じように魔力を纏った手でお前に触る。しっかり魔力のコントロールができていれば、魔力の放出は起きない。 では、いくぞ」


「お願いします」



 そう言ってギルさんは右手に紅い魔力を滾らせ腹部へとあてがう。

 触られている腹部から熱を感じる。



 だがそれだけだった。


 今なら分かる。

 ギルさんの魔力によって外に引っ張り出ようとする魔力を自分でコントロールし体内に留めるイメージ。


 頭で思い描く通りの結果に思わず微笑んだ。

それを見ていたギルさんは手を離し口を開く。



「どうやら魔力操作の修行は今日で終わりのようだな。次の修行に移るぞ」


「はい! ありがとうございます」



俺は魔力をコントロールする力を身に着けた。



第16話は明日、18時に更新致します。

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