プロローグ 始まり
初投稿になります、温かい目で見てやってください
よろしくお願いします
「………ら…………から………私と………。」
消えゆく意識の中で誰かが僕に何かを語りかけている。
その誰かの顔には涙が浮かんでいた。
ーそんな…悲しそうな顔をしないでよ…ー
そう言ってあげたいのに、声が出ない。
虚しく空気が出るだけだった。
もうダメだ……そう思い意識を手放そうとした瞬間、その誰かの言葉がはっきりと聞こえた。
「約束して…必ずまた私のもとに来て…、そして…今度こそ…私を殺して……」
その声はどこまでも悲しく、苦しく、痛々しく、弱い声だった。
〜 〜 〜 〜 〜
目を覚ました。
まるで水面から浮かび上がるような。
手放した意識が戻ってくるような。
そんな目覚めだった。
目覚めた僕の前には嬉しそうな笑みを浮かべた男女と、安心したような表情をしている何人かの女性がいた。
ただの思い違いだと思うのだが、僕はこの光景を何度も見た気がする。
何度も同じことを繰り返しているような、そんな気がする。
しかし、これだけははっきりわかる。
僕は新しい命として生まれ変わった。
約束を果たすために。
顔も、名も、涙の訳も知らぬ誰かのために。
〜 〜 〜 〜 〜
少女が1人、期待と哀愁を帯びた表情で窓から外を見ていた。
10人中10人が振り返るであろう美少女。
全くの穢れのない白い肌。
アメジストを彷彿とさせる美しい紫紺の瞳。
透き通るような純白の髪。
その姿は人間でありながらエルフ顔負けの美しさがある。
しかし、彼女を見たものは、みな絶叫し逃げていく。
当然だ。
彼女は忌巫女と呼ばれる者であるからだ。
忌巫女とは、生贄として捧げられた強い神通力を持つ巫女のことだ。
厄災をもたらす神を自分の身に憑かせ
次代の忌巫女が現れるまで、何百年、何千年と
生き続ける存在。
その身は老いることはなく、死ぬこともない。
全くの穢れのない白い肌には、禍々しく醜い黒い痣がいくつもあった。
アメジストを彷彿とさせる紫紺の瞳には、生気はなくガラス玉のようだった。
透き通るような純白の髪には、淀み沈むような黒い髪が混じっていた。
少女が1人、期待と哀愁を帯びた表情で窓から外を見ていた。
〜 〜 〜 〜 〜
………と、そんなこともなく…
「もっと勇者らしくだなぁ…」
「私は勇者向きじゃないのよ」
「向き不向きではなく、向くようになる努力を…―」
「そんなことは分かってるわよ、わざわざ貴方に教えてもらわなくても」
「だったら少しは変わる努力をしてくれ」
「分かってるっての!」
「分かってないから言っているんだろ」
「決めつけないでよ!」
「勇者らしくもなく、女性らしくもない…お前は一体…なんなのだ…」
「んなっ…!?女性らしくないってどういうことよ!?」
「そういうところだ!」
「この堅物騎士団長!」
「バカ巫女!」
この物語は、
『勇者候補だけど問題の多い歴代最強巫女』と『最強巫女のお守り役で人類最強の聖騎士長』による
ハラハラドキドキの冒険ファンタジーである!
続く