自分の戦い方
天使族と悪魔族は古来何千年も前から敵対関係であった。
常に世界の何処かで争っている。
そして、今日もまた、リオウは戦いに馳せ参じる。
リオウ「行くぞ!」
悪魔族軍、第8隊隊長として小隊を率いる。
以前の自分ならば如何に相手を打ちのめすか、のみを考えていた。
天使族とは殺すべき相手。敵。
どうすれば首を刎ねられるか。
、、、しかし今は少し考えが変わっている。
基本的にそこまでの成果を求めなくなっていた。
全体を見て、何処まで自分達が前に出れば良いのか、何処までやったら引いて良いのか。
無闇に戦いを広げない。
それはナナミから授かった言葉「そのままでも良い」と、ナナミの精神「戦争を無くしたい」を組み合わせた、自分なりの戦い方であった。
、、、問題はあった。
それは軍本部からの評価が著しく悪かった事だ。
大隊長「どうした!?リオウ、お前はそんなものでは無いだろう!」
大隊長からの叱責は常だった。
期待されていと戦果とは程遠いものだった。
最初は英雄として見られていた俺も、今では落第者として陰で笑われる存在になっていた。
、、、だから俺が隊長格から降格するのは時間の問題だった。
でも
でも俺はそれで構わないと思っていた。
リオウ「俺のように皆んなの考えが変われば戦争は無くなるんだろうか?」
自分の立場なんかよりも、俺はそんな事を考えていた。
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場所は変わって穏やかな森の中、、、
ここはあのナナミの家がある集落跡地。
、、、戦いの合間、俺は何度かあのナナミのいた家へやって来ていた。
しかし、タイミングが悪かったのか、
いつも彼女は家を留守にしていた。
会いたかった。
会って、話をしたかった。
だから待っていた。
出来るだけ、
待っていた。
、、、、、でも。
リオウ「時間切れだ、、、」
次の戦いが始まる。
行かなくてはいけない。
俺はナナミの家を後にした、、、、
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戦いの中には大きいものや小さいものがあり、個人間の争いから大規模な部隊同士の激突まで様々だ。
その中で、今回の戦いは特別なものだった。
大隊長「よいか!今回の戦いは天下分け目の決戦となる!総力戦である!この戦いで勝った方がこの世界を支配し、負けた方が地べたを這いつくばって嬲り殺されると知れ!
仲間を守りたいか!家族を守りたいか!愛するものを守りたいか!!
ならば、戦え!
戦って、愛する者の安息を手に入れろ!!!!」
大隊長の演説は見事なものだった。悪魔族軍の士気は最高潮に上がっていた。
俺は第8隊隊長として戦いに出る。
俺もまた戦いを前に身震いしている。
時代はどう転ぶのだろう?
戦いはこれで終わるのだろうか?
、、、、この戦いはあらゆるものが参加する。
、、、ナナミも、何処かに、いるのだろうか、、、、??
考えはいつしか女の事にシフトしていた。
こんな戦いの前に女の事を考えるなんて、俺は本当に変わってしまった、と自分で自分を笑ってしまった。
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戦いは苛烈を極めていた。
天使族と悪魔族。互いに総力戦だ。
幾人もの天使の血が流れ、幾人もの悪魔の首が飛んだ。
死体の山は次々と地面を埋めて行き、
至る所血の池が発生し、
そこはさながら地獄そのものだった。
リオウもまた戦いを続けていた。
今回の戦いは手を抜くなんて事は出来ない。
そんな事をすれば即座に殺される。
だから戦いに没頭していた。
剣を振り続けていた。
あの
女天使を視界の端に映すまでは、、、、、