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フツメンofウィザード 〜地味な俺が異世界魔法学園でなぜか注目される件〜  作者: ベルガ・モルザ


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[第百八話、そこでそうなるのね]

毎週、月、水、土、絶賛更新中!!


高評価にコメントも頼んまヾ(*’O’*)/す〜

レビューなんかもしてもろたら涙ちょちょぎれますわん


どうぞよろしゅうに〜

「大丈夫か!? レイヴン!」


鋭い声が響いた。

 

大剣を携え、堂々とレイヴンの前に立ちはだかる金髪の男——レオだった。


レイヴンは肩で息をしながら、レオの背中を見上げる。

 

彼のいつもの軽薄な笑みはなく、今はただ、仲間のために剣を握る騎士の顔をしていた。


「……遅いぞ、レオ。」


「悪いな、道が混んでてな。」


軽口を叩きながらも、その瞳は真剣そのもの。

 

レオは視線だけでイクノシアを牽制しつつ、低く声を落とした。


「……ルーシーが死んだ。」


レイヴンの目が揺れる。

一瞬、思考が止まった。


「まさか… ルーシーが…」


レオは唇を噛みしめながら、続ける。


「上半身ごと、消し飛んだよ。」


「……」


レイヴンはゆっくりと目を伏せる。

 

胸の奥が冷え、喉の奥が締めつけられるような感覚に襲われた。

 

あの真面目で、不器用で、それでも仲間のために努力を惜しまなかった後輩が——もういない。


ソフィアも静かに拳を握りしめた。

 

救えなかった命の重さを、誰よりも知っている校長として


「……そう、か。」


レイヴンは震える声を押し殺し、再びイクノシアを睨んだ。


「このクソ魔王が……ッ!!」


レオの言葉に反応するように、イクノシアがゆっくりと足を踏み出した。

 

その顔には、何の感慨もない。


「感傷に浸る暇は終わりか?」


「ッ……!」


イクノシアの拳が唸りを上げ、レオへと襲いかかる。


レオの大剣が火花を散らし、イクノシアのナックルとぶつかる。

 

振り下ろした剣が、まるで大地そのものを叩き割るかのような威力を持つ。

 

しかし、それすらもイクノシアの拳は余裕で受け止めていた。


「……チッ!」


レオが舌打ちし、距離を取ろうと後退する。

 

だが、それを許さぬとばかりに、イクノシアは一気に間合いを詰める。


「逃げるなよ。」


鉄を纏った拳が、レオの頬をかすめた。

風圧だけで頬が裂け、鮮血が舞う。


「ッ……!!」


なんとか踏みとどまり、深く息を吸い込んだレオは、剣を肩に担ぎ直しながら、静かに口を開いた。


「なぁ、魔王さんよ。」


イクノシアの眉が僅かに動く。


「なんだ?」


「……俺の名前を覚えておけ。俺の名はレオ・デューク。」


ピクリと、イクノシアの口角が動く。

レオはそのまま続ける。


「1000年前、お前を封印した男の名は知ってるよな?」


その言葉を聞いた瞬間——イクノシアの目が細められた。


「……デューク・シルバークロウ。」


低く呟かれたその名に、レオはわずかに唇を吊り上げた。


「そうだ、お前を封印した末裔がこの俺だ。」


イクノシアは静かに息を吐き、そして、ゆっくりと首を横に振る。


「なるほど……だが、つまらんな。」


レオの目が鋭くなる。


「……つまらんだと?」


「1000年経ったというのに、お前の剣はあのデューク・シルバークロウの足元にも及ばん。」


——ズドンッ!!


圧倒的な力が炸裂した。

イクノシアのナックルが、レオの剣を弾き飛ばす。


「クソッ——!」


武器を失ったレオの目の前に、ナックルを振り上げるイクノシアの姿。

 

その拳が、今にもレオの頭を粉砕しようと振り下ろされる——その瞬間。


「はあああぁぁぁぁッ!!」


突風が巻き起こった。


短刀が、イクノシアの拳を受け止める。

高く結ばれたポニーテールが戦場の狂風に揺れ、その鋭い眼差しには冷徹な決意が宿る。


「……リン!?」


「遅れてすみません、レオさん。」


イクノシアの視線がわずかに傾いた、その隙を突き


『疾風の刃、乱れ舞え… 風乱』


強烈な突風と共に、風の刃がイクノシアを吹き飛ばした。


レオは短く息を吐き、苦笑した。


「助かった。」


リンは短刀を構えたまま、静かに息を整えた。


「まだ終わってません。」


 


砂埃がゆっくりと舞い上がる。

 

その中心から、悠然と立ち上がる黒き影


「……ふむ。なかなかやるではないか」


ニヤリと歯を剥き出し、ゆっくりと指を鳴らす。

その瞬間、冷気が世界を包み込んだ。


『アビサル・フロスト』


イクノシアの足元から漆黒の氷が溢れ出し、地面を這うように広がる。

 

まるで生きているかのように、獲物を求めて触手のように蠢き


氷の槍となって、一斉にリンとレオへと襲いかかった。



無数の氷の槍が飛び交う。しかし、レオは怯まなかった。


『アクアシールド!』


レオの指先が輝き、水の魔力が弾ける。

 

瞬く間に、透明な水の膜が張られ、まるで万華鏡のような光を帯びながら、迫り来る氷の槍を全て受け止めた。

 

氷の先端がバリアに触れた瞬間、水流がそれを飲み込み、溶かし、霧散させていく。


「甘いぜ、魔王さん」


レオは余裕の笑みを浮かべながら、軽やかに槍を弾く。

 

しかし、その隙を突くように、リンの姿が消えていた。


「……ほう?」


イクノシアの目がわずかに細められる。

リンの気配は、すでに彼の背後にあった。


「剣崎流―― 疾風閃!!」


リンの短刀が鋭く煌めく。

 

まるで稲妻のような踏み込み。空気を切り裂く音と共に、剣がイクノシアの首元へと迫る。


「……剣崎、か」


イクノシアの脳裏に、一瞬の記憶が過った。

 

1000年前、剣崎小十郎。

 

あの男も、こうして己の間合いに踏み込み、死をかけて刃を振るった。

 

しかし――


「……ふふ、懐かしいな」


その一瞬の回想が終わると同時に、イクノシアの手が動いた。


ドンッ!!!


「――ッ!?」


リンの体が、弾かれるように宙を舞う。

 

突き出した短刀は、まるで壁に弾かれたかのようにイクノシアの肌を掠めることすらできなかった。


「あっ……!!」


地面に転がるリン。その喉から血の味が滲む。

彼女は瞬時に立ち上がろうとするが――


「小癪な」


次の瞬間、イクノシアの拳が振り下ろされ、リンの体が地面にめり込んだ。

 

まるで岩を砕くかのような一撃。土煙が舞い上がる中、リンの意識が揺らぐ。


「ぐ……ッ!!」


身体の芯が軋む。息が詰まり、思うように動けない。

 

それでも、彼女の瞳は決して折れないままイクノシアを睨みつけていた。


「……まだやる気か?」


イクノシアは興味深げに彼女を見下ろす。


だが――


「雷帝よ、地を穿て――!!!」


バチバチバチバチッ!!!


雷の光が瞬いた。


『《天裂雷霆てんれつらいてい》!!!』


稲妻が天から降り注ぎ、その中心にいるのは、ボロボロになりながらも毅然と立つ一人の少女。



「……ほう」


イクノシアの視線が再び興味を帯びる。


レイヴンは、息を切らしながらも、意識の全てを拳に込めていた。



雷を纏った拳が、イクノシアの腹部に突き刺さる。


「グ……ッ」


さすがの魔王も、わずかに口の端から血を滲ませた。 


だが――


「クク……ははははは……ッ!!」


その痛みすら、イクノシアは楽しそうに笑いながら受け止めていた。


「いいぞぉ……楽しくなってきたな、娘よ」


レイヴンは肩で息をしながら、それでも拳を握り締める。


だが――


「貴様、何か勘違いしていないか?」


イクノシアは笑みを浮かべたまま、レイヴンの首を掴み上げる。


「……ッ!!!」


両足が宙を舞う。


レイヴンは苦しげに足をばたつかせるが、イクノシアの握力は岩のように強固だった。


「この状況で……貴様に勝ち目があるとでも?」


その声は、まるで死刑宣告のように冷たい。


「さて……最後に、貴様に相応しい別れの言葉を贈ろう」


イクノシアは、レイヴンの耳元に顔を近づけ、囁くように呟いた。


「無様だな」

 

ズドンッ!!!!!!


何かが消えた。


感覚の喪失は、唐突だった。


叫ぼうとしたが、声が出ない。


体が軽い。いや、違う。


ないのだ。

自分の下半身が、存在していない。


理解が追いつかない。

だが、確かに「何かが欠落した」感覚だけが残る。


「……あ……が……」


瞳が震える。


視界がぐるりと反転し、地面が異常な速度で迫ってくる。


ドシャァァァ!!!!


叩きつけられた衝撃が、全身に駆け巡る。


鮮血が噴き出した。

地面に赤黒い液体が広がっていく。


痛い? いや、それすらもわからない。

ただ、恐ろしいほどの寒さだけが体を支配する。


「レイヴンさん!!!!!」


ユウマの絶叫が響いた。


だが、レイヴンの意識は、その声すらも遠く感じていた。 

 


と同時に彼の身体に異変が起きた 

 

ドクン……ドクン……!


胸の奥から、何かが這い上がってくる。


ユウマの体は静かに震えていた。


いや違う。


震えているのは体じゃない。


魂だ。


 


目の前には、無残な姿を晒すレイヴン。


下半身が消え去り、地面に落ちた彼女の体


血の池がゆっくりと広がっていく。


「……」


何かを言いたかった。


何かを叫びたかった。


でも、喉が詰まって声にならない。


 


ドクン、ドクン、ドクン!!


熱い。


熱い。


熱い!!!


全身が焼けるような熱に包まれ、皮膚の下の血管が、骨の髄が、すべてが煮えたぎるようだった。


「ユウマ……?」


リンより少し遅れて現場に到着した、ジョンが思わず声を上げた。


「なんで……なんであんなに光って……」


ユウマの体から、黒紫のオーラが立ち昇っていた。


熱が力が溢れ出す。


バチバチッ!


次の瞬間、足元から衝撃が走った。


魔力が爆発的に解放され、地面が軋み、周囲の空気が震える。


「な、なんだ……?」


ミケロスが目を見開く。


「な、なんなの!?」


ミシェルが震えた声を漏らす。


ユウマの手の甲には、逆十字と日蝕の紋章が刻まれていた。


だが、ユウマ自身はそれを認識していない。


ただ――


 怒りに支配されていた。


「……おい、イクノシア」


静かに呟く。


それは、いつものユウマの声ではなかった。


「よくも……」


ゴゴゴゴゴゴッ!!!


空気が重くなる。


ユウマの魔力が急激に膨れ上がり、黒紫の波動が周囲を飲み込む。


「よくも……レイヴンさんを……みんなを」


ユウマが拳を握る。


その瞬間


ユウマの背後に、黒い刀が召喚された。


「アレって……!」


よろけながらも立ち上がったリンが息を呑む。


妖刀・漆夜(しつや)


黒い刀身に、紫の雷が纏わりつき、まるで意思を持つようにユウマの手に収まる。


「……許さねぇ」


低く、静かな声。


その言葉には


全てを滅ぼすほどの怒りが込められていた。


次回![第百九話、星喰らいの輪舞] 

第百八話を読んでくださったそこのアナタ!

次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧

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