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[第九十四話、吐息でNetwork]

毎週、月、水、土、絶賛更新中!!


高評価にコメントも頼んまヾ(*’O’*)/す〜

レビューなんかもしてもろたら涙ちょちょぎれますわん


どうぞよろしゅうに〜


お化け屋敷の中は暗闇と不気味な音で溢れていた。俺は正直、もう帰りたい気分だ。

 

「こ、怖いな…これ、なんでこんなリアルなんすかね?」

 

声が震えているのが自分でもわかる。俺はローザさんの後ろにぴったりとくっついて進む。


「ボーイ、そんなに怖がるなんて意外ね。舞台ではヒーローみたいな顔してたのに♡」

 

振り返り、余裕たっぷりの笑顔で俺を見つめるローザさん。


「いやいや、俺ホラーはダメなんすよ…!うわっ!」

 

突然、暗闇の中からゾンビ風の生徒が飛び出してきた。俺は反射的にローザさんの肩にしがみつく。

 

「もう、情けないわね。ちゃんと守ってあげるからついてきなさい♡」

 

ローザさんは笑いながら俺の手を引く。




しばらく進むと、ローザさんの様子が急に変わった。

 

「……OMG,NOPE NOPE NOPE!!"」

 

「どうしたんすか?」

 

「口裂け女…」

 

「えっ?」


彼女の表情が一気に硬くなり、辺りを見回し始めた。

 

「ちょっと、隠れるわよ!」

 

急に俺の手を引っ張り、狭い物置のような場所に押し込まれた。



「な、なんで隠れるんすか?」

 

「口裂け女だけは無理なのよ!リアルすぎて…!」

 

「ローザさんでも怖いもんあるんすね…。」

 

そう言いながらも、狭い空間に押し込まれた俺たちは身動きが取れないほど密着していた。


「アワアワしないでボーイ」 

 

彼女が俺の口を押さえ、耳元で囁く。その声に不思議と鼓動が早くなる。


外の足音が遠ざかると、ローザさんは少し肩の力を抜き、ポケットから飴を取り出して舐め始めた。

 

「ふぅ、やっぱりこういうときは甘いものが一番ね。」

 

「いやいや、緊張感なさすぎじゃないですか…」

 

そう言いながらも、俺は彼女のリラックスした雰囲気に引き込まれていた。


飴を舐める彼女の唇は艶やかで、時折飴玉が歯に触れるたびに小さな音が聞こえる。その光景がやけに生々しく感じて、俺は目をそらした。


すると、彼女が艶っぽく目を細め甘く掠れた声で言葉を呟いた。


「ねぇ、ボーイ。」

 

「な、なんですか?」

 

「食べる?」

 

「えっ…?」


戸惑っている俺に彼女は唇を重ねてきた。

 

舌先に感じる甘さと、柔らかな感触に頭が真っ白になる。


「はい、これで半分♡」

 

彼女は満足そうに微笑み、俺の反応を楽しむように見つめていた。


 


お化け屋敷を出ると、ローザさんは手を振りながら去っていった。

 

「楽しかったわ。またね、ボーイ♡」

 

その背中を見送りながら、俺は心臓の鼓動が収まらないのを感じていた。


 


ときめく気持ちをそのままに俺は、はぐれたリンを探すために歩いていると。


「あー!ユウマやーん!」


俺のことを指さしなんだか宝物を見つけたような顔でアッシュグレーのボブを揺らしながら近づいてくるのは、フェイ先輩だ。


「フェイ先輩、ちょうどよかった!」


「え? なになに? うちのこと探してたん? もうーユウマもうちのことだいぶ好−−」


「リン見かけませんでした?」


「ズコー!」


おぉ! 流石は関西弁を話すだけある、しっかりリアクションするのは見ていて楽しい。


すると、フェイ先輩は手のひらを開き、指は自然に伸ばし俺の方に向け、「なんでやねん」の「ねん」の部分を強調しながら、手のひらをパタッと振り、ツッコミを入れてきてた。


「流石は本場のツッコミ!」


「いや、何の話やねん!」


とすっかりフェイ先輩とフザケあいがはじまる。いかんいかん... リンを探すのを忘れてた。


「すんません、先輩俺リンを探しに行ってきます。」


ではではーと軽く会釈をして先輩の元から去ろうとしたとき、突然左腕をガシ!っと掴み、待てゴラぁと言ったような顔で。


「アンタ、うちが探してなかったと思うんかいな...」


「お、俺をですか?」


「そや... ちょっと付き合ってもらうで。」


そのまま俺はフェイ先輩に拉致られてしまった。





「どこに行くかと思えば... 外でたこ焼き食べるだけかよ...」


「い、いいやないか... どうしても天気のいい日にこんなワチャワチャしてる雰囲気で食べたかったんやから... 好きなおと〇△□...」


好きなおと? ゴニョゴニョと話すから何をいいたかったのかはわからなかったけど、何故かフェイ先輩は顔をタコのように赤くしながら綺麗な青空の下でたこ焼きを頬張った。


「ん!! あっふ!」


そりゃあそうだろうよ。俺は熱さで悶えているフェイ先輩に飲み物を差し出す。


普段から食べ慣れてるのに何故一口で食べたのか、俺にはわからん。


「いやー、死ぬかと思ったわ。」


「でしょうね。」


「ユウマは食べへんの?」


「食べる食べる。」


俺も屋台でよく使われる透明な容器に入った、熱々のたこ焼きを食べようとつまようじを手に持ったが。


「う、うちが食べさせたるから///」


「え? いやだって熱いし。」


「いいから! あーん♡」


頬を赤く染めながら目を少しだけ細め、俺の口元に熱々の鉄球みたいなたこ焼きを無理やり放り込んでくる。


「ちょ! 待って...! はむ... あっぢー!!」


外側のカリカリの皮をかじると、中から溶けたマグマのようにトロトロの部分が溢れ出す。舌に触れた瞬間、火傷しそうな熱さで、思わず声を上げてしまった。


「死ぬwww」


俺が慌てふためいてる姿を見て、フェイ先輩はお腹を抱えゲラゲラと笑っている。何がそんなにおかしいのかは被害者の俺にはわからんが、まぁ、笑ってる顔が可愛いので許すとしよう。


すると、笑いすぎて涙を流している頬を手で拭うと、少しだけ真剣な顔になり、なにか俺に伝えようとする雰囲気で深呼吸し口を開く先輩。


「実は探してたのには理由があるんよ。」


「理由?」


「うん。うち、ユウマと出会うまでは恋とか好きとか、学生の大事な時期に考えてるのは無駄やー! って思うタイプやってん。」


「わかります。俺も元いた世界ではそうでしたから。」


「でも... ユウマと出会って変わったと思う。人を好きになるってこんなにいい事やったんやなって。」


照れくさそうに髪を耳にかける仕草をしながら話すフェイ先輩は、とっても女の子らしくてなんだかドキドキが止まらない。きっとこのあと俺に告白をしてくれるのだろう... こんなにも優しくて可愛らしくて素敵な女の子が俺のことを好きでいてくれるなんてと、俺は神妙な面持ちでしっかりと最後まで聞くことにする。


「いま、言う事じゃないかもしれへんけど... うち、ユウマのことが好き...。」


目をうるうるとさせながら頑張って言ってくれたその言葉は、俺の心に響いた。だけど――。


「ありがとう、とっても嬉しいです。けど、ごめんなさい。」


俺は深々と隣に座るフェイ先輩に頭を下げた。別にフェイ先輩のことが嫌いとかそんなんじゃない。ただ... 俺はこの人を幸せにできない。


すると、下げている俺の頭を優しく撫でながら。


「選ばれると思ってへん。こんな大変なときやけど、ちゃんと気持ち伝えたかっただけやねん。」


その手は震えていた。きっと今見上げたら涙を流しているのだろう。あぁ、悪いことしてしまった。哀切な想いを感じていると――。


「いつまで頭下げてねん!」バシ! そんな気持ちのいい音を鳴らし、俺の頭をハリセンで叩いてきた。


「すんません、なかなか顔見れなくて。」


軽い口調で頭を叩いてきたフェイ先輩だけど、顔をみると大きな目から涙が頬を伝っていた。先輩は何度も恥ずかしそうに涙を拭いながらヘラヘラと笑い。


「ほな、うち用事思い出したから行くわ!」


そう言いながら軽快に立ち上がり、その場を離れようとした。


「あの! 先輩。」


「んー?」


「これからも良い友達でいてください。」


「当たり前田のクラッカーや! ちゃんと魔王をガッチガチに封印するまでは契約者としてこき使わせてもらうで!」


おどけた表情でいつもの調子に戻ったフェイ先輩は、バイバーイと手を振りその場を去っていった。



-----  



勇気を振り絞って放った言葉は、まるで打ち上げ花火だった。

夜空に一瞬だけ輝いて、そしてすぐに闇に溶ける――まるでなかったことのように。


フェイは、ただひたすらに走った。

涙が止まらない。視界が滲む。

袖で無理やり拭っても、頬を伝う熱い雫は次から次へと溢れ出てくる。


(涙が... 涙が止まらへん)


溢れる涙を必死に拭いながら走って、走って走り続ける。


こんなにこんなに好きなのに、大好きなのにフラレることなんかわかっていたのに...


気が付くとフェイは自分の教室の前まで来ていた。


誰もいないのを確認するために少しばかりドアを開け中の様子を探ると、視界に入ったのはジュリア、キース、ルーシー、ルナのクラスメイト達が荷物をまとめ帰ろうとしているところだった。


「ねぇ、フェイちゃんは待たなくていいのー?」

 

甘い声で自分の机に座り足を組んでいるジュリア。


「さっき、ユウマと一緒にいるのをお見かけしましたが... まだ一緒なのでしょうか?」

 

手鏡を使い無色のリップを塗り唇を潤すルーシー。


「ユウマと一緒なら今頃ギャーギャー騒ぎながらデートしてると思うよ」

 

キースが茶化すように言葉を添え、女子達の散らかしたお菓子の袋を集めゴミ箱に捨てに行く。


(やっぱこの時間やったらジュリア達おるんか... 今は会いたくないから離れよう)


頭の中でポツリと呟きその場を離れようとしたフェイだったが


――ガラガラ


突然、教室の扉が開いた。


「ずっといるの、わかってたよ」


その声と共に、ルナが心配そうにフェイの顔を覗き込む。


「どうして泣いてるの?」


「なな、泣いてなんか泣いわい!」


「嘘、目真っ赤だよ」


ルナの優しい声に、フェイはまた涙が溢れ出てしまう。


「違う、違うねん... 泣きたいわけじゃないねん」


そんな状況を察してか、ジュリアも駆けつけると心配そうな顔をしてフェイの有無も聞かずにすぐさま抱きしめた。


「なにがあったの? 話してよ、私達でよかったら聞くよ」


ジュリアの優しい言葉を聞きフェイは胸の中で子供のように大声で泣き喚いた。


ジュリアの制服が涙でぐっしょりになるほど泣いたフェイは、ようやく落ち着きを取り戻したのか、ゆっくりと言葉を押し出した。


「ユウマに告白した、けど振られた」


「そっか... よく頑張ったね、偉いね、フェイちゃん」


ジュリアはフェイをさらにギュッと抱き寄せ、頭を撫でる。


「ユウマの恋のサバイバル、お先に脱落してもうたわ」


えへへと照れくさそうに冗談を言うフェイに、ジュリアは真剣な顔で力いっぱい抱きしめ直し


「好きな人に本気で告白するなんて、勇気ある行動だよ、私そんなフェイちゃんのこと尊敬してる だから……私がフェイちゃんの分までユウマくんを幸せにするから、優しく見守っててくれると嬉しいかな」


そんなジュリアの言葉を聞いたフェイは、目を滲ませながら微笑んだ。


「ホンマに、あんたは自分に素直で正直なやっちゃな〜 ありがとう... ジュリア達がいてくれてよかった。」

 


[おまけ]


「飲めや歌えや騒げやでー!!」


フェイの号令とともに、カラオケルームの中に勢いよく入る5人。


ジュリアがマイクを握りしめ、「フェイちゃんの失恋パーティー、スタート!!」と叫ぶと、ルーシーがすかさずタンバリンを構え、キースがグラスを持ち高く持ち上げる。ルナは冷静に「テンション高い…」と呟いたが、まんざらでもなさそうだ。


「さぁ! うちがトップバッターいかせてもらうで!!」


フェイがドン!とリモコンを操作し、流れ出したのは "恋愛ソング"……ではなく、まさかの "ロック系失恋ソング"。


激しいギターサウンドが響き渡る。


「ユウマのアホンダラー! うちを振るとか見る目ないわーーー!!!」


拳を突き上げ、絶叫するフェイ。ジュリアとルーシーが「イェエエエーーイ!!」とノリノリでタンバリンを打ち鳴らし、キースはリズムに合わせて机を叩く。


微笑ましく見ているルナだったが、フェイが「ルナも来いやーー!!」とマイクを差し出した瞬間——


「お“お“ぉぉぉ!!」


まさかのシャウト!! クールなルナが突如としてハードロック系の叫びをかまし、一同のテンションは 最高潮に!!


「ルナが覚醒しとるぅぅぅ!!!」


カラオケルームは、もはやライブ会場。


こうして、フェイの「失恋カラオケパーティー」は 完全なるロックフェス へと変貌を遂げたのであった——。


次の日、ルナは喉を潰した。 

 


次回![第九十五話、糸の色は褪せ、亡き月に沈む王行き着く先は絶望] 

第九十四話を読んでくださったそこのアナタ!

次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧

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