[第六十三話、もっと今を楽しもう]
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レビューなんかもしてもろたら涙ちょちょぎれますわん
どうぞよろしゅうに〜
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「いて」
痛みで目が覚めた。即席で作った草のベッドは狭く、寝相の悪いホッパーの小さな足が俺の顔面を蹴り上げる。目をこすりながら、ぼんやりと視界が定まる。湿った草の匂いが鼻をつき、体が冷えてきた。
「もう、朝か...」
ここに漂流して2日目の朝。初日に偶然見つけた雨風がしのげる洞窟を拠点にした俺達。この小さな洞窟は、嵐を避けるには十分だけど、長くここで過ごすには少し手狭だなと感じていた。
「おはよー」
「おはようさん」
「いつまで寝てんのよ!早く起きなさいよね」
「仕方ないだろ、昨日は俺が見張り番だったんだから」
やれやれ、朝からうるさい奴だな。
俺は適当に作った木の丸椅子に腰掛けた
「ユウマ、おはよう」
「おはよう、イクシー」
イクシーが手渡してくれたヤシの実で作ったコップは、少しざらついていたが、コップの中身はコーヒーモドキと呼ばれる木の実から抽出された飲み物が入っている俺はそれを冷ましながら一口飲み
「森の奥まで後何日ぐらいここで準備するつもりだ?」
俺の問いにイクシーがしばらく黙った後、真剣に考え込むと
「そうだな...余裕を持ちたいところだから、今日を含めたらあと2日と言ったところか」
「なるほど、あと2日ね」
俺はコーヒーを飲みきり、少し背を伸ばして外の景色を眺める。風が吹き抜け、草木が揺れているのが見える。
ユウマとイクノシアのやり取りを聞いていたレイラの星獣フレイアが他の星獣達を集めてヒソヒソと緊急会議を始める。
「集合ピィ」
「ふわぁぁ...まだ眠いルー」
「フレイアなんスか?緊急会議って」
「いまここにいるのは全員ユウマと契約してる人間だけピィ」
「確かに言われてみればじょ」
「そこでワタシは思いついたピィ」
「まさかもうあの作戦を決行するザマスか?」
作戦って?何も知らないホッパーが指を加えキョトンとしている。
「みんな、ここでユウマと自分の主が真契約を結んでほしいって思わない?」
「思わないじょ」
「ムニンはジュリアLOVEだから思わかもしれないピィ、だけど!仮契約のままワタシ達星獣が、星獣界に帰るのと真契約を結んで帰るのとでは待遇が違うのはご存知?」
「それ聞いたことあるッス!確か18までに真契約を結んだ場合オレっち達星獣は英雄のように讃えてもらい、さらに好きな物も一生もらえるとか!」
「そう!そこで、今回のこの流れは男と女が急接近しやすい非常に大事なイベントだピィ!そこでワタシは夜な夜なティアとリエルと考えました!」
リエルがリュックから例のあれをドヤ顔で取り出す。
「これが?」と、みんなが見守る中、リエルは器用に背中の小さなリュックから袋を取り出す。その中には、小さな袋に入った粉が沢山入っていた。
「これは何じょ?」
「これはドキラブマッシュと言って、その名の通り見つめ合うだけで恋に落ちる不思議なキノコアル!そのキノコをぼくちんが頑張って粉末状にしたものアルよ」
「ルー♪キノコ食べたいルー♪」
ホッパーが食べようとするが、フレイアが大きな声で阻止する。
「あー!ダメダメ!このキノコは星獣が食べると即死級の毒物ピィ!」
「ルー...」
「恋に落ちるキノコはわかったけど、これを使ってどうするじょ?」
「よくぞ聞いてくれたピィ!このキノコを使ってユウマと真契約させるのが狙いピィ!」
「やだね」と興味なさそうに飛んでいこうとするムニンにヤマトマルが煽る
「いいんすか?ムニン、英雄になれないでござるよ?」
「うっ...」
「じゃあ、これをユウマに飲ませに行くルー!」
袋を持ってユウマの元に行こうとするホッパーを止めるリエル。
「違う違う!こんな怪しい粉飲んでって言って、『わかったよ!』って飲むバカがどこにいるアルか」
ティアはホッパーに優しい顔で近寄り、耳打ちするように言った。
「これは星獣にとっても大事なイベントざます、だからホッパーも手伝ってくれたらYOUは星獣界では英雄になるざますよ!パプリカレッドのように」
「パプリカレッドみたいに!だったらお手伝いするルー!」
「ルールは簡単ピィ、スープが食べたいってリクエストしてあるからユウマのスープと女子のスープに投入するピィ!女子のほうは順番で行くのがお約束!」
じゃあ、最初は誰からにする?みんながソワソワしてる雰囲気の中、リエルがワンワンと前に一歩踏み出し、
「まずはフェイとユウマでお願いするアル!」
「じゃあ次はジュリアにしてじょ!」
「わたすぃにとってもいい考えがあるザマス!ローザは夜に!」
「よし、じゃあとりあえず今日はこの3人で行こう!」
オー!と謎のやる気を見せる星獣
「うーん♡やっぱ昨日アタシが採った魚は絶品よね」
レイラが満足げに頬を膨らませ、焼き魚を豪快にかじる。
「今日の担当は誰がどの場所でした?」
リンが骨付き肉を手に、周囲を見渡す。
「今日はうちが怪我した人を見る保険係、ジュリアとリンが食料確保、ローザ先輩とユウマが洗濯物や食事の準備、レイラとイクシーが森の探索やね」
「リンちゃん今日はよろしくね♪」
ジュリアが明るく笑顔で声をかけるが、リンはその笑顔に目もくれず、ただ「はい」とだけ答える。
フレイアはこっそりと目線を動かし、リエルとホッパーに指示を送る。二匹が微かに頷くその時、ティアが空を見上げ声をあげる。
「あー!あんなところにUFOザマス!」
みんなが空を見上げると、リエルはその隙に素早くフェイのスープに粉を入れる。その動きは一瞬で、誰も気づくことはない。
(よしよし、流石リエルピィ...って!ホッパー!アイツもなんで一緒になって空なんか見とる!)
フレイアの心中で小さく焦りがよぎる。その目はじっとホッパーに向かって注意を促す。
「ホッパー!」
小声で呼びかけるフレイア。それに気づいたホッパーが慌ててスープに粉を入れる
「なんだ、なんもいないじぇねか」
「見間違いザマス...」
「ん?なんだ?この粉?」
ユウマは不思議そうにスープに浮かぶ粉を見つめる。スープの表面にこんもりと積まれているその粉に気づき、少し眉をひそめたが、すぐに「まっいいっか」と言いながらかき混ぜてスープを一口飲む。
朝食も終わり、それぞれが自分の役割に戻る。
しっかし、このローブはホント多機能だよな...
みんな内ポケットに予備の制服なんか入れてるんだもん
どんな構造のポケットだよ、流石は魔法の世界...俺なんて知らなかったから予備の制服なんて当然なくて、その辺で落ちてる布で服を作るしかないもんな、悲しい...
一方、ローザは洗濯物を手際よく洗っていた。手が動く度に水しぶきが飛び、次々ときれいに絞られていく。その隣で、ユウマは顔をしかめながらも頑張っているが、どうしてもローザのスムーズな動きには敵わない。
「ローザさんって手洗いとかもできるんですね」
「そうね、いつどんなとき、何があるかわからないでしょ?これぐらいはできないとね」
ユウマはその言葉に、つい冗談を口にした。
「絶対いいお嫁さんになりますよ」
「フフ、ありがとう。早く私達の式の会場探さないとね♡」ローザはにっこりと微笑み、ユウマの顔を見ていた。その表情があまりに真剣だったので、ユウマは驚いて顔をさらに赤くした。
「な、なに言ってるんですか!」ユウマは思わず声を裏返らせて、恥ずかしそうに洗濯を再開する。
しかし、少ししてからユウマは急に体が熱くなったように感じ、首をかしげる。
「なんか今日やたら暑くないですか?」
「そう?暑いのは暑いけど、そこまでかしら?」
ローザは肩をすくめながら、ユウマをちらりと見る。
「俺だけかな...」ユウマは不安そうに言うと、ローザはすぐに彼の額に手を当てた。
ローザはユウマの額にそっと触れると、その手のひらが驚くほど熱く、ローザは顔をひきつらせ。
「オーマイガー!凄い熱よ!早くヒーラガールのところに行ってらっしゃいな」
その頃、フェイは医務室で新しい薬の調合をしていた。目の前には様々な薬草と瓶が並べられており、彼女は慎重に混ぜ合わせていた。「これとこれを混ぜたら...よし、やっぱウチ天才やな!」彼女は嬉しそうに、少し得意げな表情を浮かべる。
その時、「フェイせんぱーい」と、ユウマの声が響いた。フェイは振り向き、ユウマの様子にすぐに気づいた。
「あらま、どしたん?ユウマ」
ユウマは額を手で押さえながら、しんどそうに言った。「なんか熱っぽくて...」
「アンタなに食べたんや?どれどれ顔見せて」フェイはすぐにユウマの顔をじっと観察し、額に触れる。
「あー熱あるなー、でもそれ以外は特に...」フェイはしばらく考え込み、何かを探るようにユウマを見つめる。だが、自分の身体にも異変が起きる。
(ち、ちょっと待って...なんか今日のユウマ、めちゃくちゃカッコいいねんけど...)
フェイは急に顔が熱くなるのを感じ、思わず目を逸らす。彼女の心臓が急に早く打ち始め、焦りと興奮が入り混じった感情が湧き上がる。
ユウマはその様子に気づき、「どうしたんですか?体調でも悪い?」と心配そうに言葉をかける。
「体調はわ、悪くない...悪いけど悪くない、んーもうなんて言ったらええんや!」
「え?なになに?」ユウマはさらに顔を近づけ、フェイを心配そうに見つめる。
その瞬間、フェイは決心を固め、目をうるうるさせながら言った。
「ウチな!アンタのことが好きやねん!」
「えぇぇぇ!マジ!」
「マジや、それでなウチのことどう思ってるんか聞きたい!ユウマはウチのこと好き?」
フェイの言葉には切実な気持ちがこもっており、彼女の心はドキドキと高鳴っている。
ユウマは顔を真っ赤にしながらも言葉を詰まらせ、
「好きですけど、だけどそんないきなり言われても...」
「ドアホ!はっきりしてよ!」フェイは強くユウマを押し倒し、上にまたがり、呼吸も荒くなっていた。
「なんかドキドキするし身体も熱いしもう我慢できひん!」
そして、ユウマとフェイはズッキュン♡バッキュンと1つになった。
熱帯雨林の湿気が肌にまとわりつき、葉に溜まった水滴が時折パラリと二人の肩に落ちる。昼下がりの薄暗いジャングルを、レイラとイクシーは目印となる木にナイフで印を刻みながら進んでいた。辺りには鳥のさえずりや遠くの滝の音が響き、足元には枯れ葉や苔がしっとりと敷き詰められている。
レイラは立ち止まり、ふとジト目をイクシーに向けた。湿気で額に張り付いた前髪を鬱陶しそうに払いながら、彼女はため息をついて尋ねた。
「ここに来てもう2日目だけど、本当にキーポートなんてあるの?」
「そんな目で見ないでくれよ、ミカエル」
その瞬間、レイラの眉間にシワが寄る。彼女はナイフを持った手をぴたりと止め、振り返りながら詰め寄った。
「あのねー!アタシはミカエルじゃないっての!レイラよ!レイラ!いい加減その弱い頭に叩き込まないとぶん殴るわよ!」
その勢いにたじろぎながら、イクノシアは両手を軽く上げて降参のポーズをとる。
「ごめん、からかっただけだよ」
彼の口元には笑みが浮かんでいたが、心の中で少しだけ冷や汗をかいていた。
本当に怒り方までミカエルそっくりだな…。いや、少しばかりこっちの方が気が強いが…
そのやり取りを、レイラの肩に留まっていたフレイアが面白そうに見ていた。羽をふるいながら、軽い調子で口を挟む。
「イクシーの言うミカエルって、あの大天使ミカエルのことピィ?」
イクノシアは一瞬言葉に詰まるが、すぐに目を伏せて答えた。その声にはどこか寂しさが滲んでいた。
「大天使…そうだな…。確かにそうと呼ぶほうが正しいのだろうな」
その掠れた声に、レイラはふいに足を止めた。湿った土を踏む音も止まり、ジャングルのざわめきだけが響く。振り返る彼女の目には疑念が浮かび、それが鋭い刃のようにイクシーに突き刺さる。
「アンタ…会ったときから思ってたけど、ミカエル様のことまるで知人みたいに話すけど、もしかして…」
その瞬間、イクノシアの心臓が跳ねる。彼は無意識にサングラスの端を指で触り、胸中で舌打ちした。
流石に気付かれてしまったか…仕方ない。いくら顔を隠していたとしても、この美貌は隠しきれぬ。だが、この女を殺すのは少々滅入るな…
彼が心の中で覚悟を決めかけたその時、レイラが続けた言葉はまるで別の方向に転がっていった。
「アンタ…セレナヴェールの修道院、知ってるの?」
イクノシアは呆気に取られた表情を浮かべた後、大げさにずっこけてみせた。
そっちかい!
「ああ、セレナヴェールの修道院ね!知ってる知ってる!だって俺、そこの出身だもん!」
「えぇ!?ほんと!アタシも修道院生まれなのよ!」
助かった〜、だがホントに不思議だミカエルに似ているだけではなく出身まで一緒とは...この島を脱出したら少し調べるとするか。
さらに歩き続けた二人の前に、不意に広がる眩い青空。その鮮やかさはジャングルの鬱蒼とした緑とは対照的で、二人を一瞬にして立ち止まらせた。
「なんでこの先、こんなに青空が見えて…って、まさか!」
レイラの目が輝き、反射的に前へ駆け出した。その勢いに応えるようにフレイアが肩から飛び立ち、頭上で小さく旋回する。足元の湿った地面を蹴る感触が心地よく、彼女の胸には一瞬の希望が溢れていた。しかし、次の瞬間――
地面を踏むはずだった足が、突然虚空を掴むような感覚に襲われた。
「えっ?」
レイラの心臓が跳ねる。視線を下ろすと、片足が完全に宙に放り出されていた。その先には、信じられないほど深く切り立った谷が広がっている。
(やば…)
その言葉を最後に、レイラの思考は恐怖で凍りついた。彼女は目をぎゅっと閉じ、身体が急激に吸い込まれる感覚に抗うことさえ忘れていた――が、落下は突然止まった。
「動くなよ…」
低く、けれど力強い声が耳元で響く。レイラは恐る恐る目を開けると、視界に飛び込んできたのはイクノシアの険しい表情だった。彼の手が、今にも滑り落ちそうなレイラの腕を必死に掴んでいる。血管が浮き出し、汗が額から滴り落ちているのがわかった。
イクノシアは力を振り絞り、レイラを慎重に引き上げる。その動きが終わったとき、二人は肩で大きく息をしていた。
「ホントに...ハァ...ハァ...助かってよかった」
「ありがとう...そしてごめんなさい」
その隣でフレイアが心底驚いた様子で叫ぶ。
「レイラ、死んだと思ったピィ!」
「ごめんね…」
青ざめた顔で謝るレイラに、イクシーは一瞬だけ苦笑を浮かべた。彼の目は一見冷静そうだが、その瞳の奥にはまだ緊張の余韻が残っている。
彼は周囲を見回し、足元の岩肌や谷の深さを確認しながら静かに言った。
「この深い谷を越えるのは無理そうだ。今日はここまでにしよう。ユウマたちに情報を共有して、それから少し休んで帰る準備をしようか」
その提案に、レイラは小さく頷いた。イクシーの肩に手を置き、まだ少し震えている自分の身体を感じながら言葉を絞り出した。
「本当に、ありがとう…助けてくれて」
イクシーは返事をせず、軽く肩を叩くだけだった。その手の感触は温かく、どこか安心感を与えるものだった。
[おまけ]
フェイとユウマがズッキュン♡バッキュン♡中外で見守っているリエルとホッパー
「ヨシヨシ、これで上手くいったアルね...だけどちょっと激し...ゲフンゲフン、ホッパーは見たらダメアルよ...って何してるアルか!」
布で、できた扉を開けようとするホッパーを急いで引き戻すリエル
「世界の中心で愛を叫んでる最中を邪魔したらダメあるよ!」
「ユウマとフェイは何してるの?気になるルー」
「それはまた今度教えてあげる♪」
次回![第六十四話、ガブッて甘噛、許せない]
第六十三話を読んでくださったそこのアナタ!
次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧




