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戦場の「天使」の物語  作者: ふるたく
4/10

不思議な空間

過去。


あの時の記憶は忘れる事はないだろう。


天使族に全てを奪われたあの日。


今でも、昨日の事の様に、鮮明に思い出せる。


許せない。その身をもって報いを受けさせる


そう誓ったあの日。


その思いで、戦ってきた。


天使族を殺してきた。


後悔は無い。


する筈がない。


でもそれが今、少し揺らいでしまっている。




それは目の前に、悪魔族に家族を殺されたというこの女天使の存在。




、、俺は天使族は全て敵だと思ってきた。


勿論、民間人は微妙なところがあるが、それでも俺の家族を殺した天使族に味方するのだから、それは俺の敵という事になる


その理屈から言えばこの女天使も俺の敵になる


なる、、、、はずだった、、、、、


しかし


俺は、この女を斬れるだろうか?


、、、女天使を見る


話をしていなければ、問題無く切り捨てていただろう。


、、、しかし、今は話をしてしまった。

この女の過去を聞き、その上俺の腕の治療をし、この部屋まで俺を連れてきて、介抱までしてくれた


この、女を


、、、、俺は斬れるだろうか?



狭い部屋の中に天使族と悪魔族が一体ずつ


互いを見合っている


そんな、奇妙な空間。


に、沈黙が流れる。


女天使「、、、、、、、、」


、、、女天使はこちらをじっと見ている。


先程、女天使が俺に対して発した『私は貴方の敵なの?』

と、いう質問への俺の回答を待っているようだ


俺の、、、


答えは、、、、


リオウ「俺に君は、斬れない。」


女天使の瞳を見て、そう答える。


斬れない。俺はもう、この女天使を斬ることは出来ない、、、


女天使「ん?それはつまり?」


彼女は嬉しそうに


女天使「私は貴方の敵では無い、という事で良いのかな?」


ハッキリと、イエスかノーで答えろと、そう圧を加えてくる


俺は、少し間を置いて


リオウ「そう、、、だね。君は、俺の敵では無い」


と、答えた。


女天使は ニコッと笑い


女天使「でしょ?そうだと思った」


女天使「さ、ご飯食べよ。お腹空いてるでしょ?」


まるで友達とランチをするようにウキウキとテーブルに食事を並べ始めた。



俺はその様子をぼんやり眺めていた、、、、、、


--------------------------------------------------------


、、、、不思議な状況だった。


天使族と悪魔族が向き合って同じテーブルで食事をするなんて


多分世界中、過去を遡っても無いだろう。


それ程までにこの両種族は敵対し合っている、のに、、、



カチャ、カチャ、カチャ



食器の音が響く



食事を始めてから互いに一言も発していない。


別に話をしたくないという訳ではない。


ただ、何となく、話すタイミングが掴めなかっただけだ。



しかし、俺には聞きたい事が山ほどあった


だから俺から沈黙を破った


リオウ「君は、あの場所で、、」


何をしていたんだ?、と聞こうとして、それを女天使が遮る


女天使「NO!NO!ナ、ナ、ミ!」


リオウ「え?」


女天使「私の名前!君、じゃなくて、名前!で、呼んで!」


リオウ「あ、ああ、わ、分かった」


ま、まさか天使族の名前を知るとは思わなかった。人生で初めての経験で少し戸惑ってしまう。


ナナミ「、、、で?君の名前は?」


リオウ「え?」


ナナミ「私の名前だけ教えて君の名前は教えてくれないってのは、不公平じゃない?」


と、ほっぺたを膨らませる。


リオウ「あ、ああ。、、、リオウだ。」


これも、また初めての体験だった。まさか天使族相手に名乗るなんて、、、


ナナミ「ん、リオウね、分かった。」


ナナミという名の天使族の女は嬉しそうだ


ナナミ「それで、なーに?リオウ。さっき何か言いかけたでしょ?」


リオウ「あ、ああ。ナナミは、あの場所で何してたのかな?って」


本当に不思議な空間だった。

ついさっき知り合ったばっかりだと言うのに、友達のように話しているなんて、、、。


ナナミ「あー、それはね、、、、」



そしてその後も会話は続いた。


ほとんどナナミが話していたのだけれど。


俺はこの時気付いていなかった。


胸の中の復讐の炎が少し、弱くなっていることに、、、、

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