[第三話、学べ若者よ]
毎週、月、水、金の更新を予定してます。
※夜の21時までには投稿します!
どうぞよろしゅうに〜
「見てみろよ!ジョン!あっちでホントに箒を使って空を飛んでる人がいる!まるで魔女の宅◯便みたいだ!」
俺は興奮しながら指を差した。広場の上空では、ローブ姿の生徒たちが軽やかに箒で旋回している。風に乗りながらスムーズに滑空し、まるで鳥のように自由に飛び回っていた。
「飛んでるのが珍しいなんて……本当に違う世界から来たんだね」
ジョンがしみじみと呟く。
動く花や木、喋る動物、そして人間が空を飛ぶ……全部フィクションの世界にしか存在しないと思っていたものが、今、目の前で現実として広がっている。
「僕たちも手続きを済ませに行こう」
ジョンに促され、俺たちは案内所へと向かった。
---
「入学おめでとうございます。では、お二人の合格証を確認させていただきますので、ご提出をお願いします」
受付の女性がにこやかに微笑みながら、手続きを進めようとする。
「合格証ですね、えっと……ここに……あった!お願いします!」
ジョンはスムーズに合格証を差し出した。
「ありがとうございます。では、そちらの方も——」
「合格証?そんなものアリマセン」
「え?」
受付の女性が戸惑いの表情を浮かべる。
「よく探してみてください。どこかに入っているはずです。」
俺は慌ててローブの内ポケットやズボンのポケット、さらには服の隅々まで探したが……見つからない。
「ない場合ってどうなるんですか?」
「そうですね、普通なら入学できません。しかし、ハヤシさんの場合は生徒手帳とペンダントを所持しています。合格証だけが見当たらないのは、こちらの手続きミスの可能性もありますので、確認を取らせていただきます」
受付の女性はどこかへ電話をかけ始めた。
「俺、入学できないのかな……」
「大丈夫!きっとできるよ!」
「ユウマ、元気だしてココ!」
ジョンとモナークは、不安そうな俺を励ましてくれる。俺も心配させないように、明るく振る舞おうと冗談を言っていたが——
「ありがとうございます。行くわよ、フレイア」
隣から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
——この声、どこかで……。
振り向くと、そこにいたのは列車で俺を「さえない男」呼ばわりした赤毛のツインテール少女だった。彼女の肩には、フレイアと呼ばれていた気がする小さな赤い小鳥がとまっている。
「さっき通路にいた奴らじゃ……っ!!アンタ//なんて格好して突っ立ってんのよ!?」
「え?」
……しまった。
合格証を探すのに夢中になって、服を脱ぎっぱなしだった……。
「変態!変態!ド変態!! 絶対アタシに学校内で話しかけないでよね!フン!」
「待ってレイラ〜置いてかないでピィ!」
レイラは顔を真っ赤にし、最後に「バカ!!」と捨て台詞を残してどこかへ走り去っていった。
「……ドンマイ、ユウマ……」
ジョンが肩をポンポンと叩いてきた。
いや、マジで泣きたい。
---
数分後、受付の女性が戻ってきて告げた。
「ハヤシ・ユウマさん、校長が直接お呼びです。校長室に向かってください」
「わかりました。……あのさ、ジョン、校長室ってどこ?」
俺は苦笑しながら尋ねた。
−−−−−−
「えっと……多分、この道をずっと進めばいいはずなんだけど」
長い通路を歩きながら、ジョンが地図を広げる。
「……あれ?この道、どっちに行けばいいんだろ?」
「いや、多分だけど、さっきもここ通ったよな?」
道が入り組んでいて、同じような風景が続いている。
完全に迷子になっていた。
「君たち、もしかして迷子?」
後ろから透き通る声が響き、俺たちは振り返った。
そこに立っていたのは、ピンク色の長い髪をなびかせる美少女。微笑みを浮かべながら、優雅に佇んでいた。
「そ、そうです!俺たち、校長室に行きたくて!」
「だったら、私が案内してあげる♡ 着いてきて」
俺たちは彼女の言葉に従い、ついて行くことにした。
「……おい、ジョン。この人も1年生か?」
俺は小声でジョンに尋ねた。
「こんな美人、知ってたら僕も目をつけてるよ!たぶん先輩じゃないかな」
先輩か……。
ガーターベルトが超エロい。
美人にお仕置きとかされたら、たまんねぇだろうな……。
(ユウマは悪い子ですねー♡ もうこんなになって、悪い子はお仕置きしないとね♡ ほらほら〜足でグリグリしちゃうよ、あは♡ もう出ちゃったの?ちょっと触っただけなのにー♡)
「ぐへへ♡」
思わず声が漏れた。
「……なんか、ユウマ気持ち悪い」
ジョンの冷ややかな目線を受けながら、俺はひたすら先輩のスカートと絶対領域を見つめ続ける。
そんな俺のキモい妄想を知らぬまま、先輩は優雅に歩き、やがて目的地へと到着した。
「ここが校長室だよ」
「あ、ありがとうございました!」
キモい妄想がバレないように、俺は素早くお礼を言った。
「どういたしまして♡ また何か困ったことがあったら気軽に話しかけてね!私の名前はジュリア・ペシュール」
「俺、今日から入学しました!ハヤシ・ユウマです!よろしくお願いします!」
「ジョン・ミラーです!お願いします!」
「入学おめでとう♪ じゃあ、またね♡」
ジュリア先輩は手を振りながら去っていった。
「……ジュリア先輩かー♡ 最高の学園生活になりそうだ……」
「ふざけたこと言ってないで、早く行けよ!」
「そうだった、失礼します」
深呼吸を一つ。
俺は意を決してドアをノックし、校長室の扉を開けた。
「ハヤシ・ユウマです。えーっと、ご要件はなんでしょうか?」
「座りなさい」
部屋の奥から、厳格な声が響く。
目の前には銀髪ショートカットのおばあちゃ…ゲフンゲフン! 美女が腕を組み、鋭い視線を向けていた。グレーのロングワンピースが落ち着いた雰囲気を醸し出しどう見ても威圧感のある教育者だった。
この人が校長か……?俺はそう思った。
その瞬間ーー
「入学おめでとうございます、ハヤシ・ユウマ君」
カタンと、黒光りの椅子が回転し、小柄な少女がこちらを向く。
「あ、ありがとうございます……?」
え、何この状況。
まさかこの子が校長なわけ……ないよな?
「申し遅れました。私はエンチャントレルム魔法学校の校長、ソフィア・スカーレットです。そして、こちらが教頭のマーシャル・ダリア」
「よろしくお願いします。ハヤシ・ユウマです」
思わず視線を往復させる。
……うん、やっぱり納得いかねぇ。
どう考えても隣の威圧感MAXの銀髪おばあちゃんのほうが校長っぽいだろ!
黒髪のハーフアップ、ローブにロングスカートの少女。
確かに、端正な顔立ちをしてるし、落ち着いた雰囲気もある。でも、それ以前に
「……いやいや、どう見ても子供じゃないですか!!」
思わず素で突っ込んだ。
教頭がギロリと睨みをきかせたが、校長のソフィアはくすりと笑う。
「ふふ、私が幼く見えるから驚いていらっしゃるのね。無理もありません。でも、私はすでに300歳を超えています」
「またまた、ご冗談を……って、え?マジ?」
「私は竜人族なのです。なので、見た目は若く見られがちですが……こうして200年はこの学校の校長を務めています」
「なるほど……って、そうなるか!!」
つい、ビシッとツッコミを入れてしまった。
「言葉に気をつけなさい、ハヤシ・ユウマ」
教頭が低い声で注意するが、校長は気にした様子もなく微笑を浮かべていた。
「いいんです、マーシャルさん。さて、ユウマ君。あなたがどうやってこの学校に入学できたのか、説明していただけますか?」
「えっと、実は——」
俺は、異世界転生からここに来るまでの出来事を、包み隠さずすべて話した。
---
「なるほど……異世界転生。つまり、ユウマ君は異人というわけですね」
ソフィア校長が小さく頷く。
一方で、教頭のマーシャルは納得のいかない表情を浮かべていた。
「校長、こんな話を信じてよいのですか? 私には到底信じがたい話です」
だよなぁ。
教頭、あんたのほうが正しいと思う。
俺だって絶対疑うよこんな怪奇現象
「ユウマ君、質問です」
校長は静かに俺を見つめる。
「あなたはこの世界に訪れ、エンチャントレルムで元いた世界に帰る方法を探すためにここまで来た、そう言いましたね? それは本当ですか?」
「本当です。俺はありのままのことを校長にすべて伝えました。嘘はありません」
沈黙が続く。
ソフィア校長はしばらく考え込んでいたが、やがて、ゆっくりと口を開いた。
「……わかりました。入学を認めましょう… 正し、入学をするということは最終的に立派な魔法使いになってもらうということでもあります。アナタにその覚悟はありますか?」
「校長!? いくらなんでも無責任すぎます!」
教頭のマーシャルが強く反論する。
その言葉に、俺の中でも少し迷いが生まれる。
俺が……魔法使い?
小・中・高と、ずっとイジメられ続け、学生生活なんかもうコリゴリだと思っていた。でも、本音を言うと——
友達と勉強して、バカ話をして、色んなことを共に過ごしたかった。
もしここで俺が入学を拒否したところで、何も変わらない。
それに、ここが最後の頼みの綱かもしれない。
だったらやるしかねぇだろう。
「……はい!立派な魔法使いになってみせます!」
「よろしい」
ソフィア校長は満足そうに微笑む。
「若者よ、ここで多くを学び、自らの道を切り開きなさい」
[おまけ]
「熱っっっ!!」
突然、校長のソフィアが悲鳴を上げた。
「大丈夫ですか?校長、またこぼされてる。全く、だらしないですよ」
教頭のマーシャルが呆れた様子でため息をつく。
「ありがとう、マーシャルさん……染みにならないといいのだけれど」
「今日は入学式です。染みのついた服でご出席なさるおつもりですか?」
「いやぁ……めんどくさーい」
「いいから!早く脱ぎなさい!」
次回![第四話、春のフレッシュ新生活]
第三話を読んでくださったそこのアナタ!
次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧




