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第十六話 白い悪魔

中々忙しくて出せなくて申し訳ありません!

明日は頑張ります。


 「クックック。さぁ、どこからでもかかって来なさい」

 ドス黒い魔力を纏う銀髪の美しい髪を持ち、白銀の綺麗な肌で白いワンピースを着飾る悪魔が3人の前に突如として現れた。


 「お前……まさか悪魔か! どうしてここに!」


 「私は四凶悪魔(デッドデュヘイン)の一人。白の悪魔 エステラ。そこの村の人間は全員悪魔にしてしまったし、少しお腹が空いてね、王都にはまだ手を出せないから少し食糧を探していたのだけれど、丁度良かったわ。その魂、私が食べてあげる」

 傲慢もいい所。魔力量は確かに多いが10万程。


 「やっぱりお前らだったのか! その身をもって罪をあがなえ、悪魔エステラ!」


 「フン……身の程を知るがいい……」

 そう言ってエステラが魔力を練ろうとすると、


 「エ、エステラ……さん……?」


 「ん? 貴様は一体……ああ、この体の記憶にいる少女に似ているわね。差し詰めこの体の女と同じ村か何かの出身か」

 リーゼはエステラの話には耳を傾けもせず、ただ目の前の衝撃に立ち尽くす。


 「あの……エステラ様が……悪魔に? そんな……そんな事……」

 リーゼは立ち尽くしたまま茫然としている。

 このままでは奴の餌食に!


 「所詮、ニンゲンなんてこんなに脆くて醜いもの。すぐに楽にしてあげるわ。滅べ、崩壊滅殺(デカディメント)

 滅びの魔力がリーゼを飲み込まんとする。

 マズイ!


 「リーゼ! 回避だ!」


 「な!?」

 リーゼが我にかえるも反応出来ずにいる。


 「リーゼ! しゃがめ!」

 とっさにしゃがめと言われリーゼの体が即座に反応する。


 「魔法反転(ローリングオーバー)!」

 進が剣を相手の魔法にぶつけ、魔法の進む方向を反転させる。最強の能力のようにも思えるが、剣で相手の魔法が止められなければ自分が魔法を喰らうだけなので、力量に差が無ければ使えない。


 「「「な!?」」」

 リーゼとライカとエステラは、目の前で起こった現象に驚きを隠せない。


 「わ、私の魔法がはね返された!? 馬鹿な!」

 エステラは自分の魔法をギリギリ避けつつ理解不能な力に戸惑う。


 「大丈夫かリーゼ」


 「ええ……」

 浮かない顔をするリーゼ。しかし目の前にいるのは悪魔。どんな能力を持ってるかもわからない。魔力量で勝っているとはいえ油断は出来ない。


 「……知り合いなんだろ? 斬ってもいいのか?」

 リーゼは少しの沈黙を挟み、


 「構わないわ。あれは悪魔……それ以上でもそれ以下でもない……」


 「そうか……なら、後は任せておけ。俺がサクッと勝って来てやるよ」

 進はリーゼに笑いかけ、前を向く。


 「正直言って、負ける気がしないな」


 「あなた、確かに魔力量はわたしにも底が視えない程だけれど。それだけで負けるほど私は甘くないわ!」

 すると、エステラが何やら魔力を練ろうとする。


 「そうはさせるかよ!」

 魔力量に差があるとはいえ、大魔法を打たれれば無事では済まないだろう。

 すかさず進は闇炎剣(オプスクーリタース)を発動させ、フレイザーで斬りかかる。

 しかし、エステラは余裕の表情で魔力を纏わせた手刀と魔弾でそれを捌きながら魔力を練る。


 「視え視えよ。遅すぎるわ。それにその魔力、私達と似たものを感じるわ。なのに身体能力が人間レベルなんて、膨大な魔力が勿体無いわ」

 エステラが剣を弾き間合が空く。


 「チッ……」

 進は攻撃を全て捌かれたのに苛立つ。


 (クフフフ、どうやらエステラには今の身体能力で剣は通らないようですね。魔力で身体能力の強化を行いましょう。)


 (そんな事が可能なのか?)


 (はい。全身に魔力が行き通るように調節し、強化したいだけ魔力を注ぎ込むのです。最も、魔力を使わずに元々の身体能力が高い方が良いので、これは帰ってからの課題ですね。フフフフフ)


 (わかった。やってみる)

 進は体全体に魔力を注ぎ込み、身体能力の強化を行う。

 悪魔の魔力を体全体に馴染ませる事で、完全に悪魔の力を体に馴染ませることととなり、人間と悪魔の狭間のような存在となった進。


 「これは……まるで別人の体みたいだ。これならいける!」

 進は再び前を向く。エステラの魔法の完成まで後30秒といったところ。

 

 「崩壊(カタリュシス)!」


 「ライカ! 助かった」

 ライカの崩壊(カタリュシス)によりエステラの魔力量が半減する。


 「チッ……小癪な!」

 魔力量の半減により大魔法を練りながらの戦闘が困難になったエステラは魔力を練るのを中断する。


 「さぁ、これでもまだ大口を叩けるのか? エステラ」

 進はエステラに剣を向け問う。


 「ふざけるな……人間風情が! 我が真の魔力の前にひれ伏せ! 『白銀貫通(シルバーバレット)』!」


 「な!? 魔力量が増えた!?」


 「貴様らのような魔力の真の使い方もわかってない人間如きに私が負けるものか!」

 エステラの魔力は半減する前よりも大幅に増強されていた。

 この窮地においてエステラは覚醒したのだ。そしてそれは進達にも起こりうる事ではあるのだが……


 今のエステラは進の魔力量と同じレベルとなっていた。技術で勝ってる分エステラに分があると言えるだろう。


 (フフフフフ。あれがエステラの魔力。我々も魔力解放は使えますがそれは使える魔力の幅が広がるだけのもの。あれはそのさらに先、魔力進化というべきものでしょう)


 (勝てるか? 今はとにかくそこが大事だ)


 (正直なところ厳しいでしょう。すでに『魔皇襲羅(デビルクレイザー)は解放していますが戦況は苦しくなりそうです)

 

 (そうか……でもやるしかないよな)


 「…………」


 進が戦う覚悟を決めた時、その少女もまた、さらなる力を求めていた。




次回もよろしくお願いします。

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