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新たな新世界へ  作者: 先生きのこ
第一章  転生
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第11話  受付と登録

 街へと辿り着いた俺はギルドの中へと進む。

 扉を開け中に入るとそこには開けた空間があり屈強な冒険者らしき人物達で賑わっていた。



 入ってすぐ左手には長いカウンター席がありメイド姿の受付嬢がさらさらと羽ペンを走らせ事務作業をしている。

 右手側にはこの国を中心としたであろう四m四方の世界地図と、その隣にはこの街の拡大地図で細かい通りや店の名前まで載っている二つが掛けられている。



 店内奥にはギルドに寄せられた依頼を張り出すスペースが設けられ、羊皮紙に書かれた依頼内容とにらめっこする冒険者たち。

 その横では木製の長テーブルと椅子に腰掛け書類に記入している冒険者たち。テーブルは四組。


 部屋の隅には二階へと続く階段とトイレのマークがついた扉が二つ設置され天井には等間隔で並べられたシーリングファンがくるくると回転しており快適な室温を保っていた。

 全体的に木造で造られた建物で壁には牛型モンスターのはく製が睨みを利かせ、人間には持てそうにない巨大な斧が対で飾られている。

 雑多だが観葉食物や木の質感から温もりを感じるウッドデザインだ。



 ニコルさんは手慣れた様子でカウンターに近寄ると受付嬢に声を掛ける。



「やあ、アイシャ! 調子はどう? 相変わらずここは賑やかだね! サヴィナ・J・ニコル、ただいま任務から戻りました!」


 事務処理に追われているメイドの受付嬢は書き物を止め、ニコルさんの顔を見るや否や顔がパァっと明るくなる。



「ニコルさん、ギルさんおかえりなさ~い! 良かった~、ここ最近依頼が殺到してて腕利きの人たちの帰還を待ってたんです~! あら? そちらの方はどなたかしら~?」


 語尾が伸びる癖のあるメイドにギルさんが調査報告書が入った筒を手渡しながら話す。



「コイツは旅先で拾った冒険者志望の若者だ。流れで世話することになった。議会に出す申請書を頼む」


「あら、そうなの~! 若い冒険者は有望よ~」


「それとアイシャ、コイツは少し訳ありでな。記憶をなくしちまってるんだ。だから変なこと聞くかもしれないが面倒見てやってくれ」


「まぁ、それは大変ね~。ギルさんの頼みなら断れないわよ~」


 そう説明したギルさんは俺が転生してきたとは言わずに記憶喪失ということでメイドに紹介した。そのほうが手っ取り早いからだ。



「オルバート・K・シンです。ご迷惑お掛けしますが、よろしくお願いします」


「ミーティア・E・アイシャよ~。よろしくね~」


 そう言った黒髪、たれ目で胸の大きいアイシャさんは後ろにあるたくさんの引き戸の棚の中から一枚の羊皮紙を取り出す。

 議会に提出する冒険者登録の申請書だ。


 アイシャさんの指示に従いギルドの羽ペンを借りて申請書に個人情報を記入していく。

 しかし記入できるものは名前と年齢と性別くらいで他はほとんど空欄のままだった。



「記憶喪失なのに冒険者希望なんて初めてよ~。そうそう、推薦者はニコルさんとギルさんの連名でいいのかしら~?」


「ああ。大丈夫だ」


「二人が推薦するなんて珍しいわね~。有望だわ~」


 アイシャさんの口ぶりから察するにやはりこの二人はそうとう名の通った冒険者なのだろう。

 そんな二人に推薦を受けるほど俺は優秀ではない。むしろ世間知らずの向こう見ずだ。ほんとにいいのだろうか?


 書類に記入し終えたあとはアイシャさんに礼をし、書類を提出するために議会を目指す。

 その際、ギルドを出る前にギルさんが口を開く。



「ここから先はニコルと二人で行ってきてくれ。俺は二階の食堂で待っている」


 何かを察した様子のニコルさんは、



「了解! お腹も減ってきたし、ちゃちゃっと行ってすぐ戻ってランチにしよう! 行こうかシン」


「はい」


 そう言うとギルさんは二階へ、ニコルさんは外へと歩き出した。

 おそらくギルさんは議会に繋がっているもの全般が苦手なのだろう。俺は何も言わずにニコルさんの後に続いた。



 議会への道は二・三分ほど歩いたところの近場に居を構えていた。

 しかし、そのスケールの大きさに圧倒される。

 先ほどの冒険者ギルドも他の建物に比べてみれば大きいほうだったが、この議会はそれ以上の大きさだ。



 鉄と煉瓦を組み合わせて作られた建物は十階建てはあろう高さと奥行き。どこか無機質な印象を感じさせ、中に入ってみれば忙しなく動く人や獣人、魚人。エルフにドワーフ。衛兵の男たち。


 一見してなんの人種か分からないような人までたくさんの人たちがいた。

 受付の数も案内の札も桁違い。役場のように大勢の人間がスムーズに対応できるシステム化された造りになっている。



 ニコルさんの後ろをついていき【新規冒険者登録】と書かれた看板の下で申請書を受付に渡した。十分ほど待つと受理されたと受付に言われ冒険者の証明である新品のカードを渡され議会をあとにする。


 カードの表には議会のシンボルマークである騎士の盾を掴む鳥の鉤爪が刻印され、裏を見ると右下に十六桁の数字が羅列されているのみだ。

 当然だが、星はまだない。



「お疲れ様! これでシンも冒険者の仲間入りだね! おめでとう!」


 ニコルさんが握手を求めてきたので握手する。



「ニコルさん冒険者って誰でもなれるんですか? いくらなんでも簡単すぎやしませんか?」


「そうだね。手続き料と書類さえ持っていけば誰でも簡単に登録できるね。それほど冒険者は身近な存在だということさ」


「そういうもんなんですかね。ちなみに手続き料っていくらなんですか? 俺払ってないんですが……」


「手続き料は一(シルバ)さ。気にしなくてもいいけど、気になるようなら出世払いでいいよ」


「ありがとうございます。おれ頑張ります!」


「期待してるよ! さぁ、ギルも待ってるしギルドに戻ろう」


 こうして拍子抜けするほど簡単に冒険者になった俺はギルさんと合流しランチを摂るためギルドへ帰る。



ガイアでの通貨は1アルが10枚で1コパ

コパが10枚で1シルバ

シルバが10枚で1ゴルド

ゴルドが10枚で1プラとなっております。


A→C→S→G→Pの順に金額が大きくなります。

全て500円玉ほどの大きさで白金貨Pプラ金貨Gゴルド銀貨Sシルバ銅貨Cコパ軽銀貨Aアルとなっています。


円に置き換えると

1A=十円

1C=百円

1S=千円

1G=1万円

1P=10万円


となります。あくまで目安です。


第12話は明日、18時更新致します。

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