異世界クレーマー
タグは一応の保険
展開がスクリューパイルドライバー並み
勢いで書きました。後悔しかない。
でも、投稿しちゃう、だって書きあげたんだもん(キモい)
気が付くと良くわからないところで、もっふる髭じーさんとマンツーマンで対面していた。
「圧迫面接かな」
思わず溢れた言葉にもっふる髭じーさんが反論する。
「死後の世界で自分のおかれた状況を圧迫面接に例えなさんな。だいたいもっふる髭じーさんとはなんじゃ」
もっふる髭じーさんは頗る不満そうにそう言った。というか、死後の世界(-ω- ?)
「そこからか、まあ、確かにあんな死に様ではしようもないな」
はて、昨日は普通に就寝したはずだ。もしや家が火事にでも巻き込まれたのか。
「ん、尿意を感じてトイレに起きたものの、半覚醒状態で寝惚けとったせいで階段を転げおち、何故か開いたままだった一階のトイレにダイレクトイン、器用にも顔面を便座にホールインワンして、頭を強打から失神&溺死のフルコンボじゃ」
うん、ろくでもない死に様だ、確かに。俺が住んでたのは風呂なし、トイレ共有の今時珍し過ぎる安アパートだったが、トイレは俺の部屋から一度、外に出て階段を降りた先、真正面にあった。なら、そんな状況が起きる可能性も無くは無いのかもしれないが、だとすれば…
「あー、お主の死体は翌日、一階に下宿しとる美少女なJDに発見されたぞ、美少女なJDにな」
何故に二回言ったし、大切なことだってか、いや最悪だな、おい。トラウマもんだろ、キモいオッサンが顔面を便器に埋めてフライハイしてる現場に遭遇なんて。
「しかし、お前さん動じんな。亡くなったってのは気にならんのか」
死に様の酷さは気になるが、どうせ大した人生じゃ無かったしな。末期に恥を晒したとて、死んじまった今は、もう関係ないしな。
「達観しとるのー、じゃがな、いかんせん、そんな死に方で他界する予定じゃ無かったのよ、お前さん」
あー、運命みたいなもんか。実は本来の寿命が残ってる的な。
「ふん、そう言うことじゃな。じゃから、お主には」
「あー、断ります」
「まだ、何も言っとらんのじゃが」
いやいや、わかりますよ、転生やら転移やらってんでしょ。こちとら拗らせたオッサンなんで、舐めないでもらいたい。
「舐めたくもないの。じゃが、転生も転移もお断りとは珍しいの」
いや、物語の中でも、嫌がってる奴は多いし、普通に考えたら嫌だって。
「んー、何がそんなに嫌なんじゃ、聞いたところで転生させるが」
「いやいや、聞くなら止めるのが筋でしょうよ」
「お主の要望のために因果律をねじ曲げれば、どんな厄災がおこるか、あり得んほどおかしな死に方で因果律に干渉した異分子である魂をそのままにはしとけんのじゃ」
だいぶ、まともそうな事を言っている上に俺の死因は間違いなく俺のせいであるからして、ならば受け入れるしか無いとも思えるが
「では転生してくれるな」
「えっ嫌です」
「なんでじゃ、納得しかけとったろうが」
先ほどから、人の心を覗かんで欲しい、この盗聴もっふるが(`Δ´)
「なんちゅう暴言じゃ」
「いや、発してない以上は暴言じゃありません。かってに盗聴したもっふる髭じーさんが悪いです」
「発しておるじゃないか」
誘導されてしまった。
「卑怯ですね」
「どこまでも失礼なやつじゃな」
自分の都合を押し付けようとするダメ髭じじいには言われたくないなー。
「暴言が加速しとるんじゃが、とにかくじゃ、異世界への転生が嫌なら因果律への影響を最小限にするため、お主の魂を消滅させることになるんじゃぞ、これは温情でやってやるんじゃ」
「その温情いらないんで、消滅一択で」
「なんでじゃっ!!」
こちとら神も仏も意識圏外の無神論系ごく一般日本人だ。死ねば肉体諸とも意思も意識も消滅するのは当たり前と思ってる訳で、それで困る事などなにもない。
「いやいや、せっかく記憶をもったまま転生できるんじゃぞ」
「いや、めんどくさい」
「なんでじゃ!!」
「よしんば、どうしても転生しなきゃならんなら、記憶は消して結構」
「だから、なんでじゃ!!」
わからんかなー。
「魂だなんだ言っても、死んでリセットされるなら、個人から見ればあっても無くても同じでしょうよ。魂が消滅しようが、自己の意識が消滅しようが同じ」
「いや、魂が消滅すれば、二度と転生出来ん」
「転生しても普通は記憶がリセットされるなら、おんなじことだって」
「ならば、記憶をもったまま転生出来るんじゃ、すごい特典じゃろ」
「いや、めんどくさい。だいたいに文明の違う異世界で苦労するなんて絶対イヤ。ネットも通販もゲームもない世界なんて地獄よりまだ酷いね」
「どういう自堕落な理由じゃ」
「実際んとこ、そうでしょ。自然溢れる田舎でスローライフなんて、都会から移住しても1ヶ月もしないうちに後悔すんだよ。あれこれ不便だし、物価は安いかも知んないけど、賃金も相応に安いし、下手すりゃ仕事がないし、自然の中でスローライフって、要するに自給自足だからね。畑で作物作ってみりゃわかるけど、手間隙かけて、できんのは一人ぶんすら怪しい量、結局は技能や経験なしじゃまともに生きてくことすら厳しい、それがスローライフだよ」
「なんじゃ、田舎に恨みでもあるんか」
「いや、田舎出身だからね。むしろ田舎舐めんなって感じ」
「田舎出のヤンキーなんか、お主は」
失礼な、俺は割と優等生のほうだったし、成績も悪く無かったほうだ。
「あー、とにかくじゃ、転生してもらうからの」
「んな、強引な。いいですよ、消滅一択で、今更、赤ん坊にされてもどんな羞恥プレイだって話です」
「なら、5歳まで記憶を封印してやる」
それはダメだって、5歳になった瞬間に膨大な記憶と経験が上書きされてしまう。そんなもん、その瞬間にそれまで培った幼少の来世の人格が破壊されるだけだ。
「確実にチェンジリングや悪魔憑きを疑われる」
「其処は演技でもすれば良かろう、それまでの5年間の記憶だって残るしの」
「ムリだって、演技なんぞ出来んし、たった5年程度の記憶なんて、上書きされた数十年の記憶に掻き消されっちまうわ」
ホントに物分かり悪いもっふるだ(`Δ´)
「いや、おぬしも相当に物分かりが悪いぞ」
失礼な俺は空気を読むことと空気に徹することにかけては右に出るものはいない空気的存在だったというに。
「それはただ、とてつもなく影が薄いだけじゃ」
「酷い誹謗中傷だ。弁護士を呼んでくれ」
「そんなもんはおらんわいっ!!」
「司法に頼る権利すらないなんてっ! ここはなんて中世、ナーロッパなのかっ! 神も仏もないっ!」
「いや、神ならここにおるし、さっき神も仏も信じとらんと言うとったろうがっ!」
わからんもっふるだ。困った時の神頼みと言うのは人類共通だと言うに。
「そんな恥知らずな共通認識なぞ無いわっ! どんだけ失礼なやつじゃっ!」
「ということで、ほら景気よく消滅消滅ー」
「する訳ないじゃろっ! むしろ意地でも転生させて、チートなし、劣悪環境できっちり寿命までは死ねん呪いをつけてやる」
((( ;゜Д゜)))なんつー恐ろしいことをっ!
「ふははっ! 今さら後悔しても遅いわっ! きっちり送り届けてやるわい」
イヤだーっ! 助けて神様ーっ!
「じゃから、儂が神だと言うとろうがっ!」
はー、こんな聞き分けのないもっふるに管理ミスで頃された挙げ句に人権無視で監獄送りにされるなんて、天界とは魔女裁判より理不尽なところだった。
ピピピピ ピピピピ ピピピピ
ん、もっふる髭じーさんの胸元からアラーム音が
「あー、ヤバいっ! さっさと転生させんとっ、えーチートはなしで、なるたけ酷いとこに落としてっ…えぇい条件検索がまどろこしい」
なにやらもっふる髭じーさんが慌てだした。
「なんじゃ、管理者権限を逸脱しとるじゃと、なんで警告が来るんじゃ、承諾のない転生は無効、なんでじゃっ!」
おー、これは転生せずに済むのか。よくやったぞ、謎のシステム。
「それはありがとうございます」
おや、後ろから美人そうな声が(・д・ = ・д・)
「転生管理課の不手際、誠に申し訳ありません」
振り向くと言葉にできん程の美女が深々と頭を下げていた。俺の語彙力の全力をもってしても、何一つ描写できん美しさでキラキラしとる。
「単に頭が悪いだけじゃな」
もっふるの失礼さは天元突破しているな。
「デュミナトニス、今回の事態の収束、早急に始末をつけると報告があったのですが、何故、対象者との交渉が決裂しているんですか」
「あー、いやっモルガネート様。今、転生させるところだったんじゃ」
「わかりました。劣悪な環境で寿命まで死ねず、無能な存在のまま、苦しみ抜く人生ですね。承諾します。よろしいですか」
「さすが、モルガネート様、もちろんですじゃ」
そんなっ! 俺が絶望し、もっふるが歓喜した瞬間、もっふるが消えた。
「無能がっ、丁度いいので自分の見つけた転生先で苦しみ抜いて磨り減りなさい」
美人さんの毒舌こえー((( ;゜Д゜)))
でも、新たな世界が開けそう。もしやこれが異世界転生(笑) なんにせよ。テメーのミスを押し付けようとしたもっふるざまぁだわ。ありがとう美人さん
「いえいえ、あなたは希望通り消滅ですんで、こちらこそ」
へっ!
…
「うざいんだよクレーマーがっ!」
…
感想くださいm(_ _)m