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[第六十二話、ドキ♡真夏のサバイバルは危険がいっぱい]

毎週、月、水、土、絶賛更新中!!


高評価にコメントも頼んまヾ(*’O’*)/す〜

レビューなんかもしてもろたら涙ちょちょぎれますわん


どうぞよろしゅうに〜


8/25


-- 大きな船上 --


夏の太陽が、まるで金箔のように海面を照らし、まばゆい輝きを放っている。海を眺めながら、俺は大きく身体を伸ばして、深呼吸をした。


「ジョンも来ればよかったのになー」


俺の肩にぴょこんと乗ったホッパーが、いつものように元気に声を上げる。


「ジョンは今日、ルナとデートっていうイベントだってお師匠が言ってたルー」


「ちぇ…リア充な奴め」


ホッパーとくだらない話をしていると、隣からいつもより機嫌が悪そうな声が聞こえた。ツインテールを結び直しながら、レイラが暑さに文句をぶつけてくる。


「暑い! どうして夏休みがもうすぐ終わるってのに、こんな“隣国の老夫婦を楽しませるボランティア”に行ってこい!なんて命令されなきゃならないのよ!あの生徒会長、今度会ったらタダじゃおかないわよ!」


「そうだピィ!」


相変わらずのご機嫌斜めなレイラを無視しようと、視線を外して聞き流していると、リンがまるで赤子をあやすようにレイラに話しかけた。


「まぁまぁ、そう言わないの。これもサンクチュアリに入った定めと思って受け入れようよ。それに、あっちの街では今“極寒スイーツフェス”が開催されてるらしいし、楽しいこともあるかもしれないよ」


リンは端正な顔立ちにポニーテールを風に揺らして、まるで男の憧れの象徴みたいに静かに微笑む。


「極寒!それは寒そうッスね」


「ヤマトマル、口悪いよ」


「すいません、リン様…」


えーでもでもーと駄々をこねるレイラを見て、俺はついつい、からかってやりたくなった。


「故郷じゃお姉ちゃんだっていうレイラのこんな姿を見たら、妹たちはどんな顔するだろうな〜」


決まった。予想通りレイラはムッとした表情で下を向いた。ほれほれ、いつもやられるだけの俺じゃないぜ…


ブルらぁぁぁぁぁ!!


俺はなぜかアッパーを食らっていた。さっきまで下を向いていたレイラが頬を真っ赤にして顔を上げて叫ぶ。


「うるさーーーい!ユウマのバカぁ!!」



その賑やかなやり取りを、少し離れた2階の甲板からじっと見つめる人物がいた。


(ふふーん♪ ついに1人でお出かけしちゃったぞ♪ 我ってば、いけない子だな♡)


その人物は満足げに頬を緩めているが、ふと視線が自分の身体に向いたのに気がつく。


(ん? 段ボールじゃない胴体、だと?…フッ、説明しよう! 我はアップデートを果たしたのだ!)


勝手に療院に住み着き、そこで人型の模型を改造して作り上げたというその新たな身体は、今までの段ボール胴体よりも遥かに頑丈そうだ。


( 我らギルド一の手先の器用さを持つナディアが作り出した、丈夫で美しいこのボディ!)


魔王は誇らしげにグハハハと笑い、甲板に響き渡る声を上げた。しかし、ふと、魔王の笑顔が消え、瞳に影が差す。


(そうだ…もうナディアはこの世にはいないのだな…ナディア…お前もミカエルと共に、必ず蘇らせてみせるからな。待っていろよ!)


そう決意を込めて、ドン!と自らの胸を叩く魔王。その様子を遠巻きに見ていた一般ピーポは、どこか冷めた目で囁き合っていた。


「…あの人、すっごいイケメンなのに、なんか…変な人だね」


「残念イケメン…」




何故かこの3人も船の上にいる。テラス席に座り、白ぶどうの炭酸飲料が入ったシャンパングラスを片手に高らかに叫んでいた。


「「「KP!!」」」


「KPって言うたものの、どういう意味やねん!」


「えー、フェイちゃん、知らないの? ‘乾杯’って意味だよ」と、ジュリアが得意げに解説する。


「Excellent! キューティピンクガール!」


「…あーそういうことね!ってなるかい!」フェイは思わず呆れたように返し、さらにツッコミを重ねた。「それに、なんでこのメンツで、こんなお洒落なシャンパングラスで炭酸飲んどるねん!」


そんなフェイの鋭いツッコミに、ローザの星獣ティアが、赤い髪をファサっとなびかせて、まるで諭すように答える。


「ガミガミ言いなさんな。細かいことを気にしない、それがいい人生の秘訣ざますよ」


「そうそう!たまにはゆっくりするアルよ~」と、リエルもにっこりしながらフェイにすり寄る。


その様子を横で見ていたムニンは、相変わらずジュリアに熱い視線を送っていた。


「僕はジュリアがいればどこでも天国だじょ!」




「さて、俺達もそろそろ中に入って涼むとするか」


俺たちは先に中で涼んでいる二人のもとへと歩き出そうとした。だが、その時、ホッパーが急にグレイスタウンの方を指差して声をあげる。


「見てみて!あそこで大きな黒いドラゴンが、変な鼻の長いのと戦ってるルー!」


「おっ、なんだなんだ?」


俺はホッパーの言葉に釣られて視線を向けると、確かに遠くでドラゴンが激しく戦っているのが見えた。さらに近くで見ようとポールに寄って目を凝らす。


「あのドラゴン…アルインに似てね?」


「ルー?」


ホッパーは指をくわえながらそう?と首をかしげている。俺も少し考えたが、すぐに苦笑いを浮かべて


「あれがアルインなわけないか…アハハ」


再び歩き出そうとしたその瞬間、ホッパーが大きな声で叫ぶ。


「ルー!!なんかおっきなエネルギー弾がこっちに向かってくるルー!」


「へ?」


慌てて振り返ると、マジで巨大なエネルギー弾がこっちに向かって突っ込んでくる!その速度と大きさに圧倒され、体が硬直した。


死ぬぅぅぅぅ!!


エネルギー弾は海面に突き刺さり、途端に爆発が巻き起こる。衝撃で水柱が天高く舞い上がり、周囲に水しぶきが飛び散る。


「うわぁぁぁぁぁ!!」


「ルー!!!」



------


「---マ...ウマ...」


ん…?


「ユウマ!起きるルー!」


「っわ!」


飛び上がるように目を覚ますと、満面の笑みを浮かべたホッパーが目の前にいて、俺の顔にぴょんと乗ってくる。


「起きたルー!」


ぎゅっと顔に張り付いてくるホッパー。嬉しいが…これじゃ窒息しそうだ。俺はホッパーをそっと引き剥がし、身体を起こす。


あれ?俺って確か、海の上にいたはずだよな?


目の前に広がるのは、青々と生い茂る草木と砂浜。そして、周りには誰の姿もない。


「もしかして…島に打ち上げられたのか!?」


「しーま♪しーま♪」


脳天気に俺の周りをスキップしているホッパーを見ていると、殺意が湧いてくる。だが、ここで感情的になるわけにはいかない。


「…落ち着け俺。まずはソサマで誰かに連絡を…」


ローブのポケットからソサマを取り出して電源を入れるが…。


えーん、なんで圏外なの…。今どき圏外とかありえないだろ…。


「まぁいいや。誰か他に人がいないか探しに行くぞ」


ホッパーの手を握り、俺たちは未知の島での人探しに出発することにした。



陽炎が立ち昇るような暑さの中、俺はひたすら歩き続けていたが、周囲には人っ子一人も見当たらない。


「まさか…本当に俺一人だけか…」


「一人じゃないルー。ホパがいるルー」


「そうでした…すんませんねー」


暑さでダラダラと砂の上を歩き続けていると、視界の先に人影が倒れているのを見つけた。


「人だ!」


ひゃっふー!やっと人に会えたぜー!期待に胸を膨らませて駆け寄っていくと、意識を失っているのはなんと…。


「大丈夫ですか!?って…ジュリア先輩!?」


ピンクの美しい髪が濡れ、うつ伏せで倒れているのは間違いなくジュリア先輩だ。慌てて彼女の身体を少し起こし、息をしているか確認するために手を口元に当てる。


よし…生きてる、大丈夫そうだ。後は目が覚めるのを待つしか…っうわ!


ふと視線が下がった先には、スカートがまくり上がり、眩しいほどの輝きを放つ黒のレースが印象的な…おパンティーが俺の視界に飛び込んでくる。


「あわわ!」


俺は慌ててジュリア先輩のスカートをサッと直す。すると、彼女がゆっくり目を開けた。


「ん...あれ?ユウマくん?」


「す、すみません!俺、見ようと思って見たわけじゃなくて!」


「...ん?なんのこと?それよりここは…?」


セーフ...気付かれてない... 


「それが…俺も分からなくて。船の上にいたら、突然何者かのエネルギー弾が飛んできて…気がついたらここに。」


「ユウマくんも、あの船にいたんだ。」


相変わらず、優しく笑う顔が可愛いな…と思って見惚れていると、頭に軽い痛みが走る。


このツンツンする痛み…ああ、ムニンの仕業か。


「ツンツンするなよ、ムニン。」


「うるさい!早くジュリアを離せじょ!」


「はいはい、今離しますって!」


俺はジュリア先輩の肩をそっと支えながら彼女を立ち上がらせる。先輩は服についた砂をはたき、にっこりと微笑んだ。


「助けてくれて、ありがとう!」


「いえいえ、気にしないでください!」


夏休み以来、まともに会っていなかったからか、少しだけぎこちない感じがする。でも、それを察してか、ジュリア先輩はいつものように明るく振る舞ってくれる。


「私、フェイちゃんとローザ先輩と一緒に来てたの。もしかしたら、あの二人もこの島にいるかもしれない…ユウマくん、一緒に探してくれる?」


「もちろんです!俺もリンとレイラと一緒にいたので、あの二人もここにいるかもしれません。」


「じゃあ、行こうか!」



俺たちは無言で砂浜を歩き続ける。なんか気まずい…。


すると、ジュリア先輩が少しそわそわした様子で指をいじりながら話しかけてきた。


「なんか久しぶりだね」


「そうですね」


「元気だった?」


「はい、なんとか」


「そっか、それならよかった」


まともに会話が続かない…どうしようかと思っていると、遠くから声が聞こえてきた。


「ローザさーん!気をつけてくださいね!」


「もちのロンよ!もうすぐ取れるから待ってなさい、サムライガール!」


ヤシの実を取るために木に登っているローザに

リンが心配そうに見守りながら声をかけている。


「あれ?あそこにいるのって…おーい!リン!」


俺の声に、リンがピクッと反応して、こっちに視線を向ける。遠くから見える俺に気づき、彼女も手を振ってくれた。


「無事だったのね」


「あぁ!リンも無事でなによりだ!」


「や、やっほー」


「ど、どうも」


ぎこちなく挨拶を交わすリンとジュリア先輩。妙に緊張感が漂う…。


「そういえば、さっき誰と話してたんだ?」


「私?私はヤシの実を取ってくれてるローザさんに声かけてたんだよ。」


リンが指を差す先には、木にしがみつくようにしてスイスイと登っているローザさんが見える。


「危ないですよー!」俺が声をかけると、ローザさんは親指を立ててグッド!と返してくれた。


しばらくして、ヤシの実を手にして木から降りてきたローザさんが、俺たちの方にやってくる。


「ボーイも無事だったのね」


「はい、なんとか…」


「お師匠〜!会いたかったルー!」


ホッパーがルー!ルー!と甘えるように抱っこをせがみ、ローザさんにしがみつく。


「よしよし、甘えん坊さんね〜」


ローザさんの豊満な膨らみにこれでもかと顔を埋めるホッパーを見て、俺は思わず「全く、主の顔が見てみたいよ…」なんて口にした。


「後はレイラとフェイ先輩だけか…二人とも無事だといいけど…」


リンが心配そうにうつむく。


「まぁ、なんとかなるんじゃない?あの二人なら」とローザさんが余裕のある笑みを浮かべる。


「そうですね。ここで心配してても仕方ないし、とりあえず歩き出しますか。」


俺たちは再び歩き出した。



「もしかして、コイツ死んでるんじゃないの?」


うぅ...頭が痛い...


「何言うとんねん、レイラ。人工呼吸もして、呼吸も確認したんやから生きとるに決まっとるやろ」


「でも、フェイ先輩〜...」


なんだ?やけに騒がしいな...


「おっ、二人とも、男が起きたアルよ」


「大丈夫ピィ?」


ピィ?アル?一体なんの鳴き声だ、って...うわー!目の前に犬と鳥がいるぅぅぅ!


リエルとフレイアの間からさらにヒョコッと顔を出したフェイがニコッと笑いかけてきた。


「おはようさん、身体は大丈夫ですか?」


「あぁ...大丈夫だ。それより、我...じゃなかった俺は一体どうなって...」


混乱しながら頭を押さえつつ上半身を起こすと、目の前にはビチャビチャのスカートを豪快に絞っている女の子が見えた。その子はこちらに近づき、ビシッと人差し指を向け。


「アタシ達が助けてあげたんだから、お礼ぐらい言いなさいよ!」


その顔を見た瞬間、俺は衝撃を受けた。時空を超えて再会したかのような感覚に襲われ、思わず言葉が漏れる。


「ミ、ミカエル...?」


「はぁ?頭でも打った?アタシの名前はレ...」


込み上げる想いに抗えず、イクノシアはレイラの手をガシッと掴んでしまう。


「ちょ、ちょっと、何よ!この手を離しなさいよ...って、あんた泣いてんの?」


懐かしさで胸がいっぱいになり、気づけば涙が頬を伝っていた。


「あのー?泣いてるとこ悪いけど、ウチら友達と合流せなアカンねん。よかったら君も一緒にどう?」


我に返って、慌てて涙を拭きながらイクノシアは答えた。


「あぁ、ぜひ俺も一緒に連れて行ってくれ」


「じゃあ、アタシの手をそろそろ離してくれる?」


「ご、ごめん!」


彼女はくすっと笑いながら名乗った。


「アタシの名前はレイラ。この子はアタシの星獣、フレイアよ」


「ウチはフェイ!で、こっちがウチの星獣リエル!」


「あ...俺の名はイクノシ...いや、イクシーだ」


「イクシーね!よろしく!」





「ローザさんとホッパーに言いたいことがあります」


「何かしら?」


「さっきから、ちょいちょい海に2人で潜っては変な魚を捕まえるのはやめてくれ」


「今日の晩ごはんルー!」


「そうよ、ボーイ!私達はSURVIVALな環境にいるんだもの。自然を美味しくいただくのはおかしいことではないのよ?」


「いや、言ってる意味がわかりませんし、それはレイラとフェイ先輩と合流してからにしてほしいっす...」


そんなやり取りを、少し離れた後ろから眺めているリンとジュリア。


「リンちゃん、この夏休み楽しめた...?」


「はい、おかげさまで」


二人の間に、どこか重苦しい空気が漂う。ジュリアが作り笑いを浮かべて話しかけるが、リンは目を合わせようとしない。


「あのね!私、謝りたいことがあって!あの時、リンちゃんとユウマくんが...」


「先輩、今は目の前のことに集中しましょう」


ジュリアの言葉を強制的に切り上げるように、リンは早足で歩き出した。


「だからホッパー、海に入るなって!...ん?あれ、あそこにいるのは」


遠くに見えた姿を見つけて、俺は叫んだ。


「おーい!レイラー!フェイ先輩!」


声に気づいた二人が手を振っている。ついに全員が合流できた。


「無事だったんだな!」


「当たり前でしょ!このアタシがいるんだもの!」


「フェイちゃーん、会いたかった〜♡」


「こ、こら!いきなりひっついたら、苦しいやん!」


「レイラ、無事でよかった」


「リンこそ無事で...って、ちょっと!」


レイラがリンにぐっと近づき、小声で耳元にささやく。


「ねぇ、なんでジュリア先輩がいるのよ?アンタ、会いたくなかったんじゃないの?」


「会いたくなかったけど、偶然3人共同じ船に乗ってたみたいだったから。それに今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ。大人の対応で乗り切るから任せて」


「感動の再会ね!ハピネース!」


きゃっきゃっと円になって喜び合う星獣達。


よかった、これでひとまず安心だな。…あれ?そこにいるのは誰だ?


レイラの後ろにいる不審な男に、俺は警戒しながら声をかけた。


「お前、誰だよ」


「俺はイクシー。旅人さ」


「なんか怪しいんだが...」


「怪しくなんかないやい!レイラに助けられたんだ。いきなりですまないが、俺もこの島を脱出するまで一緒にいさせてくれないか?」


「脱出って言ったって、ソサマも繋がらないし、それにここ無人島だろ?」


ユウマがソサマを空に掲げながら言った


「いや、もし俺の勘が正しければ、このジャングルの奥に脱出するための“キーポート”があるはずだ」


「キーポート?何だそれ?」


「こういう島には、外部からの侵入を防ぐため、空を飛ぶことができないような結界が張られていることが多いんだ。だけど、もしこの島が何者かに利用されているのなら、空間を繋ぐための“鍵”のような魔法具がどこかにあるはずだ。大体、森の中央に隠されてたりするがな」


「へぇ、じゃあそのキーポートを見つけに行けば脱出できるんだな」


「そう簡単に行けばな」


「おいおい、不吉なこと言うなよ」


「まぁ、とりあえずもう少し準備をしてから森に入ろう。でないと、ここでみんな死んでしまう」


「わかった。お前の言う通りにするよ。おーい!みんな、聞いてくれー!」


こうして、なんとも不思議で波乱に満ちた遭難生活が始まろうとしていた。

 

[おまけ]


「魔王様ー!魔王様はどこですのー!?」


「おーい...」


「ダミアナ、アリヤ見つけたコン?」


「見つかるわけないじゃ、ありませんか!あのド畜生どこに行きやがりましたの?」


「ダミアナさんの言葉がものすごく悪くなっていて、お姉ちゃん怖いわ...アリヤちゃん」


「大丈夫...いつものこと」


「皆様、魔法様の机にこんなものが」


4人はゴブリンから手渡された手紙を読む


魔王ちゃんは本日から旅行にいってきます。

探さないでください。


追伸、日帰りです☆


         

次回![第六十三話、もっと今を楽しもう] 

第六十二話を読んでくださったそこのアナタ!

次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧

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