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[第八十五話、回遊魚のクセに、同じ海が恋しくなる]

毎週、月、水、土、絶賛更新中!!


高評価にコメントも頼んまヾ(*’O’*)/す〜

レビューなんかもしてもろたら涙ちょちょぎれますわん


どうぞよろしゅうに〜


9/23


「もう帰っちゃうの? レオくん」

 

低く甘い声がベッドの上から響く。振り返れば、サラサラの金髪、透きとおる白い肌をシルクのシーツ一枚で隠すお姉さんが、眩しい朝日を背に微笑んでいた。


「今日は学校だからさ」

 

俺は軽くウィンクしながら答える。

制服に着替えていると、ふと視線が自分の腹筋に落ちる。綺麗に割れたシックスパック。ん〜俺の体ってやっぱ最高だ。思わず腹筋を撫でて、軽く自画自賛。


「また遊びにきてね♡」

 

お姉さんは唇に指を当て、名残惜しそうに俺を見送る。まるで絵画みたいだな、なんて思いながら、俺は振り返りざまに手を振った。


「バ〜イ♡」

 

短い別れの挨拶を残し、俺は部屋を出た。


階段を颯爽と降り、ガレージで待つ純白の愛車に向かう。この車、ユウマいわく転生前の世界で例えると「ロールス・ロイス レイス」ってやつと同じくらいすごいんだって。まっ俺には名前なんてどうでもいいけけどね。


キーを回し、エンジンをかける。低くうなるエンジン音が、朝の静けさを一瞬で切り裂く。さて、今日も学生としての日常が始まるわけだ。


俺の名前はレオ・デューク。知ってるだろ、この名前。まさか知らないなんて言わないよな?

デュークってのは、そう、あの「デューク・シルバークロウ」の末裔、俺の超じいちゃんはこの世界を救った伝説の魔法使い。魔王を封印して、エンチャントレルム魔法学校を創立した、超偉大な人物だ。デュークの血筋ってだけで、この学校じゃ注目の的。そりゃそうだろ、俺みたいなイケてる奴、滅多にいないんだから。


セレブで、ハンサムで、学校でもトップの成績。魔法調査団の隊長って肩書も持ってる。正直、世の中の大半の人間には、この「レオ様」の輝きはまぶしすぎるんじゃないかって思うよ。


俺が大事にしてる生き方それは自由。好きなことを好きなだけする。それが俺の流儀だ。だからこの車も、自由の象徴みたいなもんだ。乗ればどこだって行ける、誰だって連れて行ける。素晴らしいだろ?


そんなことを考えてたら、もう学校の門が見えてきた。さて今日も一日、楽しませてもらうとするか。


 


ご機嫌な鼻歌を軽く口ずさみながら愛車から降り立ったレオ。陽射しがキラリと彼の金髪を照らし、まるで彼が主人公であるかのような堂々とした登場だった。


「おはようございます、レオ先輩。」


澄んだ声が背後から響くと同時に、レオの肩がビクリと揺れた。反射的に振り返ると、そこには整った制服姿のルーシー。片手でノートを抱え、もう片方の手は腰に当てられている。彼女の落ち着いた瞳がレオをまっすぐ射抜いていた。


「あ、おはよう! ルーシー、今日も相変わらず可愛いなー。」


レオは自然な笑みを浮かべてさらりと言うが、その声にはどこか焦りの色が混じっていた。


「朝からそんなつまらないジョークは必要ありません。それより、昨日はギルドに顔を見せなかったですが、何をしていたのです?」


ルーシーは微妙に目を細め、腕を組み。どこか尋問じみた威圧感が漂っている。


「え、えっと…アハハハ…ちょっと、用事があってさ。」


目を泳がせながら言い訳を絞り出すレオ。その挙動を見たルーシーはため息をつきながらも鋭い視線を緩めることはなかった。


「嘘ですよね?また女の子と遊びに出かけたんでしょう?それくらい僕だって分かります。」


ズバリ言い当てられたレオは目を見開き、慌てて手を振った。


「わ、分かった! その話は放課後に聞くってことでさ…じゃ、じゃあな!」


ルーシーから逃げるようにピューンと校舎の方へ駆け出すレオ。その背中を目で追いながら、ルーシーは首をかしげてつぶやいた。


「なんか変なの。」


その声にはほんの少しだけ、呆れと疑念が交じっていた。


(どうした!俺!なんで逃げる俺!やっぱそうなのか!?そうで間違いないのか!?)


廊下を猛ダッシュで駆け抜けるレオ。しかし、その足を止める雷のように鋭い声が響く。


「廊下を走るな!レオ・デューク!」


「いっ!レ、レイヴン…」


振り返ると、黒いマントについたファーが威圧感たっぷりに揺れ、その下から伸びる生足とミニスカートが目に飛び込む。ブーツのヒールが床を鳴らしながら、レイヴン・アーチボルドが近づいてくる。エンチャントレルム魔法学校の絶対的女王であり、生徒会長にしてギルド・サンクチュアリのリーダー。彼女の憤激した視線がレオに突き刺さる。


「3年生にもなって廊下を走るとはどういうことだ?レオ。」


静かながらも威圧感を伴う声に、レオは縮み上がる。レイヴンが近寄り、その左手をレオの肩に回した。


「いや、その…朝から色々あってさ。」


「そんなことは言い訳にはならん。私たちは3年生でギルド・サンクチュアリのメンバーだ。そしてお前は魔法調査団の隊長。その意味、分かっているよな?」


「わかる…わかるから、そ、その右手に雷の魔法を宿すのやめてもらえないっすかね…。それ、恐喝になりません?」


「恐喝だと!?この私が?」


レイヴンの目が一層鋭くなり、雷の魔力がバチバチと右手に集まり始める。その瞬間、さらに冷静で余裕のある声が廊下に響いた。


「恐喝よ、レイヴン。何をそんなにカリカリしてるの?もしかして昨日、私の家に泊まれなかったかしら?」


澄ました表情で余裕たっぷりの声を発したのは、エメラルドグリーンの美しい髪を揺らしながら近づいてきたメリファ。整った顔立ちで、ほんの少し意地悪げな微笑みを浮かべている。


「おはよう、レオ。」軽く挨拶をしながら、メリファはレオの横をすり抜けて教室に向かう。


「ま、待ってくれー!メリファー!」

 

さっきまで鬼神のようだったレイヴンが一転、大型犬のように尻尾を振りながらメリファを追いかけていく。その姿を見送って、レオは安堵の息をついた。


 


「えーですから、3年生のみんなには卒業後どういう進路に進みたいかを明確にしてもらうために今日は――」


ガイ先生の言葉が、全然頭に入ってこない。黒板の文字が視界の端でぼやける。机に肘をつき、俺は視線を窓の外に向けながらため息をついた。


(ダメだ、集中できねぇ。)


何故だろう。あの合宿でルーシーに告白され、俺は断った。それで一時期、妙に気まずい空気が漂ったけど、最近ようやく元通りになった。いや、それ以上かもしれない。危機的状況で契約することになったし、ルーシーはいつも通り真面目で面倒見がよく、副隊長として俺よりギルドをしっかりまとめてくれている。


それなのに、最近俺自身がおかしい。アイツが他の男の団員と話しているのを見るだけでムッとするし、どうしようもない嫉妬心みたいなものが湧き上がる。しかも、舞台の役でルーシーは重要な役に選ばれて、それ以来、俺たちの会話の頻度が減った気がする。いや、確実に減った。


以前は、俺がうんざりするほど気を配ってくれていたのに、最近はなんだか冷たいっていうか、忙しそうで俺のことなんか見えてないみたいで…。


(だからか?だから俺はこんなに気になってるのか?)


俺がアイツを見ると、他の女の子たちには感じたことのない感情が生まれる。もっと俺を知ってほしいとか、もっとアイツのことを知りたいとか。これまで一目惚れして夢中になる恋はあったけど、こっちから振っておいて、今度は俺が気になるなんて…。


(だぁぁぁぁ!もうなんなんだよ!)


机に伏せるように頭を抱えた俺の姿を、隣の席のやつがちらりと見た気がしたけど、もうどうでもいい。俺は今、このわけのわからない感情の渦から抜け出せなくなっている。 


--昼休みでごわす--

 

「それはきっとLOVEね。」


日差しがポカポカと暖かい芝生の上で、ローザが指を立てながら笑顔で断言する。彼女の言葉に、周囲にいた仲間たちがそれぞれの反応を見せた。


「フハハハ! 傑作だな。レオ、自分からナイフを突き立てておいて、今度はそのナイフを自分から抜こうってか? 動物とは実に愉快な生き物だ!」


豪快な笑い声を響かせながら、シルベスターが卵焼きをつまむ。


「それで、どうするつもりだ?」

 

学食で買ったパンを片手に、冷静な口調で問いかけるレイヴン。


「どうするって言われても…俺自身、よくわからなくてさ。アイツ、最近なにか俺のこと言ってなかったか? ほら、レイヴンは王子役だし、メリファも姫役だからルーシーと接する機会が多いだろ? なんか情報ない?」


レオが曖昧な声で尋ねると、隣でお茶を啜っていたメリファが楽しそうに口を開いた。


「んー、直接的には聞いてないけど…妙なことは言ってたわよ。」


「なになに!? どんなこと!?」


身を乗り出すレオの姿に、メリファはフフフと上品に笑いながら続ける。


「なんだか最近、レオ先輩の様子がおかしいって。フフフ…もしかしたら、もうバレてるかもね?」

 

フフフ、オホホホと楽しそうに笑うメリファの声に、レオは頭を抱える。


「それはそれで困るんだけどな…」


頭をぐしゃぐしゃとかき回すレオの姿を見たレイヴンが、冷静な声でピシャリと言い放つ。


「私達に相談したところで解決するなら、そこまでの気持ちだったってことだろ。それが嫌なら、自分でなんとかしろ。いつものお前みたいに、他の女を誘うノリでドライブでも誘ってみるんだな。」


彼女の厳しくも的確な助言に、レオは一瞬言葉を詰まらせる。


「ドライブか…。まあ、それならできるかもな。」


その後レイヴンとメリファは二人の時間を作るために去り、シルベスターもギルドの用事があると言い残して立ち去っていった。芝生の上にはレオとローザ、二人だけが残る。


気まずさを隠しきれないレオは、そそくさとその場を後にしようと立ち上がった。


「じゃあ俺もそろそろ…」


その瞬間、ローザが柔らかい声で遮る。


「まだ気まずいと思ってるのは、プレイボーイのほうだけよ?」


ゆるふわに巻いた髪を指先で弄びながら、彼女はレオを見上げて微笑む。その視線には、すべてを見透かしているような余裕があった。


「うっ…バレてたか。」


レオは苦笑いを浮かべながら、仕方なくその場に座り直した。


「私はもうYOUになんの未練もないわよ。」

 

ローザはさらりと言うと、芝生に伸ばした足を揺らしながら続けた。

 

「だって今はボーイに夢中なんだから。」


「そうか…そうだよな。」


レオは短く答えたが、どこか言葉の重みを感じるように目を逸らした。


沈黙が二人の間に流れる。心地よい風が芝生を撫でる音だけが響く中、レオは口を開いた。


「なんでさ、ユウマのことが好きになったんだ?」


唐突な質問に、ローザは少しだけ眉を上げた。

 

「いきなりどうしたの?」


「いや、俺が言うのもなんだけどさ…ユウマは年下だし、特になにか秀でてるわけでもない普通の男だろ? なんで好きになったのかなって思ってさ。」


レオは悪気があるわけではなかった。ただ純粋な疑問として言葉を紡いだのだ。しかし、そんな彼の問いに、ローザは一瞬だけんーと考え込むような仕草を見せた。


「普通ではないわよ、あの子。」

 

そう言って、ローザは静かに微笑む。

 

「確かにみんなから見たら、ただの転生してきた男にしか見えないかもしれない。でもボーイはね、とっても純粋で、自分に素直な子だと思うの。少しばかり、いや…かなり流されやすいから、素直には見えないだろうけどね。」


「そうか…」

 

レオは腕を組み、目を細めながらローザの言葉を反芻するように頷いた。


少しの沈黙の後、彼はふと視線をローザに戻し、苦笑いを浮かべながら尋ねた。


「じゃあさ、俺と付き合ってたときの俺の印象は?」


その問いに、ローザは少しだけ目を伏せたあと、また顔を上げる。


「貴方の印象は今と変わらないわ。」

 

彼女の声は穏やかで、けれどどこか突き刺さるような鋭さも持っていた。

 

「自信があるように見えるけど、本当は誰よりもその“デューク”っていう重い鎧を脱ぎたくて仕方ない。でも、すべてを投げ捨てることはできないから、成績も功績もしっかり残そうとするのよね。」


レオは何も言えずに俯いた。


「例えるなら、自由な海を泳ぎ回れてると思い込んでる水槽の中にいる回遊魚かしら?」


レオは自分の膝を見つめたまま、小さく息を吐いた。

彼女の言葉が的を射すぎていて、反論する余地もなかったからだ。


[おまけ]


さんくちゅありのメイキング♡ Vol.12


ヒソヒソと固まるように円になり話すレオとユウマそしてジョン 


「いいか、男には取得しなきゃならん技があるんだ」


「というと?」


「……」 


前のめりに聞くユウマと沈黙のジョン


「女の子を抱くとき下着を脱がせるか自分で脱いでもらうか悩んだことあるだろ? だが女の子はみんな好きな男に甘い雰囲気を保ちながら瞬時に下着を脱がせてほしいもんだ」


「マジっすか」


「……」


さらに前のめりなユウマと沈黙を続けるジョン


「あぁ、いまから俺がデュークの名にかけてこの秘技を教える... 今度実戦してみるといい」


キラーンと眩しい歯を見せ笑うレオ


「だったら、ジョンお前今日ルナ先輩の家に泊まるんだろ!? せっかくだこの技を教えてもらえよ」


「僕...できるかな...」


「絶対できるさ! なんたってサンクチュアリのメンバーなんだから! んじゃ、まずは雰囲気作りからな...まずはこうして……ああして……」


レオよお前は一生デュークとサンクチュアリの名を語るな


次回![第八十六話、好きって言葉にするの難しい]         

      


 

第八十五話を読んでくださったそこのアナタ!

次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧

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