第五話 リーゼ&ライカvs進
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ああ、確か前にもこんな事があったな。
まぁ、リーゼに会えばこうなるかもとは思っていたけど。
でも今回は違う。
俺は彼女と戦える。
戦う覚悟は決めた。もちろん殺す気は無いけど。
上手く会話に持っていきたいところだ。
互いに間合いを定める。
と言っても進は武道の経験がない。
(アドラメレク、俺、剣使えないんだけど)
(大丈夫です)
いやなにがだよ!
マジで剣振れるか怪しいんだけど! でも確かにさっきから自然に構えてたけど軽い感じがするな。
やべぇ、超怖いんだけど……
「覚悟はできたか。前は無様に負けたが今回は必ず……お前を討ち滅ぼす!」
「なんだ? 急に風が強くなって……」
リーゼが魔力を放つと、次第に風が荒れてくる。
「風操術!」
凄まじい乱気流を操るリーゼの風操術は、全ての風を操れる、kカップ級にも十分勝てるレベルの能力ではあるのだが、この能力を使いこなせていないため、まだそこまでの域には達していない。
しかしそれでもJカップ級なら十分負けることはないだろう。
「クッ……すごい風だ……」
進は風に押されないよう、地面を力強く踏み踏ん張る
「くらえ!」
渾身の風の刃が進を襲う。
「ならこっちも! 闇炎剣」
フレイザーが闇の炎を刀身に纏う。
「標的!」
ライカによるターゲットでライカとリーゼの攻撃は全て必中となる。
「これは……すごい連携だな。互いに能力を知り尽くしているからこそだな」
これには素直に褒めるしかないだろう。
しかし魔力量に圧倒的な差がある進は闇炎剣で容易く風の刃を切り裂く。
「やはり一筋縄ではいかないわね」
リーゼは剣を構え直して気合を入れる。
「うん。でも……私達ならやれる! 今までも、これからも!」
ライカも前を向く。
そして、ライカはその特殊な魔力で進に対抗する。
「崩壊!」
「な!? 魔力が半減した!?」
進は自分の魔力が半減したことに思わず声を上げる。
本来ライカの崩壊は同レベルの魔力量を持つ者の魔力を使えなくさせるものだが、進のように魔力量が自分より多い者を使えなくさせることは出来ない。
しかし魔力の半減は可能である結構チート級の能力なのだ。
しかし半減したとしても進の魔力は10万、一方リーゼは8000、ライカは9000と2人で足しても5分の1に満たないのだ。
しかし冒険者登録の時の魔力量判定は1万としていたため、まだ魔力量を眼で見るどころか、魔力は感じられてもその詳しい魔力量まで感じることができないリーゼとライカは気付けなかった。勝負してはいけない相手だと。
一方進はアドラメレクに魔力量を教えてもらっていた。その内わかるようにはなるだろうが、今はまだ慣れていないため魔力を感じ取ることしかできないのである。
なのでこの世界で現状でもそれなりに力を持つアドラメレクはもちろん魔力量を見通すことができるので教えてもらっていた。
「さぁ、これで魔力量はこちらの方が上だわ、観念しなさい」
リーゼは余裕の表情で進を見る。
「ん? なにを言ってるんだ? お前らより断然俺のが多いと思うんだが……
もしかして魔力量が視えないのか?」
進は不思議そうに首を傾げる。
「そんなはずない! 私の崩壊は、標的で確実に効いてるはず!」
ライカは事実から目を背けるように大声で否定する。
「ああ、そっか、冒険者登録で俺の魔力量は1万ってことになってたからね。実はあれかなり力を抑えてたんだ。俺の魔力量は20万。つまり半減しても10万ってこった。」
魔力量の差は力の差ともいえる。技術も大事だが、それでも補えない力の差はある。
「嘘……」
ライカは絶望とも呼べない、今にも消失しそうな声で言う。
「そんな……魔力量20万って……そんなのkカップ級冒険者20人で勝てるかどうかじゃない……そんなの竜と相手してるようなものじゃない……」
リーゼは冷静に判断している良うだが、さっきまでの気力は消えていた。
「な? わかっただろ? 今の2人じゃまだ俺には届かない。ひとまず俺の話を聞いてくれないか?」
「クッ……それでも…………それでも私は……私だけは! 悪魔に屈することは許されない! 最低でも刺し違えて見せる!」
リーゼは怒りや憎しみといった感情を含めた声で言った。それを進は感じ取り、当然の疑問を投げかける。
「なぁ、なんでそんなに悪魔を恨んでるんだ? もし過去になにかがあったとして、その恨みを晴らすのは俺の話を聞いてからじゃダメなのか?」
「黙れ! 私だけは……悪魔を許してはいけないんだ!」
渾身の風を纏ったリーゼによる一振りが進に振り下ろされる。その威力はさっきの比ではなくkカップ級でも受けれないだろう。
しかし無情にも、届かないものはあるのだ。
その想い虚しく、進の闇炎剣によって止められる。
「そん……な……私では……届かないと言うのか……私には……なにもできないのか、
また何もできずに……ただ悲劇が繰り返すのを……見ているだけだと言うのか……」
リーゼは崩れ落ちるように膝をつく。
「そんなことない。今の一振りは凄かった。単純な剣技じゃリーゼには敵わないな。
たまたま俺の魔力が多かっただけさ」
進はリーゼに手を差し伸べる。
「しかし、勝てなければ意味がない……守れなければ、失うだけだ……」
「君になにがあったのか。それは俺にはわからない。ただ別に、俺は人を殺したりはしないし、リーゼとだって殺し合いたくはない。君を初めて見たとき、思わず見惚れてしまったんだ、いや、憧れすらも抱いた。君の背中が眩しかった。俺はオオカミにビビってただけなんだけどね」
進は苦笑して言う。
「これは私の宿命なんだ……決して解かれることのない……解いてはならない。そう、私が決めたんだ」
リーゼはその手をとるわけにはいかないとばかりに、顔を背ける。
「なぁ、聞かせてくれないか。悪魔に話すことじゃないかもしれないけどさ」
進も膝をつき、リーゼをまっすぐ見る。
「……そう……だな。あれは私が子供の頃の物語だ」
次回もよろしくお願いします。