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人暦2169年
その日は、何事もなく光神竜の掲げる太陽が昇り・・・沈む。そして、沈む太陽に呼応して、闇神竜の掲げる闇陽が昇る。
その日の"彼女"は、いつもの如く騎竜に乗り、数人の竜人を率いて狩りに出る。そんな普段通りの日常を過ごしていた。
しかし、その日常は、その夜も明けなんとした時に終わりを告げた。
闇陽が西の地に沈まんとする時、凄まじい咆哮が全世界に轟き渡った。
その咆哮を耳にした全世界の竜・亜竜に戦慄が走る。
そして半日の時を置き、夕日が沈む時も、同様の咆哮が全世界に轟き渡った。
その咆哮を聞いた竜族は、伏していたその身を起こす。その咆哮を聞いた竜人は、急ぎ戦支度を整え始めた。
全世界に轟き渡った咆哮の主……それは、全ての竜族の主――二大神竜たる光神竜・闇神竜であった。
そして、轟き渡った咆哮の意味するもの……
―― この世界を滅ぼす時至れり……
……即ち、"大災害"の始まりを告げる咆哮であった。