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フツメンofウィザード 〜地味な俺が異世界魔法学園でなぜか注目される件〜  作者: ベルガ・モルザ


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[第百十六話、正義は絶対なのだ]

毎週、月、水、土、絶賛更新中!!


レビュー書いてくださったおかげで沢山の人が見に来てくれました。

ホントにありがとうございます。


高評価にコメントも頼んまヾ(*’O’*)/す〜

レビューなんかもしてもろたら涙ちょちょぎれますわん


どうぞよろしゅうに〜


「やめろ!! イクノシア!!!」


ユウマの叫びが響く。


――その瞬間。


バチィィィンッッ!!!!


極太の雷が空間を引き裂き、イクノシアのネザークレイヴと衝突した。


爆風が巻き起こる。


――相殺。


イクノシアの黒き闇は、雷の奔流に掻き消された。


「……どこのどいつだ?」


眉間に青筋を立てながら、イクノシアは辺りを見渡す。


もう少しでソフィアを殺せたというのに。


苛立ちを隠さずに視線を走らせたその先に――


静かに、しかし威圧感を放ちながら、“女”は立っていた。


「魔王イクノシア。お前を魔導機構、大導師の名にかけてここで駆逐する」


黒髪のセミロング、冷たい黄金の瞳。

深い藍色のジャケットとスラックスに金色のラインと肩章。

胸元には、大導師の勲章が燦然と輝いている。


エレナ・アーチボルド。


彼女はただそこに立っているだけで、戦場の空気を支配していた。


「魔導機構? なんだそのヘンテコな名前は」


イクノシアは嘲るように笑った。


「1000年も封印されていたら、わかるわけないわよね……」


エレナは軽く息をつく。


「別にいいのよ、問題はそこじゃないから」


彼女が片手を掲げた。


――ゴゴゴゴゴ……!!


天空から、「雷の槍」がゆっくりと降下し、静止する。


それはまるで、神の審判が降りるかのような荘厳な光景だった。


『消し去るだけだから……裁きの時間よ《雷帝の審問ヴォルト・インクイジション》』


エレナが手を握り締める。それは「処刑」の合図。


――ドンッ!!!


雷の槍が一瞬の間をおいて、閃光とともにイクノシアを貫かんとする。


その瞬間、周囲の空気が焼ける音とともに、雷光が降り注いだ。


だが。


「……フン」


イクノシアが即座に漆黒の魔力を凝縮し、闇の盾を展開する。


ビキビキビキィィィンッ!!!


雷の槍が防御障壁にぶつかり、激しく火花を散らす。

しかし、エレナの雷撃はイクノシアだけでは終わらなかった。


――――


「……っ!」


ソフィアが空を舞いながら、無数の雷の槍を避けている。


「なんていう魔法……」


蒼き竜の翼が翻る。


しかし、それでも追いかけるように雷の槍は無数に降り注ぐ。


「うわ! やば! って死ぬぅぅぅ!」


ユウマは船の上を跳び、避ける。


跳び、避ける。


また跳ぶ。


また避ける。


「やべぇってこれ!!」


その時――


「ユウマ」


冷静な声がすぐ隣から聞こえた。


ユウマが振り向くと、そこには神獣化したホッパーが立っていた。


「ホッパー! なんか久しぶりな気がする!」


「意味わかんないこと言うなルー」


いつもとは違うホッパーは冷静だった。


「悪い悪い、それよりレイラは!?」


「大丈夫。ホパがちゃんと雛音から取り戻したルー」


「流石だな! っと!! あっぶねぇ〜!!」


ホッパーは静かに続ける。


「レイラをお師匠に預けに行ったとき、伝言もらったルー」


「伝言?」


「魔導機構……エレナが動きだしたから、安全な場所に避難しろって」


「なるほど……だから俺のところに来たんだな」


「そうルー」


ユウマはホッパーと共に、エレナの雷帝の審問が及ばない場所へと飛び降りた。


――――


「……ッチ、忌々しい……一度負けたくせに……未練がましい男ね、魔王イクノシア」


エレナはさらに魔力を増加させる。


雷の槍が、さらに増えた。


「このままでは黒焦げになってしまうな……どうしたものか」


その時。


「死ねぇぇぇ!! クソ女ぁぁぁぁ!!!」


喉を潰す勢いで叫び、エレナに大鎌を持ち飛びかかるダミアナ。


空気を切り裂くような斬撃。


しかし――


エレナの身体は、まるで風のように揺らぎながら回避した。


「……」


上体を真っ直ぐに保ち、視線はダミアナから一度も逸れない。


ダミアナの大鎌が、ほんの数センチのところで掠める。


しかし、それ以上の一歩が届かない。


「なっ!?」


ダミアナの目が見開かれた瞬間――


エレナが、静かに手をかざした。


「その言葉、そっくりそのまま返すわね」


雷が炸裂した。


「……きゃあ!!」


ダミアナの身体が弾かれ、勢いよく吹き飛んでいく。


シンプルな雷魔法。

だが、それすらエレナが使えば絶対的な力になる。


雷が軌跡を描きながら、ダミアナの身体が宙を舞った。


「ぐっ……」


吹き飛ばされたダミアナ。


エレナは、一度も振り返らずに呟く。


「S級エージェントに告ぐ。今より詠唱に入る魔王の動きを止めなさい。殺してしまえるのなら殺してしまいなさい」


その声が、静かに、だが全体に響いた瞬間だった。


彼女の足元に、黄金の魔法陣が展開された。三重構造の紋章が、稲妻の紋を描きながら脈動する。空間が揺れ、大気が引き裂かれ始めた。


「雷帝よ……天を穿ち、審判を下せ……」


詠唱が始まる。


天空にも同じ魔法陣が逆さに現れ、そこへ雷が吸い込まれていく。

空の向こうに見える“雷の玉座”が、圧倒的な死の予感を放っていた。


――――


「――さて、お仕事タイムっと!」


ジャスミンが軽やかに平地を駆けながら、手をパチンと鳴らす。アクアメッシュの髪が跳ね、にやりと笑った。


「ベルお嬢、先行っていい? うち、一発かましたい気分なんすよね〜」


「ジャスミン。遊びではありませんのよ」


大太刀を背負ったベルが、地を滑らせるように前に出る。手はすでに柄に添えられ、いつでも抜ける構え。


「こ、こわいけど……っ、決めます……!」


白雪はおどおどと小声を漏らしつつ、砲身を地面に突き立てるように構えた。センサーが青く点滅し、射線が一点に定まる。


「……ロックオン、完了っ……!」


「さっさと殺すぞ……」


シンデレラが一歩踏み出し、地を低く跳びながらハンドガンを両手に構えた。氷弾を連射しながら、滑り込むようにイクノシアとの距離を詰める。


『フロスト・ショット!』


氷弾が着弾点を凍てつかせ、地面を滑るように冷気が広がる。


「ぬっ……!」


イクノシアが跳躍し凍結を回避。だがその頭上から――


「瞬影斬」


空気を裂く音とともに、ベルの影が横に走る。

一拍遅れて、風の音が届いた。


次の瞬間、布が裂ける音が響く。黒い袖が宙に舞った。


「……っ!!」


イクノシアは闇を纏い、反撃の構えを取る。掌から放たれた闇弾が、シンデレラに迫る。


「っ、ホイッと!」


ジャスミンが地面を一回転、シンデレラの肩を掴みながら跳び、直後に鞭を打つ。


『ライディング・スパーク!』


雷の鞭が地表を叩き、スパークが散る。直後に白雪の砲が火を吹いた。


「発射……!」


肩が震えていた。けれど、引き金を引く手は、かすかに熱を帯びていた。


ドンッ!!


地を揺らす衝撃。爆風が頬を叩き、耳をつんざく。煙と火花の中で、白雪は一瞬だけ、自分の鼓動を忘れていた。


爆煙の中から氷弾がすかさず着弾し、再び温度を奪っていく。


「貴様ら……!」


怒号と共にイクノシアが掌を突き出す。


『シャドウ・エラプション!』


地面から闇の触手が噴き出し、ジャスミンと白雪を狙う。


「やっば!」


ジャスミンは即座に後方に宙返りし、間一髪で触手を回避。白雪も転がるように膝を滑らせ、爆発寸前に脱出する。


「ひぃ……ま、また狙われてる……!」


「安心しなって。うち、カバーだけはプロ級っすよ?」


ジャスミンが鞭を振りながら、白雪の前に立つ。


「“二閃目”――抜く」


ベルがすれ違いざまに、再び一閃。今度は斜め下から刃を切り上げ、イクノシアの足元を襲う。


イクノシアが闇の盾を片手で展開するも、その端が弾ける。


「チッ、やりおるな」


「……氷弾、再装填」


シンデレラが無表情のままマガジンを交換し、素早く着地して再び両手を構えた。


「ロックオン、完了です……!」


白雪の砲が再び赤く輝く。


四人の動きが一つに重なる。全ては、天空に浮かぶ巨大な雷の魔法陣――


《ヴァルザ=レグナ・クラウディウス》


雷帝の審問の詠唱を護るために。


空では、エレナの魔法が最終段階に達しようとしている。

黄金の魔法陣が天空と地上を繋ぎ、雷帝の玉座が静かにその威光を宿す。


『ヴァルザ=レグナ・クラウディウス』


エレナの指が――落とされる。


風が止んだ。

雷雲が脈打つ。


次の瞬間、空間が割れる音と共に、全てが光に呑み込まれた。


一瞬の沈黙の後、空間が破裂する音が響き渡った。


天空から地へと伸びる、一本の超巨大な雷柱。

それは、ただの雷ではない。

空間を裂き、質量を蒸散させ、概念すら焼き尽くす、“天の裁き”。


ドオオォォォォンッ!!!!


雷柱が着弾したのは――イクノシアと4人の戦場。


「集まれ!! バリアを展開する!!」


シンデレラの命令に、3人が一斉に彼女の周囲へ跳び込む。


四人の魔力がぶつかり合い、半球状の結界が展開される。


雷の刃が空から突き刺さり、外殻を焼く。


「ここにわたくし達まだいるのですわよ!?」


ベルも魔力を注ぎながら、必死に結界の一部を支える。


その中心で、シンデレラは薄く笑った。


「……これが“導師”の力か……」


バシュゥゥゥンッ!!!


結界の外、すべてが焼け、砕け、爆ぜる。


大地は溶け、周囲の地形が消し飛ぶ。


だが、雷がようやく収束した時。


「……あれは……」


白雪が指さした。


雷柱の中心。


そこにあったはずの魔王の姿は……ない。


「やったの……?」


ベルがそう呟いた、その時だった。


ズリ……ズリ……

焦げた地面を爪で掴み、何かが這い出てくる音。煙の中で、溶けた鉄のような匂いが立ち込めた。


バチバチと火花を散らし、煙の帳を裂くように、一人の影が現れた。


「う……ぐ……」


血まみれのマント。焦げた髪。左腕は砕け、右脚を引きずり、片目は潰れていた。


だがその男は――それでも、立っていた。


「な、なにそれ……まだ生きてんの……?」


ジャスミンが絶句する。


「ば、化け物ですわ……」


ベルが剣の柄を握り直す。


「……グハハ……」


そして、笑う声が響いた。


「“消し飛ばした”つもりか……」


ボロボロの顔が上がり、片目の奥で黄金の光が燃える。


「我が……この程度で死ぬとでも……?」


その声は、怒りでも、怨嗟でもなかった。


ただ、淡々と――静かに。


そして、確かに――


“立ち続ける者”の声だった。

 

次回![第百十七話、休戦協定:有効期限は気分次第] 

第百十六話を読んでくださったそこのアナタ!

次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧

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