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第二十二話 訓練&報告

 3人は就職所へと足を向けていた。


 「そういえば2人とも装備がボロボロになってるな。新調した方がいいんじゃないか?」


 「ううん。買い替えはしないで修理するわ。この装備は私達の魔力にぴったりの物なの。これより私達に合っている武器はなかなか見つからないと思うし、そんな所にお金を使っている場合ではないわ」


 「なるほどな」

 確かに俺の服もなんだか体と同化しているようでロングコートなのに全然動きにくくない。

 そういうことも考えて作ってくれたんだな。


 3人は就職所の求人受付にて働き手の募集を受付をする。


 「こんにちは! ここでは求人依頼を受け付けております。本日のご用件を伺ってもよろしいですか?」

 元気な受付の男はかなり鍛えられた体をしているイケメンだった。


 「今日は街づくりの求人募集をかけたくてきたんですけど」


 「街づくり……となると大工職などの人を集めればよいでしょうか」


 「はい。人数は1人月銀貨2枚で出来るだけ人数を集めていただけないでしょうか。100人程いればいいのですが」


 「100人!? を月銀貨2枚となるとかなり金額がかさむと思うのですが大丈夫なのですか?」


 「はい。道具や木材などは別で用意していただけるので自分は人権費だけなんですよね。なのでまぁ全然大丈夫です」


 「は、はぁ。ではそれで募集を出しておきますね。この書類に必要事項をお書き下さい」

 男は同様を隠せずにいる。それはそうだ。月に1人銀貨2枚ということは月で聖金貨2枚必要となる。


 こんな見た目ただの冒険者の3人にそんな額が出せると思えないのは仕方ないだろう。


 進は言われた通りに書類を書き提出する。


 「では掲示板に求人募集を掲示しておきますので、一週間後にまたお越し下さい」

 男は礼をすると進達を見送る。


 3人は就職所を出たあと、まずはリーゼとライカの装備の修理に向かった。


 修理を依頼すると、三日後には終わると言われたのでそれまでは戦闘は避けたい所だ。


 それから3人は昼食をとり、レイル家を訪ねると、まだ家主は帰ってきてはいなかったのでエイルに聞くと夜なら面会可能との事だったのでそれまで進の剣技向上のために村建設予定地にて訓練をすることにした。



 「フッ!!」

 進は魔力を使わずにリーゼに切りかかる。

 当然その刃は届くことなく躱される。そしてライカじゃ熱々のパイを食べながらそれを見ていた。


 「ダメね。動きに無駄がありすぎて動作が遅れてるわ。そんな攻撃誰でも躱せるわ」

 リーゼはあっさりと進の攻撃を避けて言って見せた。


 「もう1時間もやってるのに一発も当たらない……まぁそりゃそうだよな。俺は悪魔の力を手に入れたから冒険者になっただけで武術なんてやったこともないからな」

 進は今までアドラメレク頼りだったことを自覚し反省する。


 「このまま闇雲にやっても仕方ないわね。うーん……じゃあまずは構えからやってみて」


 「わかった」

 進は言われた通り剣を上段で構える。剣道は中高で授業でやったから構えぐらいは覚えていたが、リーゼから見れば素人感ダダ漏れのようだ。


 「足をもう少し開いて肩をもう少しこうして、腕をこのぐらい下げる」

 と、リーゼがつきっきりで熱心に教えてくれているのに申し訳ないが、プレートを外しているため柔らかい物が当たるのと良い匂いがして思わずドキドキしているため全然集中できない。


 「ちょっと。聞いてるの?」

 リーゼが集中してなさげな進の顔を見て顔をしかめる。


 「あ、ああ。ごめん。もう一回こうでいいのか?ちょっと窮屈だな」

 進は言われた通りに構えるが、少し違和感を覚える。


 「それはその内慣れるわ。そしたら次は……」

 そしてそれから3時間程訓練をした。体力的には魔力のおかげで回復できるので疲れてはいないが精神的にはいろいろな意味で疲労困憊だ。


 「はぁ、かなり練習になったよ。ありがとうリーゼ。そろそろ日も落ちかけてきたな」

 夕陽が木々の間から顔を覗かせていて眩しい。


 「そうね。ライカは寝てしまっているし、そろそろレイル家に向かうとしましょう」

 ライカは木に寄り掛かったままぐっすりとしている。

 微笑ましいというかなんというか。


 「あいつがまさか暗殺者(アサシン)みたいな技が使えるとは思えないよな」


 「そうね。本当に。さ、起きてライカ。いくよ」

 リーゼはライカを揺さぶる。


 「んーあと5分……むにゃむにゃ」


 「はぁ」

 リーゼと進はその姿に思わず頭を抱える。






              ➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖





 「むぅー」

 ライカは気持ちよく寝ていた所を起こされてご機嫌斜めのご様子。


 しかしお構いなしといった様子で進とリーゼは先へすすむ。


 今回レイル家にいく理由は2つ。


 まずは求人募集を自分達でしたこと。

 そしてもう一つは昨日エステラを倒したことだ。


 もちろん知ってはいるだろうが、いろいろと話すべきことがあるだろう。


 「さ、着いたな」

 この門を通るのももう三度目だ。


 大きなドアをノックをするとエイルが昼と同様に出迎えた。


 「会議室にて旦那様がお待ちしております」

 3人は前回と同じように会議室に案内させる。


 そういえば前はエイルさんじゃなかったな。休みだったのかな?


 「失礼します。ライカ様、リーゼ様、進様がいらっしゃいました」

 エイルがノックをして言う。


 「入りたまえ」

 部屋の奥から返事が聞こえ、エイルがドアを開ける。

 エイルはお茶を入れに静かに退室していく。


 「さて、まずは四凶悪魔(デッドデュヘイン)の討伐おめでとう。これは世界的功績だ。心から尊敬するよ」


 「ありがとうございます」

 進はレイルの素直な畏敬の念にまずは礼を述べる。


 「して、今日ここにきた理由を早速聞いてもいいかね? まさか討伐の報告だけで来たわけではあるまい」


 「はい。今回は––––」

 進は求人募集を自分達でかけたことを説明した。


 「そうか。それはありがたい。ならばこちらは資材集めなどをすれば良いというわけだな」

 レイルはエイルが持ってきた紅茶をすすりながら言う。


 「はい。後はゆっくり建設するだけですね。あそこはトレントの敷地ということなのでフィンドルフ王国が何か言うことは公にはできないでしょう」


 「そうだな。では今日のところは帰るといい。今日は激務だったのでな、早めに休みたいのだ」


 「はい。ではまた」

 3人は礼をして部屋を出て行く。


 夕飯を食べて宿へ戻ると、いろいろ疲労困憊していた進はそのまま深い睡眠へと誘われていった……


 


次回もよろしくお願いします

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