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[第八十七話、女王様にしごかれるのも悪くない]

毎週、月、水、土、絶賛更新中!!


高評価にコメントも頼んまヾ(*’O’*)/す〜

レビューなんかもしてもろたら涙ちょちょぎれますわん


どうぞよろしゅうに〜


9/25


マジカラビアから5分ほど歩いた歓楽街スターリット・ウェイを抜け、さらに車で20分ほど走った先にぽつんと佇む施設がある。無機質な鉄の外壁が朝日を弾き返し、辺りには人気がない。その施設の内部に、慎重な足取りで入り込む影があった。


「ここか...オブキュラスの駒どもが寝ぐらにしているというのは。」


暗闇の中、低く響く声が聞こえる。黒革のグローブを歯で引き下げ、しっかりと手に馴染ませるレイヴン


「駒だなんて...フフフ、この人たちは自分がオブキュラスの一員だと信じているんですもの。そんな言い方、少し酷じゃないかしら?」


レイヴンの後ろから聞こえる妙に落ち着いた声色、メリファはどこか気品を感じさせる佇まいで、整った髪をそっと撫でながらレイヴンを見つめる。


「さっさと済ませて帰るぞ。」

 

レイヴンは振り返りもせず「今日はユウマと殺陣の練習をする約束をしているんだ。」と言った。


「本当に仕事熱心ね。でも大丈夫、準備はできているわ。」

 

そう答えるメリファの手元には、すでに本が構えられていた。隣には、彼女の星獣マヤが小さな少女の姿から大人の美しい神獣の姿になり美しく佇む。その隣では同じく神獣と化したリュカが鋭い目を光らせている。


「マヤ、準備はいいぎゃ?」

 

「おっけーでち!」

 

マヤの声が明るく響くが、その声のトーンはどうにも幼さが抜けきらない。


「神獣になった時くらい、もう少し大人びた話し方ができんのか。」

 

レイヴンはジト目でマヤを見つめる。大人びた容姿と幼い話し方のギャップに、呆れたような表情を浮かべた。


「いいのー! マヤはマヤなんでち!」

 

マヤの返事に、メリファはクスクスと笑う。


「さっ、そろそろお喋りは終わりよ。」


メリファの言葉に軽く頷くと、レイヴンは一度だけ深く息を吸い込み、鋭い目で施設の奥を見据えた。


「ここからなら上手く学園に侵入することができそうだな。」

 

ニタニタと不気味な笑みを浮かべながら地図を指さす、生気のない顔の男。その目はギラギラと執念に燃え、薄暗い室内にその異様な存在感を漂わせていた。


「あぁ、ではダミアナ様に報告を…」


別の男が次の指示を出そうとしたその瞬間――


バン!


勢いよく鉄の扉が開き、音が室内に反響した。驚いた男たちは反射的に一斉に杖を構える。


「いきなり人に杖を向けるとは、礼儀も知らんようだな。」

 

レイヴンの静かに、だがどこか冷たい声が響く。


「お前ら、誰だ!」


男の問いかけに、レイヴンは堂々と口角を上げた。


「 私達は、ギルド、サンクチュアリの人間だ!」


「サンクチュアリだと!」

 

言葉を失いかけた男たちの中から、一人が声を荒げる。「まさかダミアナ様がおっしゃっていた…」


言葉を遮るように、別の男が怒りの声を上げた。

 

「サンクチュアリだろうがなんだろうが、魔王様の復活を止めさせやしない!」


荒々しく杖を振ると、男の足元に複雑な模様の魔法陣が展開される。その周囲から、不気味な緑色のゴブリンが次々と姿を現した。鋭い牙をむき出しにし、手には大きな出刃包丁を握っている。


それに続くように、他の男たちも次々と魔法陣を展開する。室内は瞬く間に出刃包丁を持つゴブリンで埋め尽くされた。


「ふぅ…やれやれ。」

 

呆れたように肩をすくめるレイヴン。


「レイヴン、やるだぎぁ!」

 

リュカが鋭い瞳でゴブリンたちを見据える。


「じゃあマヤがサポートするでちー!」

 

マヤは手を上げながら意気込む。


「私も〜」

 

メリファは本を構え軽やかな声で詠唱した。

 

『ブルームブースト』


詠唱の後、柔らかな光がレイヴンたちを包み込み、一瞬で彼女らの動きが鋭さと速さを増す。 

 

レイヴンは、髪をかき上げながら呟いた。「普段ならメリファの支援魔法で十分なのだが…今日は少し暴れたい気分だ。」


雷神顕現!(ライジンケンゲン)

 

力強く詠唱した瞬間、レイヴンの全身が青白い稲妻で覆われた。電光が彼女の瞳に宿り、その圧倒的な威圧感が室内全体を支配する。


「その呪文を使うなら制限時間は5分よ、レイヴン。」


「心配しなくても5分以内で終わらせてやるさ。」

 

静かだが力強い声でそう言い放つと、レイヴンは一歩踏み出した。足元に火花が散り、空気がピリピリと張り詰める。


「ひ、怯むな!かかれー!」

 

男たちは一瞬レイヴンの鬼気迫る威圧感にたじろいだものの、すぐさま気を取り直し、ゴブリンたちに命じた。


出刃包丁を持った緑色のゴブリンたちが一斉に襲いかかる。数で圧倒しようという魂胆だ。


だが、その群れの前に立ちふさがったのは、雷で逆立った漆黒の毛並みが特徴的なリュカだった。


「お前ら如きが、俺たちの前に立ちはだかるだぎゃ!」


リュカは稲妻のようなスピードで動き、目にも止まらぬ速さでゴブリンたちを次々と噛み砕いていく。その顎の力は恐ろしく、一度捕らえた相手を決して逃がさない。


ゴブリンたちは次々と襲いかかるが、その刃がリュカの体に触れることすらない。彼の動きはあまりにも速く、刃が空を切る音だけが虚しく響いた。


「この俺に触れるなど千年早いだぎゃ!」


リュカは鋭い爪を立てると、その爪先に雷を宿し、『雷霆爪烈撃(らいてつそうれつげき)』と瞬時に詠唱した。


激しい雷鳴が轟き、雷を纏った爪が閃光を放つ。その爪が一閃されるたびに、ゴブリンたちは無残にも地面に倒れ伏していった。雷の力が彼らの体を焼き焦がし、周囲には焦げた臭いが立ち込める。


レイヴンもその後に続いた。青白い稲妻を纏った彼女の動きは、まさに雷神そのものだった。



レイヴンは次々とゴブリンの首を掴むと、その力強い手で柔らかい紙をくしゃくしゃにするかのように捻り潰していく。


雷の閃光が室内を照らし、ゴブリンの断末魔の声が響き渡る。


「リュカ!次は左を頼む!」

 

「了解だぎゃ!」


雷光と共に動き回る二人の連携は完璧で、ゴブリンたちは一匹、また一匹とその命を散らしていった。


部屋の中はまるで雷の嵐が吹き荒れる戦場と化し、男たちはその光景に目を見開き、恐怖で後ずさることしかできなかった。



私のレイヴン凄いでしょ? そう自慢するように微笑みながら戦場を眺めていたメリファ。その柔らかな表情に、1人の男が目を光らせた。


「あの、ニヤニヤしてる女ならやれそうだ!行くぞ!お前ら!!」


鋭い指示が飛び、男たちは一気に動き出した。気づけば、メリファとマヤの周囲はあっという間に包囲されていた。


「な、なな! 卑怯でち! 乙女2人にこんな大勢の男が群がるなんて!」

 

マヤは慌てて声を上げたが、男たちはまるで耳を貸すつもりもない。


「うるせぇ! 戦場に男も女もねぇんだよ!」


一斉に雄叫びを上げる男たち。杖を振り上げ、口々に呪文を詠唱し始める。空気が不穏に揺れ、魔法の力が収束していく気配が漂う。


だが、メリファはその中で微動だにせず、ただ静かに微笑んでいた。

 

「そうよね、戦場に男も女もないわよね... フフフ、じゃあちょっとだけ本気出しちゃおうかな?」


そう言うと、彼女はそっと呪文を紡ぐように呟いた。

 

『ルクリリウム』


その言葉と共に、彼女の手元に現れたのは輝く銀の短剣だった。その刀身はまるで月光を閉じ込めたかのように淡く輝いている。


「ふざけた女だ!」

 

「今のうちに叩き潰せ!」


男たちはさらに勢いを増して詠唱を続けるが、メリファは気にする様子もなく短剣を軽く構えた。そして、ニッコリと微笑む。


その瞬間だった。


短剣を胸元で交差させたかと思うと、彼女の動きが一瞬静止する。その場にはまるで、つぼみが開く寸前の緊張感が漂う。


そして


短剣を逆手に持ち替え、手首を返し、順手に構えた、彼女の身体が軽やかに回転し、閃光のような斬撃を繰り出した。


スパッ、スパッ、スパッ。


耳をつんざくような音も、派手な爆発もない。ただ、銀色の閃光が花びらのように舞う。そして、その軌跡は見る間に男たちの身体に無数の傷跡を刻んでいく。


斬撃が終わる頃、そこには白銀の花弁を思わせる軌跡が残されていた。


男たちは一斉にその場に崩れ落ちる。地面にはまるで散った花びらのように、血の痕が点々と舞い落ちている。


メリファは静かに短剣を収めた。その仕草は、あまりにも優雅で、戦場の光景とはあまりに不釣り合いな美しさを漂わせていた。


「綺麗な花には棘があるって言葉、ご存知ではなかったみたいね。」


妖艶な微笑みを浮かべながら、メリファは静かに呟いた。その声は、まるで戦場に咲いた冷たい花のように響いた。


男たちの叫びも、魔法の詠唱も、もはや聞こえない。ただ、戦場には静寂と死の余韻が残るだけだった。



「ひぃーお助けー!」


運良く生き残った1人の男が、必死の形相で逃げ出そうとしたその瞬間、レイヴンの鋭い蹴りが男の足元を捉えた。




無様に地面に這いつくばる男の顔を、レイヴンのブーツが無慈悲に踏みつける。その姿は冷酷でありながら、どこか女王の威厳を漂わせていた。


「魔王はどこにいる?」


冷たい声が男を震え上がらせる。


「し、知らねぇ! 俺達はただの雇われ兵士だ! 魔王様の居場所なんてしら...」


「嘘をつくな... 話せ、さもないと顎の骨もろとも砕く。」


レイヴンのブーツがさらに男の頭を押さえつける。男は悲鳴を上げながら必死に弁解した。


「ほ、ホントに知らねぇんだ! 今回だってダミアナ様に雇われて、エンチャントレルム魔法学校に侵入するための通路を確保するだけの簡単な仕事だったんだよ!」


「では、何故お前達がこのような場所を寝ぐらにしているという情報がこちらに入ってくる?」


「憶測だが、恐らくお前達を撹乱させるために撒かれたタネの一部なのかもしれねぇな!」


「なるほど。」


一瞬、レイヴンは考え込むように視線を下げた。


「納得したなら、さっさとこの足をどけてくれ! 女王様プレイは嫌いじゃないが、子供にされるのはなんか違う!」


その言葉に、レイヴンの眉間に深いシワが刻まれる。


「こんな状況でよくもそんなことを...!」


レイヴンが怒りを込めて言葉を続けようとしたその瞬間、男の頭が突然風船のように弾け飛んだ。


ブシャッ!


赤黒い血と肉片が飛び散り、レイヴンの美しいブーツを赤く染める。


「誰だ!」


振り返りながら雷を手に宿し構えるレイヴン。その視線の先には、見覚えのある姿が立っていた。


「お久しぶりね、レイヴン。」


静かで穏やかな声が、血の臭いに満ちた空間に響く。


「お、お姉ちゃん...」


 

[おまけ]


さんくちゅありのメイキング♡ Vol.14


「ふにゅ... 疲れたにゅ...」


パタパタと小さな黒い羽でカメラの前に現れたのは淡い色の青髪が特徴的なミケロスの星獣エシャ


小さな手で器用に温かいお茶を注ぎ一服しているとそこにエメラルドの髪色が美しいメリファがやってきた。


「あら? エシャちゃんお疲れ様」


「お疲れ様ですにゅ」


「どうしたの? なんだか凄く疲れてるようだけど」


「実は... 最近妹のアイシャちゃんのワガママっぷりが酷くて、お姉ちゃんとしては可愛い妹の言うことを聞いてあげたいけど、それも限界があるにゅ」


にゅにゅ... とうつむき加減に疲れを見せているエシャにメリファはとってもいい笑顔と、とっても優しい声で言葉を述べた


「妹や弟なんて少しだけ痛い目見せてあげるとすぐに言うこと聞いてくれるわよ♪ そうね〜? 例えば...」


早口で慄くような事を淡々と話すメリファを魔王を見るかのように見続けるエシャであった。



次回![第八十八話、獅子身中の虫]

第八十五話を読んでくださったそこのアナタ!

次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧

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