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9.王宮は鳥かご?

 国王主催のパーティーから数日後、王太子からベルナルド宛に手紙が届いた。


 ユナはベルナルドから呼び出され、書斎に向かった。書斎の前に着くと、コンコンとドアをノックした。


「お父様、ユナです」


「ユナか、入りなさい」


「はい、失礼します」


「ユナ、王太子殿下から手紙が届いたよ」


 ベルナルドはそう言いながら、開封済みの手紙をユナに手渡した。手紙には、ユナと昼食を兼ねた歓談の場を設けたいとの内容が書かれていた。王宮から2日後のお昼前に迎えの馬車を寄越すとのことだ。


「ユナ、手紙は読んだね?」


「はい、お父様。2日後に王宮の馬車が迎えに来るとありますので、しっかり準備しておきます」


「あぁ、お前のことだ。何も心配はしていないよ。相手は王太子殿下で緊張はするかもしれないが、気を張ることはない。楽しんで来るといい」


「えぇ、そうですわね。さっそく街へ行って、王太子殿下への手土産の品を見てきます」


「あぁ、分かった。気を付けて行っておいで。くれぐれも護衛から離れないようにな」


「はい、もちろん心得ております」


 ユナは自室に戻り、外出するための身支度を整えている。


「エマ、私と一緒に王太子殿下への手土産の品を一緒に選んでほしいの」


「はい、ユナお嬢様。承知いたしました」


 すると、ユナの髪を結っているメアリが大きな瞳をうるうるとさせながら、鏡越しにユナを見つめる。


「メアリ、ごめんなさいね。お父様から護衛を連れて行くように言われていて、できるだけ移動がしやすいように少人数で行きたいのよ。エマは王室関連のマナーを熟知しているから、王太子殿下のお土産選びを手伝ってもらいたいのよ」


「お嬢様……。仕方ないです。私は屋敷でお留守番していますね……」


「メアリにもお土産を買ってくるから、楽しみにしててね」


「お土産ですか!!」


「えぇ、街で最近評判というスイーツ店に寄るつもりよ。あなたが好きなアップルパイがあったら買ってくるわね」


「本当ですか!!! わぁ~い!! アップルパイだ~。お嬢様、ありがとうございますぅ~」


「メアリ! 言葉遣いに注意しなさい!!」


「お嬢様、ありがとうございます。お気を付けてお出かけくださいませ」


 メアリはエマから注意を受け、すぐさま言葉遣いを正した。


 その素直な姿にユナは思わず笑ってしまった。


「うふふふ。メアリったら」


「はぁ~」


 エマは頭を抱えながら盛大な溜息をついたのだった。


「王太子殿下へのお土産がすぐに見つかってよかったわ。エマのおかげね」


「いえ、とんでもございません。私は王室へのお土産に最適な品をいくつかご提案しただけでございます。最終的に選ばれたのはユナお嬢様です」


「エマ、謙遜しなくてもいいのよ。あなたがいなければこんな素敵なお土産を選べなかったもの」


「恐縮でございます。……でも、ユナお嬢様、なぜこの品を手土産に選ばれたのですか?」


「それは秘密の情報提供者のおかげなの」


 ユナはそう言うと、閉じた唇の上に人差し指を立てて内緒のポーズを取って見せた。


 エマはそれ以上、何も聞こうとはしなかった。


 レナートへの手土産に用意したのは、異国の珍しいお茶だった。生花を乾燥させたお茶で、お湯を注ぐと花が咲くように花びらが開いていくのだ。アスティア王国では珍しく、異国から新しく入ったばかりのお茶だと言う。茶店では試飲もでき、実際にお湯を注いで花が開く様子や香り、味を楽しむことができた。


 エマの手には大きな包みが2つ、小さな包みが1つある。


「たくさん買いましたが、全て王太子殿下にお渡しになるのですか?」


「大きい包みの方は公爵家のみんなに、小さい包みはレオリオ様の分よ」


「あぁ! レオリオ第2王子の分ですか。王宮のお庭を案内してくださるとお約束されていらっしゃいましたね」


「えぇ、とても珍しいお茶だし。何よりレオリオ様はお花が好きみたいだから、ぴったりの手土産だと思ったのよ」


「ブルーのお花を選ばれたのはそういう意味だったのですね……!」


「試飲させてもらったお茶の色を見ていて、レオリオ様の瞳の色と同じだと気付いて。とてもいい手土産だと思わない?」


「はい、きっと第2王子殿下も喜んでくださると思います」


「さぁ、手土産も買ったし、スイーツ店で少し休憩して行きましょう」


 チリンチリン~。スイーツ店のドアを開けると、ベルが鳴った。


 店内はお客で賑わっていた。ベルに気付いた1人の店員がユナたちのそばに寄ってくる。


「お客様、大変申し訳ございません! 本日はこのとおり客席がいっぱいで、すぐにご案内するのが難しい状況でございます。よろしければ予約を取っていただけませんか?」


「いえ、こちらも予約をしていなかったのだから、気にしないでちょうだい。この様子ではすぐに案内してもらうのは難しそうね。また改めて来るわ」


「大変申し訳……」


 店員が頭を深く下げて謝罪をしようとしたとき、店の奥から1人の従者がこちらへ歩いてくる。護衛騎士がユナの前に出ると、その従者は数歩手前で止まってユナに話しかけてきた。


「公爵令嬢ユナ様でしょうか?」


「えぇ、そうです」


「我が主がぜひご一緒にお茶でもいかがかと仰せです。よろしければ……」


 ――従者の格好や言動からするに、公爵家の令嬢を前にしても悠然とした態度をしているわ。所作も貴族に劣らぬ美しさ、きっと身分の高い方の従者なんだわ。だとしたら、あちらの申し出を断るのは無礼に当たるかもしれないわね。


 ユナは瞬間的に申し出を断ってはいけないと考え、前に立つ護衛騎士を後ろに下がらせ従者に返答した。


「まぁ、ご親切にありがとうございます。ちょうど席がいっぱいで改めようと思っていたところでしたの。せっかくのご厚意を無下にするのは申し訳ないわ。ぜひご一緒させていただけたら嬉しいですわ」


「では、こちらへ」


 従者は店の奥の個室へと案内する。貴族が通う店のほとんどは個室が用意されており、その個室は王室や上流貴族が使用するための部屋だ。


「お嬢様、大丈夫でしょうか?」


 護衛騎士が声を落としてユナに話しかける。


「えぇ、まだ日は高いし。危険なことはないと思うわ。あなたは個室の外で待機していてちょうだい。中へはエマと2人で入るわ」


「しかし……」


「大丈夫よ。何かあればすぐに呼ぶから」


「はい、承知いたしました」


 個室のドアの前につき、従者が「我が主はこちらの部屋におられます」と言い、ドアを開けた。護衛騎士はユナの指示通り、個室の外で待機することにした。


 個室の中へ入ると、広々とした空間が広がっていた。高級なソファが数脚あり、数名の大人が利用してもゆったり過ごせる広さだ。さらに、部屋の奥へ目をやると中庭が設けられており、テラスも完備している。


 テラスにはテーブルと椅子が2脚あり、その1つに女性が座っていた。


「ユナ様はこちらへ」


 ユナは従者に向かって微笑みを返し、うなずく。


 そして、エマの方を見ると「あなたはここに居て」と目でサインを出した。エマもユナのサインを読み取り、ドアのそばの壁の前に立ち、待機している。


 テラスと個室は腰壁とガラス張りの壁で仕切られており、壁の両サイドにはドアのない出入り口が1つずつ設けられていた。従者は女性が座る場所と反対側の出入口から入っていき、ユナはその後に続いてテラスに入った。


 テラスに座る女性に近づくと、従者は「ユナ様をお連れしました」と言い、そばにあるカートの横に立ち、手早くお茶の準備をする。


 ユナは目の前の女性が自分よりも幼い女の子であると確認した。幼いながらも所作には気品が感じられる。ユナは、赤と白の華やかなデザインのドレスには、貴族令嬢でも手が出しづらい高価な素材があちらこちらに使用されていることに気づく。


「よくぞ参られた」


 その少女はユナに第一声を発した。ユナはハッとして、すぐに気持ちを落ち着かせて丁寧に挨拶をする。


「ソフィア王女、お初にお目にかかります。公爵家長女のユナがご挨拶申し上げます」


 ユナが挨拶をすると、ソフィア王女は驚いた表情を見せ、すぐさま笑顔を見せた。


「おかけになって、ユナ嬢」


「はい、失礼いたします」


「ユナ嬢はなぜ、私が王女だと分かったのですか? たしか、私たちは初対面同士だと思ったけれど……」


「はい、ソフィア王女のお召し物や従者の方の所作から推測いたしました」


「そうでしたの! ユナ嬢はなんて聡明な方なのかしら!!」


 ソフィアは、さっきまでの上品さはどっかへ飛んでいき、年相応の明るさでユナに話しかけてきた。


 従者はコホンと咳払いをする。


「えぇ、分かっているわ。オズワルド! でも、お兄様が言っていたとおりだわ!!」


 従者は頭を抱えて、大きな溜息をついていた。


 ユナはソフィアとその従者のやり取りに、エマとメアリを重ねて見ていた。


 ――ソフィア王女様はメアリと似ているようね。明るくて気さくな性格のようだわ。


 従者は手際よく紅茶を入れて、ユナの前にそっと置いた。


「紅茶でございます」


 ユナは従者にやさしく微笑みながら、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える。


 従者はユナの微笑みに赤面し、一礼すると少し離れた場所に待機した。


 従者もソフィアとそれほど変わらない年頃だろうと考えていたとき、ソフィアから怒涛の追求が始まった。


「ユナ嬢! いえ、ユナお姉さまとお呼びしてもよろしいかしら? 私、お兄さまからユナお姉さまの話を聞いて以来、会いたいと思っていたのです!! 今日こうしてお目にかかれてとても光栄ですわ!!! ユナお姉さま、単刀直入にお聞きしますわ。お兄さまのこと、どう思っていらっしゃいますの?」


「ソフィア王女様、その……」


「ユナお姉さま! 水臭いわ。ソフィアとお呼びください!!」


 ユナはソフィアのエネルギーに圧倒されて困っていると、従者と目が合った。従者は何も言わず、まるで「王女の言うとおりに」とでも言いたげな表情で微笑んで見せた。


「では、ソフィア様……とお呼びさせていただきます」


「まぁ! ユナお姉さま。私、とっても嬉しいわ!! それで、お兄さまのことなんだけれど」


「あの、ソフィア様。そのお兄さまというのはレオリオ第2王子殿下のことでしょうか?」


「えぇ! そうですわ!! 私の2番目のお兄さまですわ。お兄さまはユナお姉さまと会ってから、別人のように変わってしまったのですよ」


「まぁ、レオリオ第2王子殿下が?」


「えぇ! そうなのです。最初は結婚に乗り気ではなかったのです。レオリオお兄さまは何というか……家族やお友達にはやさしいのですけど、外では冷たい人間だと思われているの。私はそんなやさしいお兄さまの本当の姿をみんなに知ってほしいのだけれど、お兄さまはまったく気にしてなくて……。それに『俺は結婚なんてする気はない。レナート兄上がいるから、跡継ぎの心配もいらないから』っておっしゃっていて……。今までもお父様がお兄さまに『他の貴族の令嬢とお見合いをしろ』って言っても、ずっと断り続けていたの。だから、ユナお姉さまとも無理かもしれないと思っていたわ。でも! ユナお姉さまは違ったわ!! あのお兄さまが1日で気に入ってしまったのですもの!! それからというもの、お兄さまは毎日ユナお姉さまの話をしているのよ! お兄様をメロメロにした方だから、きっと素敵な方だと思っていたわ!! でも、今日こうして会えるなんて!! ユナお姉さまは私が想像していたよりも聡明で美しくてやさしい素晴らしい令嬢だわ!!!」


 ソフィアはユナが話す間も与えないほど、次々と言葉が溢れるように話しかけてくる。


「まぁ! 私ったら、1人でしゃべってしまったわ!! ごめんなさい! ユナお姉さま。私、いつもこうやって1人でしゃべってしまって、後でオズワルドに叱られているの……」


「うふふふ、ソフィア様はとてもかわいらしいお方なのですね。お話を聞いていてとても心がほっこりしましたわ」


「まぁ! たいてい私が1人で話し始めると、みんなつまらなさそうに聞いているの。ひどいときは『用事を思い出した』とか何とか理由をつけてみんないなくなってしまうわ。でも! ユナお姉さまは本当にやさしいわ。嫌な顔せずに私の話をこうして聞いてくださるのですもの」


 ユナはやさしく微笑みながら、メアリのことを思い出していた。


「ソフィア様のご質問にお答えしておりませんでしたね。レオリオ第2王子とクレイド第2騎士団副団長のクレイド様にはお会いしましたが、レナート王太子殿下とは挨拶を交わしただけでまだゆっくりお話しする機会が取れていないのです。ですから、今は何ともお答えできないのです」


「まぁ! そうでしたの。レナートお兄さまは何というか、真面目すぎるのよ。誰からも好かれるけれど、心の距離は遠いというか……。あぁでも、性格は悪くないのですよ!! レナートお兄さまも私の自慢のお兄さまの1人ですもの。よく考えたら、2人のお兄さまもクレイドも女性の扱いに慣れていないというか……、ユナお姉さまにはもったいない気がするわ!!」


「ソフィア様、そんなことありませんわ! お三方とも高貴なお方です。レナート王太子殿下とはゆっくり話せていませんが、レオリオ第2王子殿下もクレイド第2騎士団副団長様もとても素敵な方でしたわ」


「まぁ!! 短い時間で2人の良さに気付いていらっしゃるなんて、さすがユナお姉さまです!! 私、ユナお姉さまが幸せな結婚ができるよう、全力でサポートさせていただきますわ!!!」


「ソフィア様、お気持ちだけでうれしいです」


「そんな、水臭いですわ!! ユナお姉さま、何か私にできることがありましたら、遠慮なく言ってくださいね!!!」


「はい、ありがとうございます」


「あの……、ユナお姉さま。お願いが1つあるのですけれど……」


「はい、私でよければお力になりますわ」


「本当ですか? その……、今日私と会ったことは誰にも内緒にしていてほしいの」


「はい、分かりましたわ。私は今日、メイドと護衛騎士の3人でこの店に来ました。ソフィア様と次に会ったときが初対面ですね」


「ありがとう~! ユナお姉さま!!」


「でも、なぜ内緒なのですか?」


「その、実は……。お父さまにもお母さまにも何も言わず、勝手に王宮を出てきてしまったの」


「まぁ! お1人だけで……」


「だって、王宮にいてもつまらないんですもの。お父さまも、お兄さまもお仕事で忙しそうだし、お母さまは生まれたばかりの弟の世話で遊んでくれないの。まるで王宮は鳥かごの用だわ!! そんなとき、王宮に出入りしている商人が初めて見る物ばかり持っていたの。王宮の外には私の知らないことがたくさんあると思うと、気になってしまって……。最初はお父さまやお母さまにお願いしたのだけど、話を聞いてくれなくって。オズワルドは反対したのだけれど、どうしても王宮の外に出てみたくって……」


「そうでしたの……」


「そうだわ! ユナお姉さま、私に会いに来てくれないかしら?」


「ソフィア様、ですが……」


「お姉さまが暇なときだけでいいの!!」


 ソフィアの懇願するような表情を見て、ユナは幼かった頃のセバスチャンを思い出した。


 お母様は本邸でセバスチャンを産み、その後首都の別邸に移った。5歳になるのと同時に、セバスチャンはお父様とお母様のいる別邸から離れた本邸へ移ったのだった。


 本邸に移ったばかりのセバスチャンは毎日泣いてばかりいた。一時期ふさぎ込んでしまって、自室にひきこもってばかりの日もあったほどだ。それでも「姉弟2人で頑張っていこう!」と励まし合いながら暮らしてきた。


 寂しさはあったけれど半年に1度は両親が会いに来てくれたし、一緒に過ごす時間はいつも濃厚だったから、とても楽しい思い出ばかり。


 そんな寂しかった過去の記憶を思い出し、ソフィアの手を取ってやさしく微笑んで話しかけた。


「ソフィア様、分かりました。毎日会いに行くわけにはいきませんが、時間を作って王宮に会いに行きますわ」


「ユナお姉さま!! 本当ですか?」


「えぇ。ソフィア様さえよければ、文通をしませんか?」


「文通?」


「はい、お手紙を送ったり受け取ってお返事を書いたりするのです」


「手紙には何を書けばいいのかしら?」


「どのようなことでも構いません。そうですね、ソフィア様がうれしかったことや楽しかったこと、誰かに話したいと思ったことを書いてくださればいいですよ」


「私、今まで手紙を書いたことがないの。よければユナお姉さまがまずお手紙を私に送ってくださったらうれしいわ!」


「えぇ、分かりました。ソフィア様宛にお手紙を送らせていただきますね」


「うれしいわ!!」


 今まで離れた場所で控えていたオズワルドがソフィアに声をかける。


「王女様、そろそろ王宮へ戻らねば……」


「えぇ、分かったわ」


 ソフィアの表情は笑顔から名残惜しそうな顔に変わった。オズワルドに背中を軽く押されたソフィアは、また明るい太陽の笑顔でユナに話しかける。


「ユナお姉さま、今日はお会いできてうれしかったわ! ぜひ次は王宮へ遊びに来てちょうだい!!」


「ソフィア様、私もとても楽しかったです。屋敷に戻りましたら、さっそくお手紙お出ししますね」


「えぇ! 待っているわ!! じゃあ、ユナお姉さま。ごきげんよう」


「あっ、そうだわ。オズワルドさんでしたよね? よろしければ王宮まで公爵家の護衛騎士をお連れくださいませ」


「ユナ様、お心遣い痛み入ります。ですが、こう見えても私は剣に自信がございます。必ずや王女様を無事に王宮へお連れすると、ユナ様にお誓い申し上げます」


「分かりました。では、ソフィア様お見送りいたします」


「ありがとう、ユナお姉さま! じゃあ、またね!!」


 オズワルドがソフィアを見ながら、コホンと再び咳払いした。すると、ソフィアは王族らしい気品あふれる挨拶をユナに見せた。


「ユナお姉さま、お先に失礼いたします」


「ソフィア様、お気を付けて」


 ソフィアが個室を出ていくと、ユナはソファに座り込んだ。


「ふぅ~、驚いたわ。まさかソフィア王女がここにいらしていたなんて」


「本当ですね、ソフィア王女がどのような方か分からなかったので、ユナお嬢様をお呼びになったのが王女様だと知って肝が冷えました」


「でも、とても良い方だったわ。まだ幼いところもあるけれど、1つひとつの所作が素晴らしかったわ。それに、『お姉さま』だなんて……、無礼かもしれないけれど妹ができたみたいでうれしかったわ」


「はい、とても素敵な王女様でした。レオリオ殿下の腹違いの妹君であられることは存じ上げておりましたが、兄妹仲がとてもよろしいのですね。ユナお嬢様とセバスチャン様に似ておられますね」


「えぇ、そうね。セバスチャンは今頃どうしているかしら? 元気にしているといいのだけれど……」


「きっと大丈夫でございます。本邸に戻る際はセバスチャン様がお喜びになるお土産をたくさん買って帰りましょう」


「そうね、セバスチャンには何がいいかしらね?」


 セバスチャンへのお土産を何にしようか考えながら、ユナはお土産のスイーツを購入してから公爵家の別邸の帰路についたのだった。

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