[第百七話、無様なる反抗それでも足掻くか]
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「ほぅ……我を倒すと?」
イクノシアの金色の瞳が、静かに細められる。まるでガラスを撫でるような冷ややかな目。
彼は微かに息を漏らし、指をゆっくりと動かす。その仕草はまるで、目の前の光景が滑稽でならないかのように。
「愚かな。」
空気が、変わった。
ほんのわずかに彼の魔力が漏れただけで、ソフィアの肌を焼き付くような寒気が駆け抜ける。
「もう……これ以上、貴方の好きにはさせません!!」
ソフィアの声が鋭く響く。けれど、その強い決意すら、彼の前では儚いものに思えた。
瞬間——。
『ドラゴンズ・ブレス!』
手のひらから湧き上がる、青白い炎。闇を焼き尽くすはずの神聖な力だった。
燃え盛る青炎がうねりながらイクノシアを飲み込もうとする——。
しかし。
「竜人も落ちたな。」
イクノシアは親指と中指を合わせ、パチンと指を鳴らした。
——次の瞬間、青白い炎は音もなく消滅した。
まるでそこに何もなかったかのように。
「なっ……!」
ソフィアが目を見開く。
まさか、あの竜の炎が——。
「まぁ、まずはレイラを回収することにしよう。」
イクノシアは無造作にレイラを指差す。
その瞳が淡く光り、魔力が空間を歪ませた。
張り付けられ、気を失っていたレイラの身体が浮かび上がる。
「やめろ!!」
ユウマが叫び、駆け出す。
しかし——。
イクノシアが指を軽く左にスイングすると、レイラの身体が吹き飛び、船の上へと運ばれた。
「レイラ!!」
ユウマは全力で走り出す。
だが——。
「させるか……!!」
キィィィン——ッ!!
鋭い金属音が鳴り響いた。
ユウマの視界を裂くように、銀色のエペが閃いた。
「っ!」
反射的にグローブを掲げ、エペの斬撃を受け止める。
「どけろ!! ミケロス!!」
ユウマが怒鳴る。
ミケロスは無言で、冷たい目をしたまま剣を押し込んでくる。
「ならん……お前はここで死ね。」
「……そんな悲しい顔して……」
ユウマはグッと上半身に力を込め、ミケロスを強引に押し返す。
「死ねって言われても——」
ユウマは重心を後ろに集中し、一気に弧を描くように拳を振り抜いた。
「説得力ないんだよぉぉ!!!」
ゴシャアッ!!!
拳がミケロスの顔面にめり込んだ。
「ぐぁ!!」
ミケロスは勢いよく吹き飛び、地面を転がる。
「お兄様!!」
ミシェルが悲鳴を上げ、心配そうな顔で駆け寄ろうとする。
しかし——。
バァンッ!!
空の上から、一発の銃声が響いた。
鋭い銃声が夜空に響く。
狙いは、ミシェルの足元… ギリギリをかすめる弾道。
砂煙が舞い上がる。
「なっ……」
ミシェルが驚きに目を見開く。
彼女が顔を上げた先、空に黒い影が浮かんでいた。
黒きドラゴン・アルイン。
その背に跨り、蒼の瞳を研ぎ澄ませる少女――ルナ。
手には、長大なスナイパーライフル。
銃口が冷酷な精度でミシェルに向けられていた。
「次こそ……」
一呼吸、置く。
指が、静かに引き金へとかかる。
(仕留める……)
狙いは完璧。あとは引くだけ――。
だが、その瞬間。
「でぇぇぇ! やぁぁぁ!!」
叫び声と共に、大鎌が振り下ろされた。
「ッ……く! 避けて! アルイン!!」
ルナの声に即座に反応し、アルインが急上昇。
直後、巨大な刃が風を裂く。
「お前はイクノシア様の元には行かせねぇですわ!!」
空間を割るように血のような赤いドレスを翻し、大鎌を振るう女。
ダミアナ。
その唇は艶やかに歪み、喜悦に満ちた狂気を宿している。
「いいわ……まずはあなたからね。」
ルナが銃を持ち直し、鋭い眼光で睨む。
「望むところですわ!!」
ダミアナは、ニィッと笑い――。
「フンッ!!」
目の前の空間を大鎌で一閃する。
すると。
ズズズ……!!
空間が裂け、その裂け目から大量のコウモリが飛び出した。
何百、何千と夜空を埋め尽くす暗黒の翼。
——そして。
その後ろから、重々しい息遣いと共に異形の影が姿を現す。
巨大なコウモリ。
まるで神話の怪物のように、黒い毛皮に覆われた全身から赤黒い瘴気を発しながら鼻を鳴らす。
「さぁ! かかってきなさいですわ!!」
ダミアナの号令と共に、夜の魔物たちがルナに襲いかかる。
ルナは冷静にアルインの首を撫で、短く囁いた。
「やるよ、アルイン。」
ドラゴンの瞳が、金色に燃え上がる。
――同時刻。
「さぁ、どうした竜人の小娘よ? かかってこい。」
イクノシアが、退屈そうに指を鳴らす。
「言われなくても!!」
ソフィアが、地面を蹴る。
彼女の手が、爪を立てるように構えられた瞬間――。
蒼き魔力が噴き上がる。
それはまるで、龍の爪そのもの。
竜の力を宿した拳が、魔王へと振るわれる。
同時に――。
「ッ……ぐっ!!」
まだ使える方の左腕だけを頼りに、レイヴンもソフィアの後ろから飛びかかる。
傷ついた体でも、戦意だけは失っていない。
雷を纏った拳を握りしめ、魔王の顔面を狙う。
「楽しくなってきたね〜」
——その戦意すら、イクノシアには嗤いの種だった。
「グハハ!!」
イクノシアは、両手を広げ、ナックルを召喚。
「手加減してやるからさぁ……せいぜい楽しませてくれ。」
ナックルが瞬時に鉄化する。
拳を握るたびに、鈍く光る鉄の質感が軋みをあげた。
「オラァァァ!!」
雷を纏った拳が、唸りを上げる。
バチィィン!!
空気が弾けるような衝撃音と共に、雷撃が炸裂。
レイヴンの拳は、寸分違わずイクノシアの顔面を捉え――。
「ははっ!!」
ゴッ!!
弾かれた。
イクノシアの顔が、ほんのわずかに揺れる。
それだけ。
「グハハハ! どうしたどうした? まるで蚊に刺されたようなもんだ。」
レイヴンが、ぐっと歯を食いしばる。
「チッ……!」
蹴りを放つ。軸足を沈め、鋭く。
しかし、イクノシアは上体をわずかに傾けるだけで避けた。
(くそ……こいつ、どこまでも… 腹ただしい!!)
「レイヴンさん!!」
ソフィアの叫びが響く。
次の瞬間、青白い炎の奔流が炸裂。
『ドラゴンズ・ブレス!!』
ゴオオオオオッ!!
竜の吐息の如き炎が、灼熱の塊となってイクノシアに迫る。
だが――。
「だから〜、弱ぇんだってば。」
パチンッ。
指を鳴らした。
ズォォ……ッ!!
炎が、まるで最初からそこに存在しなかったかのように、消えた。
「またしても…!?」
驚愕するソフィア。
その隙を狙い、イクノシアの拳が腹部を抉る。
ドゴォォン!!!
「ぐ……っ!!」
強烈な衝撃がソフィアの内臓を揺らし、彼女の小さな身体が吹き飛んだ。
「校長!!」
レイヴンがすかさず地面を蹴り、雷のステップで駆ける。
イクノシアの脇腹を狙い、回転蹴り。
だが。
「遅い。」
彼は、レイヴンの脚を片手で受け止めた。
メリメリメリ……!!
握力だけで、その足を粉砕せんとする。
「グ……あ……!!」
レイヴンの喉から、苦しげなうめきが漏れる。
イクノシアは、獲物を弄ぶかのように笑った。
「よしよし、いい顔だ。」
そして。
「そろそろ……終わりにしよう」
彼は、拳を振り上げ――。
ズドン!!
地面を殴りつけた。
『鉄よ、敵を貫け! メタルスパイク!!』
ゴゴゴゴゴッ!!
地面が裂け、無数の鉄の棘が隆起する。
黒光りする金属の刃が、まるで地獄の顎のようにレイヴンを飲み込もうと迫る。
「クソッ……!」
雷を纏い、彼女は必死に身を捻る。
だが、一本のスパイクが右肩を貫いた。
「ぎッ……!!」
鮮血が弾ける。
視界が揺れる。
(マズイ……)
このままでは、殺される――。
その時。
無数の鉄の棘が、レイヴンを貫かんとする その瞬間。
バシュッ!!
空気が裂けた。
光。
閃光が、一閃した。
レイヴンの意識が一瞬途切れ
次に目を開いたとき。
金色の髪が、視界を埋めた。
[第百八話、そこでそうなるのね]
第百七話を読んでくださったそこのアナタ!
次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧




