表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/43

第十四話 会議


 全く酷い目にあったな……こんなことなら野宿するべきだったのか?


 ぶつぶつと言いながら歩く進とその横を歩くリーゼとライカ。


 「もう。いい加減機嫌直しなさい。その調子でレイル家当主に会う気?」

 それを見かねたリーゼが声をかける。


 いやいや。そもそもこうなったのはわりと君のせいだよね?


 「へいへい。わかりましたよ」

 とりあえずテキトーに返事をしておく。


 今日は街を作る上でかなり重要な日である。

 レイル家との交渉次第ではかなり詰む可能性だってある。しかし今回の交渉において相手のメリットは考えられるのはたった一つ。亜人差別反対派の勢力増強。

 亜人差別反対派がどの程度の派閥なのかはわからないが、この案に乗るぐらい追い詰められているのだろう。

 そうだ。ライカなら事情が少しはわかるかも。


 「ライカ、亜人差別反対派ってどの程度の派閥なんだ?」


 「うーん。私も詳しくは知らないけど、亜人差別派よりかなり数は少ないらしいよ」


 やっぱりか。


 「なら、今回の交渉は上手くいくかもな」

 なんならこちらが有利に進められる。

 これにはリーゼも納得した様子。


 「さて、ついたな」


 昨日ぶりの大きな門を開け中に入る。


 大きな扉の前に立ち、少し心を落ちつかせノックをする。


 すると、昨日と同じようにドアを開けられるが、迎えたのは昨日と違うメイドであった。


 「こちらへ。旦那様がお待ちです」


 そういって昨日と違う部屋へ案内される。


 「今日は違う部屋なのか?」


 「本日は会議室ですでにお待ちです」

 今回は執務室ではないか。


 コンコンとメイドがノックをすると「いいぞ」と返事が聞こえる。


 中に入ると昨日も見たレイル家当主、レイル=トーラスが待っていた。

 昨日ライカやリーゼに話を聞いたが、亜人差別反対派のまとめ役らしい。


 「どうも、今日はよろしくお願いします」


 「ああ、こちらこそ。よろしく頼む」

 互いに握手を交わし、進、リーゼ、ライカの順に席に座り、その向かい側にレイルが座る。


 「さて、早速だが、今回は支援に関する具体的な話し合いに入ろう」

 早速レイルが話を切り出す。


 「はい。そうですね」


 「では、まず人材提供に関しては三日ほどで準備はできるだろう。それらの管理もこちらに任せてもらって構わない。数としては、最大で100人ほどは集まるだろう」


 「ひゃ、ひゃく!?」

 さすがは公爵家だな……


 「街を作るんだろう? 100人程度居なくては」




 「た、たしかに」


 「それで、資金などはおいおい使者を通して用意しよう。くれぐれも内密にだ。それと資材も同じように使者をつかわそう、森の中なら人材を使って伐採するなども可能だろう」


 「はい。それで構いません。それで、そちら側の条件は?」


 「それなんだが、街に優先的に亜人保護施設を造って欲しい。そしてそれの運営も頼みたい」


 「了解しました。それ以外にはないんですか?」


 「ああ。まぁ何かあったら後日言おう」


 「は、はぁ」


 いくらなんでも投資額の割に条件が少なくないか?


 ああ。そうか、ライカが過去の事もあるのに頼みにきた事だもんな。やっぱりなんだかんだ言ってこのおっさんはライカの事が好きなんじゃねぇか。


 進は思わず苦笑する。


 「どうかしたか?」


 「いえ、なんでもないですよ」


 それから半刻ほど会議をし、


 「では、そろそろ失礼しますね。自分達でも資金調達しなくては」


 「わかった。では三日後にまた訪ねてくるといい」


 「はい。では」


 そう言い進達はレイル家を後にする。




 「よし、じゃあギルドにまずは行こうぜ」


 「いこういこー!」


 意気揚々と、ま自分たちの街造りに期待を膨らませながら3人はギルドに向かう。


 今は昼時なのでギルド内はあまり人は居ない。といってもノーテルのギルドよりはかなり多いだろう。


 その中に昨日話しかけてきた黒の魔術師の二つ名を持つイナラシュとその仲間らしき者達も4人居た。

 あれがおそらく冒険者チームゴルゴーンのメンバーだろう。威圧感が半端ではない。最も俺には到底魔力が及ばないし、あんなオーラドバドバじゃ自分の強さや魔力量を傍受してくださいと言ってるようなものだ。


 「お、あんたは昨日もあった新米kカップじゃないか」

 話しかけてきたのは昨日もあった女冒険者の黒の魔術師イナラシュだ。

 しかしゴルゴーンはただ威圧感があるだけじゃないようだ。


 「ずいぶんと男が多いんだなゴルゴーンは」

 イナラシュ以外に女冒険者は1人、残り3人は男だった。

 そして大抵男冒険者が能力が高くなければなれないので強者が多い。



 「そうさ、うちは王都ギルドにいる10人の男冒険者の3人が所属している。どうだ、君も入って見ないか? 君もkカップ冒険者なら戦えるだろう」

 誘惑するような目つきでチームに誘ってくる。しかし進は一瞬も迷わない。迷うことは許されない。


 「悪いが断らせてもらう」


 「そうか。なら少し生意気な口を調教してやろう」


 そういって表へ出ろとばかりの目線を進に送りながら出口に向かうイナラシュ。


 はぁ。マジかよ。めんどくさいし無視しよ。

 そして進は受付へ歩いてゆく……


次回もよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ