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フツメンofウィザード 〜地味な俺が異世界魔法学園でなぜか注目される件〜  作者: ベルガ・モルザ


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[第百十五話、こんな気持ち結晶のように]

毎週、月、水、土、絶賛更新中!!


高評価にコメントも頼んまヾ(*’O’*)/す〜

レビューなんかもしてもろたら涙ちょちょぎれますわん


どうぞよろしゅうに〜


目の前で、イクノシアがボロボロになっていく。


「まだ、やられるわけには…」


震える腕を振り上げ、過去のイクノシアが飛び出した。


『いかないんだよ! スチールスマッシュ!』


グローブが瞬時に鉄化する。


だが――


「遅い」


デュークは余裕を持って後方へ身を翻し、避けた。


イクノシアの拳が空を切る。


「ガキが……大人を舐めやがって……苦しめイクノシア」


デュークの手が光を帯びる。


『裁け… ストーム・ジャッジメント』


直後、稲妻が迸った。


「うがぁぁ!!」


イクノシアの身体に雷が突き刺さる。


骨の髄まで灼かれるような衝撃。


魔力が乱れ、全身が異常な痙攣を起こす。


デュークは冷笑しながら、震えるイクノシアの髪を掴み上げた。


「所詮は魔王もこの程度か」


イクノシアの青ざめた顔が引き寄せられる。


「な、なな、なにを…す…」


「しぃー」


デュークが人差し指をイクノシアの唇に押し当てる。


「もう喋るな、お前はこれで終わりなのだから」


その言葉が響く中


「おーい、デューク」


小十郎がホッピーを片手に掴んでいた。


「この星獣、まだ生きがあるみたいだ」


俺の心臓が跳ね上がる。


「……好きにしろ」


デュークが冷たく答える。


「了解」


小十郎は短く返し、ホッピーを上空へ投げた。


ちょっと待て……


なんか、嫌な予感がする――


俺は横に立つイクノシアの顔を見た。


「イクノシア……」


「見たくないならここは、見ないほうがいい」


静かに言い放つ声が震えていた。


だが、彼は目を逸らさない。


過去のイクノシアも、痙攣しながらも目を見開いていた。


声にならない悲鳴が、涙とともに零れ落ちる。


「剣崎流……輝流閃キリュウセン


剣が陽光を受けて煌めく。


――そして、一閃。


ホッピーの身体が真っ二つになった。


「うぎゅ……!」


血飛沫が舞う。


赤い軌跡を描いて――


ホッピーが、落ちる。


イクノシアの喉がひくひくと震えた。


声にならない叫び。


俺は目を伏せた。


見るんじゃなかった……


気分が悪い。


気持ち悪い。


デュークも、剣崎も……こんな奴だったのかよ……


「ユウマ……見たのならちゃんと見るんだ、最後まで」


「……けど、正直言って見るに堪えない」


「いいから見るんだ」


イクノシアの声が、俺を強制する。


仕方なく、もう一度視線を向ける。


「イクノシア、これでお前は世界で一人だ」


デュークが静かに言った。


「消滅してやってもいいが、それでは死んでいった者たちの苦しみが晴れないだろう」


地面に伏せるイクノシアの周囲で、魔法陣が展開される。


「お前の身体をバラバラにして、この世界中のどこかに封印してやる」


光が渦を巻く。


「呪物として――そして、お前は魂だけの存在になる」


「……俺を……我をなめるなよ……」


イクノシアの声が震える。


「そんな目で俺を見るな」


デュークは冷淡に言った。


「俺はこの世界の英雄だ」


目の前の魔王を見下ろしながら、彼は言い切る。


「お前を封印した英雄として、死ぬまで讃えられるのだ」


イクノシアの身体が光に包まれる。


「感謝するよ、イクノシア」


デュークの詠唱が続く。


イクノシアの身体が、ひとつずつ光の箱に収納されていく。


(ミカエル……雛音……ダミアナ……ホッピー……許せ……)


(我は……我は……)


次第に映像が薄れていく。


「ここで記憶は終わり?」


俺は、イクノシアに尋ねた。


「いや、まだ最後の記憶が残っている… 多分ここで魂の一部が転生したのだろうな」


「……それが、俺か」


「ていうかイクノシア……? なんかホッピーが死んでから一人称というか喋り方変わってねぇか?」

 

「……気のせいだ、ユウマ。我は……とにかく最後まで見ろ」


「おう」 


真っ暗な世界


何も聞こえない。


何も見えない。


ただ、イクノシアの声が響く。

 

−−−−−−

 

どれくらい時間が経ったのだろうか……何十年? いや、何百年か……


もう、きっとこのままなのだろう……


ミカエルは……新しい人生を送れているのかな……?


ホッピーは……楽しい人生を送れているのだろうか……?


送れていると信じたい……


いいなぁ……


我も……もし生まれ変われるのなら……次は普通の人間に生まれ変わりたい……


普通の……ただ、普通の人間に……


――ふっ、と。


そして、静寂だけが残った。


−−−−−−


「っは!」


意識が戻る。


視界の先、黒曜石の椅子に悠然と腰掛ける魔王イクノシア。

彼はまるで何もかもを見透かすように、俺をじっと見つめていた。


「戻ってきたのか」


その声は静かで、深く響く。


「どうだった? 我の過去の記憶は」


記憶——。


目を閉じれば、まだ鮮明に思い出せる。


ミカエルの無惨な死、ホッピーの最期、仲間を失い狂気に染まるイクノシア。

俺はずっと、魔王イクノシアを悪そのものだと思っていた。


だけど……


「光に正義があるように… 悪にも悪なりの正義がある… そう言いたいのだろう? ユウマ」


イクノシアの声が、俺の内側を射抜いた。


俺は無意識に拳を握る。


「……そうだと思う」


だけど、言葉がうまく出てこない。


この短い時間で、考えるべきことが多すぎる。

頭が、全然回らない。


そんな俺を横目に、イクノシアは突然、雛音に向かって声を張り上げた。


「雛音! ミカエルの儀式を一度辞めるのだ!」


「え? でも… ひゃん!」


雛音が驚き、動きを止めたその瞬間——。


「余所見するな! アナタを斬る! 剣崎の名にかけて!!」


リンが漆夜を振りかぶり、一閃!


刀が風を切る音が響く。

だが、間一髪——。


「ちぃっ!!」


雛音は手にしていた水晶玉で刃を受け止め、キィィンと鋭い音を響かせる。

紫電が弾け、刀身と水晶がぶつかり合う。


雛音は歯を食いしばりながら尻尾をうねらせると——


「うっとしい娘だコン! お前なんかこうだ!!」


リンの身体を尻尾で掴み、そのまま勢いよく投げ飛ばした。


「リン!!」


俺は反射的に助けに行こうとする——


だが、その時。


「待て、ユウマ」


イクノシアの低い声が俺の足を止める。


「なんだよ!!」


振り返ると、イクノシアは椅子からゆっくりと立ち上がっていた。


そして、静かに、しかし確かな意志を込めて口を開く。


「……我と共に新たな世界を作らないか?」


「は?」


一瞬、思考が止まる。


「お前……何を言ってんだ?」


「我は本気だ……もし我と共に来るのなら、レイラは一度死ぬことにはなるが、ミカエルのように再び蘇らせることができる」


その言葉を聞いた瞬間、俺の血が煮えたぎった。


「それって、ミカエルを復活させるためにレイラの魂もよこせって言いたいのかよ」


「……そうだな、そういうことになる」


「ふざけるな!!」


俺は怒りのままに叫ぶ。


「レイラの中にあったミカエルの魂だけを抜いて、それでもミカエルが蘇らなかったってことは——もうミカエルは目を覚ましたくないってことなんだよ!? 違うのか!?」


イクノシアの目が細められる。


「……違う」


「……あぁ!? 声が小さいんだよ! はっきり言えよ!!」


俺は一歩、前に踏み込む。


「違う!! ミカエルは目を覚ましたいと思って!」


険しい顔で唾を飛ばし、荒々しく言葉を投げつけるイクノシア。


だが、その瞬間——。


ガァァァァァッ!!!!


突如として、蒼い閃光が戦場を貫いた。


「なっ……!?」


巨大な影が俺たちの頭上をかすめ、鋭い爪がイクノシアに襲いかかる。


「くそ!」


イクノシアが咄嗟に飛び上がり、ドラゴンの爪を回避。


地面に突き立った爪痕から、漆黒の甲板がえぐられ、破片が宙に舞った。


俺は目を凝らす。


(あのドラゴン……!)


その美しい蒼の鱗、しなやかな翼——。


そして、二重に響く声。


「大丈夫ですか? ユウマくん」


「その声は……ソフィア校長!?」


「遅くなってすみません」


ソフィア校長の声が静かに響いた。


目の前には——ルナ先輩のお父さんと同じくらい、いや、それ以上に巨大な蒼きドラゴン。

瞳は鋭く、宙を裂く翼が影を落とす。


これが……校長のドラゴン化した姿……


思わず息を飲む。


ドラゴン化は、竜人族にとって"禁じられた力"。

それをここで解放するということは、つまり……


「グハハ! 小娘がついにドラゴン化しよったか!」


舞い上がる砂埃の中、イクノシアが立ち上がり、嗤った。

黒曜石の椅子は、彼の周囲に砕け散り、もはやその威厳すら形を失っている。


だが、それでも彼は笑う。


「禁じられし竜の姿になっても……これ以上誰一人として生徒を——そして、イクノシア、お前をここで止める!!」


ソフィア校長が低く咆哮する。

その体がさらに膨張し、爪が鋭さを増す。


(やる……!)


大きく息を吸い込むと、喉元が徐々に光を帯びていった。


膨れ上がるエネルギー。

口元にその力が到達すると——


ゴォォォォォォォォッッ!!!


蒼き魔弾が、世界を焼き尽くさんとする勢いで放たれた。


「……ッ!!」


イクノシアはニヤリと笑い、片手をかざす。


『フン……相殺してやろう、ダーク・ルイン!!』


手のひらから黒紫の魔力が螺旋を描きながら、一直線に放たれる。

闇の光線がソフィア校長の魔弾と激突し、空間が歪んだ。


光と闇のせめぎ合い。


蒼い波動がイクノシアの光線を押し返し、地面が抉れる。

甲板が軋みを上げ、まるで空間そのものが裂けるような衝撃が広がっていく。


「ぐっ……!」


イクノシアの歯が軋んだ。


(くそ……相殺しきれない……!)


押される——!


校長の魔力が、黒の光を削り取っていく。

イクノシアの身体が僅かに後退し、足元の板がひび割れる。


(このままでは……)


だが、その瞬間——


ガシャァァァン!!


目の前に、鉄の盾が展開された。


「……なっ!!?」


イクノシアが驚愕の表情を浮かべる。

それも当然だろう。


この鉄の盾を張ったのは、他ならぬ俺なのだから。


「ユウマ……!」


イクノシアが俺を振り返る。


そりゃそうだ。


俺はソフィア校長の攻撃を"防いだ"んだからな。


なんで……俺、助けた……?


わからない。

何も考えてなかった。


ただ、身体が勝手に動いたんだ。


「ユウマ、やはりお前は……」


「違う!」


俺は叫んだ。


「俺は俺だ!! でも……でも、気づいたら……勝手に身体が動いてたんだ!!」


理解なんかしてない。

納得もしてない。


けど……俺はこの場でイクノシアを"死なせたくない"と思ったんだ。


「ユウマくん……何故、そのようなことを」


ソフィア校長の蒼き瞳が揺れる。


——だが、その隙を見逃すイクノシアではなかった。


「ククク……見たか、ソフィア?」


俺の目の前で、イクノシアが高らかに笑う。


『生徒に裏切られる気分はどうだ!? 死ねぇ!! ネザークレイヴ!!』


空間が軋む。

手をかざすだけで発動する、闇魔法。


詠唱と同時に、イクノシアの手のひらから黒い歪みが広がった。


「やめろ!! イクノシア!!!」


俺は思わず叫ぶ。


このままでは、校長が……!!


次回![第百十六話、正義は絶対なのだ] 

第百十五話を読んでくださったそこのアナタ!

次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧

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