第0話: Five Girls' Secrets"[If Yuma's Out, Who's In?]
Clickしてくれてありがとう。
めっちゃネタバレしてるし、話しいきなり過ぎるけど
とにかく読むんだ。
赤茶色のレンガ壁を背に、フェイが小走りに近づいてくる。
ダボっとした白いリブニットに、濃いインディゴブルーのロングデニムスカート。小さな体にベレー帽がちょこんと乗って、丸縁の伊達メガネが揺れている。
服装だけ見れば、大人びた雰囲気を頑張って演出しているけど――歩き方も表情も、まだどこか幼い。
えーっと……他の4人の印象ですか?
そやなぁ、みんな良きライバルって感じかなぁ
なんの? それはもちろん、ユウマに対する恋のライバルやろ〜
ていうか、これなんなん? なんで歩いてるとこと話すところ、別撮りさせられてるん?
それは言わん約束? え? オシャレやから? んな、アホな……
……尺長い? そりゃ大変やわ
ほな、もう店入ります〜
カ手を振るような仕草をして、フェイはアンティーク調の扉を開ける。
──店内。
フェイはワインレッドの革張りソファに軽く腰を下ろす。
レンガの壁、ぼんやり灯るシャンデリアの光。どこか落ち着いた、でも気取らない空気。
「なんや、まだ1人やないかい」
ぽつりとつぶやきながら、フェイは伊達メガネをそっと外す。
小さなレザーバッグを開けて、メガネを丁寧にしまう。
その指先に、ちょっとした緊張とワクワクがにじんでいた。
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レンガ壁沿いの歩道を、レイラが軽やかに歩いてくる。
高めのツインテールが、揺れる。
黒の超ミニスカートに、ぴったりと体に沿うリブニット。膝上ギリギリのロングブーツが、細い脚を一層引き立てている。
強気で華やかなその出で立ちは、まさに「自分が主役」と言わんばかりだった。
今日のガールズトーク、楽しみにしてました。
だってだって、テーマが面白いじゃない。
『もしユウマ以外で彼氏にするなら誰? 』
でしょ? このテーマ考えた人、誰よ、天才でしょ。
絶対メリファさんね。間違いないわ。
今日のファッションのこだわり?
もちろんこのミニスカでしょ!
美少女レイラちゃんを際立たせる、最高の相棒なんだから!
意気揚々とドアに手をかけ、カランとベルが鳴る音とともに扉を押し開ける。
アンティークな店内に、ふわりと外の光が滑り込んだ。
席でメニューを見ていたフェイが顔を上げる。
「おー! ようきたな」
「やっほー、あれ? まだフェイ先輩だけですかー?」
「せやで〜」
レイラは店内を見回し、うーんと小さく考え込む仕草。
「どこに座ろっかな〜」
「どこでもええやん」
「だって、この真ん中は絶対ローザさんに開けたほうがいいでしょ」
「確かに」
フェイが吹き出しそうに笑いながら返す。
「じゃあアタシはここにしよ」
フェイが中央の席から左側に座っているのを確認して、レイラは右側に腰掛けた。
深い木目のテーブル、手書きメニューが立てかけられたカウンター、ぼんやり揺れるシャンデリアの灯り。
アンティークな砂糖壺とミルクピッチャーが、静かに光を受けている。
「なにか飲み物頼んだんですかー?」
「いや、まだやで〜」
「じゃあ頼もうー!」
レイラが無邪気に笑い、メニューを手に取る。
柔らかな笑い声が、アンティークカフェの静かな空気を、ほんのり華やかに染めた。
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緊張してます。
扉までの歩道を、リンがゆっくりと進んでくる。
黒に近い茶髪を、今日は珍しく下ろして、さらりと肩にかかっている。
アイボリーのリブニットに、深いブルーのスキニーデニム。
足元は、膝下までのシンプルなダークブーツ。
普段の制服姿とはまた違う、柔らかく、それでいて芯のある雰囲気を纏っていた。
レイラとは普段遊びに行くことが多いんですけど、
他の先輩方とはこうして私服で会うこともないので……。
何故私が選ばれたのかもわからないんですけど、緊張しながらも今日は楽しみたいと思います。
リンはそっと扉に手をかけ、押し開けた。
カランとベルが鳴ると、飲み物を口にしていたレイラがぱっと顔を上げ、嬉しそうにグラスを置く。
「リーン!!」
子供のように無邪気な声で、大きく手を振るレイラ。
その様子に、リンの緊張もほんの少しだけ和らぐ。
「フェイ先輩、オシャレ……。」
制服姿しか知らない先輩たちの、私服の新鮮さに、内心そっと驚きながら。
リンは自然と、レイラの隣の席へと歩み寄った。
リンのつぶやきを聞き取ったフェイが、手をひらひら振って笑う。
「いやいや、リンのほうがオシャレやん……。ていうかデート服それで来られたら男たまらんやろな」
「ほんとよー、しかもちゃっかり髪も下ろしちゃって」
隣に座ったレイラが、嬉しそうにリンの髪を指先でそっと触る。
「あ、ありがとう……」
リンは視線を落とし、恥ずかしそうに下を向いた。
そのまま、そっとテーブルのメニューを手に取る。
「2人は何飲んでるの?」
声をかけると、フェイが笑いながら応える。
「うちはホットの紅茶」
続けて、レイラが胸を張るように答えた。
「アタシはアイスカフェオレよ」
「じゃあ私も……レイラと一緒のにしよう」
静かに、でも少しだけ嬉しそうな声。
リンの選んだメニューの向こうで、ふわりと柔らかい空気が広がった。
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カフェの前の石畳を、ジュリアが軽やかに歩いてくる。
ピンク色の髪はふわりと緩く巻かれ、陽光を受けてやわらかく揺れていた。
白のオフショルブラウスは肩を上品に覗かせ、ふんわりと広がる裾が風をはらむ。
足元は大胆なショートデニム、きゅっと引き締まった太ももがのぞき、ヒール高めのショートブーツが脚をすらりと際立たせている。
その姿に、すれ違う男性たちが思わず振り返る。
──言葉もいらない。ただそこに立つだけで、「あの子、可愛い」と自然に思わせる力があった。
今日は〜♡
みんなでガールズトークって聞いてたから〜、すんごく楽しみにしてた〜♡
今日のコーデのポイント?
もちろん、『大好きな君を悩殺だよ♡』
弾むような足取りで、ジュリアは扉を押し開けた。
カラン、と小さなベルの音が店内に響く。
「みんな、やっほー♡」
声に反応して、真っ先にフェイがニヤニヤしながらグラスを置く。
「でたー! 男悩殺コーデ!」
「えへへ♡ とっても可愛いでしょ?」
ジュリアの無邪気な返しに、レイラがわざとらしく目を細め、嫌味っぽく口を尖らせる。
「えー、受け狙いすぎー。逆に緊張して男の子無理でしょー」
「そんなことないよ♡ レイラちゃんもまだまだ子供だね♡」
悪びれもせずにウインクしながら、ジュリアはフェイの隣の席に自然に腰を下ろす。
バックから小さな手鏡を取り出し、くるりと巻いた髪を指先で整える仕草。
「でも、可愛いと思うよ」
リンがそっとジュリアを見つめ、微笑みながら呟く。
「ありがと♡ リンちゃんもすんごく綺麗だよ。やっぱサンクチュアリは可愛い子多いね♡」
小さなリップを手に取り、鏡越しにリップラインを引き直すジュリア。
その仕草さえ、計算高く、けれど憎めない可愛らしさに満ちていた。
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コツ、コツ、と乾いたヒールの音が、レンガの歩道に軽やかに響く。
光を受けてきらめくライトブラウンの巻き髪。
光沢のあるブラックのノースリーブブラウスが、引き締まったボディラインを際立たせ、
純白のタイトスカートが太ももをなめらかに包む。
膝下まで伸びた生足に、シャープなハイヒールが映える。
"What a simply gorgeous day it is.
To share a girls' talk on a day like this... how utterly delightful.
I have no doubt today will be simply wonderful.
I do wonder what everyone has chosen to wear.
The anticipation is simply exquisite."
え? なんて言ってるかわからない?
──とってもいいお天気ね。
こんな日にガールズトークできるなんて、素敵な一日になりそう。
みんなはどんな私服なのかしら? 楽しみで仕方ないわ♡
のようなニュアンスでいいわ♡
ローザは優雅な仕草でドアに手をかけ、静かに押し開ける。
だが、開口一番の声はまったく別物だった。
「へーい! ガールズ達、おはよう♡ 今日は楽しみましょうね♡」
華やかな声に、場の空気が一瞬でローザ色に染まる。
あまりの色気に、レイラは引き気味に顔をしかめた。
「なによ、この色気全開お化け……ホントにアタシの2個上なの?」
レイラの言葉にジュリアも口を挟む。
「完全に負けた……セクシーの化身じゃん」
ローザはウィンクしながら、優雅に手をひらひらと振る。
「そんなふうに褒めてくれて、テンキュー♡ 今日のテーマはエロスとアガペの融合よ♡」
「そ、それなに」
動揺してリンがフェイに助けを求めると、フェイは呆れた顔で軽くため息をつく。
「いつもの適当な言葉言ってるだけやろから、大丈夫や」
ローザは満足げに微笑み、ソファの中央に腰を下ろす。
「これで全員揃ったわね♡ では、始めましょうか♡」
華やかな光に包まれるように、今日のガールズトークが本格的に幕を開けた。
第0話を読んでくださったそこのアナタ!
次回も読んでくれると嬉しいです(。•̀ᴗ-)✧