[第五十九話、僕の彼女は最強です]
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レビューなんかもしてもろたら涙ちょちょぎれますわん
どうぞよろしゅうに〜
「だけどルナ先輩、僕…」
「大丈夫、私が守るから。」
強い風が吹き荒れるビルの屋上で見つめ合う二人。
って! ちょっと待って、ストップ、ストップ!
よかった、止まってくれた…
あっ! どうも皆さん、僕の名前はジョン! エンチャントレルム魔法学校の1年生で…って、自己紹介しなくてもわかるか(笑)。
それより緊急事態だよ! なぜって? だってもうこのエピソードが終わろうとしてるじゃないか!
これは由々しき事態だ…ということで、僕がいまから時間を戻したいと思います。
ゴソゴソと内ポケットを探り、取り出したのは…
じゃーん! この切符のような形をした紙はクロノチケットと言って、この紙をビリっと! 破ると時間を巻き戻すことができるんだ。これで時間を戻すから、僕たちの活躍をぜひ見てね!
8/25
--校長室--
「わざわざ夏休み中なのに呼び出してすみません。」
「いえ、構いません。」
「どうぞお掛けになって。」校長先生が手を広げてソファを示すと、僕とルナ先輩は顔を見合わせてから、「ヨイショっと」と軽く声を出しながら腰を下ろした。
「それで今日は、どういった依頼ですか?」ルナ先輩は、校長が用意してくれたアイスティーにも目をくれず、すぐに話を切り出す。
校長先生は一瞬ためらうように視線を落とし、そしてゆっくりと重い口を開く。「実は…教頭先生が…」
「ええっ! 教頭先生がさらわれた!」
思わず声を張り上げてしまった僕に、ルナ先輩は咳ひとつせず、無表情のまま座っている。
校長先生は困ったように眉を下げ、重々しく話を続ける。
「はい、私には古い友人がいまして。昨日、本来ならその友人と会う約束をしていたのですが…」
校長は少し恥ずかしそうに頬をかきながら。
「アイスの食べ過ぎでお腹を壊してしまいまして、代わりに教頭先生にお願いをして友人と会ってもらい、約束していた物を受け取りに行ってもらったのです。ところが、なぜか連絡がつかなくて…」
ルナ先輩は冷静に問いかけた。「では、なぜ教頭先生が拐われたとおわかりに?」
「それはですね…時間になっても戻ってこないので、不安に思い、こちらの方に偵察をお願いしたのです。」
校長が部屋の片隅に立て掛けてあったスクリーンの電源を入れると、そこに映し出されたのは──
「やっほー! ジョンくん、ルナ〜、ジュリアだよ!」
「僕もいるじょ!」
ジュリア先輩とピンクのリボンを巻き付けた小さなカラスのムニンが見える。
「ジュリア…あなただったのね」
「あはは、いきなり校長先生から連絡が来るなんて、私、何かやらかしたのかと思ったよ!」
ジュリア先輩は、ふにゃっとした表情を浮かべながらヘラヘラと笑った。
「ジュリアさんには以前から潜入捜査などを依頼していましたので、今回も助けていただきました。」
なるほど…そうつぶやくと、ルナ先輩はアイスティーを口に運ぶ。
「早速だけど、教頭先生と校長先生のお友達がいる場所は、グレイスタウンからさらに北へ行ったところにある、数年前に廃墟になった超高層ビルの一番上にいることがわかったよ。」
「私たちは何をすればいいの?」
ルナ先輩の言葉に、校長が申し訳なさそうに頭を下げる。
「お手数をかけますが、教頭先生と私の友人を救っていただきたいのです。お願いします。」
「では、今から向かいます。」
そう言って立ち上がると、スクリーンの中にいるジュリア先輩に向かって。
「ジュリア、ちゃんとユウマとリンには謝ったの?」
「な、なんでその話を知ってるの...?」
バツが悪そうな顔をしたジュリア先輩に、ルナ先輩は優しく言った。
「2年生は全員知ってると思うよ。フェイから聞いたもの。私から言うのもなんだけど、ちゃんと謝りなよ。」
ルナ先輩がそう言って校長室を出ると、僕は彼女に着いて行く。
「あの、先輩。ユウマとリンとジュリア先輩の間に何かあったんですか?」
「話すと長くなるから、あなたの親友のユウマにでも聞いて。それより、あなたも来るでしょ?」
「はい、だけど...」
ホントいうと今日、何もなければルナ先輩とレイトショーを観に行くつもりで、チケットも買っていたのに、これじゃあ映画には行けないな。
僕の気を落とした顔に気づいたのか、ルナ先輩が顔を覗き込み。
「何か言いたそう。」
「べ、別になにもないです...」
「嘘。不満ですって顔に書いてあるよ。」
この人は、何でも僕のことをお見通しなんだから...
「実は、一緒に見たい映画があって...レイトショーなんですけど、チケットも買ってあるんです。」
「何時から?」
「21時からです。」
「今から目的地に着いたら、ちょうど11時か。予定時刻まで10時間あるわね。大丈夫、映画観に行こう。」
「え?でも...あっ!ちょっと待って!」
そそくさと歩き出したルナ先輩に、慌てて着いていく僕であった。
--高層ビル、内部--
「雛音様!準備ができました。」
軍服を着たゾンビがビシッと敬礼する。
「お疲れ様コン♪後は待つだけコンね。」
4本の尻尾をユラユラと揺らしながら、気分良さそうに踊る、雛音。
すると、ゾンビが少し不安げに言った。
「ですが、よろしいんですか?魔王様に内緒で勝手に副業なんかして。」
「大丈夫!大丈夫!全ては魔王様のためでもあるし、それにお金が稼げればダミアナたちも文句は言わないでしょ。」
「なるほど、では引き続き侵入者がいないか警備に戻りたいと思います。」
「お願いするコーン!」
ゾンビがバタンとドアを閉める。
窓から外を眺め雛音は独り言をつぶやいた。
「このままうまく、いくはずもない...念のためにさらに妖怪たちを呼び出しておくコン。」
「ここが目的のビルね。」
「うわぁ...凄い高い。」
思わず上を見上げると、その高さに口を大きく開けたままになってしまった。まるで後ろに倒れてしまうんじゃないかと不安になるほどだ。
「高いところは苦手ココ。」
「なのだ...」
僕の足にプルプルと震えながらしがみつくモナークとアルイン。
その時、ルナ先輩のソサマが鳴る。電話の相手は校長先生のようだ。
「どうやら目的のビルについたようですね。このビルの100階に友人と教頭先生が捕らわれています。」
「移動手段は階段だけ?」
「ジュリアさんの調べによると、10階までは階段しかないようです。そこからはエレベーターがあるので、それを使っていただければ。」
「わかりました。」
「それと、あなた達以外にもこのビルに侵入した者がいるようです。敵か味方かはわかりませんので、どうかお気をつけて。」
ルナ先輩は通話を切ると。
「さっきの話、聞こえてた?」
「はい。」
「ジョンのことは私が守るから、私のそばから離れないで。」
「そ、それだと男の示しがつかないですよ!僕も戦いますから!任せてください!」
僕も男だ!よーし、いいところを見せるぞ!
そう思った矢先、何故こんなところに落とし穴がと言いたいが、気づけばその中に落ちてしまった。
「大丈夫?」
「は、恥ずかしい...//」
「これは大変な任務になりそうココ。」
「なのだ。」
--廃墟ビル、1F--
率先して先頭に立ち辺りに敵がいないか辺りを見渡すルナ先輩
「敵はどういう姿を...」
僕が訊こうとした瞬間、ルナ先輩が人差し指を立てて「しっ…静かに」と制した。その視線の先には、「Thriller, thriller night」と広間で踊り狂うかのようにリズムに合わせて体を揺らすゾンビたちの姿があった。
「ゾ、ゾンビ…!?」
「ゾンビって、あの、お墓から出てくるあのゾンビココ...?」
「こ、怖いのだ...」
僕と星獣たちは恐怖で声を震わせながら固まっていたが、ルナ先輩は微動だにせず、ゆっくりと息を整え、目の前の敵を冷静に見据えていた。
すっと息を潜め、片膝を立ててしゃがみ込み、目の前のゾンビの群れに狙いを定めた。スナイパーライフルには、彼女が選んだ『フロスト弾』が装填されている。その弾はまるで凍りついたアクアマリンのように青白い光が特徴的な弾丸
そして、彼女の指が静かに引き金を引くと、青白く輝く弾丸が冷気を伴って一直線に飛び出し、目の前のゾンビの頭部に突き刺さった。弾丸が命中すると、ゾンビは瞬時に凍りつく。
「な、なんだ!?」
突然の出来事に驚くゾンビ達だが
それでも止まらず、ルナ先輩は次々とライフルの引き金を引き淡々と別のゾンビに狙いを定める。そして、その度に青いフロスト弾が放たれ、ゾンビが冷たい輝きに包まれながら次々と氷漬けにされていく。
ルナ先輩が氷の如く冷静にゾンビを狙撃する姿に、僕はただ息を呑むばかりだった。
あっという間にゾンビたちは美しい氷の彫刻へと変わり果てる。
「す、すごい…」
「行きましょう」
僕は目の前の光景に言葉を失い、ただ見惚れてしまった。しかし、ルナ先輩は一切振り返らず、ましてや僕の反応など気にも留めずに次の階へ向かって歩き出す。
その背中を追いかけるように、僕も慌てて駆け出した。
—廃墟ビル、5F—
「1階にはゾンビがいたけど、他の階に敵は見当たらないですね」
少し落ち着きを取り戻し、僕はメガネをクイッと押し上げて位置を調整し、周囲を見渡しながら続けた。
「それに…この部屋だけ他の階と構造が違いますね。以前は休憩室だったのかもしれません」
「そうみたいね。ここで少し休みましょうか」
そう言うとルナ先輩は広めの部屋の中央に進み、冷静な表情のまま壁に寄りかかる。僕も緊張が解け、ほんの少しだけ安堵の息を吐いて、その場に腰を下ろした。
大丈夫?と言った顔で、モナークが僕に寄ってきた。
「心配してくれてるんだね…ありがとう」
「ジョンはあまりクエストに出ないから慣れてないだけココ」
「ハハハ、そうかもね…足手まといにならないようにしないと」
自分の星獣にまで気を使わせてしまうなんて、情けない。もっと僕が強かったらなぁ……。深いため息をつき、少し深呼吸して気を落ち着かせていると、
「具合悪い?」
「うわっ!びっくりした…」
ふいに声をかけられて振り向くと、ルナ先輩が驚くほど近くに顔を寄せていた。しかもその表情が、なんだか可愛い……いやいや、そんなことより…。
「だ、大丈夫です」
「あまり慣れてないのに付き合わせてごめんね。本当は私1人でも行けたけど、今日は一緒に行きたくて…」
「どこまでもついていきますよ。実力不足ですけど(笑)」
ハハハと照れ笑いを浮かべる僕を見つめながら、ルナ先輩はそっと無言で僕の手を握ってくれた。そして、真っ直ぐに僕を見つめると、
「実力不足なんかじゃないよ。ジョンは私にとって…大切な人だから。そばにいてくれるだけで、私は嬉しい//」
あまりに直球な言葉に、思わず視線をそらしてしまう。それでも、ルナ先輩の顔が気になり、再びそっと目を戻すと、彼女がまっすぐこちらを見つめていた。
僕は無言のまま、彼女に少しずつ顔を近づけていく。胸がドキドキして、心臓が飛び出しそうだ。
ドキドキ...//
「動くな」
せっかく勇気を出して僕からキスしようとしたのに、邪魔をするとは誰だ!
閉じていた両の目を開くと、ルナ先輩の頭にハンドガンを押し当てている深い藍色の制服を着た金髪ポニーテールの美女が立っていた
「お前たち、何者だ?」
金髪の美女が冷たい視線で僕たちに質問を投げかける。
「あ、えっと、僕たちは――」
ジョンが言葉を発しようとした瞬間、ルナ先輩が即座に動き、美女の腕をつかんで一気に放り投げた。驚いた様子も見せず、美女は空中で見事に体勢を立て直し、受け身を取ってすぐにハンドガンを構える。鋭い銃声がビルの廃墟に響き、二人の激しい銃撃戦が幕を開けた。
美女がハンドガンで速射を仕掛けると、ルナも冷静にショットガンを召喚し構え。低くしゃがみ込み狙いを定め引き金を引いた。轟音とともに美女のいる場所に散弾が飛び散るが、美女は素早く横に転がって回避し、近くの椅子を引き寄せて隠れながら反撃してくる。
美女の攻撃を避けつつ、ルナはさらにアサルトライフル召喚すると連続射撃を開始する。銃弾が椅子の盾を次々と貫き、破片が床に散らばる。だが、美女は隙を突き、横にあった机を蹴り飛ばしルナを追い詰めてくる。お互いが目を光らせ、次の動きを伺い合う緊張が走る。
ルナがアサルトライフルを床に投げ捨て、腰から二丁のハンドガンを抜き取った瞬間、再び激しい銃撃戦が始まる。互いの銃弾が部屋を貫き、床には無数の弾痕が刻まれていく。視線が交錯し、次の動きを待つ間もなく、美女が突進してきた。
二人はついに銃を捨て、接近戦に入る。美女が鋭い拳をルナに放つが、動きをかわし、相手の腕をつかんで攻撃を仕掛ける。しかし、相手もまた素早く反撃にでる、二人の拳と蹴りが交差する激しい戦闘が繰り広げられる。美女が一瞬の隙を突き、ルナを押し倒し、床に押し付けたと同時に腰からハンドガンを取り出しルナの頭部にハンドガンを突きつけ、冷たい視線で見下ろす。
「なかなかやるな、お前。」
美女は口角を上げ、ニヤリと笑った。その笑みには冷徹な輝きが宿っており、まるで遊びを楽しむかのようにルナを見据えている。
ルナはその笑みを無視するかのように、片目に蒼い炎を灯し、竜魔法を放とうとした。その力は一瞬で周囲の空気を支配し、場が緊張感に包まれる。しかし、ジョンは駆け寄り、急いで両手を広げて二人の間に割り込んだ。
「ちょ、ちょっとストップ!ストップ!」
僕は慌てて声を出した、ルナ先輩に魔法を使わせてしまったらどうなるのか一瞬で想像がつく。ビルが崩れるようなことになれば、大事になってしまう。冷や汗をかきながら、必死で制止の言葉を発した。
「ジョン...」
目の前のジョンを見つめ、その目に一瞬だけ戸惑いが浮かんだ。
だが、その空気の中で美女は顔を歪め、ジョンの胸ぐらを掴み。鋭い眼差しで睨みつけ、声を荒げる。
「お前も殺されたいのか!?いいさ!だったらお前から!」
「みっともないですわよ、シンデレラさん。」
その声に振り返ると、同じく深い藍色の制服を着た美しい茶色のロングヘア、長い刀を持った美女が立っていた。風のように静かに、こちらに向かって歩いてくると
「このおバカ!」
突如、茶髪美女がシンデレラと呼ばれた美女の頭を手刀で強烈にチョップした。その音が響くと、シンデレラはよほど痛かったのか、ふらつきながら数歩後ろに仰け反り、頭を抑えてその場に踏みとどまる。
しばらくの沈黙の後、茶髪美女が今度は僕達に身体を向けると、
「いきなり何も理由を聞かず襲ってしまい、申し訳ございませんでした。」
僕は少し驚きながらも、すぐに口を開いた。
「い、いえ、僕達のほうこそ、突然の事で気が動転してしまって…。」
茶髪美女は静かに深く頭を下げ、そのまま優雅に姿勢を戻す。そして、自己紹介を始めた。
「実は、わたくし達、このビルに用があって潜入途中だったのです…わたくしはベル、そしてこちらの脳筋ゴリラさんが…」
その言葉が終わる前に、シンデレラはまだ額を押さえながらも、痛みに耐えつつも不満げに言った。
「誰が脳筋ゴリラだ、シンデレラよろしく。」
「ルナです。」
「僕はジョン!」
「モナークココ!」
「アルインなのだ…」
みんなが自己紹介を終えると、ベルさんは僕達をじっと見つめ、何か思い付いたように口を開いた。
「見たところ、魔法使いの生徒さんかなにかですか?」
「はい!僕達はエンチャントレルム魔法学校の生徒です!僕達も実はこのビルに用があって…」
ジョンはこれまでの経緯を簡潔に話し、ベルはしっかりと頷いて聞いていた。
「なるほど、ではお二人は失礼、お二人とお二匹さん達は教頭先生の救出に来たのですね。」
「そうよ、そのためにここからさらに上り、10階まで行かなくちゃいけないの。」
「10階か…奇遇だな。私達もそこに向かうんだ。こちらも人を救出するために来たのでな。」
それを聞いて僕は胸に疑問が湧く。校長先生が言っていた“先に侵入していた2人”がこの人達なのだろうか?いまだに彼女たちが何者なのかは分からないが、同じ目的地に向かうなら一緒に行けるかもしれない。僕は思い切って提案する。
「あの、よかったら同じ道のりみたいなので一緒に行きませんか?」
シンデレラさんは少し口を開きかけたが、その前にベルさんが口を塞ぎ。
「ええ!もちろん一緒に行きましょう!」
「それはよかった…!お二人が一緒でも、ルナ先輩はいいですか?」
ルナは一瞬の間をおいてから、少し無感情に言った。
「構わない。」
「では、みんなで10階まで向かいましょう!」
こうして、僕達と一緒に同行してくれる謎の二人を加え、4人と2匹で救出作戦を再開することとなった。
[おまけ]
「ジョンさんとルナさん無事に救出できるのでしようか...」
そうポツリと独り言を呟き、淹れたてのアツアツ紅茶を口に運ぶソフィア校長
「熱!」
あまりに熱かったのか少し紅茶を溢してしまう
「教頭先生、お茶が溢れました...タオル...」
そうか...教頭先生は今いないのかいつもなら小言の一言がここで来るはずなのに今日はこない...
そんな状況に寂しさが込み上げ、思わず大きな声で
「教頭先生〜!早く帰ってきてくださーい!」
次回![第六十話、私の彼氏は天才です]
第五十九話を読んでくださったそこのアナタ!
次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧




