第三話 Iカップ級冒険者ライカ
誤字脱字有れば言ってくださると助かります。
気がつくと朝日が登っていた。
「どうやら体力は戻ったみたいだな。」
とにかく腹も減ったし、ノーテルに戻るか。
亜空間収納を出し耳を確認し、となりで寝ていたトロールが死んでるのも確認して
ノーテルに向けて穴蔵を出る。
この世界で浴びる初めての朝日を感じて、少し浸ってしまった。
「この世界で俺は……前の世界に帰れるのか? そもそも帰りたいのか?」
確かにこの世界で生きるのも魅力的ではある。
なんせ、こんな厨二が公然と許される世界など、楽しいに決まってる。
しかし、あの世界にも大事なものはある。
独り身で育ててくれた母親もいるし、読み終わってないラノベやゲームだってある。
まあ転移してしまったものは仕方がない。と簡単には割り切れないのだ。
まあ、今考えてもしょうがないし、まずはこの世界初めての飯だ!
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「おはようございます! 依頼完了の報告ですね。少々お待ち下さい。」
ギルドの目の前には酒場があり、そこで嘔吐してる男を横目に見つつ、ギルドに入っていくと、昨日と同じ職員が対応してくれた。
正直同じ職員が対応してくれた方がこちらとしてもありがたい。
女性が多い中、毎回初対面というのはそこそこキツイものがある。
報酬を持ってきた職員に耳を渡すため亜空間収納を出すと
「な、なんですか!? それ!」
「ん? 亜空間収納だよ。」
持ち物を持ってないので門兵に怪しまれたのから察するに、これは誰もが使える魔法ではないのだろうとは思っていた。
「もしかして進さんって魔道士なのですか!」
「あ、ああ。実はそうなんだ。でも剣も欲しいんだけど武器屋と食事がとれるお店も教えて欲しいんだけど」
「武器屋なら酒場の二軒となりにある「風上」という武器屋がオススメです。
お食事は酒場でも普通に食べれますし、月詠亭というところも人気ですね!」
「なるほど、ありがとうございます」
「はい! こちら、報酬の金貨一枚と銀貨4枚です」
「どうも」
「んじゃまずは酒場で腹ごしらえでもするかな」
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酒場は朝でもそれなりに人は入っていた。さすがは異世界。雰囲気もいいな。
というか……酒場って冒険者が多いらしいけど……
女性しかいねえ!
いや超最高……じゃなくて超きまずいんですけど!?
俺はそっと店の隅の方に座る。
すると一人の女性冒険者が話しかけてきた。
「君は昨日入ったって言うkカップ級の冒険者さんかな?」
かなり露出のある装備に豊富な胸を持つ桃色の髪を持つ美少女というべきだろうか。
俺は必死に目線を彼女の顔に固定しながら挨拶した。
「やあ。近藤進だ。進でいいよ」
とちょっとカッコつけて爽やかイケメン風に行ってみた。
「え、ええと。私はライカ。実は君に少し頼みがあるんだけどね」
「ああ。俺にできることなら、なんでも言ってくれよ。キリッ」
「あのね。私2人組でパーティーを組んでいたんだけど、その子が大怪我をしてしまって、ここの治療師は優秀だからそんなに時間はかからないと思うんだけど、その子が戻ってくるまで私と組んでくれないかな?」
キタアアアアアアアアアアアアア!!
女性冒険者からのパーティーのお誘い! これぞ異世界!
異世界最高!
進はなんとか理性
「ああ。全然大丈夫だよ」
「ありがとう! なにか奢るよ!」
「いやいいよ。今報酬受け取ってきたばかりだし」
「ここは奢らせてよ。これから一緒に戦うんだからさ」
「じゃあ、お言葉に甘えようかな」
そうしてライカが注文をする。
少しこの世界初食事ともあってワクワクしている進。
「はい。朝食ブレッドセットだよ。」
酒場の4、50代と見られる女性が二人前の朝食を持ってくる。
「おお、うまそー」
「でしょー。私のオススメなんだー」
ライカが可愛らしい笑顔で進を見る。
天使だ……
にしても日本で普通に食べられる料理と同レベルに美味しいのはやはり魔法による技術発展によるものなのだろうか。
この中世風な文化でここまで味が出せるのは食料も充実していて調味料なども
揃っているからなのだろう。魔法を駆使した農業技術もあるかもしれない。
フィンドルフという国はどうやらそこそこ栄えているらしい。
「うん。ほんとに美味しいよ。来て特したよ。ライカとも知り合えた訳だし」
「え、ええとぉ」
ライカが少し恥ずかしげにこちらを見ている。
「あーいや実はさ。俺こっちに知り合いいなくて。冒険者も女性ばかりだからなかなか話せなくてさ」
「そうなんですか。この街の男性冒険者は進さん以外には2人しかいませんからねえ」
「そうなんだよなー。まだ見たこともないし」
そんな会話をしながら朝食を食べ終える。
「さて、これから武器屋に行こうと思うんだけど一緒にどう? 武器の善し悪しとかぶっちゃけ良くわからないしさ」
「お! 武器選びなら任せて下さい! 良いのを選んであげましょう!」
めちゃくちゃやる気だな、武器が好きなのかな。
そういえば。
「ライカはなにを使ってるんだ?」
「私はこの相棒とずっと一緒にやってるんだぁ」
そういって取り出したのは二本の双短剣。
鐔には赤色の宝石が一つ埋まっていて刃渡りは30cmほどだろうか。
「おお! かっこいいな!」
「でしょー。私の相棒だもん!」
そういってこれとばかりに見せつけてくる。
「武器はね。使用者の魔力によって変化することもあるんだよー」
「へぇー面白いな」
俺の場合すごい禍々しいのになりそうだな。
そうして2人は武器屋「風上」に入っていくのであった。