第七話 :再開と試合を(後編):
さぁ!名誉挽回の時!
もうこの小説、シリアスだけにしてやろーかな・・・。
俺は無心でベレを見る。
ベレもまた俺を無心で見つめる。
両者は殺気も何も発さない機械と化す。
唐突にベレが動いた。
俺の首元に短剣が迫り俺はしゃがみこみ短剣の手元を見てベレのいる方向を判断し切りかかるとすぐに躱される。
俺は追撃を仕掛ける。
勢いよく切りかかってしまったので振り切ってしまう前に逆手に切り替え手持ちの後ろの部分を左胸部に叩きつけ無理やり止め、足に強化魔法をかけ間合いを詰める。
ベレは俺に向けて短剣を投げ俺はそれを躱すとベレは鎖を引っ張り短剣を引き戻した。
俺は鎖を切り上げベレに力を入れさせる。その小さな隙に一気に間合いを詰め喉を掻っ切ろうとしたがベレは後ろにのけ反り足を蹴り上げてきた。
俺は一端引く。仕切り直しだ。
俺は足の強化魔法を強め、腕に強化魔法をかける。そして腱の強度も上げる。
今度はベレが動いた。
そして不自然に風が動いた。
俺はとっさに空気の流れに全神経を集中し、左に半歩に避け次に右に一歩回転しながら避ける。するとかなり後ろの方にあった木がぎちぎちと音をたてて倒れる。
風魔法中級のウィンドスラッシュを放ってきた。
躱したせいで俺に隙ができ間合いを詰められる。とっさに右足を蹴り上げベレの肩に当たる。よろけたベレの腕を捻りあげ忍者刀を首筋にあてた。
「ふぅ、お疲れさん。ベレ」
「いい試合だったな。久しぶりに気持ちがいい試合ができたよ」
「そりゃぁ、よかった。でも最後の強化必要なかったな」
「実践ならそれくらいでいいだろう万が一がある」
「あの~蚊帳の外にしないでくださいます?」
「あーごめん。君の名前は?」
「ルトと言います。よろしくお願いします。ユーマさん」
うん。なんでだろうベレの家の戻るとあからさまにルトが俺を観察してくるのだ。
視線が痛いほどとは言わないが気になってしょうがない。
「えっと、ルトなんか用?女の子に見つめられるのは嬉しんだけど気になってしょうがないからさ」
「じゃぁ、聞きますけどどうやったらあなたみたいに強くなれるんですか?」
なるべくやさしく言う。そういえば急に態度が変わったな~。
「もういいや疲れた。じゃぁ、どうやったら強くなれると思う?」
「それを聞いてるんじゃないですか」
「はぁ、じゃぁ強靭な肉体を手に入れば強くなれると思う?強い精神力を手に入れられれば強くなると思う?でもこの二つは突き詰めればいくらでも強くなれる。でも俺が考える中で一番必要だと思うのは非情さや残酷さだ。今すぐにでも仲間を見捨てる覚悟と、殺す覚悟。これは心の問題だし簡単に変えられるものじゃないからな」
「私もそれくらいできます。暗殺者なんですから。。でも今日の試合、ユーマさんとベレ師匠の戦いは恐怖を感じました。二人の目に感情がなく、殺すことだけを考えているそんな感じがしました。それが暗殺者の目指す場所なのは解りますけどただただ怖くなりました」
「・・・・・・・・ごめん一人にしてくれ」
そう言って俺は部屋に戻る。
俺はベットに横になりながらさっきの言葉を思い出していた。
「俺が怖いか・・・」
今まで目立つことしか考えてなかったからな・・・。考えてもいなかった。確かに俺はこの世界じゃ強すぎる。強すぎる力は、恐怖の対象であり、崇拝の対象であり、自分にとっての最大の敵である。ちょっと考えればわかることだった。でも俺は浮かれてそのちょっとすら考えなかった。
ならどうするか、目立つことをやめる。無理だここまでやるとすでに取り返しがつかなくなっている。
よく考える。俺の頭で必死に・・・。
俺は金を貯めることにした。
そしてある程度貯まったら俺はギルドをやめることにした。
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「じゃぁ、もう行くわ。また来るさ」
「あぁ、また来い」
「ユーマさん。また逢いましょう」
「じゃぁなー」
っと俺は手を振りながら叫んだ。
俺は商人の馬車に乗せてもらい国まで戻るとギルドに向かい依頼を受けることにした。
ギルドに入るとピリピリやきりきりがやさしく感じるくらい張りつめていた。
ギルドの受付に話しかけると話はこうだった。
なんでも魔物が数えきれないほどの群れでこの国に向かっているのだとか。
そして冒険者は前線に出て戦うのだとか。
いちばんの功績をたたえた冒険者には国から一つ何でももらえるのだとか。
「この話に乗らない手はないよな・・・」
俺は詳しく話を聞き久しぶりの宿に戻った。
次の投稿は5月3,4日くらいです。
感想待ってます!でわ!