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第二話「無限すべり台、悠久の花畑」

二度目にこの店を訪れたのは、小春日和の昼下がりでした。この店にたどり着くために、あの道をあー行って、こー行って、そう行くつもりでしたが、こー行って、こー行って、そのように行くことに決めました。すると目の前を元気な生き物が横切りました。あの時と同じように、とても歩きにくくなりました。二足歩行がなぜかイズイ。ナゼダロウ。お腹が空いているせいだと思うことにしました。いつも見慣れている風景なのに、とても気になる店がありました。

 『異空間体験型Restaurant うま・Year』

「はて? こんな存在感のある店に、なぜ今まで気づかなかったんだろう? いや? 来たことがあるのかもしれない。しかし、思い出せない。新しく開店したのかな?」

と、ひとりごちながら店の中に入ってみました。

「ヘイ! らっしゃい!」威勢のいいあいさつで迎えられました。そして、お店の大将(てんしゅ)は馬でした。

「ひとりです」

「ヘイ、一匹だね。カウンターどうぞ!」

「(一匹?)」という言葉が気になりましたが、大将は私を席まで案内してくれました。店内に入った途端に軽快な音楽が流れてきて、私は思わずスキップしながら移動していました。ゴリウォーグのケークウォークが聞こえてきたからです。

「ん? おめぇの曲はこれか」といって、大将も一緒にスキップし始めました。

「は! いかんいかん」私は我に返り、あたりをうかがいました。だれもこちらに注意を向けていませんでした。

「大丈夫だよ。みんな自分の世界に入っているだ」

カウンターは仕切りでへだてられて、一人用の個室になっていました。他にも座敷、テーブル、一人用個室など、席が沢山ありました。その時間帯の個室には、お客さんが数人いて、そこそこ繁盛しているように見えました。個室の中で突っ伏して寝ていたり、立ち上がって壁と相談しているお客さんもいました。とあるお客さんは、椅子のしわを数えているように見えたのですが気のせいでしょうか? 案内された個室の隣では、座席に仰向けにもたれかかって、イビキをかいている毛むくじゃらのお客さんがいました。

「ぐぴ~、すぴー、ガガガが・・・、も~くえん・・・」いびきと歯ぎしりと寝言が混ざっていました。

「お隣さんは、にぎやかですね~」

「そいつ、20日か30日いるんだでよ」

「さぞかし、いごこちが良いのでしょう」

「うっとうしいけど、にぎやかな奴でな~」大将は、まんざらでもなさそうでした。

席に座って、大将にたずねてみました。

「大将さん、ここはどういうお店ですか?」

「ここは、食事で非日常体験をしてもらう店だべ」

「それで、大将さんは馬さんなのですか?」

「まぁ、そういうことだ。あんたは、イヌだな」

「? 私は、犬ですか?」

「見るからに犬だべな」

どうりで、二足歩行がおぼつかなかったわけだ。納得できた。それにしても、いつの間に犬になったんだろう。気付かなかった。人間は、お腹が空くと犬になるのだ。

「赤い丸から出ないように気をつけてな。メニウが決まったら呼んどくれ」ヒヒ~ンといなないて、大将は行ってしまいました。よく見ると、座席の足元には半径20㎝ほどの赤い丸があり、お客さんはそこから出てはいけない決まりのようでした。


「メニウ? フランス語かな? メニューのことだろう」

私は落ち着いて、100ページほどもありそうな、百科事典のようなメニューを見てみました。

『異空間体験型Restaurant うまYear』

お品書き メニウ 新しい目

行きたい場所は、たんとある

食べたいものも、ごまんたる

ならば同時に楽しもう!

※There are so many places that you want to go.

There are so many foods that you want to eat.

You can go there, you can eat them at the same time !


「(? この店では、メニウなのか)」と納得しました。

「(? ごまんたる? ごまんとあるのことか? それに、この英語表記は・・・。文法が当たっているのか、間違えているのか分からない・・・)」いろいろ気になりましたが、私は、メニウを見て感動してしまいました。注文して食べる前から楽しいのです。1ページ、1ページに押し花の工夫がされており、ときどき小さな虫もはり付いていました。お客さんの感動したコメントが書き込まれていました。とあるページには、味噌のかたまりが付いており、この店で使っている調味料の味見まで出来ました。メニウをもっと見てみると、いくつかのコース料理が気になりました。

≪銀河系・ステキ体験コース≫

≪史跡系・建造物観覧コース≫

≪生態系・進化してみようコース≫

≪なんだっ系・ど忘れして思い出せないコース≫

≪・・・≫

≪・・・≫


「ふむふむふむ・・・、何を食べてもおいしそうで、面白そうだ」値段も、驚くほどは高くありませんでした。何度も足を運びそうなので、一番上のコースをじっくり見てみました。

≪銀河系・ステキ体験コース 1光年≫・・・【光年】ちきうからの距離

・ドリンク    : リゲルイボスティー

           (【770光年】オリオン座って知ってる?)

・メイン・メニュー: ベテルギウステーキ  

           (【600光年くらい】そこそこ遠いね。赤色巨星だよ)

アルタイルおーてパスタ

(【17光年】ひこ星で有名だよね~)

・サラダ     : ベガーリックサラダ

           (【25光年】織り姫で有名ですよね~)

・デザート    : たいようかん or わープリン

           (毎日、ありがとうございます or 移動が楽です)

※オーロライスか、ビックパンを付けることが出来ます!


メニウが決まったので、呼び出しブザーで大将を呼びました。

「あ~い」と返事が聞こえ、大将がやって来ました。

パカラッ、パカラッ、パカラッと、駆け足で水を持ってきたので、水はあらかたこぼれていました。空っぽのグラスを手渡され、

「あら、ごめんよ~。ひづめだから上手に持てんのよ~。これでは飲めないね~」と言って、隣の席に置いていた水差しで、水を注いでくれました。

「ありがとうございます。わたくしは、こういう者です」取材で、何度かお世話になると思い、仕事で使う名刺を渡しました。

「ふ~ん・・・(なかなか面白そうなやつだな)」大将は不思議そうに名刺を見つめました。

「ときに、大将さん」

「何だべ?」

「うま年にこの店を開店したんですか?」

「ちがうべ、店の料理がうまいから、ウマYearにしたんだべ」

「そうですか、うま年の開店かと勘違いしました」

「みんなに言われるべ。おら馬なんで、料理も不得意だ。馬が嫌いだから馬嫌~の意味もあるだよ」

「お店の名前に、意味を込めすぎですな。もっとシンプルに『ごまんたる』が良いのではないでしょうか? ステキな言い回し(フレーズ)ですよ。お客さんに変なストレスがかかりません」

「んだべな、良いこと聞いたよ、こんど変えとくべ」ついでに、メニウの英語表記も指摘しようと思いましたが、やめました。大将は注文を取ると『馬子にもいっしょうけんめい!』とダッシュでちゅう房に向かいました。大将も猫忍法(にゃんぽう)の使い手だったのです。そして、私は考えました。

「(関係代名詞とか関係副詞とか、どうでもいいのかも知れない)」あらためて『メニュー』を見てみると、「お品書き メニウ 新しい目」と書かれていることがとても気になりました。少し考えましたが、キチンと理解できました。

「メ・ニューだ!」大将は全力で遊んでいたのでした。

「(私もこの遊び、楽しめましたよ)」とほくそえみ、指摘すること自体が、ぶすいだと気付きました。


大将がドリンクとサラダを持ってきましたが、ひづめでお盆を上手に運べないのでドリンクは半分ほどこぼれてしまいました。サラダは何とか無事でした。

「ごめんね~、こぼれちゃった。ドリンク代はまけとくよ」大将の()()の良さは良いのですが、何か違う気がしました。

「大将さん、何でも一頭でやらない方が良いですよ。運ぶ係と料理する係を分担してはいかがでしょう? これだけ繁盛しているようですし」

「んだべな、良いこと聞いたよ、馬の耳に念仏だで、忘れてただ。すぐに雇うよ」


食事が終わり、ドリンクとおやつを楽しんでいると、まどろんできました。すり~ぷ、すれぷと、スレプト。Good night!


「さぁ、行きましょう! ステキな場所へ!」目の前に二足歩行のワニさんが立っていました。緑色の肌に映えるように、赤い色のベストを着ていました。丸い縁取り眼鏡をかけて、三角形の旗を持っていました。旗には「ごまんたる」と書かれていました。

「ナビゲーターのアリゲーター・ワニゾウです。初めまして」

「初めまして。おはようございます。今は、朝ですか?」

「どちらかというと、夜です」

「それでは、お休みなさい」

「それは困ります。今から朝になりました」

「それでは、あらためておはようございます」目をぱちくりさせながら、あたりを見渡しました。宇宙のど真ん中にいました。

「あれ? 宇宙だっけ? うちうだっけ?」戸惑っていると、ワニゾウさんが助けてくれました。

「うちうですよ。ここでは、あなたは息ができるし、宇宙服もいりません。今日は、初めてなので近場になります」

ベガまで9兆km、アルタイルまで6兆kmなので、アルタイルまで40秒で行ってみます。そのあとベガに行きましょう。初めてなので距離と時間の感覚が分かりませんでした。だから

「は、い」と答えるしかありませんでした。

「前足を広げてください。そして、前へ進むと思えば進めます」言われたとおりにすると体が前方へ進みました。

「私は、空を飛べるのですか?」

「想像力次第で、何でも出来るのです」うちう空間での体の扱い方と、スピードの出し方に少しずつ慣れてきました。

「七夕の季節も終わってしまいましたね~」と私が言うと、

「ひこ星と織り姫さんは、ただ今オフなので休んでいるでしょう。沖縄あたりで絵描きしりとりをしているかもしれませんね」とワニゾウさんが笑いながら言いました。

「うちうの人が日本に観光に来るのか、日本も有名になったもんだ」と感心しました。

「おっと、この方には冗談が通じない。生真面目な方だ」と焦っていました。ワニゾウさんは、気を取り直して

「リゲルとベテルギウスは、オリオン座を形づくっています。これから冬になると日本でも毎日ご覧になれます」食事をしに来て、うちうの勉強をすることが不思議でした。

「ちきうから150光年のところにヒアデス星団があります。ご覧になりますか?」このまま帰るのも物足りないので、

「はい、行ってみたいです」と返事をしました。連れていかれた場所には、巨大で派手なすべり台がありました。かなり下の方に、ヒアデス星団の中心であると思われる巨大な白い天体がありました。そして、すべり台は「し」の形をしたウォータースライダーのように見えましたが、飛び出し口が無責任な方向を向いていました。その先には、やはり無数の滑り台があり中心の真っ白い天体に向かうほどに数が多くなっていきました。

飛び出し口が二つ三つ四つあるものもありました。

飛び出し口が、360°回転しているものは、意味がないと思いました。

飛び出し口が、760°回転しているものは、訳が分かりませんでした。

飛び出し口が、回転して、なおかつ横に曲がっているものは、意地悪だと思いました。これは、すべり台で何回も飛んで落ちながら、白い天体の中心へ向かう遊びだったのです。

「(このすべり台を飛び出したら、どれか別のすべり台に投げ出されるんじゃないか?)」

「お察しの通りです。ここには1,048,577台のすべり台があります。すべり台から投げ出されてうちう空間に放り出されることはありませんのでご安心ください。ゴールにはステキな花畑がありますよ」とワニゾウさんが言いました。

意を決して、すべり台に乗ると「し」の最下点から飛び出し口まで、わずかな運動エネルギーと位置エネルギーの交換が行われました。先っちょから飛び出す瞬間に飛び出し口の方向が変わり、別のすべり台に飛ばされました。

「きゃっほー、きゃっほー、いやっほっほ~」と何度も飛び出しているうちに恐怖も好奇心も落ち着いてきました。限りなく落ちているはずなのに、周りの景色は私の思い出であふれていました。あんなことや、こんなこと、そんなことまで思い出させてくれました。愉快だったこと、楽しかったこと、笑いすぎたことがグルグル思い出されたので、ワクワクは、相変わらず止まりませんでした。

全部で21回ほど滑り落ちると「ボスンッ」と森の中に着地しました。着地した途端に、半径2kmほど木が移動してしまいました。かわりにコスモスと菜の花の花畑が数か所現れました。遠くを見渡すと、山の稜線がくっきりしているところと、薄ぼんやりしているところがありました。そして、まわりには誰もいませんでした。沢山あったすべり台は、最後は一匹になってしまうあみだくじだったのかも知れません。はじめは鳥の鳴き声もありました。次第に聞こえるか聞こえないかの大きさになり、やがて不規則なさえずりに変わったので、気にしなくなりました。不思議なことに明るいはずなのに太陽が見えません。光の量が多くなったり、少なくなったり、どこから光がさしているのか探してみましたが、分かりませんでした。時間とともに、光の強さも一様になり、景色に何の変化も見られなくなりました。

 白いコスモスを見てみると、花弁の色が微妙に変化していました。白いコスモスの花びらが周囲の光の量を調整していたのでした。他の色のコスモスは、私の感情に合わせて、ゆるやかに明滅を繰り返していたのですが、私は気付きませんでした。私から遠い位置ほど光が強く、私の周りは光の量が少なくなるように私の都合に合わせてくれていました。よく考えてみると、誰かが、何処かで何かをしているはずでした。だけど、私が退屈しないように、私が不快にならないように、私を刺激し過ぎないように、鳥の鳴き声や、花弁の明滅で光の量を調整してくれているようでした。周りに誰もいないのは、誰かが一緒だと興ざめしてしまうからかもしれません。


ちょっと地面に座ってくつろごうとすると、お尻の下から土が盛り上がり、ベッドやソファーを形づくってくれました。水色や薄い黄色の落ち着いたカバーまでかかっていました。ちょいとまぶたを閉じると、まぶたの裏に映像が映り、誰かが何かをしている、愉快な喜劇が始まりました。まぶたを何回かぱちくりすると、演劇や歌番組に変わっていました。

「?」少し気になる映像がまぶたの裏に浮かんできました。不思議に思いつつも、しばらくながめていると、そのまままどろんでしまいました。のどの渇きを覚えると、地面が盛り上がりテーブルを作り、赤・白・黄色のコスモスと、青いネモフィラがテーブルの脇に咲きました。花びらの下にコップが現れたので、黄色いコスモスをちょこんと触ると、花の蜜がコップの中にたまりました。それを「きゅ~っ」と飲んでみると、味は立派なパインジュースでした。おしっこがつまったので少し我慢すると、尿意はすぐに消えました。

二杯目のジュースは、ザクロ味とイチゴ味の中間の味がしました。二回目のおしっこを我慢すると、へその下から、野球のボールくらいの黄色い玉が出てきました。ボトッと地面に落ちると、ころころと転がって白いコスモスのところまで行きました。コスモスが鎌首をもたげて、ボールをチョンと突つきました。白いコスモスの花弁の色が黄色く変化すると、花びらは光りながらキラキラと砕け散りました。ボールは透明な水色になり、膜が弾けたように水滴が飛び散りました。どちらも浄化したことが分かりました。

すこし眠ることにしました。5分、10分、20分? 1時間が経っていたかもしれません。

「ふわ~っ」とあくびをして目を覚ますと、やはり周りには誰もいませんでした。よっこらしょと、ベッドを降りて、ぷらぷら周囲を歩いてみました。猫忍法(にゃんぽう)『犬も歩けば何かに当たる』。ぷ~ら、ぷら、プラ・・・。花を摘むか、踏みにじるか、その辺でおしっこをしてみるか。今なら何をしても良さそうでした。花びらの示す、歩きやすそうな方向にてくてく歩きました。すると、コスモスだけだと思っていた花畑にシロツメクサが現れました。これはもう、それをさて置いても、あれをするしかありません。四つ葉のクローバー探しをさて置いて、私は柄にもなく花を摘んで冠を作りました。一般的(オーソドックス)なシロツメクサだけの冠をつくり、イヌだけに「オーソドックス」とほくそ笑みました。それに少しだけ手を加えて『お嬢様風・気品のある冠』をつくり、写真に収めたくなりました。だけど、写真に収めた途端に目的が変わりそうなのでやめました。楽しむ方向性が変わってしまいます。

「(それに、お嬢様?)・・・」いかんいかん、それはいかん。クセになりそうだ。気を取り直して、赤いコスモス、黄色いコスモス、青いネモフィラを付け加え『信号機風の冠』を作りました。そして、ありとあらゆる色とりどりの花を付け加えて『自己主張の強い、ハデハデ冠』も作りました。誇らしげにそれらを被って、くるりと回転したりして、太陽系を探しましたが、どこにも見つけることが出来ませんでした。

 2時間、4時間、8時間が経ちました。まったり、もったり、のったりと時間を過ごしました。何をするでもない、静かにそこにたたずむだけの時間が過ぎました。こういう時間の過ごし方は得意でした。誰かに犬の手を貸したいのですが、貸す相手がいませんでした。そして16時間待とうとしたら、ワニゾウさんが現れました。

「すみません。いごこちが良いものですから、私もあなたの存在を忘れていました!」

「危険な場所ですな~。足りないものが、何もありません。不思議なことに、お腹もすきません」

「ここでは、ご自分の過去をかえりみる方が多いです。過去に反省すべきことが無い方は歌や喜劇しか見れません」

「私は、お笑いや歌ばかりでした」

「充実した人生を歩んでいらっしゃる」

「ときに、気になることがありました」

「何でしょう?」

「楽器を演奏している映像の中に、毛むくじゃらの生きものが出てきました!」

「それは、とても幸運なことです。滅多に見られるものではありません」

「そうなのですか?」

「ファンが、とても多いのです」

「あの方ですか?」

「えぇ、あの方です」

「興味が尽きないですね」

「ごまんたるには、必要な存在かも知れません。それはそうと、いつも私がむかえにくると、何人かに一人は拘束されているのですが、あなたは無事でした」

「え? どういうことですか?」

「花を踏みにじったり、花におしっこをかけると、地面から2mもある蛇がうようよと何匹も出てきます。そして、手足を縛って地面に転がして、蛇は紐になっていなくなります。そしてそのまま30時間ほどこうそくされます」

「怖い話ですね」

「悪意が無くても、花におしっこをかけると、同じ目に遭います」

「ゆきおさんですか?」

「そうです。あの方は、地面を見ずに歩いて花を踏んでしまい、縛られました。そのまま縛られた状態でおしっこをするとどうなるか試してみました。またがおしっこだらけになって、うっとうしかったと思います。私がいましめを解こうとしても、『もう少しこのままにさせて欲しい』とおっしゃっていました」

「得難い存在ですね」

「正直な話、あの方の考えは訳が分かりません」

「この雰囲気を少しでも長く味わいたかったのかも知れませんな。彼なりに・・・」

「私の推測ですが、イヌやネコは大半の時間を、こことは違うこのような場所で過ごすと思います」

「私も、そう思います」そして、私の「ごまんたる」での時間軸が、お店を訪れた時よりもかなり前に戻りました。自分でも気付かないほど時間が遡っていました。


第三話「星を動かして遊ぼう。神さまのイタズラ」

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