[第七十七話、We’ll be the tailors.EP1]
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どうぞよろしゅうに〜
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金木犀の香りがする放課後の体育館
ローザ率いる衣装班は、今日も体育館の舞台裏で黙々と作業を進めていた。ローザの指示のもと、星獣たちはそれぞれの持ち場で忙しく立ち回る。
「できたでちー!」
マヤが自信満々に声を上げ、自分の仕上げたスカートを掲げた。ローザが笑顔で近寄り、それを受け取る。
「すごいわねー見せて見せ...て...oops...」
その瞬間、ローザの表情が微妙に固まった。マヤが作ったのは、メリファが演じるウラン姫の衣装のスカートだったが、それはローザが求めていた上品なロングスカートではなく、驚くほど短い、あの日曜の18時30分から始まる家族団らんアニメの女の子のようなミニスカートだった。
「マヤ、バタフライガールの衣装はお上品にって言ったわよね。このスカートも確かに可愛いけど...流石にこれじゃ見えちゃうわ。Noよ」
「えー、可愛いのに…」マヤはぷくっと頬を膨らませる。
そのやり取りを聞いていたモナークが、ユウマの村人衣装に装飾をつけながら一言。
「ちゃんとローザの言うこと聞かないとダメココ。」
「そんなことわかってるでち!ちょっと遊んだだけだもん!」
マヤはモナークに指摘され、さらに拗ねた様子でそっぽを向いた。
その時、舞台裏の出入口から、布の入った大きな袋を抱えたリュカとアルインが戻ってきた。
「ただいまだぎゃ。」
リュカは低い声でみんなに挨拶する。
「おかえりなさい、重かったでしょ?受け取るわね。」
ローザはアルインから袋を受け取り、中を覗き込むと、カラフルな生地がぎっしり詰まっていた。それを手際よく箱に仕分けていく。
一方、アルインは袋を渡すや否や、モナークの元へ一直線。
「モナーク、会いたかったのだ…」
頬をすり寄せて甘えるアルインに、モナークは苦笑しながらも手を止めずに作業を続けた。
「リュカおかえりなさいでち!早速だけどお仕事頼むでち!」
マヤがすぐにリュカに声をかけた。
「なにしたらいいぎゃ?」
リュカは一歩前に出て指示を待つ。
「あっちの箱から淡い色の緑とか青の生地を持ってきてほしいでち!」
「わかったぎゃ。」
リュカはトテトテと歩き出し、箱が積み重なった場所に向かった。
「どれがどれだかわからんだぎゃ…」
リュカはため息をつきながら、乱雑に詰め込まれた生地の山を見つめた。昨日まではきちんと整頓されていたはずなのに、いったいどうしてこんなに散らかってしまったのか。心の中で文句を言いながらも、指示された淡い緑や青の生地を探し続けた。
すると、足音を響かせながらローザがやってきた。
「あらあら、すごいわねこの散らかりっぷり。まるで小さなストームが吹き荒れたみたいだわ。」
ローザの声に振り向いたリュカは、申し訳なさそうに頭を後ろ足で掻きながら答える。
「多分、マヤがやっただぎゃ…」
ローザはふっと笑いながら、手元の布を整理し始めた。
「あの子、もしかしてお片付けが苦手なタイプなのかしら?」
「いや、そんなことないぎゃ。マヤはいつもはちゃんと片付けるし、こんなに散らかすことなんかないだぎゃ。ただ…多分、メリファのドレスを一人で完成させようと必死なんだと思うぎゃ。」
リュカの言葉にローザは軽く頷く。
「そういうことね。でも、それでも片付けしないのはナッシングよ。」そう言いながら、ローザは積み上げられた箱をひとつひとつ整理し始めた。
その時、リュカを待ちきれなくなったマヤが、ぷんぷんとした様子で姿を現した。
「リュカー! 遅いでち!早く持ってきてくれないと、衣装が間に合わないでちよ!」
「ごめんだぎゃ…」
リュカが少し俯きながら謝ると、ローザがその様子を見て、やんわりとマヤに声をかけた。
「マヤ…リュカを怒る前に、自分が散らかしたのなら片付けるのが先じゃないかしら?」
「そんなことわかってるもん! 後で片付けようと思って置いてただけだもん!」
マヤはそう言い放つと、くるっと背を向けて作業場へと戻っていった。その小さな背中はどこかムキになっているようで、ローザは困ったように笑みを浮かべた。
「まったく…あの子ったら。」
「まぁ、マヤなりに頑張ってるだぎゃ。」
その後体育館の舞台裏では、ローザがキャスト陣を集め、出来上がった衣装を一人一人に当てはめながらイメージを照らし合わせていた。
「ベリーグッドね! とっても占い師らしいわ。」
ローザが目を輝かせながら褒めたのは、深い青のローブに身を包んだリンだった。その布地には星々を思わせる模様が織り込まれ、神秘的な雰囲気を醸し出している。
リンは照れくさそうに身を縮めた。
「あ、ありがとうございます…でも、なんか私らしくないかも。」
「それは当たり前よ! 普段着ている服とは違うもの、すぐに慣れるわよ♪」
ローザはウィンクをしてみせ、リンの緊張を和らげようとする。
そこに現れたのは、大きな琥珀色のサングラスをかけたフェイだった。彼女は手を腰に当て、舞台上の衣装をじっと見つめていた。
「えぇ感じやけどな…ちょっと気になるもんがあるわ。」
フェイの視線が捉えたのは、メリファが被る予定のティアラだった。彼女はそれを手に取ると、眉をひそめながら言った。サングラスのせいで表情はゼロだが
「これやけど…なんかゴテゴテすぎるんとちゃうかなーって思うねんけど。どない?」
ティアラの装飾はカラフルな宝石で覆われ、確かに豪華ではあるが、どこか主張が強すぎる印象もある。
フェイの指摘に即座に反論したのはマヤだった。
「そんなことないでち! お姫様はこれぐらいじゃないと、お姫様じゃないでち!」
マヤの頑張る様子に、ローザは見守るが、フェイは腕を組み直して反論する。
「ホンマかいなー。なんやこれ、まるで虎柄の服着たおばちゃんがつける指輪みたいやねんけどな。」
その二人の間にリュカが静かに割って入る。
「だったらカラフルに宝石をつけるんじゃなくて、ウラン姫のイメージでもあるエメラルドグリーンを中心にした装飾にすればいいんだぎゃ?」
リュカの提案に、星獣たちが次々と賛成の声をあげた。
「それ凄くいいのだ!」アルインがパタパタと羽を広げて言い、モナークも頷きながら同調する。
「僕もリュカの意見に賛成ココ。」
マヤはその声に押されるように視線を彷徨わせたが、縮こまるようにして呟いた。
「え…でも…」
その時、メリファが優しく微笑みながらマヤの肩に手を置いた。
「私はマヤが作ってくれたこのティアラ、すごく気に入ってるわ〜。だけど、ウランとしてはちょっと派手だから、このティアラは私がもらうとして、新しいティアラを作ってくれない? それでいい? マヤ」
その一言に、マヤの顔がパッと明るくなり、勢いよく頷いた。
「わーい! だったら新しいティアラ作ってくるでちー!」
そう言って、一目散に作業場へと駆けていくマヤ。その後ろ姿に、メリファは笑みを浮かべた。
だが、その様子を見ていたローザとレイヴンは、やや困ったような顔をしてメリファに声をかける。
「バタフライガール、わかってるとは思うけど、本番まであと1ヶ月もないのよ? 毎回作り直してたら、時間がいくらあっても足りないわ。」
ローザの声に、レイヴンも低く頷いて同意する。
「そうだな。ローザの意見に同意だ…お前の衣装をマヤが担当するのは構わんが、一着作るのに10日も20日もかけていたら、作ってる本人は楽しいだろうが周りは迷惑だ。」
その言葉に、メリファは反省の色を見せながら小さく頭を下げた。
「そうね…私が甘やかしすぎたわ。ごめんなさい。」
時間は過ぎ気がつけば夕方になっている
パンパンと手を叩くローザ
「さぁ!今日はこのぐらいにして、また明日頑張るわよー!」
ローザが明るく声をかけると、星獣たちは口々に「また明日ー!」と声を揃え、作業場を後にしていった。
誰もいなくなった静かな作業場で、ローザは一人後片付けをしていた。道具を片付け、散らかった生地を整えていると、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。
「はーい?どなたー?」
Happy全開で、扉を開ける。そこに立っていたのは、ポテトやハンバーガーが詰まった袋を抱えたレイヴンだった。
「んー♡ YUMMY♡ てんきゅー、サンダーガール」
ローザは袋の中身を覗き込み、さっそくポテトを口に運ぶ。レイヴンは肩を軽くすくめて微笑む。
「星獣の相手は大変だろ。こうして英気を養ってもらわんとな。」
「流石リーダーね。助かるわ〜。」
二人は作業場の隅にあるソファに座り、軽く雑談を交わしていた。しかし、ふとレイヴンが真剣な表情に変わり、衣装合わせのときのマヤとメリファのことを切り出した。
「マヤのこと、少し気にかけてやってほしい。」
ローザはポテトを口に運びかけた手を止める。
「マヤを?なにかあったの?」
「メリファのことも関係している。アイツに妹がいたのは知ってるか?」
「妹?弟のウッドボーイのキースじゃなくて?妹がいるの?」
「正確に言うと、妹はいた…だ。メリファとキースの下に、もう一人妹がいたんだ。その子の名前はマヤ。」
ローザの表情が驚きから徐々に硬くなる。レイヴンは、ポテトをつまむ手を止め、真剣な声で語り始めた。
「メリファがこの学校に入学する前、妹のマヤは事故で亡くなった。森で薬草を取りに行った時のことだ。」
「事故…」
「そうだ。メリファ、キース、そしてマヤの三人で森に入ったんだが、アイツらは入ってはいけないと言われていたエリアまで足を踏み入れてしまった。そしてそこで、トロールに襲われた。」
ローザは息を呑む。
「当時、メリファはまだ15歳で、魔法を使えなかった。あいつは必死に弟妹を守りながら逃げたが…追いつかれてしまった。」
「トロールだもの、逃げ切るのは無理よね…」
「追いつかれた三人は捕まった。だが、縄が緩かったマヤだけが抜け出して助けを呼ぼうとした瞬間…」
レイヴンの声が途切れる。しばしの沈黙の後、低く絞り出すように続けた。
「トロールがマヤを押し潰したんだ。」
「…まぁ…」
ローザの手が震え、ポテトを掴む力が抜けた。
「その後、大人たちが駆けつけ、メリファとキースは助け出された。」
ローザは何も言えず、静かにレイヴンの話を聞いていた。
「メリファはずっとそのことを後悔している。自分がもっと強ければ、あの時マヤを守れたと…。」
「だから、マヤを甘やかしてるのね…」
「それもあるだろう。だが、私としてはそれでいい理由にはならん。私たちはあと半年で星獣とお別れだ。マヤ自身、もう少し大人になってくれれば、メリファも成長するきっかけになると思うんだがな。」
レイヴンの言葉は重く、ローザもまた、その意味を噛みしめるように頷いた。
「そうね…メリファにもマヤにも、少しずつ自分の足で立てる力をつけてほしいわね。」
レイヴンは静かに同意すると、もう一度袋の中からポテトが入った箱を取り出し、ローザの手に押し付けた。
「お前も無理するな。疲れたら、いつでも頼れ。」
「ありがとう、サンダーガール。」
暗く沈んだそんな夜に感じたローザだった。
[おまけ]
さんくちゅありのメイキング♡ Vol.5
「あー疲れた」
グッタリした顔でカメラの前に現れたレイヴン、そしてテーブルのうえにあるお菓子を物色していると
「あー疲れた」
同じセリフで現れたのはセリフが多すぎてパンク状態のユウマだった
「なんだ? お疲れか」
「いや、俺のセリフ多すぎ...」
「まぁ、仕方ないだろう主人公なんだからな」
「そうですけどー」
「はーい差し入れ持ってきたわよー!って...2人だけしかいないの」
大きな箱を手にやってきたのは村人の格好をしたレイラ
「差し入れか助かる」
「なに持ってきてくれたんだー?」
ユウマとレイヴンが覗くとそこに入っていたのは
「生クリーム80%カスタード20%の生クリームが大好きな人のためのシュークリームよ!」
「うひょー美味そう」
「どれ、私も1ついただこう」
2人は食べた瞬間あまりの美味しさに目が点になってしまった
「わかるわかる!あたしも最初食べたときそうなったもん」
「ヤバいこれはもう1個ほしくな...」
ユウマが手を伸ばそうとするが「ダメ!」と手を叩き阻止するレイラ
するとダッシュで駆けつけてきた者が1人、デカサングラスに変な赤い帽子を被ったフェイだった
「こ、これ...うちがずっと食べたかったシュークリームやんけー!」
「どうぞどうぞ♪ 監督だから2つ召し上げれ」
「うひゃー監督特典最高やー!」
するとフェイの耳元に近づき
「私の出番増やしてよねフェイ先輩」
「え?それは無理」
次回![第七十八話、The growth of a small butterfly EP2]
第七十七話を読んでくださったそこのアナタ!
次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧
ユウマ達のイメージソングも作ったのでうらめしのヨ〆と検索してXが出てくるから絶対聴いてなー




