第二十話 帰還
「「「「をおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」
荒んだ村の跡に響く勝鬨はもはやどちらの勝鬨なのかわからなかった。
また村が一つ消えたのだ。
しかも悪魔を憑依されるという最悪な形で。
「終わった……わけじゃないけど、一歩前進だな」
進は剣を掲げるリーゼを見て言う。
リーゼは剣をおろし鞘にしまう。
「そうね。まずは村の開拓をして戦力を上げなくちゃ」
やることが多いけど、きっとデモゴルゴンを倒すのに繋がっているはずだ。
すると、部隊の隊長が馬を引いてこちらへ歩いてくる。
「この異常な魔力反応はもしやと思ってはいたが、まさか四凶悪魔だとは。このような一大事に手を貸せず申し訳なかった」
その赤髪の女性は頭を下げて詫びを言う。魔力量はEカップ級と言ったところか。
それなりのふくらみがその鉄のプレートから伺える。
確かにこれは軍隊にも責があるかもしれないが、Eカップ級程度では話にならなかっただろう。
だからという訳じゃないが、まぁ別に来てなくてもよかったんだけど、そういう話でもないか。
「ああ。村人は恐らく憑依されて悪魔にされたと予想している。周辺の村にも被害が出るかもしれないし早急に対応すべきと、上官にいうんだな」
少し皮肉っぽく進は言う。
「心得ている。恐らく今頃先遣隊や斥候部隊が周辺の村の状況確認へと向かっているだろう。そして、貴方達は明日王城へ来て貰いたい。恐らく国王への謁見があるだろう」
その強気そうな眼差しで隊長はいう。
「わかった。じゃあ明日王城へ行くとするよ」
「では、馬を貸すので、私達は早急に報告に行ってくるので先に王都に戻る。では」
そういって隊長は三頭の馬を置いて馬に乗り、隊を率いて去っていく。
本当に必要事項しか話さなかったな。
こんな感じの上司いたな〜苦手だったけど。
しばらくの沈黙の中辺りを見まわす。
もはやエステラの跡はなく、一振りの剣が突き刺さっていた。
『魔剣シャルル』
古の時代からある獣化の能力を持つ剣。獣化を使わずとも聖剣の能力を引き出せるほどの力を持っている魔剣で、封印されていたところをデモゴルゴンにより封印を解かれ、エステラに与えられた。
しかし、エステラはこの剣の能力の強みを活かせていなかった。
「なぁ、この剣どうする?」
「そうね、市場で売っていいものではないし。明日、フィンドルフ王に買い取ってもらうのはどう?」
「それいいかも! 結構な額で売れそうだしぃグヘヘへ」
ライカが涎を垂らしながら言う。
お金好きなんですね。暗殺者の方。
「ならそうするか」
そういって進は剣を抱える。
そして帰ろうと馬の方へ歩き始めた時、ふと進は思う。
え、俺馬乗れなくね?
てか2人は馬乗れるのか?
「え、えーと。2人は馬って乗れるの?」
「もちろん! 馬に乗れなきゃ冒険者なんてなれないよ! 家を出る前によく練習してたよー」
ライカでも乗れるのか……てことは……
「ええ。私もライカと一緒によく練習はしていたわ……」
リーゼは少し俯きがちに言う。
「リーゼはね! よく落馬して泣いてたんだぁー」
「う、うるさいっ! 別に、相性が合わなかっただけよ」
「馬を何回も変えたけど結局一頭しか操れなかったじゃん。まぁでも風を操れるおかげで乗れればすっごい速いんだけどねー」
「い、一頭でも操れれば十分でしょう!」
リーゼがフンっと顔を逸らして言う。
「この馬は大丈夫かなぁ。とりあえず乗ってみたらぁ」
ライカが馬の腹部をさすりながら言う。
「え、ええ」
リーゼは緊張しながら馬にまたがる。
「……の、乗れた?」
リーゼが珍しく不安がりながら言う。
「おお! やったねリーゼ!」
マジかよ……この状況で俺だけ乗れないとか言いにく!
ライカもリーゼが乗ったのを見て馬にまたがる。
「ほら、進も早く乗りなよ」
ライカが中々乗ろうとしない進を見て不思議がる。
「あ、あのー大変言いにくいんですけどー」
「ん?」
「俺……実は馬……乗れない……」
「「え??」」
ライカとリーゼは思わず何を言っているのかわからないといった表情をしている。
「い、いやーそのー。俺馬乗ったことなくて……」
2人はなんで冒険者になれたのと言わんばかりの顔をしている。
「いやいや、馬に乗れない冒険者なんて中々いないよ!? 長距離移動の時とかどうするの?」
「ごもっともです……」
「はぁ。なら、私の後ろに座りなさい。私の風があれば馬の負担も軽減できるし」
「ありがとうリーゼ。帰ったらなんか奢るよ」
「ええ。楽しみにしてるわね」
リーゼは笑いかけると進に手を伸ばす。
進はその手をとりリーゼの後ろへまたがる。
ち、近い……リーゼのいい匂いがする。
「落ちないようにしっかり私に捕まっていてね」
リーゼは手綱を握るとしっかり前を向く。
進は言われた通りリーゼの腰に捕まる。
「ひゃぅ!」
「ん? どうしたリーゼ」
「い、いやぁ、別に。ちょっとくすぐったかっただけよ」
リーゼは前を向いたまま上ずった声で言う。
「そ、そうか。すまん。にしてもスタイルいいよな2人とも」
「あ、ありがとう」
リーゼはなんだか口籠っている。
「私がスタイルいいのは当たり前じゃない!」
ライカは相変わらずだな。
そんなこんなで亜空間収納に魔剣シャルルをしまい3人は王都へ帰還しにいく。
軍の馬は優秀で、余った一頭は後ろをつけて来ていた。
帰ったら剣の技術を覚えて馬に乗れるようにして街を作って……って結構やることが多いな。まぁまずは王様に謁見か。
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王都につくと既に日は落ちかけていた。
「さ、まずはギルドに行こうぜ」
馬を返した進達は兵舎をでてギルドに向かおうとしていた。
「ちょっと待った! その前にぃー」
「なんだよライカ」
「昨日注文した服がそろそろできてると思うからまずはそこへ行こ!」
「お、もうできるのか。仕事が早いな」
そうして3人は服屋黒い羽へと商品をとりに向かっていく。
次回もよろしくお願いします。




