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[第七十九話、舞台監督は辛いよ EP1]

毎週、月、水、土、絶賛更新中!!


高評価にコメントも頼んまヾ(*’O’*)/す〜

レビューなんかもしてもろたら涙ちょちょぎれますわん


どうぞよろしゅうに〜


9/12

 


「カットー!カットー!」


フェイの声が体育館に響き渡った。メガホンを握りしめた彼女は、椅子から勢いよく立ち上がると、ズカズカと舞台に向かった。その足音が舞台の木の床に響くたび、キャストたちが一瞬動きを止める。


舞台の中央にいたリンは、フェイの鋭い視線に肩をすくめた。


「照れたらアカンやん、ここのセリフはもっと妖艶に言わな!」


フェイはリンを見据えながら、手を軽く振り上げて強調する。しかし、リンはしゅんと小さくなり、消え入りそうな声で答えた。


「ご、ごめんなさい……」


その姿を見たフェイの心がちくりと痛む。ああ、また言い過ぎた――そう思った瞬間、慌てて手を振りながらフォローを入れる。


「ちゃ、ちゃうねん!怒ってへんねん、だからそんな悲しい顔しやんといてーな」


「はい……」


リンの小さな返事がかすかに聞こえた。フェイは内心胸を押さえながら、舞台を降りる。そして、そんな様子を見たユウマがさりげなく近づき、リンの肩を軽くポンポンと叩く。


「大丈夫大丈夫、リンならできるって」


ユウマのその一言にリンの表情が少し和らぐ。だが、その光景を横目で見たフェイは少しだけ口を尖らせ、心の中でつぶやいた。


(なんやなんや、うちが悪者みたいやないの……うちにも優しくしてよユウマのバカちん)


自分に向けられる優しさがないことに、少し拗ねた気持ちになりながらも、フェイは再び監督椅子に戻ろうとした。


その時、舞台袖からレイヴンが歩み寄ってきた。冷静な瞳でフェイを見つめると、彼女はあっさりと切り出す。


「フェイ、6章以降の話しはできているのか?」


「ギ、ギク!」


フェイは思わず声を詰まらせる。さっきの自信ありげな態度はどこへやら、視線をさまよわせながら答えに窮する。


「え、えっと……まだ……」


レイヴンは眉間にしわを寄せ、深々とため息をついた。


「お前な……早く脚本を作らないと私たち役者側は稽古が進まんだろう」


フェイは申し訳なさそうに頭を下げた。


「す、すみません……」


レイヴンはその様子を見て、声を張り上げ次の指示を出した。


「少し休憩にしよう!」


その言葉を聞き、キャストたちは一斉に舞台を降りて、各々の休憩時間を過ごし始めた。



フェイは監督椅子に腰を下ろしながらため息をついた。


(休憩しよかーとか、本来なら監督であるうちがやるべきことやのになぁ……)


ちらりと舞台袖を見ると、ジュリアやシルベスターがせわしなく舞台の調整をしている。ホッパーやヤマトマルといった星獣たちもそれぞれの役割を果たそうと、忙しく動き回っていた。


「見てみて!グルグルライトルー!」


ホッパーが嬉しそうにタブレットで照明をいじり始める。


「あー!ホッパーそんなことしたらダメでしょー!」


ジュリアの声が響く。


「ジュリアちゃーん、こんな音楽はどうでござるか?」


ヤマトマルが自慢げに音響のボタンを押すと、突然場違いなリズムの音楽が舞台に流れた。


「ちょっと待ってね!ペンドルトン、ヤマトマルの音響見てあげて」


「了解ロン」


ペンドルトンは冷静に対応し、機材を調整していく。


そんなにぎやかな様子をフェイはぼんやりと眺めていた。みんながそれぞれの持ち場で一生懸命になっている姿を見て、なんとなく心がざわつく。


(うちもなんか監督らしい仕事しやな……)


そう思いながら、フェイは立ち上がり、シルベスターのもとへ向かった。緊張で少し震える手を握りしめながら、恐る恐る声をかける。


「シルベスター先輩……ちょっとお伺いしたいことがあるんですけど……」


「なんだ?」


シルベスターが顔を上げ、フェイを見つめる。その視線にフェイは背筋をピンと伸ばし、心臓の鼓動が早くなるのを感じながら口を開いた。


「実はですね、ユウマ達が暮らす村人の家の瓦屋根があまりにも綺麗というか…なんというか」


「そうか?あー、たしかに…もう少し汚れてるほうがいいのか?」


「は、はい!あと、ユウマが使ってる小道具がめちゃくちゃ綺麗なんも違和感が凄いんです」


「ふむ、なるほど……直しておこう」


短くそう言い切るシルベスターの返事に、フェイはほっと胸をなで下ろすと同時に、緊張が再び襲ってくる。ぎこちなくペコリと一礼してその場を離れると、監督椅子へとそそくさと戻っていった。


椅子に腰を下ろすなり、フェイは頭を抱えるようにしてつぶやく。


「あー!緊張で死ぬか思ったわー! あのドSに話しかけるんが一番怖いわ…ていうか3年生全員怖いってどないやねん…」


椅子のドリンクホルダーに差してあった冷たいペットボトルを取り出し、一気に飲み干す。その冷たさが喉を通り、少しだけ落ち着きを取り戻したフェイは、深呼吸をしてからソサマを起動する。脚本作りのため、頭をフル回転させる時間だ。


  


休憩の時間は終わり舞台の練習が再開され、フェイは再び真剣な眼差しを舞台に向けた。


アダム(レオ)

(低い声で、ゼノンに語りかける)

「ゼノン…お前が出発するのは分かっていたが、やっぱり実感が湧かんな。」


ゼノン(ユウマ)

(顔を上げて父親を見つめ、少し照れくさそうに笑う)

「なんだよ父さんも心配してるのか?でも……」


アダム(レオ)

(しばらく黙ってゼノンを見つめる。無言の時間が流れる中、アダムの目にはわずかな優しさと寂しさが浮かんでいる)

「…お前がどんな道を選んでも、父さんはお前を信じてる.......ごめんなさい忘れた」



突然、フェイがメガホンを取り、大声で叫ぶ。


「ユウマ!アンタもセリフ飛んでるで!なんだよ父さんも心配してるのか?でも、じゃなくて、もう決めたんだ。俺は行くよ、のセリフも忘れてる!」


「さーせん!」


頭を下げるユウマの後ろで、レオが苦笑いしながら肩をすくめる。


「後、レオ先輩!息子が旅立つときにヘラヘラしすぎや!」


「いやいやだってこれ練習だろ? しかも俺このセリフ言うの今日が初めてだぜ?」


気楽そうに答えるレオに、フェイは眉をしかめて怒声を飛ばした。


「ここしか出番ないんやから!なんぼでもセリフ覚えられる時間あったでしょ!」


すると、黙って見ていたレイヴンが静かに立ち上がり、大きな声で指示を出した。


「ユウマ、お前はセリフを覚えようと覚えようとするから抜けるんだ。もっと柔軟になってゼノン自身になりきって演じてみろ。何故ゼノンが行くことを決めたのか、それを考えるんだ。そしてレオ……ヘラヘラしてしまうならユウマを女だと思え。お前は真剣に落としたい女がいるとき、ヘラヘラするか?しないだろ?そういう気持ちでやってみろ!」


レイヴンの的確かつユーモアを交えたアドバイスに、ユウマとレオは「なるほど!」と頷き、表情を引き締める。真剣さが漂い始めた二人を見たフェイは、胸の奥が締め付けられるような気持ちになった。


(これが本物の指導や……うちなんかよりよっぽど監督できてるやん...)


彼女はその場で、強く血が出るほど唇を噛みしめる。





自宅に帰ってからも、フェイの頭の中は脚本や進行、演出のことでいっぱいだった。


「6章は確か原作通りやとゼノンとジークハルトが出会い、そして意気投合して2人で姫を救いに行こうって決めるんやったと思う...じゃあ逆にここでゼノンとジークハルトを対立させて……あーでもそれやったら占い師のセリフ全部変えやんなアカンな……そないなったら照明もやけどセットのオーダーも早めに言うとかなアカンやん。それに対立させんねやったら衣装も変えやんな……じゃあ原作の魔法使いの服は黒やけど白にしてもらわなアカンな」


フェイはノートを広げ、ペンを走らせながらブツブツと独り言をつぶやき続けている。額には知らず知らずのうちに汗が滲み、ペンを持つ手も少し震えていた。


「ねぇーフェイ、お腹すいたアル」


リエルの声が背中越しに響くが、フェイは気づかないかのようにノートとにらめっこを続ける。


「あーそんな時間か……ちょっとだけ待ってなー、じゃあいっそゼノンを洗脳するような模写にして……」


リエルはその態度に我慢の限界を感じたのか、ダイニングテーブルに置かれていたパンの袋を取ろうと小さくジャンプを繰り返す。だが、その拍子にテーブルの皿が崩れ、床に落ちた皿が次々に割れる音が響いた。


ガシャン! 


「こんなもんでええやろ... 次は7章やね……って、何の音や!?」


慌ててダイニングに向かったフェイの目に飛び込んできたのは、割れたお皿と、その前で悲しそうな顔をして耳を小さく折りたたんでいるリエルの姿だった。


「どないしたん、怪我ないんか?」


フェイは怒ることもなく、しゃがみ込んで割れた皿を片付け始める。リエルは押し殺したような声でそっとつぶやいた。


「ごめんなさいアル……」


「別にかまへんよ、ご飯やったらちょっと待ってって言うたやんか」


「うん……だけどお腹凄く空いてて、それにフェイに迷惑かけちゃマズいかなって思って……」


リエルのしおれた姿にフェイは胸を締めつけられるような気持ちを抱いた。皿を片付け終え、リエルの頭を優しく撫でる。


「ごめんやで、心配かけさせたな」


そう言ってテーブルのパンの袋を開け、中のパンをリエルに手渡した。パンを頬張るリエルの姿を見ながら、フェイは胸の内で思う。


(みんなも頑張ってる、うちはこの舞台の監督やねんから人一倍頑張らな)


そう自分を無理矢理奮い立たせると、フェイは再びノートに向かい、懸命にペンを動かし始めた。


9/13



「ふわぁ〜...眠……」


昼休みの教室で、フェイは椅子にだらりと座り、何度も大きなあくびを繰り返していた。その様子に気づいたのは、前の席に座るキースだった。


「えらく眠そうだな...ってうわぁ!」 


「どったの?フェイちゃん」


そのキースの膝の上に、ちょこんではなく、思い切り体重をのせてドシンと座るジュリア


「お、重いってジュリア!」


「ぶー!女の子に重いとか言っちゃダメだよ!」


そう言って、キースが手に持っていたチョコがついた棒状のお菓子の袋をひょいっと奪い取り、そのまま食べ始める。


「実は昨日全然寝れへんかってん……」


フェイがあくびをかみ殺しながらぽつりと漏らす。


「ダメですよー、ちゃんと寝ないと」


そう言いながら、今度はキースの頭に胸を押し付けるようにもたれかかるのは、メガネをクイッと直す仕草が板についているルーシーだ。


「だから、ルーシーも重いって!」


「ぼ、僕が重い……?女の子を簡単に傷つけるような発言は許しませんよ」


罰として飲み物をいただきますからと、キースが飲んでいたカフェオレを勝手に飲むルーシー。


「んー、せやけど、うちが考えやな、なんにも進行せえへんやろ……」


フェイはまたもや大きなあくびをしながらつぶやいた。


「でも、凄くよく考えてかけてるよ」


そう言いながらフェイの机の横にしゃがみ込み、「アイデアノート」と書かれたノートをそっと覗き込んだのは、綺麗な金髪をなびかせたルナだった。


「どれどれー? うわぁ!ホントだ、凄いじゃんフェイちゃん!」


「ほんとですね……僕好みのダークファンタジーな感じに仕上がってますね」

 

ジュリアやルーシーもノートを覗き込みながら感心したように言う。


「ほんまにー? そんなこと言うてくれんの、アンタら同期だけやー……」


フェイは机にダーンと頭から倒れ込むようにしてうつ伏せになる。そのフェイの頭を優しく撫でるルナ。


「偉いね……だけど、私達のことも頼ってね。……あれ?寝た?」


フェイはいつの間にか、気を失ったようにスースーと寝息を立て始めていた。


「く、苦しい……し見えない...ジュリアもルーシーも、ど、どけてくれー……」


キースの困惑した声が、昼休みの教室に響いていた。  


[おまけ]


さんくちゅありのメイキング♡ Vol.7 


「うーん♡ このロールケーキ最高ね♡」


「うんうん♡ 疲れた身体に染みる」


「ほ、ほんと...私の差し入れなんだけど喜んでくれて嬉しい」


ミシェルが持ってきた差し入れのロールケーキを食べているのは1年生のレイラとリンそしてミシェル


そこに3人の星獣がやって来た


「美味しそうだピィ」


「美味しいわよ!はいあーん♡」


「リン様オレっちにもくださいでござる」


「いいよ、はいあーん」


「あたちも食べたい!食べたいにょ」


「うん、ちゃんとあげるよ...はいあーん」


またまたそこに現れたのは1年生のユウマとジョンそしてミケロスと3人の星獣


なぜかカメラの前は1年生だけが集合している形になる


「めっちゃ美味そう」


「ユウマくん、よかったら食べて...」


ミシェルはユウマに少し大きめに切り分け渡そうとするが


「いただきルー!」と大きいロールケーキをお口いっぱいに詰め込んだホッパー


「あっ!おい!俺のロールケーキ返せー!」


「モナークは僕と一緒に食べよう」


「それがいいココ」


ジョンとモナークは2人仲良くシェアハピしながらロールケーキを食べる


「ミケロス様は食べないにゅ?」


「俺は甘いものは苦手だ」


「じゃあエシャもやめとくにゅ」


「はぁ?何故だ食べればよかろう」


「だって...」


そういうことか...察しがついたミケロスはロールケーキを切り分けると一口食べる


「ほら、後は食え」


「はいにゅ!」


「全く面倒な星獣だ」



次回![第八十話、白虎監督 EP2]                           

第七十九話を読んでくださったそこのアナタ!

次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧

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