1 僕と委員長
一度は5話で完結させた作品でしたが、2023/5/28に続きを投稿しました。
続きは6話からとなっております。
宜しくお願い致します。
「おはよう!横峯くん!それって小説?どんなの読んでるの?」
朝の教室、ラノベを読んでいると元気のいい挨拶が飛んでくる。
僕に声を掛けてきたのは、このクラスの委員長、山野聡子。
黒髪ショートカットの美少女、と評判だ。
明るく誰にでも優しい、クラスの人気者。
「あ、山野さん、おはよう。これはただのラノベだよ。」
人付き合いは苦手だ、それでも何とか返事をする。
僕は横峯安徳、高校二年生。
中肉中背で特に目立つところも無い。
趣味はラノベを読むことと、ゲームかな。
仲のいい友達は居ない。
僕は一人の時間が好きだ。
友達付き合いをしようと思うと、どうしてもストレスを感じてしまう。
自分の時間は誰にも邪魔されずに静かに過ごしたい。
「いいよね!ラノベも結構面白いのあるもんね!今度私も読んでみようかな?!」
「そうだね、いろいろあるから山野さんに合うラノベもきっとあるよ!」
「うん!今度横峯くんに選んでもらおうかな?」
「うん、何冊か選んでおくよ。」
「お願いね!」
そう言って山野さんは仲のいいグループへと戻っていく。
いつもクラスの中心にいるクラス委員の山野さん。
「みんな!おはよう!」
「おはよー、聡子!」
「なぁに?聡子、またあのぼっちくんに話しかけてあげてたの?」
「え?まぁね?だって一人は寂しいじゃない?」
「優しいんだねー、聡子は。」
「そんなことないよ、普通だよ?」
「ぼっちくんに話しかけるのは聡子だけだよ?やっぱ優しいって!」
「そうかなー?」
「そうだよ!さすが委員長!」
「やめてよー。」
全部僕に聞こえてるんだよね。
まあ、いいか。
そう、山野さんが僕に話しかけるのは、僕がぼっちで可哀想だから。
委員長である山野さんは、そんな僕を放っておけない、という事だ。
このクラスになって一週間経ったある日、山野さんに空き教室に呼び出された。
「横峯君だっけ?キミいつも一人だよね?私の内申点稼ぎに協力してくれない?」
この一言から僕らの関係は始まった。