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[第九十二話、幕が上がる前夜]

毎週、月、水、土、絶賛更新中!!


高評価にコメントも頼んまヾ(*’O’*)/す〜

レビューなんかもしてもろたら涙ちょちょぎれますわん


どうぞよろしゅうに〜


10/2


文化祭前日、エンチャントレルム魔法学校の体育館では、サンクチュアリによる舞台のゲネプロが行われていた。


ゲネプロとは、コンサートや演劇、オペラ、バレエなどの舞台やイベントで、本番と同じ条件で行われる最終リハーサルのことだ 


魔女リン

(高らかに笑いながら)

「世界は私のものだ!希望も光も、すべてこの手で消し去った!さあ、これからは私がこの地を支配し、誰も抗うことはできない!」


(不気味な音楽が流れ、舞台全体が魔女の支配を象徴するかのように暗転する。最後に彼女の狂気に満ちた笑い声が響き、幕が閉じる。)



ナレーション(ミシェル)

「光の消失、希望の崩壊。そして訪れたのは、狂気と絶望の支配。運命の糸は断たれ、物語は終わりを告げる。しかし、その先に新たな始まりがあるのか…それは、誰にもわからない。」



ナレーションが終わると、舞台が暗転。瞬間、観客席にいた教職員たちから大きな拍手が巻き起こった。


舞台上の柔らかな光が徐々に灯される中、校長のソフィアがゆっくりと立ち上がる。


「凄いです! 囚われの姫と二人の王子という古典的な作品をここまでアレンジするとは... 感動しました!」


その声に続くように、他の教職員たちも次々と立ち上がり反応を見せる。


1年の担任、オリビア先生は涙をこらえきれず、声を震わせながら拍手を送る。

 

「もう、なんて素晴らしいの...感動しすぎて…生徒たちが眩しい…!」


2年の担任、ライラ先生は眼鏡を押し上げながら、低い声で呟いた。

 

「ほげー... こんな演技をするなんて…想像以上ね…」


3年を担任するガイ先生は、その場に腰を下ろしてしまい、肩を震わせながら背を向けたまま涙を流している。

 

「…立派だ…こんな立派な生徒たちを…育ててよかった…!」


他の先生たちも口々に賞賛の言葉を漏らし、体育館内は喝采で満ちていた。




舞台の上、サンクチュアリのメンバーたちは互いに目を合わせ、喜びを分かち合う。

リンとユウマは微笑み合い、フェイは胸を張りながら観客席を見渡していた。




しかし、その体育館のキャットウォーク部分、照明の影に隠れるようにして、一人の人物がじっとゲネプロの様子を見つめていた。


その人物は、レイヴンの姉、エレナ・アーチボルトだった。



−−−−−−

 

 

体育館裏の薄暗い空間に、藍色の制服を身にまとった4人の姿があった。制服にある金色のラインが彼女たちの特別な地位を物語っている。



「出来損ないの妹がー とかなんとか言っちゃって、結局エレナ嬢も気になってんじゃん。」

 

壁にもたれ掛かりながら、自慢のゴテゴテネイルを眺めているのは、ジャスミン。彼女の口調は軽く、飄々としている。


「全く、オーロラやエレナといい、うちのトップの奴らは素直じゃない奴がデフォなのか?」

 

藍色の制服にミニスカート、美しい金色の髪をポニーテールにまとめたシンデレラがタバコを取り出し、火をつけようとする。


「ここは禁煙ですわよ!」

 

デュクシ!、正義のチョップをお見舞いしたのは、長い茶色の髪を持つベル。シンデレラと同じ藍色の制服にミニスカート、そして背中には大きな刀を背負っている。


「もうそろそろゲネプロ終わるかな…?」

 

控えめな声で話すのは、小柄な少女白雪。ジャスミンと一緒にいた彼女が、不安げに周囲を見上げる。


「そろそろ終わる頃だろうな。さっき大勢の拍手が聞こえた。」

 

シンデレラが額を押さえながら答える。そのタイミングで、ヒールの音が静かに響き渡った。




コツコツと規則的な音を立てて、エレナが戻ってきた。


「あっ! おかえりなさ〜い。妹ちゃんの舞台どうでしたー?」

 

ジャスミンがエレナに駆け寄り、軽い口調で話しかける。


「まぁまぁね。やっぱり出来損ないは出来損ないだったわ。」

 

エレナは微笑むこともなく、冷たい口調で答えた。その表情は相変わらずの鉄仮面だ。


「無駄話しは終わり。行くわよ。」

 

短く言い放つと、エレナは先頭を切って歩き始めた。



「ガチで嫌いなら、わざわざ見に来ることもないってのにさ…素直じゃないよね〜。」

 

ジャスミンがベルに近寄り、小声で話しかける。


ベルは微笑みながら。

 

「素直じゃないのが、あの人のいいところなのではないですの?」と手を口に添えフフッと笑う 


そして4人は静かにエレナの後を追っていった。



---- 

 


「うちの生徒達のすんごい♡ 演技や演出を絶賛してくれて教員の皆様ありがとん♡ これで本番は間違いなしね♡」

 

ケビンが両手を右頬に添えて、無邪気に跳ね回りながら笑顔を見せる。 


体育館でのゲネプロを無事に終え、教員たちからも絶賛されたサンクチュアリのメンバーはギルド部屋へと戻り、お疲れ様パーティーを開いていた。



「えー、では... ウチから一言…みんなお疲れさーん!明日は頼むでー!ほな、カンパ~イ!」

フェイがグラスを掲げ、いつもの関西弁で乾杯の音頭を取る。


「カンパ~イ!」

一同も声を揃え、楽しげにグラスを掲げた。



乾杯の声が響いた後、賑やかに始まる宴会の中、レイヴンが隣に座るローザに肩を寄せて話しかけた。


「ローザ、1つ言わせてもらう! 私が着るあの王子の衣装、少し派手すぎないだろうか?」

 

少し困惑した様子で、眉をひそめるレイヴン。


しかし、ローザはイタズラっぽい笑みを浮かべてレイヴンの顔を覗き込むようにして答えた。

 

「あら? 衣装に負けてるようじゃ、サンダーガールもまだまだね。」




「やっぱどう考えてもこのレオ様がユウマの父親役なんてクレームものだと思うんだ!」

レオが腕を組み、ふてくされた様子で訴える。


「もっと俺にセリフをくれたってよかったじゃないかー!」

声を大にしてフェイに迫るが、フェイはニヤリとした表情で一言。


「アカン、それ以上は無理」

そうバッサリ言い放ち、フェイは笑い声を上げる。


「くそー、納得いかない!」とレオが嘆く姿を見て、周囲は笑いの渦に包まれた。



 

一方、星獣たちは輪になってシルベスターを囲み、彼が持つ奇妙な魔法具を興味深そうに見ていた。

シルベスターは胸を張り、得意げな様子で魔法具の説明を始める。


「お前達は糖分ばかり欲しがるただの生き物だからな! 俺様が特別に、喉から手が出るほど欲しくなる夢の魔法具を開発したのだ!」


シルベスターは魔法具を掲げ、期待を込めた視線を星獣たちに送る。

 

「さぁー! 欲しがれ! バカどもよ!」


「フハハハハ!」と高笑いするシルベスター。しかし、彼の期待とは裏腹に、星獣たちはまったく反応を示さないのであった。




「ジョンの村人役、とっても素敵だったよ。」

 

少し離れた場所で、グラスを手にジョンをうっとりと見つめるルナが、静かに言葉をかける。


ジョンは顔を赤らめながら答えた。

 

「ルナ先輩こそ...// とっても母親役よかったです... 本当のお母さんみたいで、なんだか未来の姿を見たというか...その...」


ジョンの率直すぎる発言に、ルナは一瞬固まり、その後顔を真っ赤にして視線を逸らした。


そんな二人のやり取りを見つけたルーシーとリンが、すかさず割り込むように近づいてきた。


 


ふわふわのピンクの髪を揺らしながらジュリアが、あざとくミケロスの隣に座り話しかけていた。


「えー、意外♡ ミケロスくんってピザが好きなの?」

 

彼女は皿に盛られたピザを指さしながら、甘い声で問いかける。


ミケロスは少しムスっとした顔で、目を合わせないまま答えた。

 

「ほ、ほっとけ。」


指摘されるのが恥ずかしいのか、はむっと音を立ててピザを頬張る。


ジュリアはそんなミケロスの様子を見て、にっこりと微笑みながら、さらに話を続けた。

 

「ピザが好きなら、私、おいしいピザが食べられるカフェを知ってるんだ! 一緒に行かない?」


その言葉にミケロスは、一瞬目を丸くした後、照れ隠しなのか小さくうなずきながら答えた。

 

「イ、イク...。」



 


「いい? 女は度胸なの!」

 

そう声高らかに宣言しながら、レイラが腰に両手を当てて堂々と立つ。ツインテールの赤い髪はアンテナのようにピーンと立っていた。


その言葉に感化されたのか、ミシェルとキースは二人揃って「なるほどなるほど」と深く頷く。




一方、その光景を少し離れた場所で眺めていたユウマは、

 

「キース先輩、ミシェルとレイラとあんなとこでなにやってんだ...」と独りごちる。


すると、不意にフワッと花の香りが漂い、隣を見るとメリファが二つのグラスを手に微笑んで立っていた。


「隣、座ってもいい?」

 

「どうぞ!」

 

ユウマが慌ててスペースを空けると、メリファは優雅に腰を下ろし、片方のグラスを差し出した。

 

「まずは、お疲れ様。」

 

「どうも。」


二人は軽くグラスを合わせ、小さく乾杯をした。



「どうだった? 初めての舞台で主役をするというのは。」

 

メリファが優しく問いかける。


「正直言って、できることなら誰かに変わってもらいたいです...。」

 

ユウマは照れくさそうに笑いながら答えた。


「そうかしら? 私はユウマくんの演技、好きだけどな~。」

 

「そんなふうに褒めてくれるの、メリファさんだけですよ。」

 

「そんなことないわよ? レイヴンも褒めてたわよ。」



その言葉をきっかけに、ユウマは自分の過去を話し始めた。

 

転生する前、彼はいじめられており、文化祭などの楽しい経験は一度もなかったこと。何かに全力で取り組むこともなかった自分が、今こうして舞台に立つまでの変化について、ぽつりぽつりと語った。


メリファは驚くこともなく、ただその言葉を受け止め、優しく微笑む。

 

「だけど、ユウマくんは今この世界にいるのよ? 過去に縛られず、自分らしく生きなさい... なんて、私が言える立場でもないけれど。」


「メリファさん... 確かにその通りですね。今を楽しめばいいだけですよね。」

 

「そうよ。少なくとも、ここにいるみんなはあなたのことが大好きよ。」


その言葉に、ユウマの目はじんわりと滲んだ。涙をこらえようと天井を見上げたその瞬間、視界に飛び込んできたのは逆さまになったジュリアの顔だった。



「もう♡ 大胆なんだから♡」

 

なにをもってして大胆なのかはわからないが、ジュリアがいつもの小悪魔な笑みを浮かべ、ユウマの背後から覗き込んでいる。ユウマが驚く間もなく、ジュリアは身を乗り出し、そのままユウマの唇に軽く触れた。


「……っ!」

 

上下の感覚が混乱し、ジュリアの笑顔だけが視界に広がる。


「ほら、大胆だったでしょ?」

 

得意げなジュリアに、ユウマは何も言い返せず、ただ頬を赤らめていた。



そんな様子を見ていたレイラとリンが走り寄り、「何やってんのよー!おばさーん!」と声を荒げる。


サンクチュアリの前夜祭は夜遅くまで賑やかに続いた。



[おまけ]



「ヘイヘイヘイ♡ サンクチュアリRADIOのお時間よ〜ん! みんな元気に魔法してる? あたしはいつでもフルマナ状態、ケビンよん♡」



「さてさて、今日のお便りコーナー! 来てるわよ〜、素敵な質問♡ ラジオネーム『ポプリの涙』さんから!」


紙をカサッと広げる音が入り、ケビンがわざとらしく咳払い。


「ケビン先生へ。どうしてそんなにお肌がツルツルで綺麗なんですか? 普通の化粧水やパックじゃ絶対ムリだと思います! 魔法ですか?それとも秘密のアイテムですか?教えてください!」


ケビン、マイクの向こうでドヤ顔。


「ポプリの涙ちゃん、グッドクエスチョン! み〜んな気になるわよね〜、このツルピカ肌の秘密♡ 今日は特別に、教えちゃう! ただし! 企業秘密だから他言無用よん?」


効果音がキラ〜ン☆


「まずね、これがあたしの愛用品! 『マジカル・モイスチャーマスク "月の涙"エディション』よ〜!」


マイクに近づき、秘密をささやくようなトーンで。


「このパック、ただのパックじゃないわよ。なんと素材は月光花の花弁から抽出したエッセンスに、星獣の涙をちょっとだけミックス♡ 魔法陣で月夜の光を24時間浴びさせて完成するの!」



「え? 星獣の涙ってどうやって手に入れるのかって? あら、それはね〜、星獣たちに『お願い♡』って言うの!『ケビンの美のためにちょっと泣いて〜』って!」



「もちろんウソよん! 星獣たちの涙はね、特別な魔法で少しだけ抽出するの。ぜ〜ったい痛くないからご安心を♡」


真剣なトーンに切り替わる。ケビン


「それに加えて、あたしのスキンケアは魔法もフル活用! 『エピックエラディケーション』っていう魔法で肌の古い角質を消し去るの。これ、ちょっと強力だから一般の方にはおすすめしないわ〜。プロの魔法使いじゃないと逆効果になることもあるからね!」


締めくくりにテンションを上げるケビン。


「どう? ポプリの涙ちゃん、これであたしの美肌の秘密がわかったでしょ? 月光のエッセンス、星獣の涙、そして魔法のケア! あたしのお肌が世界一ツルピカなのは、この『三位一体』のおかげってわけ♡」


エンディングの音楽が流れ始める。


「それじゃ、今日はここまで! サンクチュアリRADIO、また次回もお楽しみに〜! ケビンでした♡ チュッ!」


次回![第九十三話、ギンギラギンなアドレナリン] 

第九十二話を読んでくださったそこのアナタ!

次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧

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