[第七十五話、美術監督は頑固 EP1]
再度お知らせ。
現在ストックがございません!(次回のタイトルだけは決まっております)
緊急事態のため、来週は投稿おやすみして再来週の30日から投稿します。
毎週、月、水、土、絶賛更新中!!
高評価にコメントも頼んまヾ(*’O’*)/す〜
レビューなんかもしてもろたら涙ちょちょぎれますわん
どうぞよろしゅうに〜
9/4
微かな朝焼けが空を染め始める頃、シルベスターとキースは重なり合っていた。息遣いは乱れ、肌と肌が触れ合うたびに熱がこもる。交わした言葉よりも多くを語る抱擁は、欲望と愛情の交錯そのものだった。
「いっ...♡」
低く掠れた声が静寂を破ると、キースはその声に応じるように小さく頷いた。二人の間にある感情は言葉にするには大きすぎて、ただ行動だけが全てを伝えていた。抱きしめる腕に力を込めるたびに、キースの体温がシルベスターの中に溶け込んでいくようだった。
やがて、愛の組体操が終わり、部屋に静けさが戻る。シルベスターは息を整えながらキースの髪を撫で、最後の温もりを名残惜しむようにその体からそっと離れた。
「シャワーを浴びてくる。」
短くそう告げると、シルベスターはゆっくりと立ち上がり、浴室へと向かう。
キースはそのまま寝室に残ることなく、キッチンに向かった。冷蔵庫から卵とウィンナーを取り出し、慣れた手つきでフライパンを温める。油の跳ねる音とともに、部屋中に香ばしい香りが漂い始めた。キースの足元ではセレがうろうろしている。
「キース、セレのお皿には目玉焼き乗せないでちゃろ。」
セレが唐突にお願いする。キースは振り返り、少し驚いたような顔を見せる。
「どうして?珍しいじゃん、セレ目玉焼き好きなのに。」
「最近食べ過ぎて体重が増えたちゃろ...。」
セレは自分のお尻を振りながら、キースにその証拠を見せつける。そんなセレをソファにぐでーんと寝転がっていたリーナが横目で見ながら嫌味を一言。
「太ろうが痩せようが、黒猫やけん見た目は変わらんばい。」
セレの目がカッと見開かれる。
「なにをー!オババ猫に言われたくないちゃろ!」
「やるかー!」
セレとリーナは毎度おなじみの喧嘩を始め、部屋中を飛び跳ねる。うにゃうにゃと威嚇し合う声が響き渡る中、キースはため息をつきながらウィンナーをひっくり返す。
シャワーの音が止み、シルベスターが浴室から姿を現す。首に白いバスタオルをかけたままのシルベスターは、まだ濡れた髪から水滴を垂らしながらダイニングへと足を運んだ。上半身は何も着ておらず、肌に光が反射して艶めいている。その姿にキースは一瞬動きを止め、喉を鳴らして生唾を飲み込む。
だが、シルベスターはキースの視線に気づく様子もなく、キッチンカウンターの上に並ぶ朝食を見て目を輝かせた。
「俺様の好きなウィンナーじゃないか...いただきまーす!」
無邪気な笑顔で椅子に座り、フォークを手に取る。子供のように楽しそうにウィンナーを頬張るシルベスターを見て、キースの顔にも自然と微笑みが浮かぶ。
「美味しいですか?」
「当たり前だろ。お前が作る飯はいつもうまい。」
フォークを器用に操りながら目玉焼きを割り、シルベスターは次々と朝食を平らげていく。リーナとセレが喧嘩をしながら走り回る声が後ろから聞こえるが、シルベスターの視線はそれに向くことはなかった。キースはそんなシルベスターを見つめながら、口元に微笑を浮かべて静かに食事を続ける。
食事が終わり、キースは手際よく皿洗いを始めた。水音が部屋の中に響く中、シルベスターはダイニングテーブルにノートを広げ、舞台セットのデザインに没頭している。ペンを走らせる音がリズミカルに響く
「フェイの意見を参考にすると、魔女の城はもっとおどろおどろしい雰囲気の城にしたほうが良さそうだな...」
シルベスターの低い独り言が漏れた。目はスケッチブックのページを見据え、頭の中で次々とアイディアを形にしていく。
キースは皿を洗い終えると、濡れた手をタオルで拭きながらふとシルベスターに目を向けた。彼がこんなに真剣な顔をしている姿を間近で見るのは好きだったが、それと同時に、少し疎外感も感じる瞬間だった。
(あんなに集中してる、話しかけたら怒るかな?)
それでもキースは恋人として会話をしたい気持ちを抑えきれず、思い切って声をかけることにした。
「いまはどんなデザインを考えてるんですか?」
キースはゆっくりとシルベスターの隣に腰を下ろし、スケッチブックを覗き込んだ。そこには、重々しい塔や荒廃した石壁、毒々しい色彩を想像させる装飾が描かれていた。
「あぁ、いまは魔女に乗っ取られたウランの城をデザインしてるんだ。原作だと綺麗なままの印象があるが、フェイの意見だともっと恐ろしい感じにしてほしいらしい。」
シルベスターはペンを止めずに答える。その声は淡々としている。
「へぇー、まだまだ、だと思いますけど俺の城は白を基調にしたカッコいいデザインがいいな。」
キースは冗談交じりに言いながら、シルベスターの顔を覗き込むようにしゃがんだ。彼の視線は、上目遣いで柔らかく、どこか甘えるようなものだった。
だが、シルベスターはペンを止めることなく、短く答えた。
「そうだな...考えとくよ。」
適当に返事をされたと感じたキースは、少しムッとしながらもシルベスターの耳に手を伸ばした。
「学校行く前にもう一度キスしてください。」
耳を軽く撫でるように触り、声を甘くして頼むキース。しかし、シルベスターはその手を優しく払いのけ、視線をスケッチブックから外さない。
「今はそんな気分じゃない。」
彼はそれだけ言うと、立ち上がり、何事もなかったかのように寝室へ向かった。制服に着替えるためだ。
(ま、いつものシルベスターらしいか...。)
キースは気を取り直し、セレとリーナの小競り合いを止めに入るのだった。
「ここテストに出るから赤ペンで囲めよー。」
教科書を手に持ちながら教室を歩くのは、3年生の担当教師であり、生徒たちから「イケオジ」と呼ばれるガイ先生だ。低く色気のある声で教える彼の授業は、内容が分かりやすいと評判だが、それ以上にその佇まいや気さくな性格が生徒に愛されている。
教科書を軽く叩きながら、ふと足を止めるガイ先生は、突然しみじみとした声で話し始めた。
「君たち3年生とこうして授業できるのも、あと半年間か...。1年のときから担当しているけど、ホントに大人になったな、お前ら。」
教室全体に目を向けるその表情には、どこか親しみと感慨が入り混じっていた。生徒たちはその言葉に照れくさそうに笑いながら、それぞれ教科書に赤ペンを走らせている。
しかし、ガイ先生の視線がふと空いた席で止まった。
「...シルベスターはどこにいった?」
クラス全体に向かって聞く声に、生徒たちは一瞬顔を見合わせた後、隣の席のレイヴンが淡々と答えた。
「あいつなら、舞台のセットを作るとかなんとか言ってました。」
その言葉にガイ先生は短く息を吐くと、教室の端に歩み寄りながら、片手で額を押さえた。
「なにー!まったく...あいつはいつもそうだな。集中するとすぐに授業をブッチするんだから。」
苦笑交じりの声が教室に響くと、後ろの席からレオが肩をすくめながら付け加えた。
「俺たちもちゃんと声かけたんですけど、シルベスターの奴、無視するんでほっときましたよ。あんまりしつこくするとキレるし、あいつ。」
その言葉に、教室の中がクスクスと笑い声に包まれる。ガイ先生もやれやれと言わんばかりに首を横に振り、諦めたように笑った。
「仕方ないな...。じゃあ、授業を再開しようか。」
シルベスターは魔術学研究所の一角で、舞台セットの大道具を作る作業に没頭していた。研究所の明かりが、彼のスケッチや工具類を照らしている。集中するシルベスターの周りには、強制的に連れられた星獣たちが、文句を言いながら手伝わされている。
エドワードが疲れた声でつぶやいた。
「放課後に作るでいいのでは?と思うでごわす。」
その言葉に、近くでペンキを混ぜていたアイシャが同意する。
「ほんとにょ!こんな朝っぱらから働かされるなんて…あーヤダヤダ!こんな俺様ドS野郎があたち達のリーダーなんて、ホント最悪にょ!」
不満の声が次々と漏れる星獣たち。しかし、その瞬間、シルベスターが作業を止め、怖いほど静かな笑顔を浮かべた。口元がゆっくりと吊り上がる様子は、不気味さすら感じさせる。
「お前ら…口を動かさないで手を動かせ。じゃないと、その口、縫い付けるぞ。」
その一言で部屋の空気が凍りついた。アイシャは「えーん怖いにょー!」と泣きながらリーナの後ろに隠れる。だが、リーナはまったく動じることなく、鼻で笑った。
「縫い付けられるの上等やけん、サボるばい」
「この黒猫め…後で覚えておけ。」
作業場に戻ったシルベスターは、出来上がった城の壁をじっと見つめ、眉をひそめる。
「どうも気に食わん…もっとこう立体感がほしいな。魔法でエフェクトをかけるとしても、それじゃ一時的にしかならん。」
ブツブツと独り言を呟きながら、シルベスターは工具箱を漁る。そして、何かを思い出したように手を止めた。
「そうだ。確かいい魔法具があったはずだ。」
その瞬間、彼の目が輝き、すぐに研究所の奥へ向かおうとする。だが、その様子を見ていたティアが不安げに首をかしげる。
「まさか、倉庫に行くつもりじゃないザマスよね?」
「察しがいいな、ティア。その通りだ。」
「嫌な予感がするザマス…。」
エドワードやアイシャも顔を見合わせ、明らかに嫌そうな顔をするが、シルベスターに逆らう勇気はなかった。星獣達は半ば諦めたように彼の後をついていくことにした
シルベスターと星獣たちは、魔術学研究所の奥深くにある地下倉庫に足を踏み入れた。倉庫の中は薄暗く、空気には長い間使われていなかった魔法具特有の埃っぽい匂いが漂っている。大小さまざまな魔法具が雑然と並べられ、どれも怪しい輝きを放っていた。
「よし、絶対に使えるものがあるはずだ。」
シルベスターは自信満々に棚を物色し始めた。エドワードが後ろからついてきて、小さな声で文句を言う。
「これ全部どう使うかわからないでごわす…。」
「そうだにょ、こんなところで変な物触ったら爆発するかもしれないにょ!」
「うるさい、黙ってついてこい。邪魔するなら帰れ!」
苛立った声で一喝するシルベスターに、アイシャとエドワードは小さく縮こまる。だが、リーナだけはあくびをしながら棚に乗り、冷めた目で見ている。
「そんなにイライラしてると顔にシワが増えるばい。」
「黙れ、役立たず猫!煮るぞ!」
シルベスターは次々と棚から魔法具を取り出しては試し始めた。一つ目は、青い宝石が埋め込まれた杖。
「これは…立体映像を映し出すエンチャントロッドだな。これなら城の全景を見せることができるはずだ!」
彼が意気込んで杖を振ると、確かに空間に城の映像が浮かび上がった。しかし、数秒後、城が突如ぐにゃぐにゃと歪み始め、最後には小さな猫の姿に変わってしまった。
「なんだこれは!ふざけるな!」
怒りに任せて杖を放り投げるシルベスター。エドワードが呆れた声でつぶやく。
「多分それ、娯楽用でごわすね…。」
「口を閉じろ、揚げ物にして食うぞ」
次に取り出したのは、大きなクリスタルボール。中に怪しく光る液体が揺れている。
「これだ。この魔法具は映像と音を同時に演出するこれなら...」
シルベスターが意気揚々とボールに手をかざすと、確かに城の映像が浮かび上がり、重厚な音楽が響き渡る。しかし、それも長くは続かず、突然音が「ピヨピヨ」とひよこの鳴き声に変わり、映像は城から焼きたてのパンの映像に切り替わった。
「何なんだこれぇぇぇぇ!」
シルベスターはクリスタルボールを棚に叩きつけ、両手で髪をかきむしる。
続けざまに試した魔法具も次々に失敗。立体的な城を作ろうとした魔法の絵筆は、途中で墨を撒き散らすだけの不良品だった。最後には、ただのスライムを召喚するだけのリングに至っては、アイシャにスライムが襲いかかる始末。
「もういい加減にしてにょー!」
「俺様の邪魔をするな!」
シルベスターの苛立ちは頂点に達し、棚を蹴飛ばして物が崩れる音が倉庫に響き渡る。
「くそっ…!どうして俺様がこんな雑な道具に頼らなきゃならないんだ!俺様の頭の中にあるデザインを、誰も形にできないなんて…!」
シルベスターの叫び声が静かな倉庫にこだまする。その場にいる全員が言葉を失い、しばらく静寂が続いた。リーナがやれやれと肩をすくめながら近づく。
「ほら、シルベスター。暴れても解決せんばい。落ち着けって。」
「…くそっ。」
シルベスターは拳を握りしめ、棚に背を向けた。彼の中には、何もかもが自分の理想通りにいかない苛立ちと、自分の力不足への悔しさが渦巻いていた。
[おまけ]
さんくちゅありのメイキング♡Vol.3
「ヒヒーン、わたすぃは美しいポニーティアざます」
「いやいや、美しい星獣は自分で美しいって言わないにょ!」
「そんなことないざます」
「あるにょー」
言い争いが始まりそうな雰囲気の中、ローザとミシェルがカメラの前に現れる。
「あっこのカメラってメイキングのカメラですよね? やっほーナレーションのミシェルでーす、噛まないようにが、頑張ります」
不安げに眉をハの字にして意気込むミシェルとは反対にとてつもない声量で挨拶をするローザ
「ヘーイへーーイ! 皆様お元気ー!? このローザが作るとってもElegantでとってもSexy♡ だけどCOOLな雰囲気も兼ね備えた最強の衣装を楽しみにしてて♡」
「わぁ、私ローザさん達が作る衣装大好きです、今度個人てきに作ってほしいぐらい」
目をキラキラさせローザを褒めるミシェル
するとローザはフフンと笑ったあと
「I’d love to make it for you, but honestly, I’m not looking to add another rival in love. Sorry, not sorry.」
「え?」
次回![七十六話、ドSな男ってえっちだと思うEP2]
第七十五話を読んでくださったそこのアナタ!
次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧
30日にはかなり前から準備していた事も発表しまーす。




