笑顔
カチャ、カチャ、カチャ
彼女、、、ナナミは食事の後片付けをするため俺のいる部屋とは別の部屋にいる。
俺は部屋の椅子に座り何もしないでいる。
俺の背中に生える黒い翼は悪魔族の証だ。
しかし、今俺がいる部屋は天使族、ナナミの部屋。
何故こんな事になっているのか、、、自分でも良く分からない。
良く分からないけれど、現実こうなってしまったのだからそれは受け入れよう。
それよりも、、、
リオウ「、、そんな事、考えた事が無かったな、、」
、、、と、先程の女天使、ナナミとの会話を思い出していた。
、、あの場所にナナミがいたのは「救護活動をする事が戦争への反抗の意思である」という信念があったから、だそうだ。
だから敵だろうと味方だろうと救護する対象になるのだそうだ。
(、、結局のところ俺を助けた理由は本当に"生きていたから"だったんだな)
俺は幼い頃、家族を殺された体験から天使族に憎悪を抱いた。
しかし、ナナミは家族を殺された事から「どうすれば戦争がなくなるのか」と、考えていた。
そんな事考えた事も無かった。
リオウ「どうすれば戦争が無くなるのか、か。」
確かに俺は戦争の被害者であった。その復讐として俺は今悪魔族の戦士となり天使族を殺害している。
それは仕方ないと思った。だって悪い事をしたのは向こうなのだから。
でも、確かに
俺に殺された天使族、その家族は俺を恨むだろう。
すると、確かに、戦争の輪は広がってしまうのは自明。
ならば、俺が戦争を広げている?
、、、今まで天使族にも俺と同じ様に辛い思い持つ者がいる、などと考えた事も無かった。
天使族に心があるなどと、考えた事が無かった。
理屈で言えば俺が戦わない方が死者は増えないから戦争は収まる、、、
それは、その通り、、、
しかし
それならば天使族に殺された俺の家族、仲間の思いはどうなる?
殺されて蹂躙されて黙っていろ、とでも言うのだろうか?
焼かれて死んだ俺の家族は、妹は。
生きたまま酷い事をされた俺の仲間達は!
そんな事、出来る訳がない。
仇を打たないなんて、そんな事出来る訳が無い。
心がおかしくなってしまう。
その上、仇を打たないどころか、天使族を助ける??救護するだと??
それこそありえない。あってはならない。
論外だ。
でも、、、、
でも、、、ナナミは、、、、救護活動をしている、、、、、、
理屈で言えば、彼女の活動を広げた方が良い事は、その通りだろう。
確かに、彼女の活動が、一番、、、、、
ナナミ「どうしたの?難しい顔して」
洗い物が終わったのか、ナナミが部屋に戻ってきた。
リオウ「ナナミと話しててこうなっちゃったんだよ」
俺は少しご機嫌になっていたのだろうか。軽口で質問を返していた。
不思議と、彼女声を聞いて笑顔になっている自分がいた。
ナナミ「ふーん、それは良かった」
と、彼女はイタズラに笑った。
、、、俺の人生の中でこんなに穏やかな時間があっただろうか?
殺伐とした俺の人生の中で、、、、
一度でも、、、、
ナナミ「、、、帰るの?」
ナナミは何かを察して聞いてくる。
リオウ「ああ。」
ナナミ「そっか、さみしいな。せっかくお友達が出来たと思ったのに」
リオウ「俺も、さみしいよ」
と、今まで言った事の無いような恥ずかしいセリフを言ってしまっていた。
ナナミ「ほんと〜?嬉しいな〜」
ナナミは本当に嬉しそうだ。
俺も、それを見て嬉しくなる。
リオウ「ナナミ」
会ったばかりの女に
ナナミ「ん?」
しかも、天使族の女に
リオウ「ナナミ、君に会えて本当に良かった。ナナミは素晴らしい人だ。尊敬すに値する凄い人だ」
と、俺は精一杯の笑顔で精一杯の好意を伝えた。
それを聞いてナナミは
ナナミ「私もリオウに会えて良かったよ!」
と、笑顔で嬉しい言葉を口にしてくれた。
その言葉で
俺は胸の奥の、憎悪の炎がまた少し弱くなっているのを感じた、、、、




