[第五十二話、弦楽四重奏第5番『男と女』]
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ルーシーは鋭い目でフロストバンデュークを睨みつけ、手に握ったハルバードを構える。一瞬の隙をつき、全身の力を込めて前へと踏み込んだ。
「ここだ!」
ハルバードの鋭い刃が氷の獣の硬い皮膚を突き破り、その腹部に深く突き刺さる。フロストバンデュークは苦痛に呻き、巨体をよろけさせた。だが、ルーシーはその動きに惑わされることなく、突き刺したままのハルバードを軸に、一気に体を回転させる。
「次はこっち!」
回転の勢いを借りて、ルーシーの足がもう一体のフロストバンデュークの頭部に命中した。力強い蹴りが放たれ、魔物はよろけながら後退する。雪煙が舞い上がり、二体のフロストバンデュークは苦痛に歪む。
ルーシーは荒い息をつきながら、ハルバードを片手に握りしめたまま、倒れたフロストバンデューク二体を見下ろした。周囲は静寂に包まれ、吹きすさぶ風の音だけが響いていた。
ルーシー先輩、強...
流石は副隊長やってるだけあるな
俺は呆気にとられ戦闘を眺めている、すると奥から先程のゴリラみたいな奴とは違うデカくてそして早い何かが俺達を横切った
「今のは…?」
ルーシーの目が鋭く動く。彼女は視線を横切った物の行方を追った。
その先にいたのは、フロストバンデュークとは比べ物にならないほど大きく、全身を冷気のオーラで覆った狼のような姿。氷の結晶に覆われた体は、吹雪の中心にいるかのように、周囲の空気を凍りつかせていた。
「まさか...フロストウルフ…!?」
ルーシーは一歩後退しながら、あまりの威圧感に思わず息を呑む。巨大な魔物は低く唸り声を上げ、目を光らせながらルーシー達をじっと見つめていた。
「また厄介なのが出てきましたね…皆さん構えて..こいつはさっきのとは比較外の強さです」
ルーシーは再びハルバードを握り直し、冷静に構え直す。
冷たい風が容赦なく吹き付け、視界は白い雪に包まれていた。レオとリンは凍てつく雪道を慎重に歩いていた。前を歩くペンドルトンが、小さな体ながらも頼りになる先導役を務め、彼らをルーシーたちの元へと導いていた。
「雪が深くて足が重いな…」
レオはブーツが雪に沈むたび、力を込めて足を持ち上げる。頬に当たる風の冷たさに顔をしかめながらも、レオの表情には焦りが見えていた。
「ユウマたち、無事だといいけど…」
リンが心配そうに呟く。彼女もまた、雪の中で足を取られ、何度もバランスを崩しそうになりながらも懸命に進んでいた。白銀の世界が広がる中、歩くたびに雪がサクサクと音を立てる。
「大丈夫さ、ルーシーだってあの程度の状況でやられるようなタマじゃないだろう。もちろんユウマも」
レオはいつもの軽口を叩きながらリンを安心させようとする。
ペンドルトンは時折振り返って二人を確認している。鳴き声を上げては進むべき方向を示しているようだった。
険しい雪道をようやく抜け、洞窟の入り口にたどり着いたレオとリン。その瞬間、洞窟の奥から重い衝撃音が響き、レオの目の前でルーシーの体が吹き飛んでくる。
「ルーシー!」
レオはとっさに駆け寄る、その顔は疲労と痛みが浮かんでいた。
「無事か?」
レオが声をかけるが、ルーシーは荒い息をつきながらも頷くだけだった。
「ユウマは…ユウマはどこ!?」
リンは慌てて洞窟内を見渡し、息を呑んだ。視界の端に捉えたのは、巨大なフロストウルフの足に踏みつけられたユウマの姿だった。冷たい氷の牙をまとったその巨体が、彼を容赦なく押しつぶしていた。
「ユウマ!」
リンは叫び声を上げながら駆け寄ろうとするが、その時、小さな影が視界に飛び込んだ。ホッパーだ。彼は小さな体で必死にフロストウルフの足を殴っていた。ホッパーパンチを繰り出し続けるその姿は、あまりに小さく、あまりに無力に見えたが、決して諦める様子はなかった。
「ホッパー…!」
リンの声が震えた。ホッパーは必死にパンチを繰り出していたが、もう一匹のフロストウルフがその小さな体に迫っていた。巨大な前足がホッパーを踏みつけ、その牙が鋭く開き、今にも食らいつこうとしていた。
「させない!」
リンは咄嗟に動き、手を素早く手刀の形に構える。『烈風!』鋭く響く声とともに、彼女の手から風の刃が解き放たれた。目に見えないほど速いそれは、フロストウルフにまっすぐ飛んでいった。
風の刃は正確にフロストウルフの肩に当たり、鋭い音と共に切り裂いた。フロストウルフはか細い鳴き声を上げ、その巨大な体が一瞬怯んだ。足元にいたホッパーへの圧力が和らぎ、辛うじてその場から抜け出すことができた。
「ヤマトマル!ホッパーを安全な所に!」
リンは即座に指示を飛ばした。
その声に応えるように、ヤマトマルは一瞬でホッパーの元に駆け寄った。言葉を交わす暇もなく、その足でホッパーの身体を掴み、素早くフロストウルフの攻撃圏から後退する。
「ホッパー、もう大丈夫ッスよ」
ヤマトマルは安堵の声を上げながらホッパーに言った。
「ありがとうルー…」
一方、リンはフロストウルフに向かい、短刀を握りしめ。その刃に魔力を込めると、冷たい光が短刀を包み込んだ。彼女の目はフロストウルフを鋭く見据え、足元の雪がわずかに舞い上がる。
「斬る!」
リンはフロストウルフに向かって突進し、素早い動きで何度も短刀を振るった。刃は冷気を纏った獣の皮膚を切り裂き、鮮血が雪上に飛び散る。
フロストウルフはリンの素早い攻撃に圧倒され、次第に後退していった。追い詰められた獣の目に、怯えと怒りが入り混じった光が宿る。リンはさらに一歩前に進み、勝利を確信しかけたその瞬間、フロストウルフが大きく口を開いた。
「まずい…!」
リンは冷気のブレスを察知したものの、避けるには遅すぎた。凍てつく風が一瞬で彼女を包み込み、その動きは完全に止まってしまった。冷気が瞬く間に彼女の体を覆い、リンは倒れ込んでしまう。
「リンッ!」
レオの叫びが洞窟内に響き渡った。
このままではリンは凍え死んでしまう。レオは焦りを覚え、すぐにフロストウルフに向かって手を掲げた。
「邪魔だ!どけ!」
レオは水の魔法を唱え、フロストウルフに向かって強烈な水流を放った。水はまるで巨大な鞭のようにうねり、フロストウルフを吹き飛ばす。
倒れたフロストウルフを横目に、レオはすぐにリンとユウマの元に駆け寄り、それぞれの肩に担ぎ上げた。「逃げるしかない…!」レオは決断し、その場を離れようとしたその瞬間、地面に大きなひびが走った。
「まずい…!」
足元が音を立てて崩れ始める。レオは反射的に後ろへ飛び退こうとしたが、地面は彼の動きに合わせるように崩れ、4人と4匹全員が下の層へと落ちていった。急な落下に目も耳も混乱し、レオたちはどこか深い、暗く冷たい空間に吸い込まれていく感覚だけが残った。
彼らの体は重力に逆らえず、次々と下の層へと転げ落ちていった。
「ここどこだ?俺、なにして…」
ぼんやりと呟き、目を開ける..どうやら長い時間気を失っていたようだ
「やっと起きたか」
レオさんが俺に近づき話しかけてきた。
「レオさん…ここは?」
「さぁな、いきなり地面が崩れて、気がついたらこんなところに落ちてたんだ」
レオさんは肩をすくめながら答えたが、その目は真剣に周囲を見回していた。
俺もゆっくりと周りを見渡した。そこには広大な凍てついた湖が広がっていた。氷の表面は透明感があり、その下には薄く水の影が揺れているのが見えた。頭上には僅かながら光が差し込んでおり、それがこの暗い世界の唯一の希望のように思えた。
「上からの光か…」
俺はぼんやりと呟いた。だが、その光がどこまで続いているかはわからない。
「どうやらここは、湖が凍った地下の層みたいだな」
レオさんが氷の上を慎重に歩きながら、少しずつ状況を確認していく。
足元の氷は厚く頑丈そうだが、どこか冷たい孤独感が漂う異世界のような場所だった。上へと続く道は見当たらない。光は微かに届いているが、この深さがどれだけ続くのか、まったく見当がつかない。
「リンは!」
俺の言葉にレオさんは一瞬黙り込み、深く息を吸ってから、重い口調で説明を始める。
「リンは…フロストウルフの冷気をまともに受けた。今は凍死状態だ。けど、完全に手遅れってわけじゃない。ルーシーが看病してくれてる。少しでも温められれば、回復する見込みはある」
身体中痛むがそんなの知っちゃことない俺のせいだ俺のせいでリンは..
「おい、ユウマまだ動いちゃ」
「こんな痛みリンの苦しみに比べたら..」
「ったく..ほら肩に掴まれ」
レオに支えられリンの元に向かう、少し開けた場所に近づくと、リンがレオの厚手のコートの上で横になっているのが見えた。
レオのコートは、雪の上でも温かさを保てるように工夫された魔法繊維で作られている。そのおかげで、リンはかろうじて寒さから守られているようだったが、その顔は青白く、今にも凍りついてしまいそうなほどだった。
「リン!大丈夫か!」
「ユ..ユウマ..大丈夫、ちょっと寒いだけ..」
「リン死んじゃうルー」
「変なこと言うなでござるー!」
凍えるリンの隣で、ルーシーは集めた少しばかりの木片に魔法を唱える。
「イグニス・スパルカ」
指先から小さな火花が散った。数度試してようやく、木片に火が移り、小さな炎が揺れ始める。風が吹き付け、火はかろうじてだが耐えている。
「これで少しは温かくなるはず…」
ルーシーはそう呟きながら、リンの顔を見つめ、炎が頼りないながらも希望の光であることを信じていた。
「ありがとうございます...」
「いえ、これぐらいしかできませんが」
レオは辺りを再度見渡し
「フロストウルフは俺達を諦めてないだろうな...少し見回りに行ってくるよ」
「僕もいきます」
「いや、いいよルーシーは休んでくれ」
「僕はレオ先輩について行きたいから行くのではないです、行きますよペンドルトン」
ルーシーはそう言うとレオの顔を見ずペンドルトンと見回りに向かった。
「また怒らせちゃったな..なんで俺いつもこうなんだろう」
「おいどん達も行くでごわすよ」
はいはーいとエドワードに返事するとレオ達も見回りに向かった。
ホッパーとヤマトマルもリンに何かを食べられる物をと二匹で辺りを散策しに歩き出した。
リンの思い出の小川以来のだろうか2人の間に沈黙が流れる。
パチパチと木が弾ける音だけが響いている。
「リン、あのときはごめん」
「....」
「誤っても許してもらえないことなのはわかってる..もしかしたらもう知ってるかもしれないけどあの夜俺はジュリア先輩といた、本当にすまない」
リンに向かって土下座をする、これが今の俺にできる唯一の償いなら安いもんだ
するとさっきまで黙ってこちらを見ていたリンの口が開いた。
「やっとちゃんと謝ってくれたね」
「すぐに謝れなくてごめん」
「私本当に怒ってるから、だからすぐに許してあげない」
「それは重々承知です。」
「どうしても許してほしいなら...っゲホっゲホ..」
「リン!?大丈夫か!?」
「結構ヤバいかも..」
俺は焦りを感じながらリンに近づき手で身体を触れると、リンの身体はまるで氷のように冷たくなっていた。人間の体温とは思えないほどの冷たさに
「どうしよこのままじゃ、リンが」
ダメだリンの体温がドンドン下がっていく..どうしたら...
その時俺はメリファさんの言葉を思い出した。
「そうか魔力供給ならもしかしたら」
俺はリンの手を握り呪文を唱えた
「我が魔力よ汝の力と共鳴せよ。」
周囲に魔法陣が展開し、淡い光が二人包み込む。
「ユウマ..?なにするの?」
「魔力供給だよ、もしかしたらこれで助けられるかもしれないから」
「キスなんか今したくない...」
「じゃあ死んでもいいのかよ...今だけは我慢してくれ頼む」
魔法陣は鮮やかな光を放ち、リンの周りに温かなエネルギーが流れ込む。ユウマは心を込めて、自分の魔力をリンに送り込むために、彼女の唇にそっと口づけをした。その瞬間、魔法陣はさらに明るく輝き、リンの身体が微かに温まり始める。
リンの顔に、少しずつ色が戻っていく。ユウマは自分の魔力が彼女に伝わっているのを感じ、心から祈るように目を閉じた。彼女の無事を願いながら、魔法の力がリンを包み込んでいくのを感じた。
[おまけ]
「ねぇキース、シルベスターそれ以上食べると先生のボーナス飛んでいくんだけど」
ライラのミスにより危ない目にあったキースのお詫びとして食事に連れてきてもらっている二人
シルベスターは机の上に置かれているデッカイハムをフォークでブス!と差し口に運び、誰のせいでこうなった?と言わんばかりの顔で
「ボーナスとキースの命どっちが大丈夫だ?俺様の可愛い可愛いキースを酷い目に合わせやがってこのメガネ教師が!」
「シルベスターさん、そんな言い方よくないですよ!ライラ先生今日は連れてきてくれてありがとうございました。」
「いいの!いいの!元はといえば先生が悪いんだもんね..」
だけどこんな高い店じゃなくても..と2人に聞こえない程度のボリュームで独り言をつぶやく
「おい、三つ編みメガネ俺様には今の言葉しっかりと聞こえているが?仕置が必要みたいだな」
そうムチを床にバシン!バシン!と叩きつけ先生を脅すドSな生徒のなんとも不思議な光景が繰り広げられているのを微笑ましそうに眺めるキースが一言
「先生とシルベスターさんって凄く仲良しですね♪」
次回![第五十三話、愛すべき後悔はこの涙と机にしまったラブレター]
第五十二話を読んでくださったそこのアナタ!
次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧




