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 酒臭い口臭を撒き散らし、涙を振り撒きながら立ち上がったジャックフロストの、雪ダルマのような体の下から生えている足は、毛深くて非常にオッサンじみていた。

 もはや存在そのものが、とても妖精離れしているけれど一応冬の妖精である。

 でも性格は最悪だが、冷気のおかげで存在できるので春になれば消えてしまう。

 

「せめて生きていられるこの冬の間くらい、ワシにも何か楽しみがあってもいいじゃないか!!」


 だからと言ってサンタを誘拐していい道理にはならないが、悪戯好きな妖精なのでこの手段しか思いつかなかったのもある。


「アレやろう!? くつした渡せば中にプレゼントを入れてくれるんやろう!? ほらっ! これ、くつした! これに入れてくれや!!」


 ジャックフロストは言うなり、直前まで履いていた脱ぎたてホヤホヤのくつしたを片手に、みんなへと突き出した。


「くっ、臭っ!!」


 その酷い臭いにみんなは精神的ダメージを喰らった。


「人間にはクリスマスプレゼントがあるちゅうのに妖精にはないやなんて理不尽や!!」


 成る程それがサンタクロースをさらった理由らしい。

 が、只今みんなはオッサンじみたジャックフロストのくつしたの強烈な悪臭に、立ち直れそうも無いほどの大ダメージを受けていてそれどころではない。


「ヤベェ……ぱねぇ」(キューピッド)


「マジぱねぇ」(プランサ-)


「目、目が見えない……」(ダンサー)


「あ、ある意味ではパルスに匹敵する……」(ドンター)


「光でなくて汚臭とはだてじゃない……」(ヴィクセン)


「ゲロオォォォ~~~~!!」(ブリッツェン)


「キュピブッギー……」(ダッシャー)


「おお、いたのかウリ坊……」(コメット)


 半ばみんなは混乱していた。中には嘔吐する者もいる。

 しかしその中でもクールなのが一人。

 クランペンは鼻を袖で押さえながら一言、言い放った。


「ヤダなぁおじさん。今時もうくつしたは流行らないんだよ。今はレッグウォーマーの時代」


 直後、ルドルフから灼眼ビームが放たれ、くつしたの先が消滅した。

 その様はまさに某作品に出てくる、古代ロボット兵器の目からビームにそっくりだった。

 おかげでニコラオスが縛られている木まで切断され、雪に覆われた大地に彼ごと倒れてきた。

 ようやく正気を取り戻したみんなで、どさくさに蹴ったり踏んだりしながらもニコラオスを解放した。


「レ、レッグウォーマーやと!? じゃあ人間のみんなは一体どうやってプレゼントを受け取っとるんや!! これじゃあ底が抜けとるから意味が無い……」

 慌てふためくジャックフロストの前にクランプスが進み出ると、顎を上げて見下した姿勢を取りながら吐き捨てた。


「金 の ね ぇ 奴 に 夢 は 売 れ ね ぇ な」


 ガ━━Σ(゜Д゜|||)━━ン!!


 そうなのだ。

 事実、サンタクロースからのプレゼントはただではないのだ。

 哀しいかな、お金が無い者にはサンタさんが訪れないのが厳しい現実。


「で、でもっ! あんたは昔貧しい家のくつしたに金貨を投げ入れたと言う話は余りにも有名で……!!」


 必死のジャックフロストに、ようやく縄から解放されたニコラオスがキョトンとした顔で言った。


「あ、それ偶然落としたのじゃよ。トナカイ達と空飛んでる時に」


 ガガ━━Σ(゜Д゜|||)━━ン!!


「こ、子供達の夢って結局お金でしか買えんのか……!?」


「当たり前じゃねぇかそんなのディ●ニーランドでもやってるぜ」


 クランプスのとどめの言葉に、ジャックフロストは大きなショックを受けると霧となってその場から消えてしまった。

 何事も無かったかのように、その場に取り残されたサンタファミリーとトナカイ一同。

 その中でジェントルメンなトナカイの、ドンターが開口一番に言った。


「仮にもアリウス異端と戦った偉大な教父でもある人が、何簡単に誘拐されちゃってるんですか」


「おまけにこれで学問の守護聖人として崇められてるなんて、受験生も真っ青だよこんなオチ」


 プランサーの容赦ない言葉は鋭くニコラオスの繊細であろう心に突き刺さった。


「一体いつからなんだろうね我妻ルドリーよ……まさか主であるワシがトナカイ達に非難されバカにされるようになったのは……」


 ニコラオスはよよよと真っ赤なお目々のルドルフに寄り添う。

 そんな旦那を優しく支えながらルドルフは柔和な口調で答えた。


「今頃気付く辺りからしてもう遅かったんだよあんた……」


「え、そうなの?」


 衝撃的な表情をルドルフに向けるニコラオスを他所に、トナカイの踊り子ダンサーが後ろからクルクルと舞い踊りながら口を挟んだ。


「仕方ないから踊っちゃう私♪」


「あなたはいつでも踊ってるでしょ」


 ヴィクセンが呆れながら溜息を洩らす。


「なぁハニー、もうこんな老いぼれはやめて僕のところにおいでよ♥」


 どさくさにしっかり相変わらずルドルフに愛の言葉を囁きかけるキューピッド。


「とにかく、何とかダーリンも見つけたことだしさっさとクリスマスプレゼントを配りに行くよ。もう今夜は本番だからね!」


「ブギ♪」


 ルドルフの掛け声に彼女の腕の中で相変わらず収まっている、ウリ坊ダッシャーが嬉しそうに小さく鳴いた。


「よし行くぞブリッツェン!!」


 そう言ってヒグマのブリッツェンに跨っているクランプスを見て、愉快そうにクランペンは笑った。


「アハハ! まるで金太郎みたいだよラプス」


「すんませんラプスのだんな。あっし、先ほどの悪臭での嘔吐で口の中ドロドロっす」


 ブリッツェンは口からリキッドジェルを滴らせながら言った。


「雪でも口に含んで洗浄しろ」


 クランプスは冷ややかに言いながら足でヒグマの腹を蹴る。


「で、どうする? 今夜も飛行機で行く?」


 コメットのさも当然な口ぶりに、みんなは声を揃えて言い放った。


「( ゜д゜)<飛べよお前」


 コメットの黄金の蹄には飛行能力が備わっている。

 彼の存在があって初めて他のトナカイ達も夜空を駆ける事が出来るのだ。


 こうして今年も珍騒動を巻き起こしながらクリスマスプレゼントを世界中に届けるのだった。


「ホゥホゥホ~ゥ!!」


 それではみなさん……。

 。∠(*゜∇゜*)☆メリークリスマス☆(*・ェ・*)>。




 ひとまず終わりますww

 また来年気が向いたら再開するかも←

 とりま今までお付き合い頂き有り難う御座いました!!

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