[第八十八話、獅子身中の虫]
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「お、お姉ちゃん...」
そう口にしたレイヴン、心がざわつき緊張が走る。
彼女の視線の先には黒髪のセミロングに冷たい金色の瞳、深い藍色のジャケット、同じ藍色のピッタリとしたスラックスに金色のラインと肩章、胸元には大導師のバッジが光る。その存在感は威圧的で、周囲の空気すら支配するようだ。
「今日は学校ではないの? それにここはアンタ達学生が来るところではないと思うけど? なにをしていたのか説明してくれない? レイヴン・アーチボルド」
「私達は...」
言葉を詰まらせながらも口を開こうとするレイヴンを見兼ねたメリファが微笑みながら前に進み、静かに口を開く。
「始めまして、レイヴンから噂は聞いております。エレナ・アーチボルドさんですよね? 私はメリファ、メリファ・ウッドローと申します。」
その名を聞いた瞬間、エレナの表情が一瞬だけ強張った。しかし、すぐに髪をかき上げると冷たい目でメリファを見下し、低く吐き捨てた。
「アンタがレイヴンをたぶらかした売女のメリファね。」
その言葉に反応するように、星獣の姿に戻っていたマヤがズカズカと前に出て、指を差す。
「誰が売女でちって! メリファはそんな女じゃないでち!」
「いいのよ...マヤ...」
ありがとう、となだめるようにマヤの頭を撫でるメリファ。その優しさに場の空気が少し和らぐが、レイヴンの緊張は増すばかりだった。
レイヴンは冷や汗を拭い、なんとか言葉を絞り出す。
「私達はギルドの依頼に来ただけだ。それ以上でもそれ以下でもない。お姉ちゃん、いや... 姉上は何故ここにいる?」
「私? 私は闇ギルドのオブキュラスがこの数ヶ月活発に動いているから、なにをコソコソしているのか気になって動いているだけよ。」
エレナはタバコの箱を胸ポケットから取り出すと火をつけ、一息煙を吐きながら冷たい声で続ける。
「レイヴン、まさかとは思うけれど、オブキュラスと何か関わってないでしょうね?」
「そ、それはどういう意味だ? 私達はただの学生だ。魔王の復活を阻止しようとなど、つまらないことは考えていないさ。」
レイヴンの言葉を聞いたエレナは口元を歪ませ、冷たく笑った。
「魔王の復活を阻止ねぇ...そんなこと私は口にしていないのに、ペラペラと自分から話すなんて、まだまだね。」
その言葉にズキリと胸を抉られたレイヴンは、これ以上話せば全てを見透かされると思い、メリファの手を引いてその場を離れようとした。
背を向けたレイヴンに向かって、エレナは冷たく威圧的な声で告げる。
「秩序を守れない者に未来はない。それがどれだけ善意に基づく行動であろうと、許されない。それとアーチボルトとしての誇りを取り戻せ。それができないのなら、アーチボルト家の名を捨てるがいい。」
その言葉にレイヴンは返事をすることなく、メリファの手を強く握り締め、その場を立ち去った。
「あれれー? 今のって妹さんですかー?」
殺伐とした空気を切り裂くような、場違いに軽い声が部屋の奥から響いた。
黒髪のセミロングに鮮やかなアクア色のメッシュが入った髪。ゴテゴテのネイルが輝き、魔導機構の制服である紺色のジャケットとショートパンツを着こなしているが、胸元にある金色のラインと襟元の装飾が彼女もS級エージェントであることを示していた。彼女はエレナの肩に軽く手を置き、無邪気に微笑む。
「そうよ、私の妹。アーチボルトの出来損ない。」
エレナの冷ややかな声が返る。
「出来損ないには見えんのだが、エレナさんマジ鬼畜すぎーん?」
明るく笑いながら返す彼女。その声色には皮肉も感じられないほどの軽快さがある。
「待って... ジャスミン... 一人にしないで...」
どこか自信のない声色で彼女にすがるように呼びかけたのは、彼女の隣に控えているもう一人の少女だった。黒髪のマッシュヘアで、この場の誰よりも小柄だが、誰よりも大きな荷物を背負っているのが印象的だった。
彼女もまた紺色の制服を身にまとっており、胸元に金色のラインが入ったピンバッジを付けている。彼女はジャスミンとは対照的に、場の緊張感を感じている様子で、おどおどとジャスミンの袖を掴んでいた。
「ごめーん、雪っちが真剣にパソコンをハッキングしてたもんだから、暇になっちゃって~」
ジャスミンは悪びれる様子もなく、軽い調子で手を合わせて謝る仕草をする。
そのやりとりを冷ややかに見つめていたエレナが、容赦のない声で二人に指示を飛ばす。
「無駄話はやめて。周りの死体と周辺を徹底的に調べなさい。いいわね? ジャスミン、白雪。」
指示を受けた二人は、どこか噛み合わない調子ながらも「はい」と返事をすると、それぞれの役割に取り掛かり始めた。ジャスミンは笑顔のまま軽やかに動き始め、白雪はおずおずと彼女の後ろをついていく。
一方、エレナは冷たい金色の瞳で辺りを見回し、胸の中で確信を深めていた。
(やはり、サンクチュアリもこちらに無断で動いていたか…。学生の分際で舐めた真似を。)
彼女はタバコを静かに床に落とすと、虫を潰すようにそれを踏みつけた。
一方、レイヴンとメリファは車に乗り込み、レイヴンの運転で学校へ向かっていた。エンジン音が低く響く中、車内には微妙な沈黙が漂っている。
「姉がお前を傷つけるような言い方をした、すまない。」
レイヴンは、いつものキリッとした顔つきではなく、どこか淋しげな表情でハンドルを握りながら口を開いた。
「大丈夫よ。」
メリファはそっと笑顔を浮かべ、レイヴンの肩に軽く触れる。
「私達の関係はそう簡単に認められるものではないわ。それぐらい覚悟しているから。」
その優しい言葉に、レイヴンの表情が少しだけ和らぐ。
「そうか…。ありがとう、メリファ。」
車の進む先、森の景色が次第に学校へと近づく中、メリファがふと思い出したように口を開いた。
「それよりもレイヴン、お姉さんが言っていたように、魔王のことを魔導機構に話したほうがいいのではなくて?」
「それは…私の判断では決められない。校長と話してからだ。」
レイヴンは短く答える。
「でも、どうして校長は魔導機構に黙って進めているのかしら?」
メリファは疑問を隠さず投げかける。
「さぁな。」
レイヴンはハンドルを少しだけ強く握りしめる。
「それは私にもわからん。ただ、1つ言えるのは校長が魔導機構をあまり信用していないということだ。」
「どうして?」
メリファはレイヴンの横顔を見つめる。
「表向きでは魔導機構とエンチャントレルム魔法学校は協力関係にある。だが、その秩序というものが、校長の考える『どんな人種もどんな人間も受け入れる』という信条にそぐわないのだろうな。」
レイヴンの声には、どこか冷静な中にも熱を帯びた響きがあった。
「でも…私達はただの学生よ。いくら優秀な人材が多いと言われる学校でも、やっぱりプロには及ばないわ。」
「確かにそうだな。」
レイヴンはメリファを一瞥し、小さく頷いた。
「だが、私は校長の考えに賛成だ。」
その言葉にメリファは黙り込み、視線を膝に落とした。レイヴンはそんな彼女を見て、そっと片手を伸ばし、その頭を優しく撫でる。
「心配いらない。私が死ぬ気でお前を守るから。」
その言葉に、メリファはふと顔を上げ、レイヴンの手に自分の手を重ねた。
「それはお互いよ。」
しばらく見つめ合う二人。メリファはふと微笑み、静かな笑い声を漏らした。
「別の話をしましょう。何がいいかしら?」
「そうだな…時期生徒会長と副会長は誰にする?」
レイヴンは冗談めかして話題を切り替えた。
「それ、面白いわね。」
メリファの顔が少しだけ明るくなる。
「私とレイヴンの後を継ぐ人だもの。完璧でないと困るわね。」
「だったら2年生からは難しいな。」
レイヴンは小さく笑い、ハンドルを切る。
「キーちゃんが生徒会長は無理ね。ルーシーちゃんが妥当だと思うけど、それだと副会長が誰になるか問題ね。」
メリファは頭を軽く振りながら答える。
「案外、1年のリンが生徒会長で副会長がレイラのほうが、まとまりとしては良さそうだがな。」
レイヴンの提案にメリファも同意するように頷いた。
「確かに…それが一番いい案ね。フフフ。」
二人はそんな他愛もない会話を楽しみながら、学校へと車を走らせていくのだった。
[おまけ]
さんくちゅありのメイキング♡ Vol.15
「へくちゅん!」
女の子らしく可愛い声でくしゃみをするレイラ
そのくしゃみに反応するようにレイラに言葉をかけるのは今日の差し入れ担当のルーシーだ
「風邪ですか?」
「多分違うと思うんですけど、誰か噂でもしてるのかしら...」
レイラがズビーと音を立て鼻水を吸い込む
「噂されるということは誰かに想われてるという証拠ですね」
「いい噂ならいいけど、嫌な噂ならたまったもんじゃないわ!」
そんな2人の前を変なテンションで通り過ぎていくフェイとキース
「見える、見えるで... 時期、生徒会長が誰か」
水晶玉を片手に持ち目を閉じながら歩くフェイと不安そうにフェイについていくキース
「誰が、生徒会長になってる? 教えてフェイ占い師」
「これ以上見ようと思ったら、ウチには糖分が必要やキース!売店でいちごと桃のフラペチーノ買ってきて!」
「りょうかーい!」
そんなやり取りを見ていたレイラとルーシーが一言ずつ
「絶対騙されるタイプでしょ、キース先輩」
「ですね」
次回![第八十九話、女王様の過去]
第八十八話を読んでくださったそこのアナタ!
次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧




