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[第八話、デートだと思っていい?]

毎週、月、水、金の更新を予定してます。


どうぞよろしゅうに〜

放課後、俺は東の広場へ向かい、いつものように魔法の訓練を始める。


『リヴィテーション!』


浮遊魔法を唱え、地面に転がる小石を浮かせようとする。

 

だが、石はびくりとも動かない。


……やっぱり俺には才能がないのか?


いや、そんなことは考えない。もう一度だ!


何度も何度も同じ呪文を繰り返す。だが、時間ばかりが過ぎ、石は沈黙を保ったまま。


俺がズーンと落ち込んでいると、不意に少し離れた場所から呪文を唱える声が聞こえた。


『イグニス・スパルカ!』


次の瞬間、小さな火花を生み出すはずの基礎魔法が、まるで攻撃魔法のような勢いで炸裂した。


俺は思わず目を見張る。


「すげぇ……」


感嘆の声を漏らしたその時、不快な声が割り込んできた。


「なんだ、落ちこぼれがいると思ったら君か。ハヤシ・ユウマ。」


嫌な予感がして顔を上げると、そこにいたのはミケロス。


(うわ……さっきのすごい魔法、ミケロスだったのか。嫌な奴に絡まれた……)


ため息を飲み込みながら、とりあえず適当に持ち上げておくことにする。


「すごいっすねーミケロスさん。」


まるで魂の抜けた魚のような目で賞賛を送ると、ミケロスは鼻で笑った。


「フン! これぐらいできて当たり前だ。鍛錬を怠らなければ、誰だってここまで できる。」


「そんなに鍛えてどうするつもりだよ?」


俺が適当に流すと、彼は不敵に笑った。


「サンクチュアリに入るためさ。」


「お前、あのギルドに入りたいのか?」


「当然だ。サンクチュアリに入れば出世は間違いなし。俺のようなエリートにはうってつけの場所だからな。」


ドヤ顔で語るミケロスを見ていると、どうにも苛立ちが募る。


「だからこそ、次の林間学習では一目置かれる存在になるつもりだ。邪魔はしないでくれよ、バーイ♪」


そう言って、笑顔のまま軽く手を振りながら去っていった。


(なんだアイツ、やっぱりムカつく奴だ……)


俺はひとつ深いため息を吐き、再び魔法の訓練に集中することにした。



---


しばらくすると、広場にもう一人、見知った顔が現れた。


「あそこにいるのって……」


長いポニーテールを揺らしながら近づいてくる少女リンだった。


俺は気づかずに叫んでいた。


「あー! なんで石すら動かないんだよ!」


「なにやってるの?」


突然背後から声をかけられ、俺は驚いて飛び上がった。


「うわぁっ!? びっくりした、驚かすなよ!」


リンは微妙な表情を浮かべる。


「気づかない方が悪い。……まだ魔法使えないの?」


その一言に、俺は肩をすくめて苦笑する。


「そうなんだよ。このままだと退学かな、ハハ。」


リンは俺の様子をじっと見つめると、ふと提案した。


「ねぇ、もう一度呪文を唱えてみて。」


俺は言われるままに、もう一度唱える。


『リヴィテーション!』


だが、やはり石は動かない。


それを見たリンは、小さくため息をついた。


「君、杖とか魔導書とか持ってる?」


「持ってません。」


リンは「やっぱりね」という顔をして腕を組む。


「いきなり魔法具なしで魔法を撃とうなんて、無理に決まってるでしょ?」


「へぇー……そんなこと初めて聞いた。」


「普通は杖や魔導書があれば魔法の制御がしやすくなるの。もちろん、熟練すれば魔法具なしでも使えるようになるけど、初心者には必須よ。」


彼女は俺の目をじっと見つめながら、さらに説明を続ける。


「簡単に言えば、魔法具は魔法の補助アイテム。魔力の流れを安定させたり、呪文の威力を強化したりするの。」


俺は興味をそそられた。


「へぇー……んでさ、その魔法具ってどこで買えるの?」


リンは少し考えた後、南の方角を指さした。


「エンチャントレルムから歩いて15分。幻想的で魅力的な街──"マジカラビア"。」


俺の新しい目的地が決まった。


---


「こんな街があったなんて、知らなかった……」


思わず口に出してしまう。


「一昨日、授業でこの街のこと話してくれたじゃない。まさか、寝てたの?」


リンの鋭い視線に、俺はつい目を逸らしてしまう。


「そ、そんなわけないだろ…あっ!思い出した、先生が言ってたな。」


「これは寝てたわね。」


リンの疑いの目が痛い。


「それよりさ、魔法具が売ってる店に連れて行ってくれよ。」


「ついてきて。」


リンの後ろを歩きながら、俺は周りの景色に目を奪われる。


「部屋の窓から見えた街が、まさかこんな感じだったなんて……すげぇ、街ってこんなにも広いんだな。」


通りには無数の店が並び、賑わいの中… 俺の視界になんだか他とは異種な空気を感じる。


「ん? なんだあの通り道、ちょっと気になる。」


「ちょっと!ハヤシ君、そっちは裏通りだから絶対入っちゃダメ!」


「裏通り?」


リンの顔が険しくなる。


「 幽玄の隠れ道 (ユウゲンノカクレミチ) って呼ばれてるんだ。闇のギルドや、闇の魔法使いが行き来する危険な通りなの。先輩が教えてくれた。」


「なんか怖いな……」


「うかつに入ったら、二度と戻ってこられないかも。気をつけて。」


リンの言葉に、俺は少し身を引きながら、再び魔法具の店へ向かった。



---


「ここが魔法具の店、エンポリアムよ。」


店の外観は、どこか懐かしさを感じさせる木造の建物。魔法的な装飾が施された扉を開けると、独特の香りが漂ってくる。


「いらっしゃい。」


中に入ると、よくいるおじいちゃん店主がにこやかに迎えてくれた。


「なにかお探しかい?」


「こんにちは、マーリンさん。この人、魔法が使えないんです。今日は魔法具を買いに来ました。」


マーリンさんは笑いながら応じる。


「魔法が使えないだって?カッカッカッ!それは面白い、どうやって入学したんだい?」


「色々と…」


マーリンさんは棚を指さしながら話し続ける。


「うちの店は魔法具専門だ。杖や本、武器など、なんでも揃ってる。」


「そうね、とりあえず今日は杖を買って帰りましょう。」


マーリンさんは手に杖を持ち、俺に渡してきた。


「そこの若造この杖を振ってごらん」


この展開知ってますがな、よくある有名映画のシーンですやん


俺はすぐに杖を握り、自信満々に振った。


「シーン…」


だが、何も起きない。


「カッカッカ!いきなり魔法が出たら、ワシの店が潰れるじゃろ! じゃがこの杖に弾かれなかったということはお前さんでもいいと言うことじゃな」


俺妥協されたの!?この杖に!?


「なにをけったいな顔してるんじゃ、これでよいか?」


「お願いします。」


「500ルーメントじゃ。」


円でもなければドルでもない、流石は魔法世界だと再確認させてくれる。


先日ガイ先生も言っていた『ルーメント』と呼ばれる通貨


1ルーメント1円なのは計算しやすくて助かった


「財布出すから、ちょっと待って…あれ?財布がない!」


慌てて探しても、財布はどこにも見当たらない。


「財布見つかった?」


「ないです…忘れました、リンさん、貸してくれませんか?」


「しょうがないわね。」


リンはため息をつきながら、ポケットから端末を取り出す。


「マーリンさん、ソサマ決済でいいですか?」


「構わんよ。」


端末をレジの機械にかざすと、「ルーメン」と音が鳴った。


「そのスマホみたいなの、何?」


「これ?ソーサラースマート。」


「この世界にもスマホあるの!?」


「なにか変?ていうかスマホって、なに?」


「いや、逆にソサマってなんだよ…」


リンは不思議そうに俺を見ながら、杖を手渡してくれた。


「ありがとな!しっかり魔法覚えろよ、若造!」


マーリンさんの言葉に見送られ、俺たちは店を出た。

 

エンポリアムの店を出ると


 


「寄ってほしいところがあるんだけど、着いてきてくれない?」


リンが急にモジモジし始める。


「いいよ」


リンに連れられて向かった先は、見たこともない店だった。



スペルお菓子工房と呼ばれる店に着いた


店内に入ると、目を見張るようなカラフルなお菓子で溢れていた。


「うわっ…ゴブリンの鼻水ジェリーだと… こっちはドラゴンの火吹きチョコ…キモい、もっとマシなお菓子探そう。」


だが、ふと見るとリンが目をキラキラさせて、ゴブリンの鼻水ジェリーを大量に手にとっている。


「もしかして、それ食べるの?」


リンは少し恥ずかしそうに、頬を赤く染めながら言った。


「な、なにか変!?これ美味しいんだよ!」


「へぇ…」


変なお菓子を持って嬉しそうなリンを、俺は不思議そうな目で見つめる。


その後、リンと一緒に広場に向かい、ベンチに座って休憩した。


「んー♡やっぱり美味しい♡」


ゴブリンの鼻水ジェリーをすすりながら、リンは幸せそうに目を閉じる。


「ガチで鼻水の味だよな…」


なんでそんな可愛い顔して、平気で食べられるんだろう。


「あれ?もう食べないの?」


「なんか…お腹いっぱい…」


リンの笑顔を見て、俺はその不思議さを改めて感じた。


空は澄み渡り、心地よい陽気が広がる午後。

 

俺は大きく伸びをしながら、そのまま後ろへと身体を反らせる。

 

視界の端に、逆さまに映る三体の石像が目に入った。


「なぁ、リン。あの石像って誰?」


俺の問いに、隣でお菓子を口に運んでいたリンがちらりと視線を上げる。


「あれは三大魔法使いの石像よ」


「三大魔法使いって……確か、リンの家系もそうだったよな?」


「そうね。デューク、剣崎、そしてイクノシア。この三人が、いわゆる『三大魔法使い』と呼ばれているの」


「やっぱり全員、すごい奴らなんだろ?」


「……イクノシアだけは、少し違うわ」


リンの声色がわずかに変わる。

俺は気になって、もう一度石像を見つめた。

 

確かに三体並ぶ像のうち、中央にそびえる像だけは他の二体よりも異様な雰囲気をまとっている。


「イクノシアはね、千年前に起こった『魔法戦争』を引き起こした魔王なの」


「魔王? そんな奴が英雄扱いされるのか?」


俺の率直な疑問に、リンは静かに頷いた。


「本来なら、彼の名が『三大魔法使い』に数えられることはなかったの。でも……」


「でも?」


「イクノシアを崇拝するギルドが『光だけが正義なのか』って、大規模なデモを起こしたの。それがきっかけで、彼もまた『偉大な魔法使いの一人』として記録されることになったのよ」


「なんつーか……複雑だな」


「歴史なんて、そんなものよ」


リンは肩をすくめると、小さくため息をついた。

 

遠い昔の話――そう思うと、どこか現実味が薄れて感じる。


「まぁ、今の俺たちには関係ない話か。そろそろ帰るとするか!」


俺はベンチから立ち上がり、軽く背伸びをする。

と、その時――


ドォォォン!!!


突如、爆発音が響き渡った。

辺りの空気が一変し、広場にいた人々が一斉に騒ぎ出す。


「きゃああああっ!!誰か助けてぇ!!ゴブリンが――!!」


悲鳴とともに、一人の女性が必死に逃げ惑う姿が目に飛び込んできた。


「ゴブリン? この前、レイヴンさんが討伐したはずじゃ……」


「町の中にゴブリンが現れるなんて、聞いたこともない……!」


リンも険しい表情を浮かべる。

ただの事件じゃない、そんな予感が俺の背筋を冷たく撫でた。


「とにかく、行くぞ!」


「ええ!」


俺達はすぐさま駆け出した。 危険な気配のする方へと。



[おまけ]


「ホシノ先生の! なんでも聞いて頂戴♡のコーナー!」


「「「いぇーい!」」」


「さぁ、お待たせしました!ついに私の出番ね!」

 

テンション高めに胸を張るホシノ先生。

その横には、ゲストとして呼ばれた俺、リン、レイラの三人が座っていた。


「今回の特別ゲストは、私の大切な生徒たち! ユウマ君、リンさん、そしてレイラさんです!」


「はい、先生!質問です!」

 

俺が勢いよく手を挙げると、ホシノ先生はニコニコしながら頷いた。


「どうぞ、ユウマ君。なんでも聞いていいわよ!」


「マジカラビアって、どんな街なんですか?」


「いい質問ね! じゃあ、しっかり教えてあげるわ♡」


ホシノ先生は満面の笑みで説明を始めた。


マジカラビアとは?


「マジカラビアは、エンチャントレルム魔法学校から歩いて15分の場所にある、学園ととても深い関係を持つ魔法都市よ。 魔法のアイテム、ローブ、お菓子、乗り物まで、あらゆる魔法関連の品が揃っているのが特徴ね。 でも、全部紹介すると時間が足りないから、特にオススメのお店をいくつか紹介するわね!」


1. エンポリアムの店


「魔法具専門のお店! 杖、呪文書、魔法のアクセサリーなど、魔法使いにとって欠かせないアイテムが揃っているのよ!」


2. マジカルローブショップ


「エンチャントレルムの制服専門店ね! ローブや学用品を扱ってるから、破れたり汚れたりしたら、ここで新調するのよ♪」


3. スペルお菓子工房


「学園生に大人気のスイーツショップ! 魔法的な素材やエフェクトを取り入れたお菓子が魅力よ♡ ただし、先生みたいに食べすぎると、体重計に乗るのが怖くなるから注意!」


4. スカイライド・ブレーゼ・ショップ


「空飛ぶ箒や魔法車など、魔法の乗り物を扱う専門店よ! 先生も最近ボーナスで新車を買ったんだけど、これが最高の乗り心地なの♡」



---

  


「他にもたくさん素敵なお店があるわ! あと、マジカラビアは四季ごとに街の雰囲気が変わるのも見どころね。 街に植えられている花や木は、実はエンチャントレルムで育てたものなのよ。だから、そういう細かいところもチェックしてみてね♡」



「なるほど、つまりマジカラビアとエンチャントレルムは切っても切れない関係ってことですね。」

 

リンが納得したように頷くと、ホシノ先生が満面の笑みを浮かべた。


「流石リンさん! すっごく素敵な例えね♡」



「先生、もう一つ質問していいですか?」


今度はレイラが手を挙げる。


「レイラさん、なにかしら?」


「カラビアの広場でクリスマスの夜に告白すると成功率が高いって噂を聞いたんですが、先生って彼氏とかいるんですか?」


一瞬、教室の空気がピンと張り詰めた。


ホシノ先生は満面の笑みを浮かべたまま、しかしその目は決して笑っていない。


「それを先生にきいて先生はどう答えればいいのかな?クリスマスの時期はいつも一人でケーキをむさぼり食べてますと言えばいいのかな?先生はずっと1人だって言わせたいんだ、じゃあ先生はみんなが幸せそうにしてる横で一人でケーキ食べたらいいんだ」


「おいおいレイラ、余計なこと聞くなよ! 先生の話し方が完全にヒス構文になってるぞ!」


「……三人とも、廊下に立ってなさい。」


次回![第九話、初めての林間学習]

第八話を読んでくださったそこのアナタ!

次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧

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