[第七十八話、The growth of a small butterfly EP2]
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どうぞよろしゅうに〜
9/9
柔らかな朝霧が辺りを包む早朝。窓の外では、小鳥たちがさえずり、静かな一日の始まりを告げている。
「ふ~んふふ〜ん♪」
浴室から軽やかな鼻歌が聞こえる。ローザは色っぽくシャワーを浴びながら、心の中で今日のスケジュールを思い浮かべていた。湯気が鏡を曇らせ、その中に映る彼女の笑顔はどこか余裕を感じさせる。
一方で、浴槽の中ではモコモコの泡に埋もれるティアが、不満そうに顔をしかめている。
「シルベスターの奴ほんとにくたばれザマス!」
両前脚で泡を掬い、思い切り浴槽に叩きつけるティア。その表情は怒り心頭だ。
「ずいぶん仲良くなったんじゃない? シルベスターボーイと。」
シャワーの音を止めながら、ローザが軽くからかうように言う。
「なわけないざます! あんな自己中で俺様気取りの男なんて、こっちから願い下げざます! それよりローザのほうは順調ざます?」
「そうねー…まぁ、なんとかなるわ。」
バスタオルを取り、髪を包みながら浴槽を覗き込むローザ。その表情はどこか安心感に満ちている。
「流石はローザざます! 」
「フフ、ありがとう。」
ローザは一瞬だけ視線を落とし、少しだけ真剣な顔になる。
(マヤ…あの子のモチベーションを下げないでなんて、上手くやれるかしら。)
心の中でそう呟きながら、再び微笑んでティアにタオルを差し出した。
「さ、早く支度しましょう! 今日は忙しい一日になるわよ。」
「了解ザマス!」
ティアは跳ねるように浴槽から出ると、泡を引きずりながらローザに続いた。
「この魔法は500年前に消滅したとされる……」
ガイ先生の声が教室に響く。穏やかなトーンだが、教室の中はどこか緊張感が漂っている。3年生ともなれば授業の内容も高度になるし、試験も近い。だが、そんな空気をまるで無視するように、レオが前の席のレイヴンに小声で話しかけた。
「なぁ、なぁってば、レイヴン。」
ツンツンとペンで背中をつつかれるレイヴンは、眉間に皺を寄せながら振り返る。
「なんだレオ、今は授業中だぞ。」
その声には「本当にうっとうしい」という感情がにじみ出ているが、レオはお構いなしだ。
「朝からローザ見ないなーって思ってさ……もしかして風邪?」
その問いに、レイヴンは呆れたように目を細めた。
「元カノが何をしているのか、何故知りたい?」
レイヴンの言葉に、レオは耳まで真っ赤にしながら声を上げる。
「な///! 別にいいだろ……同じギルドの仲間なんだしクラスメイトだし、それぐらい気にしたって!」
すると、隣の席に座っていたメリファが静かに口を挟む。
「今日は授業をサボタージュして、みんなで衣装作りをするんだって。」
メリファの言葉にレオはホッとしたように息をついた。
「なんだ、そういうことか……」
だが、そんな会話の最中、シルベスターがイタズラっぽく手を挙げて。
「先生! この3人、喋ってまーす!」
ガイ先生は静かにレイヴンたちの方を見やる。特に怒るでもなく、静かな視線を送るだけ。
レイヴンは思わずため息をつき、心の中で誓った。
(シルベスター、後で殺す。)
体育館の舞台裏ではミシンのリズミカルな音が響き、星獣たちの小さな手が忙しなく動いていた。ローザはマヤの差し出した衣装を見て、自然と笑顔を浮かべる。
「できたでちー!」
マヤが誇らしげに胸を張る。
「どれー? いいんじゃない?グッドー!」
ローザがそう褒めると、マヤは得意げに「フフン!」と鼻を鳴らし、腕を組む。
少し離れたところでは、モナークとアルインが何やら相談しながらジョンとレイラの衣装を広げて見せていた。
「僕達もジョンとレイラの服できたココ!」
「急ピッチで進めた割には上出来なのだ…」
モナークとアルインが揃って完成品を披露する。
「OH! 凄いわー、エクセレント!」
ローザが感嘆の声を上げると、マヤの顔が一瞬で曇った。
「ぜっんぜん!凄くないでち! よく見たら縫い目も見えてるし、なんかチクチクしそうな服ー!」
その場の空気がピリつく。モナークとアルインは目を合わせ、少し気まずそうに黙り込む。
「マヤ…そんなこと言ったらダメだぎゃ。」
リュカが静かに口を挟む。
「うるさい! ずっと立ってるだけのリュカに一番言われたくなでちよ!」
マヤはリュカに向かって声を荒げる。リュカは少し後ずさりしたが、怯える様子はない。ただ、悲しそうに耳を垂らして俯いた。
ローザは溜息をつき、マヤの肩に手を置いた。
「マヤー、いけないわよ。リュカにそんなこと言っては。リュカのアイデアのおかげで進んでるのは事実でしょ?」
だが、マヤは首を振って手を振り払った。
「うるさいうるさいうるさーい!」
その瞬間、空気が弾けたように緊張感が広がる。マヤの荒々しい声と共にローザの手が思わず動き、マヤの頬を叩いた。
「え?」
マヤは目を見開き、自分が叩かれたことに驚いている。ローザ自身もその手を見つめ、動揺していた。
「あっ…ごめんなさい。叩くつもりはなかっ…あっ!待って!」
ローザが手を伸ばすも、マヤは目に涙を浮かべてその場を飛び出していく。
ローザが追いかけようとしたがリュカが前に進み出た。
「オレが行くぎゃ…3人は作業を続けて。」
静かな決意を帯びた声でそう告げると、リュカはマヤの後を追った。
体育館裏の風が、マヤの頬を撫でていく。膝を抱え、涙をポロポロと流しながら静かに泣いていた。
「ん…ひっく、マヤ悪くないでち…」
嗚咽混じりの声が小さく漏れる。その声を辿るように、リュカが足音を忍ばせて近づいてきた。
「なんだ、あんまり離れてなかったぎゃ。」
リュカの低い声がマヤの耳に届く。驚いて顔を上げた彼女が、リュカを見る。
「なんでわかったでち?」
「オレ狼だから。」
リュカは当たり前のように答えた。マヤはその言葉に、少しだけ目を細めて笑った。
「あっ…そっか。」
リュカはマヤの隣に腰を下ろしながら、「隣座ってもいいぎゃ?」と一応聞いた。
「うん。」
二匹は並んで体育館裏のひんやりとした地面に座った。空気は静かで、遠くで小鳥がさえずる音だけが響いている。しばらくはお互いに何も言わず、ただ風に吹かれるままに時間が流れた。
20分、いや30分ほど経っただろうか。沈黙を破ったのはマヤだった。
「ごめんね。」
リュカは不思議そうに首を傾げる。
「なにが?」
「リュカだけ狼で手先使えないのに、酷いこと言っちゃって。」
マヤの声は小さく、申し訳なさそうだった。それを聞いたリュカは少し鼻を鳴らして答えた。
「別に気にしてないぎゃ。」
その言葉に少し救われたのか、マヤの顔がほんのり柔らかくなる。しかし、彼女の瞳にはまだ不安が揺れていた。
「マヤ、寂しいでち…もうすぐメリファとお別れしなきゃだし…もし次の魔法使いに呼び出されても、メリファみたいに大好きになれる自信がないでち。」
リュカはマヤの言葉を黙って聞いていたが、やがて口を開く。
「オレも同じ気持ちだぎゃ…レイヴンはそりゃ、めっちゃ怖いし厳しいけど…だけどだけど…沢山成長させられた部分もあるだぎゃ。それは多分レイヴンも同じだと思う。」
マヤは目を見開いてリュカを見た。
「成長か…マヤはメリファのこと成長させられたかな…マヤ自身も成長できてるって実感できないのに、メリファの気持ちまで考えたことなかったでち。」
その言葉が零れた瞬間、ふわっとした風が2匹の間を通り抜けた。リュカはその風を感じながら、静かに言った。
「だったら今からマヤもメリファも成長すればいいんじゃないだぎゃ?」
「今からでも遅くない…かな?」
「大丈夫だぎゃ! 人や星獣が成長するのに遅いも早いもないだぎゃ!」
そう言うとリュカは突然立ち上がり、空に向かって「わんわーん!」と大きな声で吠えた。マヤはその姿を見て、つられて笑う。
「だからローザやモナーク達に謝りに行こうぎゃ。」
リュカが振り返ってそう言うと、マヤは小さく頷いた。
放課後のチャイムが鳴り響き、教室や廊下が賑やかさを取り戻す中、体育館裏の衣装作業場では、マヤの弾けるような声が響いた。
「じゃじゃーん!」
彼女は魔法を使い、マネキンに自分たちが作り上げたドレスを纏わせた。淡いエメラルドグリーンの布地に、繊細な装飾が施されており、シルエットも優美で気品に満ちている。
「凄いじゃなーい!ビューティフォー!」
ローザが手を叩きながら賞賛すると、マヤは少し照れながらも得意げに胸を張る。
「えへへ、リュカと一緒に作ったでち!」
リュカは少し控えめに「オレは少し手伝っただけだぎゃ」と呟くが、誇らしげな表情を隠せない。
「とってもとっても綺麗なドレスよ。」
ローザの言葉にさらに自信を得たマヤは、ウキウキと跳ねながら提案する。
「メリファ呼んで見せてもいい?」
「もちろん!」
マヤとリュカは嬉しそうに走り出し、メリファを呼びに行った。廊下を駆け抜けながら、マヤが声を張り上げる。
「メリファー!メリファー!はやくきてほしいでちー!」
「はいはい、なになにー?」
メリファが少し呆れながらも微笑んで現れると、マヤとリュカは彼女を手を引いて作業場に連れて行った。そして、マネキンに纏わせたドレスが視界に入った瞬間、メリファの足が止まった。
「...まぁ。」
驚きに言葉を失い、目を大きく見開くメリファ。その反応に、マヤとリュカは喜びで声を弾ませた。
「流石に1日で作ったから荒っぽいだぎゃ、ここからは本番までに綺麗にしあげるつもりぎゃ。」
リュカが少し控えめに説明すると、メリファはその頭を撫でながら「ありがとう、リュカ」と優しく微笑んだ。
次にマヤにもお礼を言おうと手を伸ばした瞬間、マヤはその手をそっと掴んだ。
「頭を撫でてくれるのも嬉しいけど、もうそんなに子供じゃないから…握手でいいよ!」
マヤの笑顔はどこか誇らしげで、ほんの少しだけ成長した姿を見せていた。その瞬間、メリファの胸に熱いものが込み上げてきた。
マヤのその姿が、幼い妹、マヤに重なったのだ。もしあの子が生きていたら、きっとこんな風に大人になっていくのだろう。そんな想いが溢れ、止めどなく涙が頬を伝った。
「どうしたの?メリファ、なんで泣いてるでちか?」
マヤが不思議そうに尋ねると、メリファはその小さな手を強く握りしめながら笑顔を見せた。
「ううん…なんでもない、なんでもないのよ。」
マヤとメリファが握手を交わす光景を見守っていたローザは、いつの間にか自分の目元がじんわりと熱くなっていることに気づいた。こぼれそうになる涙を慌てて手の甲でぬぐい、目をしっかりと閉じて呼吸を整えた。
「ったく、涙なんて私らしくないわよね…」
そんな彼女の背後から、静かな声が響いた。
「マヤのこと、ありがとう。」
振り返るとそこに立っていたのはレイヴンだった。その眼差しはどこか柔らかく、いつもとは違う優しさが滲んでいた。
「私はなにもしてなくてよ?」
ローザは肩をすくめ、軽く笑って返す。
「お前にしかできなかったよ。」
レイヴンの声は低く、けれど確信に満ちていた。
「いい事言うのね。」
軽口を叩いてみせるものの、その言葉にどこか心が温かくなるのを感じるローザ。そしてふと、リュカに目をやると、リュカが小さな身体で一生懸命マヤの横に寄り添っている姿が目に入った。
「なんだか私もリュカを抱きしめたくなった。」
そう言うと、レイヴンは小さく息を吐き、リュカのほうへ歩み寄った。そして、しゃがみ込むと両腕を広げて優しくリュカを抱きしめた。
「お前もよく頑張ったな。」
「レイヴン…なんか恥ずかしいだぎゃ。」
リュカは少しもじもじとしながらも、目を細めてその温もりを受け入れていた。
その光景を見ながら、ローザは小さく笑みを浮かべた。最初はどうなることかと思った衣装チームだったが、こうして少しずつ絆を深めて、素敵なチームになっていった。
「いいチームじゃない、私たち。」ローザは誰にともなく呟き、また一歩、舞台本番へと近づいていることを実感していた。
[おまけ]
さんくちゅありのメイキング♡ Vol.6
「…………」
無言でカメラを見つめているルナ
「なにしてるんですか? あっカメラですね」
「ピース……」
さらに無表情でピースをするルナ
「じゃあ僕もピース」
ルナに続くようにピースをするジョン
そこへモナークとアルインも現れ
「ピースココ」
「ピースなのだ...」
そんな異様な光景をみたフェイが一言
「変な家族写真」
次回![第七十九話、舞台監督は辛いよ EP1]
第七十八話を読んでくださったそこのアナタ!
次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧




