7話
電気屋を出て先ほど通った地下道に戻ってきた。地下道には、当初行く予定であった大型ショッピングモールに行ける地下道もあるので向っていた。
「やっと行く気になったのですね」
「やっとって1時間ぐらいっだたじゃないか、しかもミミ関連のものだしな」
「私は、お願いしてないんですが」
「うるさい、別にいいだろ」
「別にいいのですが」
「それは、それとしていいデスクないかな」
そう言ってショッピングモールを歩き回っていたが早々に帰宅したい気分になってきていた。春休み中もあって、そこら中でカップルが仲良く恋人繋ぎをしながら歩いているのを見ると心に刺さるものがあり自販機で買った水を飲みながら休んでいた。
「どうしたのですか」
「いや、こんだけ恋人の集団がいると精神的に」
「そうなのですか」
「そんなもんなんだよ」
「そうですか」
「何でそんなに不貞腐れてんだ」
「不貞腐れてまーせーんーだ」
「絶対、不貞腐れてるだろ」
「それにしても、さっきから普通に話してるのに不振がられませんね」
「たぶん、電話してると思ってるのだと思うぞ」
「そうですか、話が戻りますがこことかどうでしょう」
そう言って、電車の時と同様にスマホに店の情報を送ってきた。
「Careerか、ここは確か高級店ではなかったっけ
「そうですね。確かにここは、高級店に分類されていますね。このショッピングモールでは」
「そんなに高い机を買う予定ではないのだが」
「そうなのですか」
「そうなんですよー」
「でも、結構な重量になりますよ。パソコン」
「机の上に本体を置く気はなかったんだが」
「置かないのですか」
「重いからな」
「えー置きましょうよ」
「重いからヤダ」
「置きましょう」
「やだよー」
「そんなに嫌なら、スマホ使えないようにしますよ」
「おい、それは卑怯だぞ」
「私の出来る必殺技ですよーだ」
「わかった、置くよ」
「いぇーい」
「くそ、卑怯な奴だ」
「使えるものは何でも使うんです」
「わかったその店に行くぞ」
そう言って浩平は、ベンチから立ち上がりミミが進めてきた店に向った。結局その店は、目と鼻の先でエスカレーターで1フロアー降りたらすぐの店だった。店に入り歩きまわっているとに店員がやって来た。
「何をお探しですか」
「木製のデスクを探してるんだ。L字型の」
「それでした。お取り扱いがあります。こちらの方にございます」
そう言ってすたすたと奥に向って歩き出した。付いた先には、様々な木材で作られた机が20個ほど並んでいた。
「お客様のご希望のデスクとなりますとこちらの3点になりなす」
そこには、出来の良い明らかに大量生産ではない机があったがどれもパットしないものであった。
「どれがいいだろうか」
「ちなみに、どのようなものを考えられていました」
「それは、」
そう言って、店員に外出する前に撮影した部屋の写真を見せた。すると店員は、ある机を進めてきた。
「こちらは、どうでしょうか」
その机は、L字ではなかったが先ほどの机よりは、良い物ではあったがまだしっくりとは来ていなかった。
「確かに、こちらの方が先ほどよりも部屋に会いますね」
「そうですね。先ほどのものは大きく部屋に入れてしまうと大きなスペースを取ってしまいます」
「よしこれにします」
「ありがとうございます」
「あちらでお支払いをお願いします」
そういって店員は、先導してレジに向って歩き出した。向かって歩いていると途中に部屋をイメージしたのかL字の机がデイスプレイしてあった。その机に何か来るものがあったのだろうそちらに向って浩平は歩き出した。それに気が付いたのか店員も後ろを追ってきた。
「よいものだな」
「はい、こちらは、ある職人が2年かけ作製したものです」
「そうか、やはりこちらにしたい」
「よろしいのですか」
少し困ったかのように店員が返してきた。
「あゝ、これが欲しい」
「ですが」
「なにか問題があるのですか」
そう聞くと、店員は「少し失礼します」と言って、バックヤードの方に小走りで向かった。何だろうと思いながら2分ほど待っているの店員は、雑誌のようなものを持ってきていた。
「こちらのデスクに関してなんですが」
そう言って、持ってきたものを差し出してきた。それを受け取った浩平は、少したじろいてしまった。そこには、国内問わず世界でも有名な会社の社長がデスクの天板に腰かけた姿が映っていた。そのデスクは紛れもなく目の前にあるデスクと同じであった。